「ウクライナのためのTNT売却は参戦を意味し、ウクライナ向けの自衛隊車両供与は重大な結果を招く」(Sputnik日本)

ウクライナのためのTNT売却は参戦を意味し、ウクライナ向けの自衛隊車両供与は重大な結果を招く」(Sputnik日本)









https://sputniknews.jp/20230608/tnt-16227116.html





【視点】日本によるウクライナへのTNT調達は参戦である





2023年6月8日, 15:20 (更新: 2023年6月8日, 17:10)







© AP Photo / Matt Rourke





ドミトリー ヴェルホトゥロフ





米国は、155ミリ砲弾の製造に必要なトロニトロトルエンTNT)を日本から調達する計画だ。この情報は、米国のロイド・オースティン国防長官が東京を訪問した際に明らかになったものである。日本の防衛省経済産業省、そして米国務省はこの情報を明確に肯定はしていないが、おそらくこの件に関しては活発な意見交換が行われているものと思われる。というのも、強力な軍を持つ米国は弾薬とその装備のための爆薬不足に直面しているからである。





必要なのは特別なTNT



そもそもなぜ、日本でこの爆薬を調達するという問題が浮上したのだろうか。2022年、世界におけるこの爆薬の製造量は1650万トンとなっている。しかしこの爆薬は、軍事分野だけでなく、工業など幅広く、使用されているものである。鉄鉱石、石炭など鉱物資源の採掘は爆薬の使用なくして行うことはできない。爆発によって、岩石を破壊、粉砕するのである。爆発によって、岩石を破壊、粉砕するのである。また建物を短時間で解体する際にも爆薬が使用されている。これほどの生産量があれば、TNTの調達に問題はないように思われる。



しかし問題は、民間産業と軍需産業とでは使われるTNTの質が異なるということである。TNTの製造に際しては硫酸と硝酸が残るが、砲弾に使用するには、精製されたTNTが必要とされる。第一に、精製されていないTNTは時間の経過とともに部分的に液体と化す。砲弾に使用するのにこれは大変危険である。なぜなら砲身の中で弾薬の爆発を引き起こす可能性があるからだ。第二に、精製TNTは精製されていないものよりも遥かに強い爆発力を持っている。これは砲弾を製造するにあたり重要なことである。



つまり、調達されることになるのは、砲弾の製造に適した精製TNTである。米国でもTNTは製造されているが、精製のための工場が経費削減などを理由に閉鎖されているものと思われる。民間の消費者が購入するのは未精製のTNTであり、米国内の砲弾の製造は最低レベルで維持されている状態である。ウクライナでの戦闘が開始されるまで、米国では1カ月、1万4400の砲弾が製造されていた。M777榴弾砲で使用される155ミリ榴弾M795には10.8キロのTNTが充填されている。1カ月に必要なTNTは155.5トン、年間にすると1866トンである。軍需産業との関係を持たない爆薬の製造者はTNTの精製は行っていない。







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砲弾があまりにも少ない場合



米国は30年にわたって戦争を行ってきたが、その中で多用してきたのは空爆とミサイルである。榴弾砲はそれほど重要な役割を果たしておらず、積極的に使用されたのはアフガニスタンだけである。しかし2022年、米国はウクライナの支援を開始した。ウクライナ軍は非常に大々的に榴弾砲を使用していることから米国は155ミリ榴弾砲M777と砲弾をウクライナに供与した。



しかし、それに伴い、この砲弾の在庫と製造量がきわめて少ないことが判明した。2023年4月の統計によれば、米国はウクライナにM777榴弾砲160門と150万発の通常弾と6500発の誘導弾を供与した。しかしウクライナ軍は1日に7000〜9000発の砲弾を消費しており、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は欧米に対し、さらなる砲弾の支援を要請してきた。



米軍は1カ月あたりの砲弾の製造量を1万4400発から2万4000発に増加するため、14億5000万ドルを投じた。しかし、それでも不十分であることが判明した。米国で1カ月に製造される砲弾をウクライナ軍は3日で消費するからである。計画では、2028年までに1カ月の製造量を8万5000発まで増加することにしているが、これでTNTの製造には限度がくる。2023年、米軍はTNTやその他の爆薬の製造工程を刷新するため25億ドルを使用する計画である。



新たな工場が製造を開始するまで、米国はウクライナへの供給を在庫から行っている。米国と同盟国にある弾薬庫から砲弾を送るのである。たとえば、イスラエルには、有事に備えて、米国の弾薬庫がある。イスラエルはこれを非常事態に使用する権利を有している。2023年1月、米国はこの弾薬庫から30万発の砲弾をウクライナのために使用した。一方、韓国は2023年4月、米国の不足分を補充するため155ミリ砲弾を50万発、供与することに同意した。総じて、米国とその同盟国の戦略的な弾薬在庫が底をつきはじめている。



M777榴弾砲の大部分は既に無人機の攻撃により撃破されている。これらの兵器は優先的な標的となっていたのである。また米国の弾薬の大部分が、ロシアの空爆により弾薬庫で殲滅されている。







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TNTの供給は参戦である



ただ忘れてはいけないことは、武器や弾薬の製造を目的とした物資や爆薬の供給は、一種の参戦の形態だということである。たとえば、第二次世界大戦中、米国はレンドリース法によって、ソ連に大量の武器、兵器、弾薬、設備を供与した。TNT12万3100トン、火薬12万7000トン、雷管90万3000、その他弾薬の製造に必要な化学物質84万2000トンを含む合わせて34万5700トンの爆薬が供給された。



つまり、日本が米国に、弾薬の製造に必要な精製TNTを売却することを決断するということは、実質、日本がウクライナ戦争に参加することを意味するのだ。そうなれば、自衛を政策に掲げる日本の立場は、控えめに言って、疑問視されることになるだろう。





戦車「レオパルト」他、ウクライナへの武器供与状況 ウクライナ 国内 武器・兵器 オピニオン







―参考―













https://sputniknews.jp/20230609/16238531.html





ロシア外務省、日本大使を召喚 ウクライナへの自衛隊車両の供与受け





2023年6月9日, 19:57







© Sputnik / Vitalii Belousov





ロシア外務省は9日、日本によるウクライナへの自衛隊車両の供与決定を受け、上月豊久・駐ロシア日本大使を召喚した。露外務省は、こうした措置は露日関係に深刻な影響を与えるものだと警告した。





露外務省の発表によると、ロシア外務省のルデンコ外務次官は9日、上月大使を召喚し、日本政府がウクライナ自衛隊の装甲車両や全地形対応車両などの軍事装備の供与を決定したことに抗議した。ルデンコ次官は「日本政府のこの決定は露日関係を危険な袋小路へ深く追いやる。このような行動は重大な結果なしには済まされない」と警告した。







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また、露外務省は声明で次のように表明している。





「こうした措置は戦闘のエスカレートにつながり、ウクライナ政権による更なる人的犠牲の増大を招くと日本側に伝えられた。また、岸田文雄政権は供与された軍事装備を使ったウクライナのテロリストらによる、国境を接するロシアの各州を含む地域の民間人の死に対する責任を共有しなくてはならない」




日本の岸田首相は5月のG7広島サミットで、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談。そのなかで、100台規模のトラックなどの自衛隊車両を供与すると伝達していた。





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    ―参考―













    (投稿者より)



    実際、西側諸国は今回の紛争に大量の武器を送ったために本国の防衛能力に大きな欠陥が生じています。DS側は金儲けのために武器を消費する舞台として今回の紛争を企てました。一方、反DS側はこれを逆手に取ってDS側に武器を使い切らせてその力を削ごうと考えたようです。



    一方、自動車については、現地の復興が実際に始まれば早い段階で大量の車両が必要になるでしょうから、それを見越した動きである可能性は有ります。ただ、同じ復興でもどちらの側が主導権を取るかで意味合いは全く変わります。



    自衛隊車両をウクライナに送る決定にロシアは相当に怒っているようです。これがサハリンなどの開発事業に悪影響を及ぼさないことを願うばかりです。