石油戦争の記録:原油価格の下落がロシア・米国・サウジアラビアにどう影響するか(Sputnik International)

石油戦争の記録:原油価格の下落がロシア・米国・サウジアラビアにどう影響するか(Sputnik International)









(Oil War Logs: How Crude Price Drop Could Affect Russia, US and Saudi Arabia: Sputnik International)

https://sputniknews.com/business/202003211078647437-oil-war-logs-how-crude-price-drop-could-affect-russia-us-and-saudi-arabia/





石油戦争の記録:原油価格の下落がロシア・米国・サウジアラビアにどう影響するか







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ビジネス





2020年3月21日04:01GMT






ティム・コルソー





OPECプラスの取り決めが崩壊して原油の生産制限が撤廃されて以来、世界の原油価格は2003年以来見られなかったレベルにまで急落を続けた。価格の下落に寄与しているのは、進行中のコロナウイルスパンデミックによる原油需要の大幅な減少だけだ。





石油を採掘する上での制約を除去し25ドルという特別な低価格で提供することについて、これを全面的に支持するというリヤドの先日の決定により、原油市場の状況が根本から変わる可能性がある。サウジアラムコは1日1,230万バレルの生産を計画しているが、これは今や死に体となったOPECプラス協定の下での970万バレルから急増している。



石油価格は、COVID-19の大流行による世界的な需要の減少と、OPECプラス合意の崩壊に伴って発生した過剰な石油供給による圧力を受け、既に下落している。しかし、みずほ証券マネージングディレクターのポール・サンキー氏の推定によると、現在の価格が限界ではない。さらに低くなる可能性がある―ゼロ以下さえにもだ。





お金を支払って売る





需要減少の結果としての過剰供給は全ての生産者にとって新たな頭痛の種になる―買い手の付かない石油をどこに貯蔵するかだ。どうやら、原油生産者たちはこの目的のために石油タンカーの艦隊を使いたいと考えているらしい。最近、運賃が8倍に跳ね上がったと報じられるのにだ。



ただし、船に載せられたタンクでさえ容量は無限でない―IHSマークイットのアナリストたちの推定によると、需要が増えないか供給が減らない限り、タンクを含むすべての石油貯蔵スペースは2、3か月以内に原油で満杯になる。このようなシナリオが発生する場合、石油会社は買い手にお金を支払ってでも、原油在庫を売り捌くために何でもする可能性があると、みずほ証券のサンキー氏は述べる。







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米国テキサス州ミッドランドの油田で、ポンプジャッキが掘削リグの前で動いている。2018年8月22日。2018年8月22日撮影。






2018年にテキサスでも同様の状況が見られた。そこでは、シェールオイルの生産者が副産物となるガスの採掘を大量に開始したが、インフラストラクチャの不足のために十分速やかにこれを州外に運搬できなかった。蓋をして余分なもの貯蔵するのは安くないので、生産者は価格を最低にまで下げ、時にはガスを求める顧客にお金を支払うことまで行った。それでも、井戸を閉めたりガスを貯蔵するより安上がりだった。



現在、世界の原油市場は、サウジアラビアが開始した事実上の石油戦争が終わらない限り、同じような見通しになりそうだ。ただし、後の方に述べたことは直ぐに起こらないかも知れない。





圧力は受けていない





OPECプラスの取り決めが崩壊した後、ロシア・エネルギー省のアレクサンドル・ノヴァク長官は、モスクワには古い取り決めの条件を守り続ける用意があるが、これ以上の生産削減には同意せず、したがって必然的にサウジアラビアの申し出を拒否すると述べた。ロシア政府はブレント価格が1バレル31ドルのレベルに下がっても考えを変えなかった。ウラジミール・プーチン大統領が、ロシアは石油価格が乱高下する時代を比較的無傷で通過し、その間に主要産業が以前より更に強くなるだろうと語っている。









© Sputnik / Rosneft

ツェントラルノ-オルギンスカヤ-1油井の石油会社ロスネフチ社敷地内の掘削装置。






同時に、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は、1バレル25ドルの価格では「大災難」にならないと述べ、ロシアはこの困難な状況を乗り切るために一定の準備金を蓄えていると付け加えた。彼はまた、現在の価格の急落はモスクワとリヤドの対立の結果であるという考えを取らず、その代わりに下落は複雑な市場の状況の所為だと述べた。





最大の敗者は誰か?





ロシアは石油価格戦争における自国の立場に自信を失っていないと伝えられているため、サウジアラビアがどれだけ上手く行くかは明らかでない。同国は欧州の買い手たちに低価格で大量の石油を提供している。



リヤドは最大能力で原油を生産するだろうが、世界の需要が回復したときに、例えば、フーティ派過激派たちによる新たな攻撃の成功によりプラントに何かが起きた場合、サウジアラビアは契約上の義務を履行できない可能性がある。この場合は今度は罰金を支払うことになるため、既に原油の低価格に苦しむサウジアラビアの財政に打撃となるだろう。







© AFP 2020 / Karim

バグダッド南郊・デュラ製油所で作業員が缶に製品を詰めている






進行中の石油戦争で負ける可能性のあるもう一方の側は、米国のシェールオイル採掘会社だ。彼らの操業コストはロシアやサウジの石油会社よりも遥かに高く、1バレル20ドル未満の価格は米国製油業者の自活レベルを下回る可能性がある。



先頃、ケビン・クレイマー米上院議員ドナルド・トランプ大統領に対し、国内生産者を守るためにサウジ産およびロシア産石油の購入禁止を求めた。





「私は対話の継続を支持しているが、実質的な国内の一時解雇・解雇・金融輸入を回避するために今行動を起こすことが重要だと考える。[サウジアラビアとロシアは]今日、米国の生産者と労働者に無補償でこれらの影響を吸収するよう期待している。私たちは即座にシグナルを送るべきだ。米国が虐めを受けたり軽視されることはない」とクレイマー上院議員米大統領への手紙で述べた。








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しかし、トランプ氏は外国産石油を禁止する考えを何も示さないが、サウジアラビアは中東における米国の主要な同盟国の1つであり、また、ロシアはワシントンがベネズエラとイランに制裁を課したことにより、米国にとっていわゆる重油混合物の主要な供給国になっているため、これは驚くに当たらない。その代わり、米大統領は現在の価格の急落を利用して国家の全石油備蓄を上限まで満たし、万一の場合のために約3,000万バレルを備蓄することを提案した。



トランプ大統領はまた、石油価格戦争はモスクワとリヤドの両方に大きな打撃を与えると主張し、米国が「適切な時期に」戦争に参加すると約束した。





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