歴史家たちは日本に戦時中の歴史に向き合うよう求める(DW English):阿修羅♪
http://www.asyura2.com/15/warb15/msg/558.html
(Historians call on Japan to face up to wartime past: DW English)
http://www.dw.de/historians-call-on-japan-to-face-up-to-wartime-past/a-18445347
日本
歴史家たちは日本に戦時中の歴史に向き合うよう求める
安倍晋三首相の保守政権が日本の過去の侵略行為を誤魔化していることへの怖れが強まるにつれ、歴史家たちは、第2次世界大戦終結70周年は日本が歴史問題について取り組む好機になると述べている。
世界中の200人近い歴史家たちが公開書簡を発表した。書簡の中で彼らは日本に、前世紀前半の数十年間にアジア太平洋地域の大部分を侵略・占領したことについての度の過ぎた諸行為に向き合うよう求めた。
今年は大戦から70年目の節目であり、枢軸国を打ち破った連合国の国々で記念式典が開かれ、1つの区切りが付けられる。それでも、日本は自国の軍が1930〜1940年代に大規模な破壊をもたらしたことを未だに認めようとしないとの非難がある。
この4月、安倍晋三首相は米連邦議会の合同会議での歴史的な演説の中で、日本の諸行動がアジアの他の国々の人々に「苦痛をもたらした」と述べ、自国の歴史の一時期への「深い反省」を表明した。
首相の発言には、中国や韓国を始めとした一部の日本の隣国が数年来求めていたような明快かつ率直な謝罪が不十分で、安倍氏−臆面なき国家主義者−は過去を取り繕うとしていると考える人たちもいる。
歴史についての言い逃れ
「安倍氏は、特に「慰安婦」問題だが、日本の歴史論争の多くについて言い逃れをしていると私は思う」と、テンプル大学日本校アジア研究所長のジェフ・キングストン教授はDWに語った。
安倍晋三首相は米連邦議会での歴史的な演説の中で、日本の諸行動がアジアの他の国々の人々に「苦痛をもたらした」と述べた
慰安婦とは、強要・詐欺により日本軍の性奴隷にさせられた占領地域の推定100,000人の女性に与えられた婉曲的な言い回しだ。
国内の多くの保守派はいまだに、女性が誘拐されたことを認めようとせず、彼女たちは単に高給の売春婦だったと主張している。彼らはまた、この女性たちは仲介業者に雇われたので、彼女たちの扱いについて軍と日本政府はいかなる責任も負わないとも主張している。
「安倍氏は米国でのスピーチで『人身売買』という言葉を使ったが、こうして慰安婦についての責任問題を回避している」と、キングストン教授は指摘している。
「彼は誠実だとの印象を与えず、共感にも欠けていた」と、キングストン教授は付け加えた。彼も日本への公開書簡に署名した1人だ。「彼は歴史を書き換えたいのだと、私は考える。」
『日本の歴史家たちを支持する公開書簡』という題のこの声明は、マサチューセッツ工科大学名誉教授であり、絶賛を得た『敗北を抱きしめて』の著者でもあるジョン・ダワー氏など、日本史研究における最も重要な人物が署名している。
他の署名者186人には、エズラ・ヴォーゲル氏(ハーバード大学教授)、ヨーゼフ・クライナー氏(ライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学ボン名誉教授)、イルセ・レンツ氏(ルール大学ボーフム社会学名誉教授)が含まれている。
『リーダーシップを示す好機』
「今年は日本政府が、植民地支配と戦時中の侵略の歴史について言葉と行動で取り組むことにより、リーダーシップを示す好機だ」と手紙に書かれている。
この「慰安婦」問題が声明の多くの部分を占めており、この問題は「日本や韓国・中国で国家主義的な暴言によって余りにも歪められたので、多くの学者やジャーナリスト、政治家が、人が生きる状況を理解すると共にこの向上を目指すという、歴史考察の基本的な目標を見失っている」と、歴史家たちは主張している。
「元『慰安婦』たちの苦しみが被害者の国々の国家主義的な目的に利用されているために、国際的な解決がより困難になっており、当の女性自身の尊厳もさらに深く傷つけられている」と、書簡には付け加えられている。「それでも、彼女たちに起きたことを否定したり矮小化することも同じように容認できない。」
彼らはまた、日本の歴史修正主義者たちが政府を責任から遠ざけようとする試みとして、「遊離した文書」を使用して、女性たちは文民の仲介業者に雇用されたと主張することをも批判している。
そして、数多くの被害者が提供した証言に挑戦するためにこうした文書を使うことにより、「彼女たちは残忍な行為を受けたのだという問題の根本を見逃し、同時に、彼女たちを搾取した非人道的な制度というもっと大きな背景を無視している。」
報復を怖れる
この書簡には数人の日本の研究者が含まれている。キングストン教授もその1人だが、187人の署名者は「氷山の一角」であり、東アジア諸国の多くの歴史家たちは「この書簡により自分たちが注目を受けるようになる可能性があるが、それによる報復を怖れている」ために、署名を拒否していると、キングストン教授は主張している。
この種の反応は、研究費の削減という形をとる可能性があるが、ある大学は、左派寄りの朝日新聞の出身で慰安婦問題を大々的に扱った元ジャーナリストを雇用したために、繰り返し爆弾予告の脅迫の標的にされた。
韓国の抗議者たちは日本に対して戦時中の性奴隷への補償を繰り返し求めている
しかし、日本の保守派たちはこの外国の研究者たちの声明に怒っており、自分たちの手で公開書簡を書くことも計画している。「この声明の中心人物たちは以前も同じような根拠のない非難を行ったので、私はこれに驚かない」と、福井県立大学の国際関係学教授・島田洋一氏は語った。
「これらの人々はいまだに、『慰安婦』制度は日本特有のもので、また、この制度の下でこうした女性たちを誘拐・支配するために暴力が用いられたと考えている。これは実際の事実とは異なる」と、彼は語った。
島田教授はこの外国の研究者たちの声明に対する反論の準備に関わっており、おそらく今週発表される。反論では、女性たちの慰安所斡旋に日本軍は関与していないことが「繰り返し極めて明確に述べ」られることになるだろう。
発表 2015年5月12日
記者 Julian Ryall, Tokyo
関連テーマ アジア、第2次世界大戦
キーワード アジア、日本、第2次世界大戦、公開書簡、安倍晋三、慰安婦
(投稿者より)
ドイチェヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。
記事の話題になっている『日本の歴史家を支持する声明』の引用については、記事に引用された英文テキストの語句を出来る限り逐語訳で変換する方針をとりましたので、日本語テキストと表現に多少の食い違いがあります。ご容赦下さい。
『日本の歴史家を支持する声明』はメディアが既に多様な形で取り上げています。