「日本:電源構成の目標設定―再生可能エネルギーを4~5割に」(Sputnik日本・VOA)
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20241214/19416282.html
【視点】これからの原子力産業は経済性と安全性のバランスが不可欠
2024年12月14日, 06:36
CC BY-SA 3.0 / Qurren (talk) / Shimane NPP Unit 3
リュドミラ サーキャン
12月7日、中国電力は島根原子力発電所2号機(出力82万キロワット)を再稼働させた。 島根原発2号機の再稼働は全国で14基目、沸騰水型軽水炉(BWR)としては女川原発に次いで2基目となる。
島根原発2号機は1989年2月10日に運転を開始。2012年1月に定期検査のため運転を停止した。2021年6月、島根原発2号機は原子力規制委員会の審査に合格し、松江市、出雲市、安来市、雲南市からの再稼働の容認を経て1年後、島根県知事が島根原発2号機の再稼働に同意した。
日本はなぜ原発の再稼働に踏み切ったのだろうか?また、この決定にリスクはあるのだろうか? 科学とビジネスのポータルサイト「Atomic Energy 2.0」の編集長兼創設者であるパーヴェル・ヤコブレフ氏がスプートニクの問いに答えた。
「福島第1原発事故以前、日本のエネルギー供給における原子力利用の割合はかなり高く、何十年もの間、この産業の技術開発に多くの労力と資金を投じてきた。日本人は、核燃料の再処理を研究し、『高速炉』計画を策定した。そうした意味では、日本は原子力産業における世界のリーダーの一国だった。原子力発電が停止していた間、日本は電力を供給し続けることができた。しかし、その対価は非常に大きかった。これは、貿易赤字の拡大と電気料金の高騰に反映されている。原子力発電所の停止により、電力は原材料を輸入に依存する火力発電によって生み出された。さらに、火力発電を優先したことで、日本にとっては温室効果ガスの排出という環境問題が頭痛の種となった。そして13年たった今、世界市場での原材料価格の変動や物流の問題により、日本経済、産業界、さらには国民までもが、ますますエネルギー安全保障の問題に直面している。日本が輸入資源に依存していることを考えれば、原子力発電が日本のエネルギー戦略にとって必要不可欠な要素であり、今後もそうあり続けることは道理にかなっている。 加えて言えば、停止中の原子力発電所の運営もコストがかかり経済的にマイナスだ。原子力規制庁によれば、現在、エネルギーミックスに占める原子力の割合は10%ほどだ。日本政府は2030年までに原子力の発電割合を20~22%に拡大する目標を掲げている」
10月29日、沸騰水型軽水炉(BWR)の女川原子力発電所2号機が起動した。一方、運転開始から1週間も経たない11月3日、機器の不具合により停止した。 原子炉内の中性子を計測用機器が動かなくなるという不具合が生じた為だ。ケーブルにつなげた機器を原子炉内に通す案内管の接続部のナットが締め付け不足により緩み、ナットと管が外れたのが原因だという。東北電力は、事象が発生した原因および再発防止対策を説明し、今回の事象による影響はないと社会を安心させた。
あらゆる電力発電所にリスクは存在するが、原子力発電所のリスクはとりわけ高い、とヤコブレフ氏は続ける。
「日本の原子力の利点は、常に厳重な管理下に置かれていることだ。原子力産業における安全システム事業が占める割合は30~40%に達している。したがって、製造コストは高くなり、運用も難しくなるが、日本ではとりわけ、あらゆるリスクを最小限に抑える努力がなされている。さらに、日本では原子炉の再稼働に最も厳しい安全基準が設けられており、原子炉の近代化に多額の投資が行われている。BWRに関しては、これは第2世代の原子炉であり、建設された当時は経済的合理性が最優先されたのだろうが、現在の原子力産業では経済性と安全性のバランスをとる努力がなされている」
オピニオン アジア 国際 国内 原発
(Japan targets 40-50% power supply from renewable energy by 2040: VOA)
https://www.voanews.com/a/japan-targets-40-50-power-supply-from-renewable-energy-by-2040-/7904135.html
東アジア
日本は2040年までに再生可能エネルギーによる電力供給を40~50%にすることを目標に定める
2024年12月17日午前8時35分
記者 ロイター
ファイル―この画像は2016年12月2日金曜日、横浜市の気候変動への取り組みが評価され、クリーンエネルギー部門で2016年のC40アワードを受賞したことが発表された際に公開されたものだ。(Tomohiro Ohsumi/AP Images for C40)
東京 —
日本は、増加する電力需要を満たしながらクリーンエネルギーを推進するため、2040年度までに電源構成の最大50%を再生可能エネルギーが占め、更に20%を原子力発電が占めることを望んでいると、改訂されたエネルギー基本政策の草案で述べられている。
世界第2位の液化天然ガス輸入国であり中東産石油の主要な消費国でもある日本とそのエネルギー基本計画は、石油・ガス・石炭の生産者たちから世界的な注目を集めている。
エネルギー政策草案では石炭・ガス・石油の内訳は明記されていないが、火力発電の使用―特に石炭火力発電所の使用は非効率だ―は、2023年の68.6%から2040年までに30~40%に減少する予定だ。
草案では、「現実的な移行手段としてLNG火力発電を活用する必要があり、価格高騰や供給途絶などのリスクに備えて、政府と民間が共同で必要な長期LNG契約を確保する必要がある」としている。
火曜日に発表されたこの経済産業省の政策案では、2040年度に再生可能エネルギーを電力供給の40~50%に増やすことを提案しているが、これは2023年度のシェア22.9%のの約2倍であり、2030年の目標である36~38%を上回る。
日本の2040年の原子力発電目標は、2011年の福島原発事故後に業界が難題に直面したにも係わらず、2030年の目標である20~22%と一致している。2023年には原子力発電は日本の電力供給の8.5%を占めていた。
新しいエネルギー計画では、「原子力への依存を可能な限り減らす」という以前の目標が削除され、現存する原子炉の廃炉を決めた事業者が保有する原発の敷地に革新的な次世代原子炉を建設する計画が含まれている。
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20241218/19426679.html
【視点】日本の電源構成は再生エネルギー割合が大幅増 でも実現は困難
2024年12月18日, 06:34
© iStock.com / imacoconut
リュドミラ サーキャン
日本政府は、2040年までの電源構成について、目標を数値化した次期エネルギー基本計画素案を発表した。それによると電源構成における再生可能エネルギーの割合を40~50%と高める方針だ。
電源構成に占める原子力の割合は20%、火力発電の割合は30~40%。火力発電の脱炭素化には、二酸化炭素を排出しない水素やアンモニアを燃料として利用することを目標に掲げる。
現行のエネルギー計画によれば、2030年までの電源構成は再生エネルギーが36~38%、原子力が20~22%、火力発電が41%となっているはずだ。しかし、既存の原子力発電所の再稼働が遅れていることや、太陽パネルの設置場所が限られていることから、2023年度末の時点では、原子力は7.7%、再生エネルギーは26 %。火力発電のシェアは66%となっている。
ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所、日本研究センターの上級研究員、コンスタンチン・コルネエフ氏はこの次期エネルギー計画に懐疑的な視線を投げかけている。
「というのも、脱炭素化、水素エネルギー社会、グリーン経済への移行といった多くの計画は、2030年、2040年、2050年とますます未来へ遠ざかっている。これらすべてには資金、資源、人材、そして技術など、多くのことが求められる。日本は技術面ではかなり成功しているが、国の経済が低迷しているため、資源と財政面で困難な状況にある。だから、私は日本政府のこうしたエネルギー計画は、実現するとしても部分的なものに留まる、と考えている。事実、現在の経済発展ペースは鈍く、そのペースを加速させるようなメカニズムも見当たらない。人も金も足りず、国内外の政治的不安定性は増すばかりだ。
また、原子力発電所の運転期間の60年超への延長、既存原発の近代化、新世代原子炉の開発と運転といった方針に、日本が原子力を維持し続けたいという願望が現れている。
火力発電について言えば、石炭火力発電所は廃止となり、ガス火力発電所の割合が増加している。2030年から2035年にかけて、すべての石炭火力発電所が寿命を迎える可能性がある。これは非常に現実的なシナリオだ。
再生可能エネルギーについては、どの再生可能エネルギー発電所(水力、風力、太陽光)でも、設備利用率に限界があり、エネルギー効率が良いとは言えない。というのも、発電所は電力消費地域からは遠く、エネルギー源としての水、風、太陽は常に変動し、不安定だからだ」
コルネーエフ氏はエネルギー価格の予測は不可能との見方を示し、現在の世界状況は不安定で、地政学がエネルギー価格に強く影響してしまうからだと、その理由を述べている。
「この(地政学的状況)のために、エネルギー価格は市場原理とはまったく異なるメカニズムの影響を受けてしまう。価格の計算方法はあるが、それはある特定の状況において過去にどうであったか、また将来どう変化する可能性があるかに基づいている。 私なら、今の不安定な情勢では、机上の計算方法を当てにはしない」
オピニオン 国内 太陽エネルギー ガス
(投稿者より)
近年、再生可能エネルギーに対する一般国民の評価が急速に悪化しているようです。電力会社が生産者から一定期間に一定の価格で電気を買い取るために法人や個人の需要家に賦課金が課せられていますが、この比率が年々上昇しており需要家にとって重い負担と成りつつあります。
風力発電の風車の回転により発生する低周波は周辺住民に健康被害を齎します。また、太陽光発電は効率が2割程度(1日の半分しか稼働しませんので感覚的には1割でしょうか)と低く、太陽光パネルに含まれる有害物質を安全に処分する技術は確立されて居らず、廃棄パネルによる環境破壊が危惧されています。また、国産パネルが安価な中国産にほぼ取って代わられていることから、太陽光促進策は外国を利するだけとの意見もあります。
火力発電の効率はLNGが6~7割、石炭が4~5割です。日本は燃料をクリーンに燃やす技術を持ち、更には主要な温室効果ガスである二酸化炭素から石油を生成する技術も実用化が近いです。これが実現すれば、地震国の日本で地層に温室効果ガスを埋めるリスクが無くなります。
日本の卓越した技術力を裏付けとして今後も火力発電を主力に据えるべきだと考えます。原子力は問題の多い発電方法なので止めるべきですが、微生物などを活用して安全に廃炉する技術を確立する必要は有ると考えています。