「韓国の失敗した戒厳令について」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本・KBS WORLD)
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/articles/c98ly1yx1z3o
韓国大統領「非常戒厳」を宣布、国政がまひ状態と 国会の要求受け解除を表明
Reuters
画像説明, 国会議事堂前に集まり非常厳戒に抗議する人たち(4日未明、ソウル)
2024年12月4日
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日夜、国民に向けて緊急のテレビ演説を行い、「非常戒厳を宣布する」と発表した。「国政はまひ状態にある」として、北朝鮮の共産勢力の脅威から韓国を守り、自由な憲法秩序を守るためだと説明した。これに対して韓国国会は4日未明、非常厳戒の解除を求める決議案を可決。尹大統領は同日朝、解除すると発表した。
尹大統領は4日朝、「国会の非常戒厳解除の要求を受け、戒厳部隊は撤収した」、「私は国会の要求を受け入れ、閣議を通じて非常戒厳を解除する」と述べた。
「国と自由な憲法秩序を守るため」 韓国大統領が非常戒厳を宣布
ソウルの国会前には非常戒厳に抗議する市民らが多数集まっていた。尹氏の劇的な解除を受け、群衆からは歓声が上がった。 AFP通信は、抗議者の一人が太鼓をたたきながら「私たちが勝利した!」と叫んだと伝えた。
これより先の4日午前1時すぎ、韓国国会(定数300)は戒厳令の解除を求める動議を可決した。聯合ニュースによると、出席した与野党の議員190人全員が賛成した。これを受けて、国会の禹元植(ウ・ウォンシク)議長が、「戒厳の宣布が無効になった」と表明した。
韓国憲法は、国会議員の過半数が賛成して要求した場合、政府は戒厳令を解除しなくてはならないと定めている。さらに、戒厳下でも国会議員の逮捕は認められていない。
Reuters
採決後も本会議場に残る議員たち(4日未明)
禹議長は正式に、非常戒厳の解除要求が可決されたことを、大統領府と国防省に知らせた。
非常戒厳の解除を要求した国会議員約190人は4日午前2時半の時点で、採決後もそのまま本会議場にとどまった。政府が議会解散を強行しようとした場合に、対抗するためという。
韓国メディアによると、韓国防衛省は尹大統領が自ら戒厳令を解除するまでは、戒厳体制を維持すると表明した。
Reuters
非常戒厳を宣布する韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(3日夜、ソウル)
聯合ニュースによると、議事堂に入っていた韓国軍の兵士たちは決議案採決後、議事堂から撤収したと、禹国会議長が明らかにした。兵士たちは、大統領による非常戒厳宣布を受けて、一時的に議事堂に入っていた。
採決に先立ち、大統領の発表を受けて、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表が「大統領の非常戒厳の措置は間違っている。国民とともに阻止する」と述べていた。
さらに、議会で過半数を持つ最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、戒厳令は違憲だと反発。同党の議員全員に、国会に集まるよう呼びかけていた。
Yonhap via EPA
非常戒厳解除の要求決議案可決を禹元植国会議長が宣言する様子を、議場外で見守る議会関係者(4日未明)
Reuters
国会議事堂を離れる韓国軍の兵士たち(4日未明)
Yonhap via Reuters
非常戒厳の解除決議可決を発表する、最大野党「共に民主党」の李代表(中央)ら韓国国会議員たち(4日未明)
採決に参加した「共に民主党」の李盛潤(イ・ソンユン)議員はBBCに対して、議事堂に入るために高さ1.5メートルのフェンスをよじ登る必要があったと話した。
議員の身分証を示しても、警察に敷地内に入るのを警察に阻止されたのだという。
騒然とした国会前
国会採決に先立ち韓国メディアは、大統領の「非常戒厳」宣言を受けて、韓国軍が国会活動の禁止を発表したと伝えた。
聯合ニュースによると、戒厳司令部は3日夜、「全ての言論と出版は戒厳司令部の統制を受ける」などとする布告を発表した。
韓国に非常戒厳令が宣言されるのは、1987年の民主化宣言以来、初めて。
大統領の発表を受けて、議事堂内には多くの議員や報道関係者が集まり、騒然とした。議事堂の外に集まった人たちは「戒厳令反対」、「独裁を倒せ」、「門を開けろ」などと連呼した。
国会議事堂の入り口が封鎖され、議員が入れない状況になった。
Yonhap via REUTERS
画像説明, 議事堂上空を旋回するヘリコプター
Reuters
画像説明, 国会議事堂のゲート前に大勢が集まり、警官隊が封鎖した(4日未明、ソウル)
Yonhap via REUTERS
画像説明, 議事堂内に入った韓国軍の兵士たち(4日未明)
Yonhap via REUTERS
韓国軍部隊が議事堂に入るのを阻止しようと、ソファなどでバリケードを作る最大野党「共に民主党」の職員(4日未明)
選挙で与党大敗、支持率低迷
今年4月の総選挙で与党が大敗して以来、尹大統領は政策実行に必要な法案を議会通過させることができず、逆に野党が可決する法案に次々と拒否権を行使せざるを得ない状態に陥っていたと、BBCのジェイク・クウォン記者は指摘する。
さらに大統領をめぐっては、妻・金建希(キム・ゴニ)氏に関するスキャンダルが相次ぎ、政権支持率が下がり続けていた。野党は、金氏に対する特別検察官による捜査を立ち上げようとしていた。
最近では、政府と与党が提出した来年度予算案を、野党が大幅に減額して単独可決した。大統領は予算案に拒否権を行使できない。さらに野党は、金氏を立件しなかった政府の監査トップなど政府幹部への弾劾訴追を次々と発議している。
クウォン記者は、尹大統領はこうした状況を受けて、「反国家」勢力が国をまひさせようとしていると主張し、秩序回復のためだとして非常戒厳を宣布したのだと説明した。
(英語記事 South Korea president backs down from martial law order after MPs vote to block itCrowds celebrate as South Korean president withdraws troops)
関連トピックス 韓国 政治 アジア
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20241205/19383029.html
【視点】浸食する韓国政権 尹氏に政治的「切腹」の覚悟はなかった
2024年12月5日, 08:00
© AP Photo / Alex Brandon
リュドミラ サーキャン
12月4日にかけての深夜に韓国から届いたニュースは世界を揺るがした。一国の大統領が戒厳令を発令し、大統領に弾劾決議を突きつけようとしていた国会議員らがそれをいち早く阻止した事件は、ただでさえ変化の目まぐるしい世界に一層の不透明感を呼んだ。何が韓国政権の浸食につながったのか、この事件はどういった政治的結果をもたらすかについて、スプートニクは歴史学者でサンクト・ペテルブルク国立大学東洋学科のセルゲイ・クルバノフ教授にお話しを伺った。
スプートニク:尹大統領はどうしてここまで突飛な行動に出たのでしょうか?
クルバノフ氏:政治的な「切腹」など誰も意図していませんでした。韓国の事件は、社会の2つの対立した部分が生んだ、当然の結果です。一方は尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領の政策を支持し、もう一方はそれに反対しています。国会では野党が多数を占めているため、来年度予算が成立しないという事態を招きました。これは深刻な事態です。おそらく尹大統領が戒厳令の発令に踏み切ったのは、国会の反対を押し切って予算を成立させ、来年を迎えようとしたためだったようですが、うまくいきませんでした。 当然の話です。彼は大統領選挙には勝ちましたが、国会では野党がわずかに優勢で、実際、この間、韓国社会は2つに分かれていたからです。
スプートニク:尹大統領は国内の「親・北朝鮮勢力」を根絶するために戒厳令を発令すると宣言しました。韓国にそうした勢力は存在しますか?
クルバノフ氏:親北朝鮮という表現は根本的に正しくありません。なぜなら、21世紀の韓国では、政治家であれ市民であれ、北朝鮮の政治体制を支持する人に私は出会ったことがないからです。一方で、韓国も北朝鮮も、文化的、民族的、言語的に多少の違いはあっても、同じ朝鮮民族であることを忘れてはいません。これは親北朝鮮的な志向の話ではなく、一種の夢といいますか、ずっと先に朝鮮半島の統一できたら、という望みなのです。韓国社会の一部が、半島北部にもかつて統一国家の国民であった朝鮮人が住んでいることを忘れまいとしているということ、と言った方が正しいかもしれません。つまり、北に同胞がいることを忘れたい人もいる、忘れたくない人もいるわけです。
スプートニク:「共に民主党」をはじめとして6つの政党が尹大統領に対する弾劾案を提出しました。投票は12月6‐7日に行われる予定です。これで大統領が退任に追い込まれる可能性は大きいでしょうか?
クルバノフ氏:韓国の弾劾手続きは非常に複雑で、3つの段階を踏みます。まず、弾劾手続き開始の問題を提起するために国会で最初の投票が行われます。次に弾劾手続き開始に関する2度目の投票がありますが、この際、議員数に特別な要件があります。そして3度目の投票が弾劾そのもので、ここで事態の整理が行われます。これはかなり長いプロセスで、今のところ国会に提出されたのは最初の採決案だけです。 そして、この話がどう決着するかは、まだわかりません。
スプートニク:大統領と野党の意見の相違の一番の焦点は何でしょうか?
クルバノフ氏:外交と内政の両面で、主要な問題からそうでないものまで、さまざまな違いがあります。しかも、意見が対立している問題はとても多い。 例えば、ウクライナとロシアの関係への韓国の関与。これについての意見はさまざまで、露宇の間のことに韓国は距離を置き、直接関与しないよう求める勢力があります。北朝鮮についても、あるべき姿については意見は対立しています。野党、特に共に民主党は、北朝鮮に対してソフトな政策をとっていた文在寅前大統領の路線を引き継いでいます。また経済問題では、不動産、ふるさと納税などの問題で意見が分かれています。それでも、韓国全体が現大統領に反対しているわけではありません。すでに今日、尹氏を支持するグループがデモを行っています。つまり、韓国では物事が非常に複雑なのです」
スプートニク:韓国では過去60年、穏やかに任期を終えた大統領は文在寅氏を除いて一人もいません。裁判にかけられたり、自殺したり。どうしてこうなのでしょうか?
クルバノフ氏:刑務所に関しては、有罪判決を受けた者たちはみな釈放され、まあまあ穏やかな暮らしを送っており、政治には関与していません。拘留期間もそれほど長くはなく、概して皆、多かれ少なかれ、良い結末を迎えています。 朴正煕は殺害され、盧 武鉉は自殺したのは事実ですが、それについては疑問があり、さまざまな見方があります。しかし、これはこの国の政治文化であり、言うならば民主主義が極端な形で現れたものです。大統領の任期を終え、ポストを離れても訴追を免れるという保証はないのです。とはいえ、形式的には元大統領は韓国憲法の規定では、国政諮問会議の議長に立つことになっているのですが。
スプートニク:この事件から政治的にはどんな影響が出るでしょうか?
クルバノフ氏:政治的な影響については、いずれにしても悪化することはないでしょう。それが良いか悪いかは判断できません。こうした概念は相対的なものであり、完全に科学的なものではないからです。尹大統領が政権にとどまるのであれば、社会の状況や、誰もが彼を支持しているわけではないという事実を考慮するでしょう。長期の弾劾手続が本当に始まる可能性もあり、おそらく数ヶ月はかかるでしょうが、尹氏は大統領の座から追われることになるでしょう。その後の彼の運命を予測するのは簡単ではありません。しかし、それはともかく、韓国は長い間、民主主義の独裁の道を歩んできました。1980年代後半以降、韓国にはいわゆる東部民主主義があり、40年以上にわたる民主主義の歴史が、韓国の民主的権利と自由のさらなる発展を頓挫させるとは思えません。
このことから、悲劇的な状況ではあるものの、最終的には韓国からは独裁政治はなくなり、社会の民主化に向けて新たな一歩を踏み出すと思います。尹氏が政権に留まるかどうかは別として、こうした変化は避けられないことです。昨日、国会議事堂前で事態が最高潮に達していた時、テレビやYoutubeで生中継が行われ、抗議市民の手にはスマートフォンが握られ、すべてがSNSに送られました。前の韓国であればこうなったであろうというシナリオはもうたどることができないのです。なぜなら、新しいテクノロジー、ビデオ録画、ソーシャルネットワークのおかげで、社会が変わってしまったからです。今までのスキームはもう機能しません。韓国のこの経験は研究する価値がありますよ。SNSの役割、民主主義の発展における新技術の役割、そしてこの民主主義を抑圧しようとする試みを理解するために。
スプートニク:尹大統領は日米とは軍事面をも含め、緊密な協力関係の路線を維持してきました。ここでは何等かの変化は起きるでしょうか?
クルバノフ氏:この問題は非常に複雑で、私は韓国の出来事を注視していますが、議員の意見はわかりません。ひとつ重要な点があります。韓国には米軍基地があるということです。基地は日本にもあります。米軍基地がある限り、米国とも、日本とも軍事同盟は避けられないのです。もうひとつは、この同盟関係がどのようになるかということです。より強固なものになるか、より形式的なものになるかですが、韓国が軍事的に完全な独立国家でない以上、米国とのこうした関係は避けられませんし、誰が韓国の政権のトップになろうと、この状況は続くでしょう。2000年代初頭には、国防面で米国の影響力から少し退こうとする試みが数年間続きましたが、結局、何の結果も生みませんでした。
国際 韓国 政治
―参考―
- 【解説】 なぜ尹大統領はいきなり非常戒厳を宣布したのか……翌朝には解除(BBC NEWS JAPAN)[2024.12.4]
- 【解説】 韓国大統領は何を考えていたのか 裏目に出た「非常戒厳」(BBC NEWS JAPAN)[2024.12.5]
(KBS WORLD)
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=88982
社会
戒厳軍 非常戒厳宣言直後「中央選挙管理委員会」に出動
Write: 2024-12-06 10:06:57 / Update: 2024-12-06 16:25:22
Photo : YONHAP News
今月3日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布した際、戒厳軍が最初に到着した場所は国会ではなく、中央選挙管理委員会だったことがわかりました。
その理由については、様々な憶測が飛び交っていましたが、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官は、先の総選挙後に取りざたされていた「不正選挙」の疑惑に関する捜査の必要性を確かめるためだったと述べました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布が行われた今月3日夜、戒厳軍が真っ先に到着したのは、中央選挙管理委員会でした。
当時、京畿道(キョンギド)果川(クァチョン)市にある中央選挙管理委員会の庁舎と京畿道(キョンギド)水原(スウォン)市の中央選挙管理委員会研修所、ソウル冠岳(クァナク)区の世論調査審議委員会に297人の戒厳軍が配置され、その理由について様々な憶測が飛び交っていました。
これに対し、戒厳司令官を務めた朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長は、5日、国防委員会の緊急懸案質疑に出席し、「知らなかった」と回答していましたが、金前国防部長官は、KBSとやりとりしたメッセージで、「不正選挙疑惑が指摘されたことを受け、今後の捜査の必要性を判断するための措置だった」と述べました。
また、「その途中で国会が解除を要求する決議案を可決したことで、撤収した」と説明しました。
先の総選挙後、一部の保守系団体やユーチューバーは今年4月10日の国会議員総選挙で不正選挙があったと主張し、捜査を求めていましたが、その必要性を確かめるための措置だったということです。
今後、戒厳軍の活動に関する調査で、中央選挙管理委員会に戒厳軍が投入された目的や選挙関連データを確保しているのかどうかについて確認が行われる予定です。
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/articles/c938817en1eo
尹大統領の弾劾案、韓国国会で不成立 与党ほぼ全議員が退場し定足数満たさず
Reuters
尹大統領に対する弾劾訴追案の投票が成立しなかったと宣言する韓国国会の禹元植議長(7日)
2024年12月7日
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案は7日夜、国会で採決が進められたが、与党「国民の力」の議員が3人を除いて全員、投票をボイコットしたため、投票議員が定足数に達せず不成立となった。尹氏は大統領の職務を継続する。
国会はこの日、午後5時に本会議を開いた。弾劾訴追案の採決に入る直前、108人いる「国民の力」の議員が、安哲秀(アン・チョルス)議員1人を除いて全員、議場を退出した。聯合ニュースによると、同党は採決を前に、党として反対する方針を決定していた。安氏はかねて賛成票を投じると表明していた。
弾劾訴追案は、賛成が在籍議員300人の3分の2(200人)以上で可決、それ未満だと否決になる。投票は無記名で行われた。
議案を提出した最大野党「共に民主党」など野党勢力は192人で、可決には与党から8人以上の「造反」が必要だった。与党のほとんどが投票を拒んだままで、議決に必要な人数の定足数も満たさない状況だった。韓国メディアによると、定足数は200人だった。
そのため、禹元植(ウ・ウォンシク)議長(「共に民主党」)や野党議員らは、退場した与党議員に対し、議場に戻り、投票するよう呼びかけた。禹議長は、「大韓民国は国民の血と涙でできた民主主義の国だ」、「あなたたちは歴史、国民、そして世界によって裁かれることを恐れないのか?」、「投票に参加すること、それが民主主義を守ることだ」などと訴えた。
野党議員が投票を長引かせるなか、午後7時半(日本時間同)までに与党の金礼智(キム・イェジ)議員、金尚旭(キム·サンウク)議員が議場に戻った。金尚旭議員は、党の方針に従って弾劾訴追案に反対票を投じたと記者団に説明。投票することが大事なので議場に戻ったと話した。
規定では8日午前0時48分までは投票が可能だった。野党側はさらに待つ構えをみせた。
しかし、禹議長は午後9時20分ごろ、票の集計を指示。その結果、投票に参加した議員が定足数に達しなかったため「投票は成立しなかった」と宣言した。
EPA
画像説明, 韓国の国会(7日夜)
Reuters
尹大統領の弾劾訴追案について投票する議員たち(7日、韓国国会)
「戻って投票せよ」
与党議員が議場を退場した際には、野党議員からは「裏切り者、戻れ」といった声が飛んだ。与党議員に駆け寄り、議場から出るのを防ごうとする野党議員もいた。
国会前では採決が始まる前から大規模な抗議集会が開かれた。退出した与党議員の名前が一人ずつ読み上げられると、そのたび集会参加者らからは「戻れ、投票しろ」という声が上がった。
国会ではこの日、弾劾訴追案の採決に先立ち、尹氏の妻の金建希(キム・ゴンヒ)氏の捜査における特別検察官の任命に関する法案の採決があった。金氏をめぐっては株価操作などの疑惑が浮上している。
この法案は、賛成198票、反対102票で否決された。可決には賛成200票以上が必要だった。
Reuters
韓国国会前の抗議集会には多数の市民らが参加し、尹大統領の弾劾や辞任を求めた(7日)
Reuters
尹大統領の職務継続が決まると、抗議集会の参加者が涙を見せた(7日、国会前)
弾劾訴追案の採決に至るまで
尹氏は3日夜に突如として非常戒厳を宣布。しかし、国会の要求に従って約6時間後にはこれを解除した。
最大野党「共に民主党」などは、これを「内乱行為」と非難。野党6党で4日、尹氏の弾劾を求める弾劾訴追案を国会に提出し、この日の採決となった。
尹氏は4日朝に非常戒厳を解除して以来、公の場で発言していなかったが、この日朝に演説し、非常戒厳について謝罪した。辞任や弾劾については言及しなかった。
韓国の警察は5日、野党の告発を受けて尹氏を「内乱」の疑いで捜査していると発表した。国会も同日、非常戒厳の宣布に関する調査を開始した。
戒厳令による統制を図った尹氏の動きは、国民の怒りを呼び、直後からソウルの街頭などで抗議行動が繰り広げられている。
韓国では過去に複数の大統領が弾劾されている。
2016年には、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する弾劾訴追案が可決された。収賄、国家権力乱用、国家機密漏洩に関わったとされた。のちに憲法裁判所によって罷免された。
2004年にも、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が弾劾され、2カ月間、職務停止となった。しかしその後、憲法裁判所の判断で大統領に復帰した。
今回、尹大統領が辞任するか弾劾されれば、政府は60日以内に大統領選挙を実施することになる。新大統領は新たに5年の任期をスタートさせる。
(英語記事 Live Reporting: Vote to impeach South Korea's president fails after boycott by ruling party MPs)
関連トピックス 韓国 政治 軍隊 アジア
(KBS WORLD)
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=88997
政治
与党代表と国務総理の共同国政運営案 「憲法違反」との批判相次ぐ
Write: 2024-12-09 13:34:54 / Update: 2024-12-09 18:01:17
YONHAP News
与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は8日、国民向け談話を発表し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を職務から排除し、今後の外交や国防を含む国政全般を韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理と協議しながら運営する考えを示しました。
この提案について、憲法学者らは「憲法違反」として強く批判しています。学者らは、「大統領が辞任もせず、弾劾手続きも経ていない状況で、大統領を職務から排除することは明確な憲法違反だ」と指摘しました。また、韓代表と韓国務総理が大統領の権限を引き継ぐことについても「法的根拠がなく、超憲法的な発想だ」としています。
さらに、憲法学者らは「大統領は国民の直接投票で選出されるが、韓代表は与党内部の選挙で選ばれた党の代表に過ぎず、大統領権限を代行する法的資格がない」と強調しました。特に、韓国務総理については「内乱幇助の共犯に近い立場であり、捜査を受けるべきだ」との声が上がっています。
また、大統領のみが行使できる固有の権限が憲法と法律で明記されているため、大統領の職務を合法的に停止させるには弾劾が必要だと指摘しています。
一方、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、韓代表と韓国務総理の国政共同運営案について、「内乱状態を維持するための新たな内乱行為だ」と非難しました。
李代表は8日午後、国会で記者会見を開き、「与党代表と国務総理が再び憲政秩序を破壊している」と批判し、「国民は尹錫悦を大統領に選んだのであり、与党を大統領に選んだわけではない」と述べました。
(投稿者より)
韓国が戒厳令騒動で揺れている間、朝鮮はロシアと包括的戦略的パートナーシップ条約の批准書を交わし、同条約が発効しました。朝鮮はロシアを後ろ盾として国際社会で安定した立場を得た訳です。
今回の騒動は、大統領の少数与党が親共派の多数派野党の妨害により予算も法案も人事も通らない中で、焦った大統領が短慮に走ったものと言われています。大統領は議会要人の逮捕を命じましたが、軍は特殊部隊に空弾を持たせて国会に送ったそうです。失敗は最初から見えていました。
国会は与野党共に大統領を退任させる方向で動いています。次の選挙まで与党代表と首相が暫定的に共同で大統領の権限を行使する方針のようですが、与党代表は大統領と同じく検事出身で、しかも検事時代も大統領の部下だったそうで、つまりは矢面に立つ人間が変わるだけです。軍に裏切られた筈の大統領は今でも統帥権を保持しています。
与党の後ろ盾は米国のDS勢力です。米国政府は事前の通知を受けていないと言っていますが、知らなかったとは考えられません。更に、今後はトランプ氏の47代目就任により韓国はDSの植民地から脱却し自立することを迫られます。韓国の右派に未来が有るとは思えません。
一方で、朝鮮は韓国との統一路線を放棄し、今後は「敵対国」として「完全に分離」すると言っています。この「分離」という言葉に私は注目しています。相手から攻められなければ自分からは前に出ないのがロシアのやり方ですから、朝鮮も真似をすると解しました。38度線が固定されて南への浸透工作も止まる可能性が生まれます。そうすると、韓国の親共派は後ろ盾を1つ失います。中国も今後どうなるか分からず、つまり、左派も立場を失う可能性が有ります。
韓国の混乱は続きそうですが、政治的な景観は実は日本も似たようなものに思えます。自分の国の問題を先に片付けるのが良いでしょう。