「台湾の新総統を嫌う大陸の共産党政権が、台湾周辺で軍事演習を行う」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局)

「台湾の新総統を嫌う大陸の共産党政権が、台湾周辺で軍事演習を行う」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局









BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/articles/crggmp59j63o





中国が台湾周辺で軍事演習を開始 「分離運動への懲罰」







Reuters





2024年5月23日






中国軍は23日、台湾周辺で軍事演習を開始した。台湾では3日前に、民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が新総統に就任したばかり





中国の人民解放軍の李熹報道官は、この軍事演習は台湾の「分離運動」に対する「強力な懲罰」だと述べた。



一方、台湾の国防部(国防省)は、中国の動きを「理不尽な挑発行為」だと非難。「(台湾の)主権を守るため」に陸海空軍を派遣したと述べた。



中国は台湾を、自国から分離した省で、いずれは再び中央政府支配下に置かれるべきだと考えている。一方、台湾は独立国家を自認している。



軍事演習は23日朝に始まり、台湾の周辺全域で行われている。これには台湾海峡から西側に加え、台湾政府が支配する金門島馬祖島、烏坵、東引島周辺も含まれている。



中国は今回初めて、2022年に行われた前回の大規模軍事演習の時のような経済封鎖ではなく、本格的な攻撃をシミュレートして軍事演習を行っている。



また、中国が自国の沿岸に近い離島を標的としたのも、今回が初めてだという。



中国軍は、この演習は部隊の「共同実戦能力」を測るためのもので、海軍と空軍合同の戦闘準備パトロール、重要目標への精密打撃、台湾島内外での統合作戦に重点を置いていると説明した。



また、「これは台湾の独立派による分離運動に対する強力な懲罰であり、外部勢力による介入と挑発に対する厳重な警告だ」と述べた。



軍事アナリストらはこの演習について、中国が予告なく開始し、あとから実施を明らかにしたとBBCに指摘した。2022年には警告後に演習を実施していた。



また、この演習に使われている「2024A」というナンバリングは、今年の一連の演習の最初のものである可能性を示唆しているとした。



台湾外交部(外務省)は23日の定例会見で、中国に対し「理性的になり」、「台湾海峡の平和と安定を損なうことをやめるよう」求めた。



また、「台湾は民主主義の理想を維持し、周辺国の圧力によって変わることはない」と主張。



「わが国は世界の民主的で自由なシステムの防波堤である」とし、理想を共有するパートナー国との関係を強化すると付け加えた。



一方、台湾の国防部は、「確固たる意志と自制心をもって臨む」とソーシャルメディアに投稿。「我々は紛争を望んでいないが、紛争から逃げるつもりはない。我々は国家の安全を守る自信がある」とした。



中国の軍事演習を受け、日本の林芳正官房長官は23日午前の記者会見で、「台湾海峡の平和と安定の重要性について、引き続き中国側に直接しっかりと伝えるとともに、米国をはじめとする同盟国などと緊密に連携し、各国共通の立場として明確に発信をしていく」と述べた。



また、「我が国として両岸関係の推移をしっかりと注視していくとともに、今後ともこうした外交努力を続けていく」とした。





頼新総統への批判と怒り



中国政府は、頼新総統が過去に台湾の独立に言及していたことから、同氏を「分離主義者」であり「トラブルメーカー」だとしている。



頼氏は20日の就任式で中国に「台湾を脅さない」よう求めていた。



中国はこの演説を非難。王毅外相は頼氏を「恥ずべき人物」と呼んだ。



今年1月の総統選で頼氏が勝利した際にも、中国は「台湾は中国の一部」だとする声明を発表している。また、頼氏からの会談要請を繰り返し拒否していると報じられている。



中国はこの1年、戦闘機や軍艦で台湾を包囲する予行演習を繰り返してきた。台湾は頼氏の就任式までの数週間、中国軍の侵入が増加したと報告している。



これまでのところ、こうした行動は侵攻には至らず、グレーゾーン内にとどまっている。



アナリストらはBBCに対し、グレーゾーン戦略は長い時間をかけて敵を弱体化させるのが狙いで、中国はまさにそれを台湾に仕掛けていると述べた。



台湾の国防部は、「近年、中国の航空機や軍艦による継続的な嫌がらせは、世界の平和と安定を著しく害している」と述べた。



「今回の軍事演習は、台湾海峡の平和と安定に貢献しないだけでなく、中国軍の攻撃的な軍国主義的メンタリティーを浮き彫りにしている」





(英語記事 China starts 'punishment' drills around Taiwan





関連トピックス 台湾 外交 中国 政治 軍隊 アジア











中国国際放送局

https://japanese.cri.cn/2024/05/23/ARTIcGLJ6QjHYpoO6rLjt9QP240523.shtml?spm=C96518.PGhWRBNubGRa.EjAks69YImNU.8





【CRI時評】頼清徳は必ず歴史の恥ずべき柱に打ち付けられる





2024-05-23 16:06:58 CRI











中国人民解放軍東部戦区は23日と24日、陸、海、空、ロケット軍およびその他の兵力を組織し、台湾周辺で「連合利剣-2024A”演習」を実施した。演習の重点は海空が連携して戦時に即応した哨戒活動を行い、連携して戦場での総合的な支配権を奪い、重要目標に正確な打撃を加えることで、艦艇と航空機が台湾周辺に接近して戦時哨戒を行い、列島線の内外が一体となって連動し、戦区部隊の合同作戦の実践能力を検証する点にある。これは中国が国の主権と領土保全を守るための正義の行動であり、「台湾独立」分裂勢力の「独立」を図ろうとする行為に対する効果的な戒めであるとともに、外部勢力による干渉、挑発に対する厳重な警告でもある。



台湾地区の指導者である頼清徳の「5.20」演説は「台湾独立の具体的な担い手」として、初めから終わりまで「台湾独立の告白」であり、一つの中国の原則に著しく挑戦し、台湾海峡の平和と安定を著しく破壊する、極めて「独立性」の強い、危険極まりないものであると言える。大陸が対抗措置を取るのは、いかなる角度から見ても正当、合法かつ必要なものである



頼清徳の演説は内容的にもデマと欺瞞(ぎまん)に満ちている。頼清徳は「平和と共栄」を掲げて、両岸の観光往来と学生の台湾での就学の再開を公言した。だが実際には、大陸の住民や学生が観光や留学で台湾を訪れることができないのは、完全に民進党当局の責任である。さらに重要なのは、台湾は中国の一部であり、「双方の対等な」協力などという言い方は存在しない。これは、頼清徳には両岸の交流往来を促進しようという誠意などまったくなく、「台湾独立の正当化」のために台湾と大陸を「二つの国家」と位置づけようと妄想していることを示している。



頼清徳がいかに言いつくろっても、「二国論」を宣伝している事実を覆い隠すことはできないし、どのような口実を付けようとも、台湾海峡の平和に大きな危険をもたらしていることを覆い隠すことはできない。いかに言葉遊びをしようとも、島内の主流の民意に背き、台湾海峡や地域の平和安定を破壊しているという本質を覆い隠すことはできない。台湾島内の民衆が物事をはっきり見極めてくれるよう願う。



台湾の世論は、頼清徳は「台湾独立の継承者」であり、両岸の衝突を引き起こす隠れた最大の危険であると指摘している。台湾淡江大学中国大陸研究所の趙春山名誉教授は、60年近く両岸関係を研究してきて、今ほど恐れ落ち着かないことはないと述べている。台湾のケーブルテレビ局TVBSの最新のアンケートは、民進党の次期政権が両岸関係をうまく処理することができるかとの問いに、53%の島民が、自信がないと答えたことを示している。



台湾は中国の核心的利益の中の核心だ。平和、発展、交流、協力を望むのは、両岸同胞の共通の心の声だ。「台湾独立」と台湾海峡の平和安定は水と火のように相容れず、両岸同胞の利益、幸福に逆行し、火遊びして自ら焼け死ぬのと変わらない。民進党政権と外部勢力に告げたい。「独立」をたくらむ挑発と危険な行動を直ちに停止するようにと。さもなければ、あらゆる挑発には、対抗措置が取られ、挑発が激しいほど、対抗措置も激しいものになる。誰であれ、国家主権と領土保全を守る両岸同胞の強い決意と確固たる意志、強大な力を見くびってはならない。(CRI論説員)











BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/articles/cyee9kjy1e1o





【解説】中国は台湾新総統が本当に嫌い……軍事演習から分かること







Reuters

中国の軍事演習を受けて離陸準備をする台湾空軍の戦闘機





2024年5月24日






ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBCニュース(台北





中国が23日、台湾周辺の空と海で軍事演習を開始した。直後、中国はある人物がこの演習の引き金を引いたとし、激しい非難を浴びせた。台湾の新総統、頼清徳氏だ。





中国の国営放送・中国中央電視台CCTV)や国営紙・環球時報の社説、外務省報道官などは、声をそろえて頼氏を厳しく批判している。



環球時報はこれまでも、頼氏を「傲慢(ごうまん)」で「無謀」だとしてきた。CCTVは頼氏について「歴史の恥の柱に間違いなく、くぎ打ちされる」とし、「二国論を売り込んでいる」と非難。頼氏と、頼氏が率いる民主進歩党民進党)が「台湾独立という破滅的な道を突き進むなら、最終的には衝突・炎上するだろう」と警告している。



中国は、頼氏が20日の就任演説で中国を「中国」という言葉で表現することで、台湾は中国ではなく、別の国だとする本心をのぞかせたとしている。中国から見れば、頼氏は「分離主義」のイデオロギーをもっていることを認めたというわけだ。



はたから見ている人には、ばかばかしく思えるかもしれない。しかし、中国と台湾は何十年もの間、中国の定義や、台湾は中国の一部なのかをめぐって、あいまいな物言いをしてきた。台湾の蔡英文前総統でさえ、中国に言及するときは気を配り、「海峡の向こう側」、「北京の当局」などの遠回しな表現をしてきた。



台湾の学者の中には、こうした言葉遣いは重要であり、頼氏は危険な一線を越えたと言う人もいる。一方、中国政府が頼氏を嫌悪しているのは以前から明らかで、頼氏の演説は、中国に今回の威嚇行為を正当化する言葉を与えたに過ぎないと言う人もいる。



大方が一致しているのは、中国の習近平国家主席は中国による台湾支配を望み、台湾の人たちはそれを拒絶しているという基本的な事実は変わらないということだ。











台湾では、今回の事態に特別驚いている人は皆無だ。台湾の人たちにとって、中国共産党(CCP)はむしろ予測可能だ。今年1月の台湾総統選挙で頼氏の民進党が3連勝を果たしたとき、多くの人は中国がいつどのような反応を示すだろうかと考えた。



容易に予想できたのは、中国が反応するのは頼氏が総統に就任し、最初の演説をした後だろうということだった。そして実際、頼氏の就任式から3日たって、中国は反応を見せたのだった。



その反応が自然発生的なものではないことは、準備から読み取れる。これほどの規模の演習の人員を数日のうちに動員できる軍隊は存在せず、中国人民解放軍(PLA)であっても無理だ。演習の内容を正確に把握するのは難しいが、中国の発表によれば、演習地域はおそらく過去最大だ。台湾海峡バシー海峡(台湾とフィリピンを隔てる海峡)の大部分と、台湾東岸沿いの太平洋の広い海域を含んでいる。



今回初めて、中国の海岸付近に点在する台湾の離島が演習地域に入れられたことも注目に値する。PLAはそれらの島が中国軍に「包囲」されているとしている。中国の軍事評論家張弛氏は、今回の訓練ではPLAの「台湾の主要インフラを掌握する能力」が示されたとCCTVで話した。







Taiwan Coast Guard

台湾北部の島、彭佳嶼の近海を航行する中国軍艦(23日)






台湾の軍事専門家の揭仲氏は今回の演習を、実際に上陸はしない、台湾への本格攻撃のシミュレーションのようだと説明。演習区域に台湾沖合の島すべてが含まれていることからは、PLAに反撃可能な施設を破壊するという中国の計画が分かるとしている。また、2日間の日程で実施されている今回の演習は、台湾にとって今年最後の中国による軍事演習ではないだろうとし、中国が「連合利剣 2024-A」という呼び名をつけていることからも、そのことがうかがえるとしている。



台北の街角では人々はそろって、今回の演習に肩をすくめている。多くの人は、心配はしていないと言うだろう。だがそれは真実とはいえない。中国の隣で暮らすということは、地震地帯で生活するようなものだ。脅威は常にあり、軍事演習は規模と危険性が増しており、人々には備えが求められる。一方で、日々の生活も送っていかなくてはならない。



台湾の与党・民進党と野党の関係は険悪で、先週も議会で乱闘騒ぎがあった。しかし、中国の軍事演習がすべての政党を団結させた。親中派とされる野党・国民党も中国に自制を求めた。今は中国に友好的だとみられたくないのだ。



ここには奇妙な皮肉が見て取れる。中国の共産党指導層が台湾とその人々をいかに理解していないかを示すものだ。



中国の指導者らはこの日、今回の軍事演習は「独立勢力を抑え、打ち負かす」ことだけに集中していると宣言した。また、頼氏について、これまで中国政府に対抗してきた台湾指導者の中で最悪だとした。



CCTVは頼氏を、「台湾独立の推進において、李登輝陳水扁蔡英文をしのいでいる」と論評した。台湾で選挙によって選ばれたこれら3人の元総統を、中国は「分離主義者」の代表格としている。頼氏を含め、このように評されている人たちのうち、3人は民進党出身だ。



中国が軍事的な威嚇を強めるたび、民進党の支持は高まり、「中国寄り」の国民党の支持は下がる傾向にある。最近の例でいえば、1月の総統選までの数カ月間に中国軍による侵入行為が続いたことが、頼氏をトップの座に就かせることになった。



今回の軍事演習の中国の狙いが、台湾の人々を脅し、中国政府に楯突く政党や指導者から離れさせることだとすれば、今のところ逆効果のようだ。





(英語記事 China's drills show it really doesn't like Taiwan's new president





関連トピックス 台湾 中国 政治 軍隊 アジア









(投稿者より)



中国側は台湾の国会議員・地方議員と接触を強化することにより、台湾の中から統一の世論を作る考えのようです。



立法院では多数野党・国民党を中心とする勢力が、政府・企業に対する立法院の権限を強化する法案を提出し、少数与党・民進党や市民の反対を押しのけてこれを成立させています。