「解散請求の申請、旧統一教会は日本を去るか?」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/67099042
旧統一教会の解散命令を請求 文科省が東京地裁に
2023年10月13日
ニコラス・ヨン、ジーン・マケンジー、BBCニュース
Getty Images
旧統一教会は日本で約10万人の信者がいるとされる。創設者の文鮮明氏の2012年の葬儀には信者が多数参列した
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を、文部科学省が13日、東京地裁に請求した。旧統一教会は昨年7月の安倍晋三元首相の暗殺事件のあと、高額献金などが改めて問題視され、同省の調査を受けていた。
旧統一教会をめぐっては、安倍氏に対する殺人罪などで起訴された山上徹也被告が、教団によって母親が破産したと主張。安倍氏がそれを助長したとした。
旧統一教会は、安倍氏の暗殺で不当に非難されているとしている。
岸田文雄首相の指示で文科省が実施した調査は約1年にわたった。
解散が命じられれば、旧統一教会は税制上の優遇がなくなる。ただ、宗教団体としての活動は続けられる。
山上被告は、30年にわたって旧統一教会の信者だった母親が、献金を強いられたと主張している。同様の被害の訴えは多数あり、総額で数十億円規模の返金を求める訴訟が起きている。
宗教法人法では、宗教団体に「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合、裁判所が宗教団体に解散を命じることができる。
文科省は先に、旧統一教会が活動に関する質問に答えなかったとして、東京地裁に過料を科すよう求めた。
日本の政治家と関係深める
安倍氏と旧統一教会の関係は、生前から特にソーシャルメディアで多くの憶測を呼んでいた。
2021年の教団関連のイベントには、ビデオメッセージの形で登場した。祖父の岸信介元首相は、反共産主義の立場から教団と近かったとされる。
教団は1954年、韓国で設立された。「合同結婚式」で知られる。創設者の故・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の名前から、信者たちは「ムーニー」と呼ばれる。
日本には1960年代に進出。政治家との関係を深めることで信者を増やし、評判を高めたと、研究者らは分析している。
長年にわたって論争の的となり、批判的な立場の人からは「カルト的」と評されてきた。
献金を強要されたと主張する信者たちからは、複数の訴訟を起こされている。原告側の弁護団によると、被害額は過去5年間で少なくとも54億円に上るという。
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与党・自民党の内部調査では、党所属の国会議員全379人のうち179人が旧統一教会と接点があったことが判明した。
岸田氏は自民党議員に対し、旧統一教会との関係を断つよう指示。同時に、自らは個人的なつながりは一切ないと強調した。
昨年10月には、旧統一教会に対する調査を文科省に指示した。その際、教団が信者から金を搾取してきたとの非難の声を真摯(しんし)に受け止めると述べた。
解散命令は出るのか
旧統一教会に関する著書があり、カルト問題に詳しい櫻井義秀・北海道大学教授は、解散命令が出れば、「問題性が高い」教団の力はかなり落ちるだろうとみている。国民が警戒感を高め、政治家も旧統一教会との関係がスキャンダルになるからだという。
しかし、新聞社や旅行代理店、小売店など、旧統一教会に何十とある関連の企業や政治団体の活動は、解散命令ではまったく止められないと櫻井教授は指摘。そもそも、裁判所が解散命令を出さないことも考えうると述べる。
「自らの意思で信者になり、被害に遭ったとは思わずに教団の活動を続けている人もまだ数万人規模でいる。被害者と信者が同時に存在する状況で、裁判所が旧統一教会を完全に『クロ』と判断するのは簡単ではないだろう」
追加取材:田村栄治(東京)
(英語記事 Japan asks to dissolve church probed after Abe killing)
関連トピックス 宗教 殺人 韓国 安倍晋三 岸田文雄 政治 法律 日本 アジア
(Sputnik日本)
https://sputniknews.jp/20231018/17465973.html
【視点】旧統一教会は日本を去るか?
2023年10月18日, 22:00
© AFP 2023 / Kazuhiro Nogi
リュドミラ サーキャン
文部科学省は10月13日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が宗教団体の目的を逸脱した不法行為を行い、宗教法人法第81条の公共の福祉を害したとして、約1年の調査を経て東京地裁に解散命令を請求した。これを受け、教会側は記者会見を開き、今回の提訴は信教の自由のみならず人権をも侵害するものであると指摘。解散請求に反対して裁判で法的な主張を行う方針を示している。
献金と政治家とのつながり
旧統一教会は、注目を集めた安倍晋三元首相の暗殺事件がなければ、ひっそりと活動を続けていたかもしれない。 現場で逮捕された犯人は、犯行の動機として、一家を破滅に追い込んだ安倍首相と当時の統一教会との関係を挙げた。 安倍首相と旧統一教会との関係は証明されていないが、この殺人事件をきっかけに、政治家と旧統一教会とのつながりが調査されることになった。約400人の自民党議員のうち、3分の1以上が旧統一教会と何らかの関係があることが明らかになった。しかし、当局が旧統一教会に対して行っている主な告発は、教会が長年にわたって人々に多額の献金を強要し、カルト商品を高値で押し付けてきたというものである。文科省によれば、少なくとも合計1550人が教会の行為によって被害を受け、約204億円相当の損害を被っているという。
細田議長、会見で辞任表明 セクハラ疑惑、旧統一教会との関係にも言及
10月13日, 16:30
なぜ日本は韓国「統一教会」の豊かな土壌となったのか
モスクワ国立国際関係大学(MGIMO)のドミトリー・ストレリツォフ東洋学部長によれば、旧統一教会が日本で勢力を拡大したのは、日本人が特別に信仰深いからではない。経済成長に伴い、大都市の住民のかなりの部分が地方からの移住者となった。彼らは大都市で社会的に適応することを必要としており、その適応には、彼らが慣れ親しんできた農村社会に代わるある種の共同体への帰属が必要だった。そして、いわゆる「新興宗教」は、彼らに精神的な支えや帰属意識を与えた。旧統一教会が、地方からの大量移住の時代である1960年代から1970年代にかけて日本で発展し始めたのは偶然ではない。日本で旧統一教会が支持されたもう一つの要因は、その起源である。 「統一教会」は韓国の宗派であり、戦後の日本人世代には、韓国が約35年間という長い間日本の植民地であったことから、韓国に対する罪悪感があった。 そして、その世代の日本人の多くは、韓国人に対して何らかの形で贖罪する必要性を感じていた。こうした意味で、文鮮明の教えは豊かな土壌に浸透していった。
日本の政治家と旧統一教会を結びつけるものは何か?
ストレリツォフ氏は、「日本における旧統一教会の活動の成功は、政治権力の後援によって相当進められてきた」と続ける。教会の最初の主要な後援者は岸信介元首相であり、反共産主義的な見解と社会における反中感情に基づいて教会を後援した。現在、政治家らは公にすることはないが、旧統一教会が選挙で自民党に多大な支援を行ったことは周知の事実である。この教会の信者は、選挙においてしばしば「後援会」のメンバーとして活動し、票数の少ない選挙区の有権者を動員するのに役立った。 すでに十分な証拠があるように、有権者の選挙動員活動を完全無料で組織したのは旧統一教会だった。しかし問題は、政治家たちが旧統一教会とのつながりを隠し、この団体から組織的支援を受けているという事実を公表しないことを好んだことである。こうしたつながりを意図的に隠すことは、公共の利益に反する。
安倍晋三元首相襲撃事件
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2022年7月16日, 08:09
旧統一教会は解散するのか?
旧統一教会の解散は、法的に完全な組織の清算を意味するものではない。宗教法人としてではなく、公的な組織として活動を続けることができる。 例えば、より大きな公共の危険をもたらしたオウム真理教は解散させられたが、残されたメンバーは新たな組織、「アレフ」や「ひかりの輪」を結成した。ストレリツォフ氏が考えているように、日本が旧統一教会の活動の社会的基盤を保持している限り、教会が解散する可能性は低い。また、政治家と教会の結びつきは、信用を失墜させることはあっても、なくなることはないだろう。政治家がより慎重になるだけである。
朝日新聞が11月14日と15日に実施した世論調査によると、自民党の政治家が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を断ち切れると思うかと尋ねたところ、68%が「断ち切れない」と考え、「断ち切れる」と答えたのは24%にとどまった。
日本の政治家と旧統一教会のつながり 宗教 国内 社会 政治 オピニオン
(投稿者より)
自民党が存在する限り解散請求は無いと思っていました。掃除が進んでいるのかも知れません。ただ、統一教会に頼らずに選挙を戦えるのでしょうか?経過を見たいです。