尖閣諸島での防衛を強化する日本:中国は反発するのか受け入れるのか?(Sputnik日本)

尖閣諸島での防衛を強化する日本:中国は反発するのか受け入れるのか?(Sputnik日本)









https://jp.sputniknews.com/20211111/9482158.html





尖閣諸島での防衛を強化する日本:中国は反発するのか受け入れるのか?





2021年11月11日, 18:18







© AP Photo / Emily Wang





タチヤナ・フロニ





日本は尖閣諸島を含む南西諸島における防衛の強化を検討しており、これを目的に偵察機の数が増やされることになる。これまで、この地域の多くの空港では民間航空機だけが使用されてきた。しかし、中国の行動による危険な事態を未然に防ぐことを目的に、空港が戦闘機の拠点となる可能性がある。





スプートニク」は、こうした日本の動きに対して中国がどのような反応を見せるのかについて、また尖閣諸島問題が軍事紛争のきっかけとなる可能性はあるのかについて、専門家に意見を伺った。



最近の日本の行動を見る限り、尖閣諸島をめぐる立場に大きな変更は見られない。しかし、いずれにせよ、中国側の反応はネガティブなものになるだろうと、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所、日本経済政治グループを率いるヴィタリー・シヴィトコ氏は指摘する。



「領土問題をめぐる両国の関係に急激な悪化が起こることはないでしょう。というのも、日本政府の行動は、長年続いている日本の外交の傾向、つまり自国の島は自分たちで守るという立場を反映したものだからです。通常、中国はこのような場合、抗議を行います。しかし、これは、係争地である島に対するプロパガンダ戦争の一環にすぎません。日本も中国も、その枠から超えることを望んではいません」。







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一方、 CIS諸国研究所のウラジーミル・エフセーエフ副所長は、日本の行動(尖閣諸島での防衛強化)は熟考されたものであり、米国政府との間で調整されたものであると見ている。またこの計画は、米国とその同盟国による中国との対立の中で実現されていると指摘している。



「米国は、中国を抑止するために、クワッド(日本も加盟)や最近創設された豪英米による軍事同盟オーカスなど、地域における対中包囲網を活発化させています。これにより日本は、中国との係争においても、より大胆な行動を取ることが可能になっています。さらに日本海では、最近、中国とロシアによる海軍合同巡視活動が行われました。日本はこの事実に不安を感じた可能性があります。ですから、尖閣諸島の防衛強化は、こうした動きに対するものである可能性も除外できません」。



しかし、その結果は、中国側からの連鎖反応を生む―つまり、中国も防空を強化し、迎撃ミサイルを増加することになる可能性もあるとエフセーエフ氏は語っている。



「つまり、この地域で両国の軍備が強化されるということです。しかし、軍備が強化されればされるほど、係争地で何らかの事件が発生する可能性が高まります。たとえば、どちらかの航空機が国境を侵犯したように見えたからといって撃墜するというような事件が起こる可能性は除外できないでしょう」。



そこで、ウラジーミル・エフセーエフ氏は、日本と中国は早急に信頼できるルートを通じ、係争地での軍事行動ついて予告することで明確な合意を結ぶべきだと考えている。



さらに、政治学者で、国際関係分野と日本研究の専門家であるドミトリー・ストレリツォフ氏は、今回の尖閣諸島での日本の行動に対し、中国は激しい反発を見せる可能性はあるが、それ以上のことは起こり得ないとの見方を示す。



というのも、尖閣諸島を防衛するという日本政府の行動は、国の安全保障に向けたものとしてまったく自然なことだからである。そこで中国の反応はプロパガンダの枠を超えたものにはならないだろうとストレリツォフ氏は述べている。







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「中国は当然、このことを無視することはなく、日本の軍国主義、復讐主義の復活であるとして懸念を表明するでしょう。しかし、これは両国からの、「計算された緊張の高まり」です。つまり、十分にコントロール可能でプラグマティックなプロセスで、外交の力でいつでも取り除くことができる緊張状態なのです。日本にとっても、中国にとっても、係争中の尖閣諸島をめぐって、深刻な軍事紛争を起こすことは有益ではないのです」。

日本側がこのような姿勢を維持できるのは、米国に対して、なんの幻想も抱いていないからである。日本政府は(米国とは同盟関係にあるとはいえ)、米国が日本のために中国と深刻な軍事紛争を起こすことはないという可能性があることを理解しているのだとストレリツォフ氏は指摘する。




またストレリツォフ氏は、中国について言えば、中国もまた尖閣諸島に関して軍事行動を自ら起こすことはないだろうと述べている。



「中国が日本から尖閣諸島を無理に奪おうとしても、なんの利益を得ることもありません。逆に、日本との外交関係を破綻させることになるのです。中国は日本との外交関係を維持することを、日本が中国に対して考える以上に、関心を持っています。さらに世界各国もこれに反応するでしょう。中国は、他のあらゆる国同様、経済を含め、国際関係に依存しているのです」。



つまり、中国政府指導部は、尖閣諸島における日本の計画を受けて、露骨に日本との関係を悪化させようとすることはないだろう。何故ならこの地域で偶然の軍事衝突が起きただけでも、中国は世界で孤立することになりかねないからである。





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