「2023年3月、ドイツ連邦首相の日本訪問―中国一辺倒から脱却か?」(RFI・DW English・Sputnik日本)

「2023年3月、ドイツ連邦首相の日本訪問―中国一辺倒から脱却か?」(RFI・DW English・Sputnik日本)









(Germany's Olaf Scholz visits Japan to ramp up security ties: DW English)

https://www.dw.com/en/germanys-olaf-scholz-visits-japan-to-ramp-up-security-ties/a-65010778





ドイツのオラフ・ショルツ氏が安全保障関係の強化のために日本を訪問する





ジュリアン・ライオール(東京)





2023年3月17日






ショルツ連邦首相と岸田文雄・日本首相は、インド太平洋地域における問題が増大する中で2国間の安全保障関係を深める方法について取り上げる。ウクライナでの戦争も重要な議題だ。





金曜日、オラフ・ショルツ独連邦首相が日本の首相や他の高官との3日間の会談のために東京に到着する時、彼は少なくとも6 人の閣僚を同行させるだろう。



これは、両首脳が昨年4月に会談した際に開始することに合意した政府間協議の1回目の会合となるものを双方が重視していることを強調している。



議題には、2国間の経済・貿易関係、サプライチェーンの耐久性、環境問題の共有、5月に日本が広島で開催するG7サミットの準備が含まれると予想されている。



しかし、対話において最も重要な議題は安全保障の問題だ。





中国に対するドイツの態度



早稲田大学重村智計教授(政治学・国際関係学)は、「岸田氏はドイツの中国政策とウクライナ政策を直接的に理解したいと考えている」とDWに語った。



彼は、中国による南シナ海各地のサンゴ礁の占領と軍事化、香港の反対派に対する大規模な弾圧、台湾に対する継続的な強迫、日本・韓国・フィリピン・インドを含む多くの近隣諸国に対して領土をめぐり攻撃性を増す主張について指摘しながら、「日本は、ドイツや他の国々がインド太平洋地域で見られる問題を余所に、依然として中国と協力しようとしていることを深く憂慮している」と述べた。



「欧州諸国は中国に批判的だが、経済への影響を心配して北京を怒らせるような措置を取って来なかった」と、重村氏は述べた。



「特に日本では、中国との経済関係をめぐるドイツへの批判が存在し、日本はそれらの結び付きが弱まるのを強く望んでいる。」



「基本的なレベルでは、欧州諸国は人権・民主主義・人々が自由を求める権利に取り組むと言いつつも、ドイツのような国が中国と協力するためにこれらの公約を『忘れる』のはなぜか、日本には分からない」と、重村氏は強調した。



産経新聞は2022年11月の手厳しい論説で、同月のショルツ氏の中国訪問について、「ドイツは自らの経済的利益のためには西側の結束を犠牲にすることを厭わないのではないか、という懸念を引き起こした」と主張した。



同紙は、ショルツ氏が十数人のドイツ経済界の指導者を同行させたことを指摘し、「残念ながら、ドイツは絶望的なほどに中国の巨大な経済力に夢中になっていると結論付けられるかも知れない」と付け加えた.







ショルツ氏と岸田氏の両首相の対話では、地域的および世界的な安全保障問題が最も重要な議題になるだろう

画像:REUTERS






合同軍事演習



それでも岸田氏は、ドイツが地域の日本と米国の軍隊との共同演習のために、数年前から軍部隊を日本に派遣していることに感謝の意を述べるだろう。2021年5月にはドイツ海軍のフリゲートバイエルンが日本を訪問し、昨年はドイツの戦闘機が日本で演習に参加した。



「同じように岸田氏がショルツ氏に対し、軍事部隊が引き続き日本・米国の軍隊と日本で訓練することを求めると、私は予想している。日本はここでヨーロッパ諸国の旗がはためくのを見るのを非常に喜ぶからだ」と、テンプル大学東京キャンパス現代アジア研究所の共同ディレクター、ロバート・デュジャリック氏は述べた。



「大規模な軍隊を太平洋に派遣できる欧州の国は無いので、これらの訪問と共同演習は概して象徴的なものかも知れないが、これは日本にはパートナーが現実にいるという重要なメッセージだ」と、彼は述べた。



「そのメッセージとは、日本が『自由で開かれたインド太平洋』の理念を守るために、『同志国』と呼べる国々の連合を構築しつつあるということだ」と、デュジャリック氏は付け加えた。



会談ではウクライナも重要な話題になるだろう。重村氏は、岸田氏がキエフに行きウォロディミル・ゼレンスキー宇大統領と会談する計画について、ドイツの首相に助言と支援を求めるだろうと予想している。



報道によれば、岸田氏は戦争で荒廃した国への日本の支持を示すためにウクライナを強く訪問したがっている。それは特に、彼が現在まで旅行していない唯一のG7指導者であり、G7サミットが急速に近づきつつあるからだ。



しかし日本の外務省は、このような訪問に伴う安全保障上の問題だけでなく、ロシアとの更なる敵対は何とか避けたいという理由から、この旅行について強く警戒している。





ドイツから学ぶ



日本はまた、戦争中の他の国に武器を輸出することへの長年の消極的態度をどのように克服できたかをドイツから学びたいと考えている。東京はウクライナに武器システムを輸出できるようにするために、憲法の細則を克服するのに苦労しているためだ。



今日まで、日本の支援は、医療機器・防弾チョッキ・対地雷技術などの非致死的な援助の形や、財政支援、紛争の終結後に直ちにウクライナを再建するための更なる支援の約束という形で提供されてきた。



ショルツ氏は岸田氏にウクライナへの武器輸出を勧める可能性が高く、これは日本のウクライナ支持を強調するためであり、武器と弾薬の提供を続けるようにとの欧州諸国への圧力を緩和するためでもあると、重村氏は述べた。





経済面では、2国間貿易についてのより有益な議論が期待されている。



日独間の貿易は巨大であり、少なくとも2020年の始めにCOVIDの世界的な大流行が発生するまでは成長していた。



ドイツは日本への欧州最大の輸出国であり、世界的な健康危機の前の年間貿易額は386 億ユーロ(423 億ドル)であり、ドイツの日本向け直接投資は年間156億ユーロに達していた。



少なくとも12,480社のドイツ企業が日本に輸出しており、450社が日本に子会社まで設立している。



更に、ドイツ企業はこのアジアの国において約265,000人の雇用を担っている。



東京のドイツ商工会議所による最近の報告によると、経済・政治・社会の安定性を考えると、現在では日本をビジネスを行うのに有利な場所と見なすドイツ企業が増えている。



パンデミックの困難な時期以降のドイツと日本の企業間の協力も増加していると、同報告は指摘した。





編集:スリニバス・マズムダル





関連テーマ ドイツ ロベルト・ハーベック ライン川 アジア 日本 オラフ・ショルツ 福島 ロシアによるウクライナ戦争











(Visite du chancelier allemand au Japon: vers un renforcement des liens économiques et militaires: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230318-visite-du-chancellier-allemand-au-japon-vers-un-renforcement-des-liens-%C3%A9conomiques-et-militaires





ドイツ連邦首相の日本訪問:経済・軍事関係の強化に向けて





発表 2023年3月18日 19:12







共同記者会見でのオラフ・ショルツ独連邦首相と岸田文雄・日本首相。2023年3月18日、東京にて。AP - Nicolas Datiche





RFI






日本とドイツは、経済安全保障と防衛の分野で関係を強化していく。3月18日土曜日、岸田文雄・日本首相とオラフ・ショルツ独連邦首相は、東京での記者会見でこのように述べた。





ドイツは長年アジアでは中国にしか目を向けず、日本を避けていた。今日、ベルリンはこのバランスを取るよう考え直そうとしていると、RFIベルリン特約記者のパスカル・チボーは報告している。



オラフ・ショルツ氏の日本訪問はこの1年足らずで2度目だ。ベルリンは中国以遠のアジア太平洋との交流の深化・拡大を考えているが、彼は今回6人の閣僚とドイツ経済界の代表団を同行させて来日した。



また、日本は5月に西日本の広島でG7サミットを開催する予定だ。岸田文雄氏とオラフ・ショルツ氏は、Covid-19の世界的な大流行やその後のロシアによるウクライナ侵攻によって混乱した両国のサプライチェーンを更に多様化する必要性を強調した。





鉱業と半導体について影響力を強化



エネルギー資源を持たないこの革新的な輸出国2国はグローバル経済とサプライチェーンに依存している。この2つは良好な経済運営に不可欠だ。東京とベルリンは、「鉱産資源・半導体・蓄電池などの戦略的業種において影響力を強化し、リスクに対処するための優れた実践についての知識を共有したい」と、岸田氏は説明した。ショルツ氏は、両国の関係が今や「新しいレベル」に移行したことを歓迎したが、詳細の多くを明らかにしなかった。



両国には、心配の元であるロシアという隣人がいる。ドイツと日本の防衛相は土曜日の共同声明で、特に将来のアジア太平洋におけるドイツ軍の新たな展開や共同軍事演習などで協力を強化していくと述べた。また、両大臣は共同の軍事活動を促すための将来の「法的枠組み」を準備すると共に、防衛の装備品・技術における2国間協力を強化する考えだ。







ドイツ国防省―国防大臣の16年ぶりの日本訪問―日独#政府協議の一環として、ピストリウス大臣は浜田大臣と#インド太平洋 や共同演習の可能性などについて意見交換を行いました。(機械翻訳)]







(参考 AFP)





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ドイツ 日本 外交 オラフ・シュルツ 岸田文雄











(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20230325/15440840.html





【解説】「小国」が「巨大な国」を抑え込むために団結?中国人民解放軍に対抗する日本とドイツの軍事協力





2023年3月25日, 18:58







© AP Photo / Pang Xinglei/Xinhua /





ドミトリー ヴェルホトゥロフ





日本は最近、ありとあらゆる多国間防衛イニシアチブの中心地となっている。ドイツのショルツ首相は今月18日に日本を訪問し、日本の首相に軍事協力の強化を約束した。またカナダのトルドー首相が日本の岸田首相に対して中国へのけん制を念頭に米国と韓国を含む4か国の新たな協力枠組みの創設を提案したこともわかった。





日本を含む米国の同盟国にとっては、中国とその急速に増強している軍事力に何らかの形で対抗する必要がある。一方、小さな軍隊しか持たない国が「巨大な国」に対抗して同盟を組もうとする試みは、何やら滑稽でもある。





カナダとその軍



例えば、カナダの軍隊は小さい。カナダ軍の兵力は約6万8000人、戦車保有数は40両、装甲車は135台、軍用機は98機だ。これは、これほど面積の大きな国にとっては非常に少ない。カナダでは146平方キロメートルの土地に兵士1人、24万9600平方キロメートルに戦車1両、10万1800平方キロメートルに軍用機1機ということになる。これほど小さな軍では、本格的な軍事侵攻から国を守ることはほとんど不可能だだろう。カナダの安全保障は自国の軍隊ではなく、北大西洋条約機構NATO)加盟国および米国との同盟によって確保されている。どのような力が約30倍の軍隊を持つ中国との対立へカナダを駆り立てているのか理解することは不可能だ。







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ドイツ軍縮の結果



ドイツはかつて非常に強力な軍事大国で、2つの世界大戦を引き起こした。しかし今や、ドイツは小さな軍隊しか持たない国となった。



ドイツ連邦軍の現在の人員は26万4400人。そのうち兵士は18万3200人、文民職員は8万1200人だ。なお、1989年の人員は48万6800人だった。しかし、これは全ドイツ軍ではなかった。ドイツ連邦軍は西ドイツの軍隊だった。西ドイツ軍は東ドイツ軍と対立関係にあった。東ドイツ軍の1990年初頭の人員は13万5000人。ドイツ軍の総人員は62万1000人だった。1990年の東西ドイツ統一後、大規模な軍縮が始まった。まず東ドイツ軍が解体され、その後、ドイツ連邦軍が縮小された。その結果、現在のドイツ軍の規模は30年前の約3分の1となった。



ドイツ連邦軍と1989年当時の東ドイツ軍は大規模な戦争に向けた準備をしており、両軍は世界で最も戦闘能力の高い軍隊の1つだった。しかし、軍縮によってドイツ軍の質は急激に低下した。ドイツ連邦軍は多くの問題を抱え、ドイツのメディアではそれについて活発な論争が繰り広げられ、大げさではなく、何百もの記事が書かれた。



えば、ドイツ連邦軍では約2万人の将校と下士官のポストが空いている。なお、発表された予算案によると、2020年は3万8700人の将校および9万4900人の下士官の計13万3600人が想定されていた。このうち2万人のポストが空いているとしたら、指揮官と技術者の15%が不足しているということになる。









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さらに2014年には、ドイツ連邦議会の議員らが、軍事装備品の大半が使用に適していないことを明らかにした。戦闘で使用できるのは装甲車「ボクサー」180台のうち70台、戦闘機「トーネード」89機のうち38機、戦闘機「ユーロファイター」109機のうち42機などであることがわかった。これは衝撃的な事実の発覚となった。それ以来、ドイツ国防省は軍事装備品について報告している。例えば、2021年末時点のドイツ連邦軍の準備態勢は、戦闘車両に関しては71%、輸送車両に関しては82%で、平均およそ70%の準備態勢となる。一方、これはもちろん統計上のトリックだ。詳しく見てみると、アラが出てくる。例えば、2017年の装甲兵員輸送車「フクス」の準備態勢は77%。すなわち、907台のうち配備されているのは684台だが、実際に戦闘で使用できる状態にあるものはわずか525台しかない。つまり、戦場におけるドイツ連邦軍は紙に書かれているよりもさらに小規模ということだ。



ドイツは、自国の軍隊の戦闘能力を確保する上で新しい軍事装備品や兵器の生産において深刻な問題に直面した。戦闘能力を確保するために追加資金が拠出されているが、ドイツの専門家たちはこれが効果を発揮するかどうかに疑問を抱いている





1000人の兵士で中国人民解放軍に対抗?



ドイツ連邦軍は、ウクライナで戦闘行為が始まる前からすでに戦闘能力が制限された軍隊だった。正式には、ドイツ連邦軍は世界中で活動していた。一方、さまざまな任務のためにドイツが割り当てた人員のリストによると、その数は多くないことがわかる。ドイツ連邦軍最大の国外駐留部隊はマリ駐留部隊で、その人数は1158人。イラクおよびシリア駐留部隊は298人、レバノン駐留部隊は82人だ。これ以上多くの人員を派遣することはできなかった。さらにこれらの部隊は同盟国の支援を受けて投入された。







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ウクライナで戦闘行為が始まってから、ドイツ連邦軍ウクライナ軍への支援に真剣に力をつくすようになった。



2022年1月から2023年3月13日までにウクライナへ27億ユーロ(約3853億円)相当の兵器や弾薬、軍事装備品が供与された。その他にもドイツ連邦軍は、ロシアと直接的に国境を接するNATOのより弱い同盟国の強化も余儀なくされている。リトアニアには約1000人のドイツ兵が派遣され、リトアニアおよびポーランドの兵士と戦闘グループを形成した。



このような状況においては、中国への対抗を念頭に日本との協力を強化するというショルツ首相の約束は根拠がないように思われる。ドイツ連邦軍は太平洋地域に実際にどのくらいの兵士、軍艦、戦車、戦闘機を派遣することができるのだろうか?兵士は最大1000人、戦闘機は8~10機、フリゲート艦は1~2隻と予想することができる。ドイツには自国の国境近くに直接的な脅威があるため、これが限界と思われる。このような部隊は、地域におけるドイツのプレゼンスを示す可能性がある。一方、1000人ほどのドイツ兵で中国人民解放軍を抑え込むことができると言うのは、もちろん滑稽だ。小さな軍隊しか持たない国々が団結するという提案は、希望や幻想を生み出すおそれがある。すでに17世紀にフランスのジャック・デスタンプ(Jacques d'Éstampes)元帥は、神は常に大きな大隊の見方をすると述べていた。部隊の数と兵器の質で勝っている者が勝利する。





中国 軍事 オピニオン 国際











(投稿者より)



目的の1つには広島サミットに向けた地均し、もう1つは中国包囲網の強化、ということのようです。中国側の反応が見つかりませんでしたが、様子見なのかも知れません。