「『今日のウクライナは明日の日本だ』という言説について、太平洋両岸の論点」(VOA・Global Times)

「『今日のウクライナは明日の日本だ』という言説について、太平洋両岸の論点」(VOA・Global Times)









(Japan PM: East Asia Could Be Next Ukraine: VOA NEWS)

https://www.voanews.com/a/kishida-says-g7-should-show-strong-will-on-russia-s-ukraine-invasion/6918474.html





ウクライナ





日本の首相:東アジアが次のウクライナに成る可能性がある





2023年1月14日 午前11:35・更新 2023年1 月14日 午後3:00





フランス通信社








2023年1月14日、ワシントンでの記者会見で日本の岸田文雄首相が話す。





ワシントン —



日本の岸田文雄首相は台頭する中国と好戦的な北朝鮮に対する統一戦線を促す中で、東アジアが次のウクライナに成る可能性があると西側の諸大国に語った。



G7議長国として日本の年を開始した岸田氏は、近々行く予定のドイツを除くこのエリートクラブの全加盟国の首脳を訪ねた。ワシントンの日程を終えた岸田氏は土曜日、G7の指導者たちと「東アジアの安全保障環境に関する強い危機感」を共有したと述べた。



岸田氏は、ジョー・バイデン米大統領との会談の翌日の記者会見で、「ウクライナは明日の東アジアに成るかも知れない」と語り、この両地域の安全保障上の懸念は「不可分だ」と述べた。



東シナ海南シナ海における武力による一方的な現状変更の試みや、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化など、日本を取り巻く情勢はますます深刻化している」と、彼は述べた。



岸田氏は、北京が日本・フィリピン・ベトナムなどと多くの島々をめぐり紛争を起こしている周辺海域で、中国の強硬姿勢が強まっていることに言及した。



中国はまた8月に、台湾周辺での主要な軍事演習の一環として日本の経済水域の海にミサイルを発射した。この島では民主主義による自治が行われているが、北京はこれを自国領土の一部と見なし、武力による奪取を除外していない。



岸田氏はワシントンに来る前、日本政府が今後5年間で防衛費を2倍にすることを発表している。第2次世界大戦の敗北以来、公式には平和主義を貫いてきたこの国にとってこれは大転換だ。



岸田氏は、防衛費をGDPの2%に引き上げるために税金を使う必要があることを「国民に徹底的に説明する」ことに尽力すると述べた。NATOはこれと同じ目標を別途に設定しており、ロシアのウクライナ侵攻以降この目標を受け入れる国は増加している。





軍事力の増大



新しい防衛戦略の下で取られるその他の措置の中で、日本は脅威となる発射場を攻撃する「反撃」能力を開発する考えを持ち、今は米国とイギリスの兵器庫の中にだけ在るトマホーク巡航ミサイルを数百基購入したいと望んでいる。



岸田氏は、リシ・スナク英首相とジョルジャ・メローニ伊首相に、人工知能を使用した次世代戦闘機の開発を3国で進めることについて話したと述べた。



岸田氏は、日本が中国を特に苛立たせている措置―その経済大国にとって先端技術に必須の半導体を輸入させないこと―について、米国に加わるかどうかをまだ決めていないことを仄めかした。



岸田氏は、「半導体は米国や同志国を含めた経済安全保障の一部だ。この問題の扱い方を考えるために、更に緊密なコミュニケーションを取りたい」と語った。



日本はアジアで唯一のG7参加国であることを誇りに思っており、岸田氏は、ウクライナについての彼の反応は、ロシアの侵略に対する西側主導の反対を効果的に国際的なものとしたと述べた。



一方、これに先立ち岸田氏はワシントンでの講演で、日本は中国からのリスクについて「同盟国や同志国」に協力を得ることが必要だと述べた。



「中国は、確立された国際ルールを遵守し、これらのルールに反する方法で国際秩序を変えることは出来ず、また、変えないという戦略的決定を下す必要がある」と、彼は金曜日にジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院で述べた。



岸田氏は、日本はいまなお「平和を愛する」国家だと考えており、核兵器の最終的な廃絶を推進するためにG7を活用すると述べた。



イギリス・カナダ・フランス・ドイツ・イタリア・日本・米国のG7指導者は、世界初の核攻撃の現場であり、岸田氏の国会議員としての選挙区である日本・広島で5月にサミットを行う。







VOAウクライナ特集記事(英語)]







―参考―













(Japan risks turning itself into 'Ukraine of Asia' if it follows US' strategic line: Global Times)

https://www.globaltimes.cn/page/202301/1283843.shtml





意見/観測





日本は米国の戦略方針に追従すれば「アジアのウクライナ」に成る危険がある





記者 環球時報





発表 2023年1月15日 10:20 PM








Illustration: Liu Rui/GT



日本は、いわゆる外部の脅威を口実に、軍事化の進行をますます正当化しようとしている。地域を見渡せば、米国の戦略にピタリと追従して地域情勢を危険の淵に近づけているのは日本だ。東京の動きには警戒が必要だ。日本がアジア太平洋地域で米国の手先となり騒動を巻き起こすのであれば、日本自身が米国の犠牲者、或いは、東アジアのウクライナにさえ成ることを警戒する必要がある。



土曜日、岸田文雄・日本首相は先頃のG7訪問を締めくくり、「東アジアの安全保障環境に関する強い危機感」を同陣営の指導者たちと共有したとワシントンで述べた。この日本の指導者は「ウクライナは明日の東アジアに成るかも知れない」と指摘し、欧州とインド太平洋の安全保障は「不可分」だと付け加えた。



岸田氏がこのような「警告」を発したのはこれが初めてではない。実際、ロシアとウクライナの紛争が始まって以来、「東アジアは明日のウクライナ」という言葉が彼のお気に入りの言葉の1 つになった。例えば、6 月にシンガポールで開催された第19回シャングリラ対話での基調講演とその後の同月のNATO首脳会議で、彼は全く同じ見解を繰り返した。



岸田氏が伝えたいメッセージは明確だ。それは、戦争が始まって以降に欧州でロシアに対抗することに注力して来た米国とそのNATO同盟国から、この地域と日本のいわゆる安全保障上の懸念に更に多くの注意を引き寄せることを求めている。岸田氏の言葉は特に中国に向けられている。彼は他の西側諸国に対し、西側が共同で取り組むべき次の「最大の挑戦」は中国だと説得しようとしている。



斯かる考えは先日の日本の指導者の欧米訪問中に更に宣布された。水曜日の2+2会議で、東京とワシントンは北京への対処法についてコンセンサスに達し、同国に対抗する「戦略的同盟」を確立したと、RFI は報じた。



更に岸田氏は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて欧州との協力を推進することで、更に多くのNATO加盟国を日本の東アジア戦略の枠組みに引き入れ、日本との軍事協力を強化して中国と対峙するよう説得しようとしている。



上海外国語大学の廉德瑰(LIAN Degui)日本学部長は、日本と米国が「東アジアは明日のウクライナだ」と述べるのは、中国の再統一を妨げることを意味すると述べた。



米国と日本は今後も中国のレッドラインを踏みにじり、中国本土が最初に武力を行使するよう挑発するだろう。廉氏は、これが米国と日本が企てる陰謀だと指摘した。彼らは、中国を武力行使の必要性についてのジレンマに陥らせ、その後に責任を中国本土に転嫁し、戦争を始めた責めを負わせたいと考えている。



しかし、日本が「中国の脅威」説をどれだけ誇大に宣伝しても、日本は東アジアの状況を紛争の可能性へと押し遣るワシントンの策に追従している。同国は「自由で開かれたインド太平洋を確保する」ために軍事力の強化に向けた取り組みを強めている。その最も重要な動きは、先月の3 つの重要な防衛文書の承認だ。



新しい国家安全保障戦略を含む文書の主要な柱は、中国を日本がこれまでに直面した「最大の戦略的挑戦」と表現し、自衛のために敵のミサイル発射基地やその他の軍事目標を破壊するための反撃能力の保有を明記し、2023年度からの5年間に国の防衛予算を約43 兆円(3,180億ドル)に増やすことを目指していることだ。日本の過去の軍事化の歴史から判断すると、日本が地域に向けて示したビジョンに反して、これらの行動が現在の平和と安定を脅かすと心配を始める地域の国々は増えている。



中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は7月に、「もし日本が真に平和で安定した東アジアを望んでいるのなら、問題を掻き立てて火を煽るのではなく、軍国主義による侵略の歴史を真剣に反省してそこから教訓を得るべきだ」と述べた。



日本はまた、米国の戦略にどれだけ緊密に繋がりたいかについても熟考する必要がある。今のところ、日本では誰が権力を握っていても、同国の外交政策は米国の外交政策に追従することは明らかだ。しかし、それは本当に東京の利益になるのか?日本がアジア太平洋地域で米国の手先として行動し続けるなら、日本は米国の犠牲者、或いは、東アジアのウクライナにさえ成ることに警戒する必要がある。









―参考―

  • 日美2+2聚焦提升日本反擊能力戰略過關(法廣RFI)[2023.1.13]










    (投稿者より)



    ウクライナが今日のような混乱に陥った経緯を考えた時、日本とは状況が全く違うように思えます。但し、日本も同様に排他主義を受け入れるようになれば、ウクライナと同様の運命が待っているかも知れません。肝に銘じて置きたいです。