経済危機に続き、通貨戦争が起こる(DW English):阿修羅♪

経済危機に続き、通貨戦争が起こる(DW English):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/263.html



(Currency war follows financial crisis : DW English)

http://www.dw.de/currency-war-follows-financial-crisis/a-16580111





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為替



経済危機に続き、通貨戦争が起こる






2011年にブラジルの財務相が通貨戦争について最初に言及したが、いまや戦線は膠着しつつある。どの国が最も早く通貨を引き下げられるかで、日本がこのレースの新たなラウンドを始めたためだ。



「いまのところ、何の懸念もなく日本を見ることはできないと、私は言いたい」と、アンゲラ・メルケル連邦首相はダヴォスの世界経済フォーラムで語った。



連邦首相が懸念しているのは、国内のデフレを終わらせる手法として、円を市場に溢れさせようと日本が意図していることだ。印刷機の回転を上げることで、日本銀行は円を切り下げ、日本の輸出を促進している。





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政府債務が円とドルを押し下げている





通貨政策について緩和的な方針を打ち出している国は日本だけではない。米連銀はドル紙幣の束を新たに印刷することに対して、新しい名前を見つけた。量的緩和だ。金融・経済危機が始まってから、この米国の中央銀行金利をゼロ近くまで落とし、数兆ドル分の国債を買い上げた。



「危険なことは、この危機を切り抜けようとして、私たち皆が通貨政策を緩めることだ」と、ケルン大学経済政策研究所のアーヒム・ワムバッハ所長はDWに語った。





皆が苦しむ



一般に、ある通貨が下落すると他の通貨は上昇する。これはつまり、米連銀が新たに印刷したお金のために、ブラジルは苦しんできたということだ。ブラジルのレアルがこの2年間で50%価値を上げ、ブラジルの財務相は通貨戦争が進行中だと言うに至った。韓国は日銀の決定に悪影響を受けたと認識している。このアジアの両国は、自動車と電気製品を全世界に売っているが、韓国通貨ウォンが円に対して3分の1価値を上げると、韓国の多くの輸出企業は輸出が落ち込んだ。



世界第2位の経済大国・中国は、この通貨戦争の犯人でもあり、被害者でもある。中国人民銀行は、元の価値が上がらないようにするために大量の米国債を購入し、中国は輸出が急増した。いま、中国はドルの価値が溶解しつつあるのを目の当たりにしている。先進国の消費が低下に加え、いまだに高い元もまた、中国の輸出の問題を生んでいる。





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欧州中銀は多額のお金を市場に流している





ドルの価値が下がり元の価値が上がる一方で、ユーロは天井知らずだ。欧州中銀は主要金利を歴史的な低い水準に維持し、問題と格闘する国々の国債を買い取り、融資の門戸を開いているにも係わらず、ユーロ高は続いている。



コメルツバンクのアナリストであるマルコ・ワーグナー氏が説明する。「中央銀行が互いにどう行動するかを見比べる必要がある」と、同氏は語る。「欧州中銀がどれだけのお金を印刷しており、米連銀がどれだけのお金を印刷しているかだ。」



言い換えれば、この米国の中央銀行は欧州中銀に比べてかなり強引なアプローチをとっている。マリオ・ドラギ欧州中銀総裁が、共通通貨は存在し続けると約束して以降、ユーロの信用は回復した。欧州中銀はインフレを防止するために、市場に付加していた流動性を引き揚げることを計画している。この動きを、メルケル氏は讃えた。



「皆が欧州中銀のように行動すれば、世界はこれほど多くの問題を抱えずに済んだろう」と、同氏は語った。





強いユーロと共に生きることを学ぶ



当分の間、南欧各国は強いユーロに慣れねばならないだろう。外国に製品を売って収入を得ることがどうしても必要な時なのに、ユーロ高のために、その国の製品はより高価となり、輸出がより難しくなる。コメルツバンクのワーグナー氏にすれば、問題と格闘する国々のその次のステップは、為替レートと無関係のものだ。



「私たちの観点では、こうした国々は国内で減価を行う必要がある」と、同氏は語った。「つまり、こうした国々では構造改革を行わねばならない。」



痛みを伴う改革が既に実施されており、欧州中銀がこれの進捗に満足しているかを、いま、こうした国々は見守らねばならない。長期的には、危機に対する欧州のアプローチが正しいと証明され、一方、通貨切り下げという日本の道は惨事に至るかも知れない。日本の政府債務は既にGDPの230%を超えている。もし、自国のだらけた経済を日本政府が借金をさらに重ねることにより復活させようとすれば、債務のスパイラルが発生するだろうと、ワーグナー氏は語った。それはつまり、「債務の水準が上昇を続け、ある時点で民間の投資家が日本国債に背を向けるだろう。」





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ヒュンダイなどの韓国企業は、日本の政策に苦しんでいる





ワーグナー氏の話では、日本は2010年代のどこかで臨界点に達すると同氏は予測しており、米国の通貨政策変更も効果が表れていないと、同氏は付け加えた。米国経済の回復は緩慢で、失業率は8%と高い状態が続いている。



それでも、ケルン大学のワムバッハ氏は世界的な危機を克服するための世界的な協力を呼びかけており、「そうしなければ、最終的には誰も勝利できないような競争に、私たち全てが放り込まれるという、不完全な解決策しか残らない。」



このような競争は、敗者が、拡張的財政政策をとることで次の金融危機の種を蒔くか、あるいは、単に保護貿易主義の推進に走るか、という結果にしかならない。



ブラジル・韓国の両国は、国内産業に補助金を支給し、輸入関税を引き上げる政策をとった。同様の政策は十分なほど存在し、通貨戦争を貿易戦争に変えてしまうかも知れない。





発表 2012年2月7日

執筆 Zhang Danhong / sms

編集 Michael Lawton









(投稿者より)



ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。



少し前の記事ですが、問題の大局を捉えているので、周回遅れにはならないのかな、と思いました。この記事の見方が正しいかどうか、私には判断できないのですが、日本が外からどう見えるか(これはドイツの記事ですが)を知っておくのも、悪くはないと思います。