「トランジション・タウン」が、低炭素生活の道を先導する(DW English):阿修羅♪

トランジション・タウン」が、低炭素生活の道を先導する(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/12/social9/msg/405.html





(‘Transition Towns’ lead the way in low-carbon living: DW English)

http://www.dw.de/transition-towns-lead-the-way-in-low-carbon-living/a-16796152





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グローバル・アイディア



トランジション・タウン」が、低炭素生活の道を先導する







2011年の福島原発事故の後、日本では、よりクリーンな未来のための再生エネルギーへの転換が、多くの人々の間で話題になっている。藤野「トランジション・タウン」は既にそれを現実にしている。





2011年の地震津波、そして、それらの結果発生した福島第1原発の核のメルトダウンは、日本だけでなく全世界へのウェイクアップ・コールとなった。それ以降ずっと、原子力なしでエネルギー需要の増加を満たすことが可能かどうか、いくつかの国で白熱した議論が展開されてきた。



この大事故を受け、菅直人政権は当初、2040年までに国内の原子力エネルギーを段階的に廃止すると決めていた。2012年夏以降、日本の全ての原子炉が−2基の例外を除いて−送電網から外された。その代替策として、日本政府は2020までに、福島の沿岸に世界最大の海上ウインドパークを設立する計画だ。その計画では、合計で1ギガワットの能力を持つ143基の風車が設置される見込みだ。建設工事は2013年7月に始まる予定だ。




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日本はこのようなな巨大な海上ウインドパークを、海岸線上に建設する計画だ





しかし、このような野心的なプロジェクトを以てしても、日本におけるエネルギーの大きな穴を埋めることは決してできない。いままで、日本はエネルギー需要の3分の1を原子力で満たしていた。予定では、計画中のウインドパークは、いまや廃止された福島発電所で生産していたエネルギーの4分の1しか生産できない。



結果として、日本では−原料がほとんどないので−オーストラリアから石炭を、米国からガスを、中東と東南アジアから石油を、さらに輸入しなければならない見込みだ。こうなると長期的に高くつきそうなので、現政権はいまや原子力エネルギー段階的廃止の計画を後退させつつある。





構想を具体化する



一方、多くの日本人は、政府がエネルギー転換に向けて必要なステップを踏めずにいることに、しびれを切らしつつある。町やコミュニティごとに、化石燃料原子力エネルギーへの依存を断ち切るために、自分たちの手で一歩一歩と問題に取り組むところが出始めている。



これらは「トランジションタウン」の構想の一部だ。この構想の中心には、政府が全ての答えを見つけてくれたり、誰かが十分に大きな規模で活動してくれたりするのを待つのでなく、むしろ、コミュニティが触媒となって、気候変動への対応や、来るべき安価な石油の終わりへの準備に必要な、社会のデザインを変えることが可能だという信念がある。



トランジション・タウン運動は、草の根グループの世界的なネットワークだが、このグループはパーマカルチャーの思想まで遡ることができる。要するに、持続可能な経済活動の試み、という意味だ。


しかし、この運動はそこを飛び越え、コミュニティ中心のアプローチを含むまでになった−つまり、社会とより密接につながったより公平なコミュニティを作り、より充実したライフスタイルを実現するという意味だ。そのことは、この構想の名前にも反映されている−日本のトランジション・タウンは、「TT」というイニシャルで自分たちを定義している。このイニシャルは日本語で、「楽しく」"tanoshiku" 「つながる」"tsunagaru"という意味をも表している。





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ここニュージーランドのように、人々は自分たちの食べ物を育てる方法を学んでいる





日本の町・藤野が最も良い例だ。2008年、この町の住民10,000人が日本初のトランジション・タウンを立ち上げた。コミュニティのつながりが強まり、人々が経済的に自立できるよう、彼らは独自の通貨「よろず屋」(日本語で「何でも売っている店」という意味)を始めた。



この「よろず屋」が、地元のネットワークを刺激するための主要な役割を果たし始めた。「よろず屋」は2009年に15人のメンバーで始まり、いまや150世帯を含むまでに成長した。参加者たちはこの通貨を用いて、商品を交換したり食堂で食事したりすることができる。また、ペットの世話、菜園の草取り、子供の出迎えなど、地元のニーズを対象とすることにより、このネットワークは成功している。さらに、「よろず屋」は、必要な人と手を貸せる人とを結びつける役割を果たしている。





エネルギーの転換:もはや「なぜ?」ではなく、「どうやって?」



2011年の福島原発の大事故以降、トランジション・タウンとしての藤野の評判は高まっている。藤野トランジション・タウン構想の共同発起人・榎本英剛氏は、日本全国で、クリーンなエネルギーに転換することの重要性に、人々は気づいていると語る。「人々はもはや『私たちにとって、エネルギーの転換はなぜ必要か?』とは問わなくなった」と、榎本氏は語った。「むしろ『そのために、私たちは何をすればいいのか?』と考えている。」



福島原発の大事故から、日本では多くの人々が、自分たちの電気はどこから来ているかや、これまで自分たちが無視してきた他のエネルギー問題について、考え始めるようになった。



地震による停電は、家の中でのたくさんの電気器具に囲まれた生活に慣れていた人々の日常生活に、非常に大きな衝撃を与えた。多くの人々がエネルギーの自給や多元化の重要性に気づき始め、太陽光など自宅で電気を生産するシステムに興味を持ち始めている。



それが理由の1つとなり、藤野では、「家庭で始めるエネルギーシフト」と銘打ったキャンペーンの一部として、参加者が太陽光パネルとバッテリーを使って家庭で発電するシステムを設置できるよう、月ごとのワークショップを開催している。



当初は、参加者が互いに教え合っていたが、このワークショップは一般に人々から広く注目を集め始め、6カ月のうちにテレビや雑誌で紹介されるようになった。現在では、ワークショップは地元住民だけでなく、増えつつあるコミュニティ外の人々にも開かれている。



2012夏までに、ワークショップで組み立てられた太陽光発電機による出力を合計すると10,000ワット以上になった。主催者は過去の参加者に、イベントを支えるのに必要な電力供給に貢献するために、自作のシステムを持ち寄るよう呼びかけている。





草の根のアプローチ



世界中でトランジション運動が足場を固めつつあるが、その理由の1つが「自分でやる」というアプローチだ。トランジション・ネットワークによると、2005年にイギリスの環境活動家ロブ・ホプキンスが始めたこの運動は、現在450の公式なトランジション構想があり、さらに、約600のコミュニティからトランジション・タウンになりたいとの応募がある。



日本だけでも、新たなトランジション・タウンを始める準備が毎週ある。こうしたこともあり、草の根のアプローチというこの運動の哲学は止むことなく続いている。気候変動への対応や石油依存からの脱却のための社会の変化を推し進めていくのは、政府でなくコミュニティだと、実践者たちは信じている。





巨大な代替エネルギーの潜在能力



一部の研究を信じるとするならば、日本は将来、化石燃料に完全に背を向け、2050年までにエネルギー需要の全体を代替エネルギーで満たす可能性がある。かなり以前だが、日独共同研究「エナジー・リッチ・ジャパン」が2003年に実施した分析によれば、上記のような結論が出ている。



この国にはうってつけの気象条件がある−日本の10,000kmの海岸線で吹く風を、海上の発電施設の助けを借りることによって、エネルギー源に変えることは可能だ。しかし、日本では現在、風力由来のエネルギーはたった0.4%だ。



それでも、日本列島は環太平洋火山帯に位置している。試掘を通して、専門家たちは2kmの深度で高温を得られることを発見したので、エネルギー需要の約3分の1を地熱エネルギーで満たすことができるだろうと確信している。





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太陽エネルギーの潜在能力が巨大なことを考えれば、日本でもこのようなことは可能だ





日本にはまた手つかずの、太陽エネルギーの巨大な潜在能力がある。太陽放射が世界平均よりも22%大きいため、国土のたった5%に太陽光発電施設を設置するだけで、国のエネルギー需要全体を十分満たすだろうと、専門家たちは推算している。



このような多様なエネルギー源を組み合わせるなどすれば、日本はエネルギー源の輸入依存を断ち切ることができるだろう−「トランジション・タウン」から「トランジション・カントリー」へと。





この記事は、ドイチェ・ヴェレの協力パートナーである OurWorld2.0 が発表した記事を元にしています。今回は、Creative Commonsによるライセンスの下、米田由利子氏の記事を引用しました。CC-BY-NC-SA-3.0-Lizenz:http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/3.0/







発表: 07.05.2013

文章: Natascha Küter, Carol Smith, Brendan Barrett/ss

編集: Sonia Phalnikar












(投稿者より)



ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。3カ月くらい前の記事になりますが、いい記事だと思ったのでご紹介します。普段は時事ネタを優先していますが、お盆休みでまとまった時間がとれました。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。



テキストの元記事になる、OurWorld2.0 の記事と、そのさらに元の記事となる米田氏(ジャパン フォー サステナビリティ)の記事は、それぞれリンクを付しておきます。



近年の国内の(そして、世界的な)社会経済的な行き詰まりに対する解決策の1つとして考えていいと思います。エネルギー問題、経済のあり方の問題、地域の人とのつながりの問題など、多くの面で示唆が得られる記事です。



トランジション藤野について、こちらがfacebookのページ、こちらがブログのページです。facebookの方が更新頻度が高いとのことです。地域のつながりのロープのような役割を果たしている、地域通貨「よろず屋」の説明はこちらです。



マガジンハウスの "colocal" サイトが、トランジション藤野の紹介をしています。「パートⅠ」「パートⅡ」「パートⅢ」「パートⅣ」まであります。



エナジー・リッチ・ジャパン」の日本語レポートはpdfファイルで読むことができます。2003年の時点で、このような提言はあったのですが、原発屋さんにも石油屋さんにも、儲かる内容ではなかったかも知れません。「温暖化という議論自体が詐欺である」という意見もあるのですが、こういったことを真面目に検討しなかったために、2011年3月、日本は途方もないツケを福島で払うことになりました。



同じ内容(だと思います)のドイツ語記事です。ドイツ語で読みたいという方は、こちらからどうぞ。



(Transition Towns: Wenn eine Stadt ein ganzes Land verändern will: Deustche Welle)

http://www.dw.de/transition-towns-wenn-eine-stadt-ein-ganzes-land-ver%C3%A4ndern-will/a-16795939