「米国債の格付け、最上級から1段階引き下げ」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局)

米国債の格付け、最上級から1段階引き下げ」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局









BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/66368972





米国債の格付け、最上級から1段階引き下げ 財政悪化を格付け会社が懸念





2023年8月2日







EPA

ジャネット・イエレン米財務長官は、フィッチ・レーティングスによる格下げは「恣意(しい)的」だと述べた






格付け会社フィッチ・レーティングスは1日、アメリカ国債の格付けを、財政悪化や債務負担への懸念を理由に、最も信頼度が高い最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。





3大格付会社の一つであるフィッチ・レーティングスは、過去20年間にアメリカのガバナンスの「着実な低下」がみられたと指摘している。



同社は声明で、「アメリカの(国債格付けの)格下げは、今後3年間に予想される財政の悪化や、高水準で拡大しつつある一般政府債務負担、(他国との比較における)ガバナンスの低下を反映している」と説明した。



国債格付けは投資家たちにとって、政府に資金を貸すことにどれくらいのリスクがあるのかを判断する基準となっている。経済規模が大きく、経済が比較的安定しているアメリカは通常、安全性の高い投資先と考えられている。



しかし、同国では今年もまた、政府借入金をめぐって政治的な際どい攻防が繰り広げられた。



米政府は6月、政府の債務上限の適用を一時的に停止。国債など債務31兆4000億ドルに対する支払い資金が枯渇(こかつ)して債務不履行に陥る状況を回避した。



フィッチ・レーティングスは、「2025年1月まで債務上限を停止するという6月の超党派の合意にもかかわらず、財政や債務問題を含め、過去20年間でガバナンスの水準が着実に低下しているというのが、当社の見解だ」としている。





格下げは「恣意的」



ジャネット・イエレン米財務長官は、格下げは「恣意(しい)的」で、2018年から2020年までの「古いデータ」に基づくものだと主張した。



そして、フィッチ・レーティングスの決定には「強く」反対すると述べた。



財務省の証券は依然として、世界有数の安全かつ流動性のある資産であり(中略)米経済は基本的に堅調だ」





エコノミストの反応



今回の格下げのタイミングと根拠は、多くのエコノミストを驚かせた。



ローレンス・サマーズ元米財務長官は、フィッチ・レーティングスの決定は「奇妙かつ的外れ」だと指摘。米経済は「予想より堅調に見える」との見解を示した



金融サービス会社アリアンツで主席経済顧問を務めるモハメド・エル・エリアン氏は、フィッチ・レーティングスの発表は「奇妙な動き」だと述べた。



「この発表は、米経済と市場に永続的な破壊的影響を与えるというよりも、一蹴される可能性の方が高い」と、同氏は投稿した



フィッチ・レーティングスは、アメリカは今年後半に穏やかなリセッション(景気後退)に陥るとの見通しも示した。



しかし、ノーベル経済学賞を受賞したエコノミストポール・クルーグマン氏は「この1年で最大の経済ニュースは、アメリカがリセッションに陥ることなくインフレを抑えることに成功したことだ」との意見を表明した



格下げのタイミングを疑問視する声は、バラク・オバマ政権で経済諮問委員会委員長を務めたジェイソン・ファーマン氏らからも上がっている。ファーマン氏は、「まったくばかげている」と述べた。



格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、アメリカが債務上限をめぐり同様の問題を抱えていた2011年に、すでに米国債格付けを最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げている。米国債が最上級の格付けを失うのは史上初のことだった。





(英語記事 Fitch strips US of top credit rating after debt row





関連トピックス アメリカ 経済











中国国際放送局

https://japanese.cri.cn/2023/08/04/ARTI1muJ2YNbq3pY76Zvlkb0230804.shtml





【CRI時評】国債の信用格下げは米国政府への三重の警告だ





2023-08-04 11:09:24 CRI











国際的格付け会社のフィッチは1日、米国長期債の格付けをAAAからAA+に引き下げた。発表の直後に米国の民主、共和の両党は互いに批判しあった。民主党は、「共和党が人為的に債務不履行の危機を作り出した結果だ」と主張し、共和党はバイデン政権の経済処理の不手際を原因に挙げた。



フィッチは、米国では過去20年間、債務上限を巡る政治的な行き詰まりが繰り返されて解決がぎりぎりまで持ち越されることが多く、米国の財政管理能力に対する信頼が弱まっていると発表した。これは、政治の分極化により統治能力が欠如する米国政府への警告だ。フィッチは、米国政府は2024年11月の大統領選挙まで、実質的な財政健全化策を一切打ち出せないと予測した。



フィッチの声明は、米国では今後3年間、財政状況が悪化し続け、政府の債務が増加し続けると評した。米国の「借金漬け」が警戒され、債務拡大型により経済の先行きが危ぶまれるという、米国政府への二つ目の警告とみなせる。



財務省ウェブサイトの情報によると、7月31日時点の連邦政府の債務の規模は32兆6000億ドルに上った。米国人1人当たりが10万ドル近くの借金を抱えているということだ。フィッチは、米政府の債務は2025年までにGDPの118.4%にまで上昇すると予測した。



3番目の警告は、「脱ドル化」が加速する可能性があるという、米国の信用力に関するものだ。フィッチによる米国の信用格付け引き下げをきっかけに、多くの先進国市場では明らかな変動が見られるようになった。多くの国は、フィッチの評価が世界に与えるマイナス効果を織り込み始めた。すでに中南米や中東、アフリカなど世界の重要なエネルギー生産地域や、米国の同盟国が密集する欧州やアジア太平洋に至るまで、ますます多くの国が「脱ドル化」を始めるか計画している。



ワシントンの政治家は、問題を相手に「なすりつける」内紛に時間を費やすよりも、米国経済の問題をどう解決するかをよく考え、自らの面目を真に挽回すべきだ。(CRI論説員)









(投稿者より)



ドルが今後も基軸通貨で在り続けるかどうかについて、BRICSの国々を中心に貿易の決済がドルを離れ現地通貨の使用が進み、更に今後はBRICS共通通貨の創設が予定されていることから、国際貿易におけるドルの流通量は今後も減少を続け、最終的には基軸通貨で無くなるという意見があります。



一方で、ドルは基軸通貨で在り続けるという意見もあります。債券市場の決済は今後もドルで行われるだろうから、というのがその理由のようです。



現在、世界の通貨の流通では金融市場の決済が9割を超えていると見られていますが、今後に世界で金本位制導入の動きが進んでいくことがあれば通貨の発行量に上限が設定されるため、そうなると金融市場の規模は縮小していくことが予想されます。



また、米国債がデフォルトするかどうかについて、自国建て通貨による債券は中央銀行が通貨を刷って返せば良いのでデフォルトは有り得ない、というのが通説ですが、それでは中央銀行が通貨を刷らなければどうなるのか、という疑問を持ちながら経過を眺めているところです。