「世界最高齢の死刑囚・袴田巌氏に57年目の再審決定」(RFI・BBC NEWS JAPAN)

「世界最高齢の死刑囚・袴田巌氏に57年目の再審決定」(RFIBBC NEWS JAPAN)









(Japon: le plus ancien condamné à mort au monde aura droit à un nouveau procès: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20230313-japon-le-plus-ancien-condamn%C3%A9-%C3%A0-mort-au-monde-aura-droit-%C3%A0-un-nouveau-proc%C3%A8s





日本:世界最高齢の死刑囚が再審の権利を得ることになった





発表 2023年3月13日 10:57







2023年3月13日、東京高裁前で姉と一緒の袴田巌氏。AFP - KAZUHIRO NOGI





RFI






3月13日月曜日、日本の裁判所は殺人に対する有罪判決から60年近くを経て、世界最高齢の死刑囚と考えられる87歳の男性の裁判について再審を命じた。





「57年間この日を待っていた。そして、その日が来た」と、袴田巌氏の90歳の姉は喜んだ。彼女の弟は、1968年に上司とその家族3人の4人を殺害したとして死刑を宣告されてから、40年以上を死の廊下で過ごした。彼は拘留中の数週間の尋問の後に罪を認めたが、その後に撤回した。以後は無実を叫び続けてきたが、1980年に判決が確定した。



この元ボクサーが2014年に釈放された[投稿者の和訳際、裁判所はDNA検査に基づいた彼の有罪について疑念を認め、彼に再審を受けさせることを決めた。しかし、2018年に事態は急転した。東京高裁は検察からの抗告を受けてDNA検査の信頼性を改めて検討し、2014 年の判決を取り消した。それでも、袴田巖氏は拘置所に送り返されなかった。



続いて2020年末、日本の最高裁袴田巌氏が無罪を得るための再審を阻止した判決を取り消した[投稿者の和訳。この知らせを姉・秀子氏は「クリスマスプレゼント」として歓迎した。





「合理的な疑念」



起訴の書類は、その大部分を犯行から1年以上経ってから明らかになった血まみれの衣服を根拠にしていた。しかし、彼の支持者によると衣服は大きさが彼の身体に合わず、血痕は殺人と結び付けるには余りに真新しかった。月曜日、「衣服以外に袴田氏が犯罪の加害者であることを特定する証拠がなく、彼の有罪には明らかに合理的な疑念が存在する」と、東京高裁の大善文男裁判長は明言した。NHK共テレビ局が引用した。



日本は米国と並んで死刑に頼る最後の先進国・民主主義国の1つで、日本の世論は死刑に概ね賛成している。袴田氏に近い人々は、独房で40年以上に亘り絞首刑による処刑を日々恐れることで彼に残した心の傷を強調する。



アムネスティ・インターナショナルは、「余りにも長く待ち望まれていた正義を実現する機会」として、月曜日の判決を歓迎した。「袴田氏の有罪判決は強制により得た『自白』に基づいており、彼に不利な他の証拠は深刻な疑念を引き起こしている」と、同NGO日本支部の中川英明・事務局長は明言した。



検察は「袴田氏が9年前の『仮釈放』以来の行き詰まりを長引かせないように、本日の判決に抗告すべきでない」と、彼は付け加えた。「袴田氏がまだ参加できる限り、彼らは再審が行われるようにする必要がある」と、彼は更に考えを述べた。





(参考 AFP)





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―参考―













BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/64947764





袴田さんの再審開始、東京高裁が認める 世界で最も長く拘置された死刑囚





2023年3月14日







AFP

袴田巌さんと姉の秀子さん(右)。袴田さんは2014年に釈放された(2019年撮影)






半世紀近く死刑囚として拘置されていた袴田巌さん(87)について、東京高裁が13日、再審開始を認めた。





国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、袴田さんは世界で最も長い期間、拘置された死刑囚。



1966年に勤め先の静岡県のみそ製造会社の専務とその妻、2人の子どもを殺害したとして強盗殺人罪などに問われ、1968年に死刑判決を受けた。専務一家は火災の焼け跡から刺殺体で見つかった。



元プロボクサーの袴田さんは、20日間の尋問の末に犯行を自白した。袴田さんは尋問中に殴られたとしている。裁判では自白を撤回した。



人権団体は、日本の司法が自白に依存していると批判している。また、警察が力ずくで自白を得ることも多いとしている。



再審では、犯人が着ていたとされる衣類から見つかった血痕のDNAが袴田さんのものと一致するかを判断することになる。



弁護団は、それらのDNAは一致せず、衣類の証拠はねつ造されたものだと主張してきた。





9年前に釈放



袴田さんは2014年に釈放され、静岡地裁で再審開始が認められた。決定では、捜査員が証拠を仕組んだ可能性があるとした。しかし東京高裁は2018年、この決定を取り消した。



袴田さん側が上告し、最高裁は高裁に審理を差し戻した。そして、この日の再審開始を認める決定となった。







AFP

再審開始の決定を受け、弁護士らとともに笑顔を見せる袴田秀子さん(13日)






「この日が来るのを57年間待っていました」。袴田さんの姉で、長年、弟の無実を訴えて活動してきた秀子さん(90)は、決定を受けてそう話した。



袴田さんの家族によると、袴田さんは何十年も拘禁されていた影響で、精神状態が悪化しているという。



日本はアメリカとともに、主要な先進民主国の中でいまだに死刑を採用している例外的な国だ。



アムネスティは再審開始を認める決定を、「正義を実現させる大幅に遅れたチャンス」だとして歓迎した。



アムネスティ・インターナショナル日本の中川英明事務局長は、「袴田さんの有罪判決は強制された『自白』に基づいており、他の証拠にも重大な疑問がある」と話した。



検察側が特別抗告をすれば、再審開始まではまだ何年もかかる可能性がある。弁護士たちはこうした制度に抗議している。



日本の弁護士らは今回の高裁決定を歓迎すると同時に、検察に対して「最高裁に特別抗告を行うことなく、速やかに再審公判に臨む」よう求めた。



日本弁護士連合会の小林元治会長は、「袴田氏は、現在87歳の高齢であり、47年もの長期間の身体拘束によって心身を病むに至っており、袴田氏の救済に一刻の猶予も許されない」とする声明を出した







AFP

若かった頃の袴田巌さんの写真を手にする秀子さん(2013年撮影)






(英語記事 Retrial for world's longest-serving death row inmate





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(投稿者より)



画像から窺える袴田氏とお姉様の表情が穏やかなのが印象的です。



袴田氏が無罪を勝ち取られることを願っております。また、どのような立場にあっても自らの誤りを認め改めることの出来る社会でありたいものです。







※ 2023.5.31 訳を一部見直しました。