金に裏付けられたルーブルはゲームを変えるかも知れない(インタビュー) (RT)

金に裏付けられたルーブルはゲームを変えるかも知れない(インタビュー) (RT)









(Gold-backed ruble could be a game-changer (INTERVIEW): RT)

https://www.rt.com/business/553099-gold-backed-ruble-gamechanger-west/





2022年4月2日 06:56/ホームビジネス・ニュース





金に裏付けられたルーブルはゲームを変えるかも知れない(インタビュー)





通貨を金とエネルギーに結びつけることが世界経済のパラダイムを変えると、ある貴金属アナリストがRTに語った。







© Sputnik / Vladimir Astapkovich





今週、ロシア銀行は金の購入を再開したが、更に重要なのはこの監督機関が固定価格でこれを実施することで、3月28日から6月30日までの価格は1グラムあたり5,000ルーブル(59ドル)だ。このため、ロシアが1世紀以上ぶりに金本位制に戻る可能性が高まっている。



今週発表された通りに、ロシアがルーブルで価格を設定された商品を販売するための次の段階に入った場合、これらの動きが一体となってルーブルや米ドル、更に世界経済にとって非常に大きな意味を持つことになるかも知れない。



いくつかの答えを得るために、RTはブリオンスター・シンガポールの貴金属アナリストローナン・マンリー氏に話を聞いた。





—なぜ、ルーブルで金の固定価格を設定することが重要なのか?



国内の銀行から1グラムあたり5,000ルーブルの固定価格で金を購入できるようにすることで、ロシア銀行はルーブルを金に結び付けた。また、金は米ドルで取引されるため、米ドルに対するルーブルの最低価格を設定したことになる。



ロシア銀行が固定価格を発表した3月25日金曜日以降、この結び付きが機能していることが分かる。その時ルーブルは100米ドル前後で取引されていたが、その後はルーブル高となり、現在は80米ドル近くだ。その理由だが、金は国際市場で1グラムあたり約62米ドルで取引されているが、これは(5,000÷62)=約80.5ルーブルに相当し、市場と裁定取引業者は現在これに注目しており、ルーブルの対米ドル価格を引き上げている。



このため、ルーブルは今や金を介して米ドルに対して下限を持つようになった。しかし、金も下限と言っていいものを持つようになった。なぜなら、1グラムあたり5,000ルーブルは1トロイオンスあたり155,500ルーブルだが、ルーブルの対ドル価格の下限は約80ルーブルなので、金価格1,940ドルの辺りになる。また、西側のLBMA[ロンドン貴金属市場協会]COMEXニューヨーク商品取引所といったペーパー金市場が米ドル建ての金価格を引き下げようとすればルーブルも下げる必要が出る。そうしないと、ペーパーによる市場操作が明るみに出るだろう。



さらに、金とルーブルを新たに結び付けたことによりルーブルの上昇が続いた場合(例えば、ルーブル建てが必須のエネルギー決済によって生じる需要のため)、金価格の上昇にも反映されるだろう。





—石油にとっての意味は?



ロシアは世界最大の天然ガス輸出国であり、世界第3位の石油輸出国だ。私たちは正に今、プーチン氏が外国の買い手(ロシア産ガスの輸入者)に対して天然ガスの決済はルーブル建てに限ると要求しているのを見ている。これにより、天然ガスの価格がルーブルに、更には(金の固定価格のために)金価格に即座に結び付く。そのため、ロシア産天然ガスは今やルーブルを介して金に結び付いている。







更に読む:ロシアの金に制裁を掛けることは「不可能」と、投資家がRTに語る





今ではロシア産原油でも同じことが出来る。ロシアが輸出原油ルーブルで決済するよう求め始めた場合、(金と固定価格で結び付いたルーブルを介して)金への間接的なペッグが直ちに発生する。そうすれば、ロシアは原油の輸出決済に直接金を受け入れ始めることが出来る。実は、これは原油天然ガスだけでなく有らゆる商品に適用できる。





—金価格にとっての意味は?



ルーブルを金に結び付け、更にエネルギーの決済をルーブルに結び付けるというように、ロシア銀行とクレムリンは方程式の左辺と右辺の役割を果たすことにより、世界の通貨システムの変化を加速させながら世界の貿易システムの作業仮説の全体を根本的に変えつつある。これは本物の商品を決済するために現物の金を探す買い手たちにとっての防護壁となり、確実にLBMAとCOMEXのペーパー金市場に発破を掛けて穴を開けるかも知れない。



ルーブルと金の間に固定的なペッグを設定することにより、ルーブルの対米ドル価格に下限が出来るが、米ドルによる金価格にも下限のようなものが出来る。しかし、この措置の主眼は更に先にあり、エネルギーの決済に金を結び付けることにある。ルーブルの需要が高まるとルーブルの対ドル価格は上昇を続けるはずだが、ルーブルと金の相場が固定されているため、金価格も上昇するという形が現れるはずだ。ロシアが原油決済手段として金を直接受け入れ始めた場合、原油価格が金価格に直接結び付くことになるため、これは金価格にとって新たにパラダイムを変える結果をもたらすだろう。



例えば、ロシアは今や、原油1バレルあたり1グラムの金を受け入れるように価格を定めるところから始めることが出来る。1グラムである必要はないが、例えば1バレルあたり1.2グラムへの上昇を促せるよう、現在の原油指標の価格よりも割り引かれた額を提示する必要がある。そうすると、買い手はロシアの輸出原油を決済するために現物の金を掻き集めるだろう。すると、今度はロンドンとニューヨークのペーパー金市場に強い緊張が生じる。そこでは合成的および断片的に裏付けられ現金で決済される引き当てのない「金」、そして、金価格「デリバティブ」に基づき、「金価格」の全てが見出されるからだ。





ルーブルにとっての意味は?



ロシア銀行の固定価格を介してルーブルと金を結び付けることにより、今やルーブルの対米ドル価格に下限が設けられた。そして、このことがルーブルを安定し強化した。天然ガス(恐らく更に原油や他の商品が続くだろう)の輸出決済をルーブルで求めることは、ルーブルを強化し下支えする機能をも果たすだろう。国際貿易システムの大多数がこのようなルーブルを商品の決済手段として受け入れ始めた場合、ロシア・ルーブルが主要な世界通貨になるよう促されるだろう。同時に、原油を金で直接決済することを認めるロシアのいかなる動きも、世界の金をロシアの金準備に流入させる結果をもたらすだろう。これにより、ロシア銀行のバランスシートが強化され、次にルーブルが強化されるだろう。



ルーブルの正式な金本位制の話は時期尚早かも知れないが、ロシア銀行はルーブルを金で裏付けることを検討しているに違いない。





—他の通貨にとっての意味は?



世界の金融情勢は急速に変化しており、世界の中央銀行がこれに注目しているのは明らかだ。西側が制裁としてロシアの外貨準備の大部分を凍結したことなどやロシアの金に制裁を掛けようと試みたことにより、海外で保有される外貨準備の所有権が尊重されない可能性のあることや、イングランド銀行やニューヨーク連銀などの金庫で保有されている外国の中央銀行の金は実は差し押さえと同様の状態にあることが明らかになった。







更に読む:インドは対ロシア貿易でドルを迂回する用意がある





したがって、他の非西側諸国の政府や中央銀行は、ルーブルを金に結び付け、商品の輸出決済をルーブルに結び付けるロシアに強い関心を持つだろう。言い換えれば、ロシアが金による原油の決済を受け入れ始めた場合、他の国々も後に続く必要性を感じるかも知れない。



米国を除く世界最大の石油と天然ガスの生産国を見ると良い―イラン・中国・サウジアラビアアラブ首長国連邦カタールのことだ。BRICSとユーラシア連合の全ての国々もまた、この全てにおいてぴったりと後に続こうとしているのは明らかだ。米ドルの終焉が近づいているとするなら、このいずれの国も自国通貨が新しい多国間通貨秩序の受益者になることを望むだろう。



—米ドルにとっての意味は?



1971年以降、世界的な準備通貨としての米ドルの地位は石油に支えられており、オイルマネーの時代は、世界が石油を取引するために米ドルを継続的に使い、また、米国に米ドルの有らゆる競争相手を阻む能力があったからこそ成り立ち得た。



しかし正に今、私たちが目にしているのは、その50年のシステムの終わりの始まりであり、金と商品に裏打ちされた新たな多国間通貨システムの誕生だ。ロシアの外貨準備を凍結したことがこの引き金となった。中国など商品を生産する世界の強力な大国や石油輸出国は、今がより公平な新しい通貨制度に移行する時だと感じているかも知れない。これは驚くべきことで無く、彼らは長年これについて話し合ってきた。



米ドルが受ける影響について語るのはまだ早過ぎるが、今からは以前よりも弱くなり、影響力も小さくなるだろう。





—どのような反響が起きるか?



ルーブルを金に結び付け、商品の決済をルーブルに結び付けるというロシア銀行の動きはパラダイムを変えるものだが、西側メディアはまだ本当にはこのことが分かっていない。ドミノが倒れると、これらの出来事は様々な形の反響を起こすかも知れない。金現物の需要の増加、ペーパー金市場の破裂、金価格の再評価、米ドルからのシフト、米ドル以外の通貨による非西側諸国2国間の商品貿易の増加などだ。





経済・金融の記事を更に読みたい方は、RTのビジネス・セクションをご覧ください。





トレンド: ロシア ロシア・ルーブル







―参考―