「米国のウクライナ軍事支援案が上下両院で可決された」(BBC NEWS JAPAN)

「米国のウクライナ軍事支援案が上下両院で可決された」(BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/articles/c6pyx23wxqdo





アメリカ下院、ウクライナ軍事支援案を圧倒多数で可決 近く上院でも可決の見通し







EPA

画像説明, ウクライナ支援予算案の米下院通過を喜ぶ人たち(20日、ワシントン)






2024年4月21日





アメリ連邦議会の下院(定数435)は20日、数カ月に及ぶ膠着(こうちゃく)状態が続いた挙句、ウクライナに追加軍事支援を提供するための緊急予算案を、超党派の賛成多数で可決した。数日中に上院でも可決され、ジョー・バイデン大統領が署名する見通しになっている。



野党・共和党が僅差で多数を占める下院では、ウクライナに608億ドル(約9.4兆円)の軍事支援を提供する予算案を、賛成311、反対112の賛成多数で可決した。



共和党の議員は112人が反対、101人が賛成、1人は出席したうえでの棄権。与党・民主党は、出席した議員210人全員が賛成した。



賛成派の中には、本会議場でウクライナ国旗を振る人たちもいた。



共和党内の強硬右派の一部はウクライナ支援に強く反対し、マイク・ジョンソン下院議長(共和党)を更迭しようとする動きを見せているが、ジョンソン議長はウクライナ支援の重要性を強調し、超党派合意をまとめ上げた。



この日の予算案可決を受けて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「アメリカ下院と両党、とりわけマイク・ジョンソン下院議長が、歴史を正しい道に沿って進ませようと判断したことに、感謝する」とソーシャルメディアに書いた。



「世界にとって常に、民主主義と自由は重要なもので、それを守るためにアメリカが協力し続ける限り、決して失墜しない」とも、ゼレンスキー氏は強調した。



「下院が本日可決したアメリカの支援案は不可欠なもので、戦争の拡大を防ぎ、何万人もの命を救い、両国をさらに強くする」とも、ゼレンスキー氏は書いた。



下院での採決を受けてホワイトハウスは、バイデン大統領の声明を発表。バイデン氏は「私が署名して法律として成立させられるよう」上院が支援予算案を速やかに可決するよう促し、「そうすれば我々は、ウクライナが戦場で喫緊に必要としている武器や装備をすぐに送ることができる」と呼びかけた。



これに対してロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、アメリカがウクライナに軍事援助を提供していることは「テロ活動を直接支援」しているに等しいと批判した。







Reuters

画像説明, 超党派合意をまとめた外国支援予算案の可決を受けて、報道陣を前にしたジョンソン議長(20日、ワシントン)






ロシアは2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始。昨年後半からウクライナは武器や人員などの不足から、東部や南部で苦戦を強いられている。最新防空システムの追加提供を西側に要求しているゼレンスキー大統領は、アメリカの軍事支援がなければウクライナは敗北すると再三警告していた



これに対して共和党では、強硬右派を中心に、外国に資金を送るよりもアメリカとメキシコの国境管理強化と不法移民対策を優先させるべきだとの声が高まったことから、ウクライナ支援が滞っていた



下院はこの日、ウクライナ支援のほかに、イスラエル支援に264億ドル(約4兆円)、台湾を含むインド太平洋地域に81億ドル(約1.2兆円)の支援を提供する緊急予算案を、それぞれ可決した。イスラエル支援には人道活動支援のための予算が盛り込まれている。



さらに下院は、動画投稿アプリ「TikTok」について、中国の親会社バイトダンスがアメリカでの事業を360日以内に売却しなければ、全米でアプリ配信を禁じる法案を超党派で可決した。下院は今年3月に同種の法案を可決したが、売却期限などについて上院で懸念が出ていたため内容を修正し、今回の外国支援予算案と結び付けて上院に送ることにした。





(英語記事 Ukraine Russia war: US House passes crucial aid deal worth $61bn





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https://www.bbc.com/japanese/articles/c0431xz8p9mo





【解説】アメリカの追加支援で、ウクライナはロシアの進軍を遅らせられるか







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ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領





2024年4月22日






ジェイムズ・ウォーターハウス ウクライナ特派員





ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、米連邦議会下院がウクライナに追加軍事支援を提供するための緊急予算案を可決したことについて感謝を述べた。この支援が数千人の命を救うと話した。



米下院は20日、数カ月に及ぶ膠着(こうちゃく)状態の後、ウクライナに608億ドル(約9.4兆円)の軍事支援を提供する予算案を、超党派の賛成多数で可決した。



一国の未来が政治家によって決定されることは珍しくないが、国の存亡そのものが、8000キロ以上も離れた場所での議決に左右されるというのは、異常としか言いようがない。



ウクライナにとって、この軍事パッケージを待つ半年間は、不満がたまるだけでなく、犠牲もかさむものだった。



弾薬不足によって、多くの命と領土が奪われた。



ウクライナ政府にとって朗報が少なくなっているだけに、アメリカの支援再開は大きな出来事だ。アメリカの兵器が到着すれば、苦戦するウクライナ軍は、持ちこたえるだけでなく、それ以上の成果を出せるだろう。だが、アメリカの援助は全てを解決する魔法の決定打にはならない。



では、この軍事支援はどのような意味を持つのか。



支援には防衛システムや、中長距離ミサイル、砲弾が含まれるとみられている。



ウクライナでこうした兵器が不足していたことから、ロシア軍は数百キロ平方メートル以上の領土を奪取していた。



支援が到着すればウクライナは、空からの攻撃で優位に立つロシアに挑戦できるかもしれない。補給線を妨害し、部隊の前進を遅らせることも可能かもしれない。



BBCがキーウの中心地でたまたま出会った兵士のヴィタリーさんは、前向きな材料に集中するのが重要だと話した。



「1セント1セントに意味があります」



「本当に必要だ。何もかもが。弾倉1個、1セント、前向きな考え一つ、こうしたものすべてが」







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ウクライナは西側諸国からの軍事支援に依存している






私たちが今年3月に東部ドネツク地方を取材した際、砲撃音のほとんどはロシア側から聞こえると兵士たちは話していた。コスチャンティニウカやクラマトルスクといった街は、これから起こるかもしれない事態に備えていた。今回の援助がこうした街を救うかもしれない。



支援を得ても、ウクライナがたちまち占領地域を次々と解放しロシアを押し戻せるようになるわけではない。しかし、領土解放とロシア後退という将来的な可能性の、余地を作れるようになる。



ウクライナアメリカの両政府は、アメリカの助けがなければウクライナは敗北するという認識で一致している。





「ないよりは遅れた方がまし」







「遅すぎない」「砲弾を作ってくれれば使う」 アメリカの追加支援にウクライナの人たち





雨の日曜日午前、キーウの地下鉄構内はいつでも外より暖かい。私たちはそこでマキシムさんと話した。アメリカの支援がやっと可決されたことに喜んでいた。



「本当にうれしい。これほど時間がかかったのは少し残念だが、何はともあれ、まったくないよりは遅れたほうがましです」



マキシムさんは特に、ウクライナは領土と引き換えにロシアと和平交渉をすべきかという議論が広がっていたことにいらだっている。



「ロシアは交渉などしたがらない」と、マキシムさんは理由を説明した。



「ロシアは、ヨーロッパやアメリカがこの戦争を終わらせるために考えているような、妥協は望んでいません。ロシアはすべてを欲しがっています」



私たちは、息子の手を引いて電車を降りてきたウィタさんとも話した。



「援助なしでどうやってウクライナが生き延びられますか?」と、ヴィタさんは問いかけた。



「無理です。そんな軍隊や兵器はウクライナにはありません」



それからヴィタさんは声を震わせて、「不可能です。子供たちが生き延びるために、本当に助けを必要としています。だから待っているんです」と話し、息子の方を見てうなずいた。







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ロシアのミサイル攻撃中、地下鉄駅に避難するキーウ市民(3月)






この6カ月間で明らかになったのは、ロシアの優位性だけではない。欧州がアメリカと同水準の支援を提供できないという事実も、あらわになった。



ウクライナ国立戦略研究所のミコラ・ビエレスコフ氏は、「我々は、アメリカの次の援助パッケージが通らないかもしれないという仮定について考える必要がある」と話した。



「だからこそ、イギリスや欧州大陸がウクライナの要請に見合うよう、兵器製造を拡大するかが重要です」



ウクライナの現実的な今年の目標は、このアメリカの支援によって前線を安定させることだと、ビエレスコフ氏は述べた。











西側諸国の結束が戻ってきたとはいえ、救援が実際に到着するまでには時間がかかる。それはウクライナが常に抱える問題だ。



ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、軍事費に関してこれほど多くの政治的ハードルを交渉する必要がないのは確かだ。



民主主義側の遅れは、ウクライナ国外の同盟国に限った話ではない。ウクライナ国内には、自国の戦争努力のために十分な兵士を動員するという問題がある。先には、議論を呼ぶ徴兵法が、数カ月にわたる議論と修正の末に可決されたばかりだ。



ゼレンスキー大統領にとっての現在の課題は、政治と戦闘を切り離して考えることだ。ゼレンスキー氏は今後、アメリカからの最新支援が実際に実を結ぶよう、結果を出さなくてはならないという圧力にさらされることになる。





(追加取材: ハンナ・チョルノス、サンヤラト・ドクソネ)





(英語記事 Ukraine aid package could help Kyiv slow Russia's advance





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https://www.bbc.com/japanese/articles/c8vz6g2mzevo





アメリカのウクライナ追加支援、ロシアはどう見ているのか=BBCロシア編集長







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画像説明, 米ホワイトハウス前でウクライナ支援を呼びかけるデモ参加者





2024年4月23日






ティーヴ・ローゼンバーグ、ロシア編集長





ウクライナにとって良いことはロシアにとって悪いことだというのが、ロシアがウクライナに全面侵攻を開始して以来の経験則だ。



20日にもたらされたのは、ウクライナ政府にとっての吉報だった。米連邦下院はこの日、ウクライナに608億ドル(約9.4兆円)の軍事支援を提供する予算案を可決した。



下院はまた、アメリカで凍結されたロシア資産の差し押さえと、ウクライナへの移送を可能にする法案も承認した。両法案は今後、上院で承認される。



当然のことながら、一連の可決はロシアでは評判が悪かった。



タカ派ドミトリー・メドヴェージェフ前大統領は、「血まみれの610億ドル」を非難。「21世紀の邪悪な帝国であるアメリカ合衆国に、不名誉な崩壊をもたらす」新たなアメリカ内戦の勃発を呼びかけた。



21日の国営テレビのトーク番組では、司会者のウラジーミル・ソロヴィヨフ氏が、ロシアの資産をウクライナに移送するのは「金銭的なテロリズム行為だ」と指摘した。



アメリカがこれを実行するなら、我々は議会と政府のレベルで、アメリカを金融テロリストと宣言しなければならない」と、ソロヴィヨフ氏は述べた。



その上で、ロシアと北大西洋条約機構NATO)間の戦争は「不可避」だと思うと語った。



「邪悪な帝国」や「不可避の戦争」という言葉は大げさだ。



しかし、米議会での出来事に対するロシアの反応は、「Keep Calm and Carry On(平静を保ち、普段の生活を続けよ)」という言葉に集約されるだろう。



ロシア政府高官と国営メディアは、アメリカのウクライナへの追加援助には激しく批判的ではあるものの、さまざまな言葉で、その潜在的な影響を小さく見せようとしている。





驚きはない



アメリカの追加支援に対するプーチン大統領の反応を聞かれると、ドミトリー・ペスコフ報道官は、「我々は全面的にこの事態を予想していた」と述べた。



同じ主張が、22日付ロシア政府の機関紙「ロシースカヤ・ガゼータ」の月曜版にも掲載された。 「ウクライナへの支援に関する投票がこのような結果になることは予想されていた」と。





効果はない



一方、親政府派の新聞「イズベスチヤ」は、「アメリカの援助は戦場の状況を変えない」との見出しを掲げた。



ペスコフ報道官も、「戦場の状況を大きく変えることはない」と、ほぼ一字一句、同じメッセージを伝えた。



「ロシア軍は、特別軍事作戦(ロシアのウクライナ戦争)において地位を向上させている」



「提供される資金も、その資金で提供される武器も、その動きを変えることはない。より多くのウクライナ人が殺されるだろう」





アメリカに勝利はない



ロシア政府高官と親政府メディアは、ウクライナを支援し続けることで、アメリカは負ける戦争に「引きずり込まれる」と主張している。



22日付の「イズベスチヤ」はこう問いかけている。



「思いつくままに、アメリカ軍が文句なしの勝利を収めた主な紛争を挙げられる人はいるか? ヴェトナム? イラク? アフガニスタン?」



アメリカ政府が、こうも次々と失敗に終わる軍事的逃避行に引きずり込まれるのは、時に奇妙に思える」



ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、「アメリカ政府はこのロシアに対するハイブリッド戦争に深く沈み込んでいる。この戦争もまた、ヴェトナムやアフガニスタンと同じように、アメリカにとって派手で屈辱的な大失敗に終わるだろう」と述べた。



ロシア政府のメッセージは明確だ。しかし懸念はある。アメリカの支援策はウクライナを助け、ロシアを傷つける可能性がある。



22日付の日刊紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は、近い将来、ウクライナが「(ロシア)領土の奥深く」を攻撃すると予測している。



「しかし、最も可能性が高いのはクリミアだ。そしてもちろん、クリミアの橋も」と、同紙は書いている。



ロシア本土と、2014年にロシアが不法に併合したクリミア半島を結ぶケルチ橋は、ウクライナにとって重要な標的であり、過去にも攻撃の対象になっている。



国外にあるロシアの資産がウクライナに引き渡されるのではないかという懸念もある。凍結されたロシアの資金の大半は、アメリカではなく欧州連合EU)にある。しかしロシア政府は、アメリカが欧州のために前例を作ることを望まないだろう。





(英語記事 Steve Rosenberg: Russia defiant over new US aid to Ukraine





関連トピックス メディア ウクライナ侵攻 外交 アメリカ ウクライナ ロシア 政治 法律











https://www.bbc.com/japanese/articles/c0klvl1repjo





米上院も可決 ウクライナイスラエル軍事支援の予算案が成立へ







EPA

画像説明, ウクライナ支援予算案の米下院通過を喜ぶ人たち(20日、ワシントン)






2024年4月24日





アメリ連邦議会の上院は23日、ウクライナイスラエル、台湾への軍事支援を含む総額953億4000万ドル約(約14兆7000億円)規模の予算案を79対18の、超党派の賛成多数で可決した。ジョー・バイデン大統領が24日にも署名し、成立する。



この緊急予算案は、数カ月に及ぶ膠着(こうちゃく)状態を経て、米下院で20日に可決されていた



これにはウクライナへの610億ドル(約9.5兆円)規模の軍事支援が盛り込まれている。米国防総省は「数日以内に」戦争で荒廃したウクライナへの支援提供を開始できるとしている。



バイデン大統領は23日遅くに声明を発表し、「(イスラム組織)ハマスのようなテロリストや(ロシア大統領のウラジーミル・)プーチンのような暴君から自分たちの身を守っている我々の友人たちを支援することで、わが国と世界をより安全な場所にする重要な法律だ」とし、上院を通過したことを称賛した。



上院の与党・民主党のトップ、チャック・シューマー院内総務は、「6カ月以上にわたる懸命な努力と多くの曲折を経て、アメリカは全世界にメッセージを発信する。我々はあなた方に背を向けるつもりはないというメッセージを」と述べた。



上院は2月にも同様の支援予算案を可決していたが、ウクライナへの追加支援に反対する保守派グループが下院での採決を妨げていた。下院は野党・共和党が僅差で多数を占める。



下院の与野党議員は20日、こうした反発を回避するために協力し、対外支援に加えて、西側諸国の銀行が保有するロシア資産の差し押さえ、ロシアやイラン、中国に対する新たな制裁措置、中国企業バイトダンスが所有する動画投稿アプリ「TikTok」のアメリカでの事業売却を求めることなどを盛り込んだパッケージ法案のかたちで合意に至った。



このパッケージは、弾薬や防空システムの不足でこの数カ月間苦しんでいたウクライナ軍にとって、大きな後押しになると期待されている。



ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「民主主義へ導く光として、自由な世界のリーダーとしてのアメリカの役割を強化するもの」だと評価した。



ウクライナ第2の都市ハルキウは23日、ドローン(無人機)やミサイルによる一連の攻撃に見舞われ、住宅街で2人が負傷したと当局は発表した。



ウクライナ国家警備隊のオレクサンドル・ピヴネンコ司令官は、ロシア軍が今後、国境に近い街への前進を試みることが予想されるとしている。





与野党から反対票



20日の下院での採決では、共和党議員の半数が反対票を投じた。



上院でも、新たなウクライナ支援に反対する共和党議員数人が反対した。



上院で反対した18人のうち15人は共和党議員、2人が民主党議員。もう1人は、イスラエルへの追加の武器供与に反対する無所属のバーニー・サンダース議員だった。



ウクライナの財政にこれ以上資金を注ぎ込んでも、争いを長引かせ、死者を増やすだけだ」と、トミー・チューバーヴィル上院議員共和党)は20日に述べた。



ホワイトハウスでも国防総省でも国務省でも、この戦いでの勝利がどのようなものであるかを明確に説明できる者は1人もいない」



イスラエルイスラエル・カッツ外相は、米議会の指導者たちの「イスラエルの安全保障に対するゆるぎないコミットメント」への感謝を述べた。



イスラエルアメリカは、テロとの戦い、民主主義の擁護、そして共通の価値観において、共に立ち向かう」





中国は「誤ったシグナル」と



一方、中国政府の報道官は、台湾への軍事支援について、「一つの中国の原則に対する重大な違反」であり、台湾の「独立を支持する分離主義勢力に誤ったシグナルを送る」ことになるとコメント。



「私たちはアメリカに対し、台湾をいかなる形でも武装させないことで、台湾独立を支持しないという約束を履行するための実際的な行動を取るよう求める」とした。



台湾は自らを自治権を持つ島であり、中国とは一線を画していると考えている。だが中国政府は、台湾を分離独立した省とみなしており、台湾を自国の支配下に取り戻したいと考えている。



今回可決された予算案のパッケージにはこのほか、動画投稿アプリ「TikTok」の配信を同国内で禁止できる項目も含まれている





(英語記事 Congress clears $95bn aid package for Ukraine and Israel





関連トピックス ウクライナ侵攻 アメリカ ジョー・バイデン 政治 イスラエル・ガザ戦争







―参考―










「ウクライナは今年、負けるかも知れない」(BBC NEWS JAPAN)

ウクライナは今年、負けるかも知れない」(BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/articles/c99zk4ex1l0o





ウクライナ議会、兵士動員に関する改正法案を可決 兵力の増強狙う







Reuters

キーウ郊外で演習するウクライナ軍のシベリア大隊






2024年4月12日





ウクライナ最高会議(議会)は11日、兵士の動員に関する改正法案を賛成多数で可決した。ウクライナ東部ではロシア軍が前進を続けており、ウクライナは兵力の増強を狙っている。



数カ月におよぶ議論の末に可決された改正法案は、厳しいプレッシャーにさらされているウクライナ兵の数を増やすためのもの。



法案に当初盛り込まれていた、動員された兵士は3年後に動員を解除されるとの条項は、軍の要請により削除された。



ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の署名を経て法案成立となる。



同大統領は今月初め、徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げる法案に署名するなど、ほかの複数の措置を承認した。



改正法案は、徴兵手続きの厳格化と、徴兵を逃れようとした人に対する罰則の強化も含まれている。



オレクサンドル・フェディエンコ議員は、この法案は「我々には自分たちの領土を奪還する用意があり、武器を必要としているというメッセージをパートナー国に」発信するものだと述べたと、ロイター通信は報じた。



ロシアは兵力でウクライナを上回っており、ウクライナ軍はこのところ厳しい状況に置かれている。



ロイター通信によると、ウクライナのユリイ・ソドル統合軍司令官は法案可決前に議員らに対し、兵士の数でウクライナ軍はロシア軍に1対7から1対10で劣っていると説明。



「我々は最後の力を振り絞って防衛を維持している」、「この法を通過させれば、ウクライナ軍があなた方とウクライナ国民を失望させることはない」と話した。



法案に賛成した議員は283人で、野党議員49人は棄権した。





「動員解除」条項の除外に反発



棄権した議員の一人、オレクシイ・ゴンチャレンコ氏は、兵士が動員されてから3年後に動員を解除されるとの条項を除外した法案には賛成できないと述べた。



「兵役に就いている人や、動員される可能性のある人にとっての最大の疑問は、『自分はいつまで兵役に就くのか』だ。これを抜きにして、この法が動員状況を改善するとは思えない」とゴンチャレンコ氏は述べたと、英紙フィナンシャル・タイムズは伝えた。



国会の外では改正法案から動員解除の条項を除外したことに対する抗議行動が起きた。抗議者の多くには、軍務に就いている親族がいる。



「軍務に就いている男性も女性もとても疲弊している。彼らは2年間も戦い続けてきたのに、誰も彼らの交代を計画していない」と、ある人はロイター通信に語った。



「配置転換を実現するには、新兵がどれだけの時間(前線で)過ごさなければならないのかを知る必要がある」



「動員条件があやふやということは、永久に戦うことを意味する。厳密に定義された条件がなければ入隊する人は1人もいないだろう」



国会関係者によると、動員解除をめぐる問題については今後、別の法案で検討される。



兵役逃れを防ぐ厳しい措置も、法案の最終版から除外された。



法案の主な内容は次の通り。

  • 18歳から60歳の男性を対象に、個人情報を軍当局に提出し、徴兵事務所登録書類を常に携帯することを義務付ける

  • 志願者に金銭的報酬を与える

  • 全ての新兵について、戦闘に加わる前に訓練を義務付ける。18歳から25歳(徴兵年齢以下)には基礎軍事訓練を義務付ける

  • 執行猶予付きの有罪判決を受けた人の兵役を認める

  • 海外に居住する徴兵年齢の男性を追跡する手続きを定める

  • 徴兵当局の要求に従わない人について、車両の運転を禁止する




インフラ施設に攻撃



法案可決の数時間前、ウクライナはロシア軍の激しい砲撃に見舞われた。



80発以上のミサイルとドローンが、11日未明にウクライナ各地の標的を狙った。その多くはエネルギー・インフラを狙ったもので、攻撃の3分の1近くがウクライナの防空網を突破した。



キーウ州を含む3地域における最大の電力供給源だったトリピッリャ火力発電所は完全に破壊された。



ウクライナは西側諸国に対し、さらなる弾薬や防空支援を要請している。



しかし、600億ドル規模のアメリカの軍事援助パッケージは、連邦議会下院で野党・共和党の反対を受けて数カ月にわたり棚上げされている。





(英語記事 Ukraine war: MPs pass long-awaited law to boost troop numbers





関連トピックス ウクライナ侵攻 ウクライナ ロシア 欧州 東欧 政治 軍隊











https://www.bbc.com/japanese/articles/c51nml7rvvko





ウクライナは今年、負けるかもしれないと英軍元司令官 それはどのように







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ウクライナは2年間、ロシアの全面侵攻に抵抗してきた






2024年4月13日





フランク・ガードナー BBC安全保障担当編集委員





英統合軍の元司令官、サー・リチャード・バロンズは、ウクライナが2024年にロシアに対して敗北するかもしれないとBBCに話した。



バロンズ将軍は、ウクライナが今年負ける「深刻なリスク」があるとBBCに述べた。「自分たちは勝てないと、ウクライナが思うようになるかもしれないからだ」と、将軍は理由を説明した。



「その状態にウクライナが達した時点で、守り切れないものを守るだけのために戦い、死ぬことを、大勢が望むだろうか」



ウクライナはまだその状態に達していない。



しかし、ウクライナ軍の持つ砲弾や人員や防空能力は、危機的な状態まで枯渇(こかつ)しつつある。大いに期待された昨年の反転攻勢は、ロシア軍を占領地域から追い出すには至らず、ロシア政府は今や今年夏の攻勢に向けて準備を本格化させている。



では、ロシアの夏の攻勢はどういうものになるのか。その戦略上の目的は、何になるのか。



「想定されるロシア軍の攻勢がどういうものになるのか、それはかなりはっきりしている」と、バロンズ将軍は言う。



「前線のロシア軍は銃弾、砲弾、人員の数で5対1の比率で相手に勝っている。それに加えて、新しめの兵器の導入で、優勢が強化されている。これを利用してロシア軍は徹底的に(ウクライナ軍を)たたいている」







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ウクライナ軍は現在、深刻な兵器不足に直面している。西側諸国での政治駆け引きもこの一因となっている






「新しめの兵器」には、FAB滑空爆弾も含まれる。旧ソヴィエト連邦時代の無誘導爆弾を改良したもので、安定翼やGPS誘導装置を備え、爆薬1500キロを積み、ウクライナ軍の防衛態勢を大混乱に陥れている。



「今年の夏、ロシア側がある時点で、大規模な攻勢を仕掛けると予想される。わずかに相手をたたいて前進するだけでなく、ウクライナ軍の前線を本格的に突破しようとするかもしれない」と、バロンズ将軍は話す。



「もしそうなれば、ロシア軍が突破侵入し、ウクライナ軍がそれを阻止できない位置までウクライナ領内に入り込み、それを拠点にして利用しようとするかもしれない」



しかしそれはどこなのか。



ロシア軍は昨年、ウクライナがどこから攻めてくるか、正確に予想していた。南部ザポリッジャからアゾフ海を目指す方向だ。これを正確に予想し、適切に備え、そしてウクライナの前進阻止を成功させた。



今度はロシアが攻勢に転じる番だ。ロシアは軍勢を集約しているが、次の攻撃局面がどこになるのかウクライナ政府は推測するしかない状態だ。











イギリス王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員、ジャック・ワトリング博士は、「どこに部隊を集中させるか、ロシアには選択の余地がある。これはウクライナが抱える難題のひとつだ」と説明する。



「前線はとても長い。そしてウクライナはそのすべてを防衛しなくてはならない」



もちろんそんなことは無理だ。



ウクライナ軍は地歩を失うことになる」と、ワトリング博士は言う。「問題は、どれだけ失うのか。そしてどの人口密集地がそれによって影響を受けるのか、だ」。



ロシア軍の参謀本部が、どの方向に勢力を集めるのかまだ決めていない可能性もかなりある。しかし、大まかに言って、3つの場所が可能性として考えられる。





ハルキウ



ハルキウはもちろん、かなり危険な状態にある」と、ワトリング博士は言う。



ロシアとの国境に危ういほど近いウクライナ第二の都市は、ロシア政府にとって魅力的な目標だ。



現在は連日、ロシアのミサイルに砲撃されている。ドローン、巡航ミサイル弾道ミサイルという殺傷力の高い組み合わせを阻止できるほどの防空力が、今のウクライナにはない。







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ロシアはドローンやミサイル、砲弾でハルキウを連日攻撃している






「今年の攻勢は、ドンバス地方から飛び出すことを第一目標にすると思う」と、バロンズ将軍は言う。「そして、ロシア国境から約29キロにあるハルキウを手に入れられれば、大きな成果となる。それだけに、ロシア軍はハルキウに注目しているだろう」。



もしもハルキウを失ったとして、ウクライナはまとまった単一国家として機能し続けられるだろうか。それは可能だと、多くの専門家は言う。しかしそれでも、国民の士気と国の経済にとって、悲惨な打撃になるはずだ。





ドンバス



「ドンバス」と総称されるウクライナの東部地域は、2014年以来ずっとロシアと戦っている。ロシア政府に後押しされた独立勢力が当時、「人民共和国」を自称して以来のことだ。



2022年にはロシアが、この「ドンバス」を構成するドネツク州とルハンスク州の両方を違法に併合した。この1年半というもの地上戦のほとんどは、この地域で行われてきた。



ウクライナはこのドンバス地方で、まずはバフムート、続いてアウディイウカという二つの町を失わないようにするため、膨大な人員や資源を防衛戦につぎ込んだ。



その作戦には異論も多く、結果的に両方の町だけでなく、ウクライナ軍有数の優れた兵士を多く失った。



そうした批判に対してウクライナ政府は、自軍の徹底抗戦によってロシア軍は不相応なほど多くの兵士を失ったと反論している。



それも事実だ。この地域での戦場は「肉ひき機」とまで呼ばれている。



しかし、ロシア側には戦場に送り込める兵士がまだまだ大勢いる。ウクライナ側にはいない



アメリカ欧州軍のクリストファー・カヴォリ司令官は10日、米下院軍事委員会で証言し、アメリカがウクライナへの兵器・砲弾供給をかなり急がなければ、ウクライナ軍は戦場で10対1の劣勢に立たされると警告した。



物量は重要だ。ロシア軍は戦術も指揮系統も装備も、ウクライナ軍のそれに劣るかもしれない。しかし、(砲弾の数を含めて)数字の上であまりに優勢なので、たとえ今年ほかに何もしなかったとしても、ウクライナの村をひとつまたひとつと制圧し、ウクライナ軍を西へ西へと後退させることは最低限のデフォルトとして可能だ。





ザポリッジャ



ここもまたロシア政府にとって、魅力的な手柄だ。



ウクライナ南部ザポリッジャは、平時の人口は70万人以上。そして、ロシアの前線に危険なほど近い。



ザポリッジャはロシアにとって厄介なとげでもある。違法に併合したザポリッジャ州と同じ名前の州都だが、それでもいまだにウクライナ領で、住民は自由に暮らしているからだ。



しかし、ロシア軍自身が昨年、ウクライナ軍の攻勢ルートを正確に予測してザポリッジャ南部に強大な防衛線を築き上げたことが、今ではロシア軍の前進を難しくしている。



三重に設置された防衛線からなる、いわゆる「スロヴィキン・ライン」の周辺には世界最大の地雷原が広がる。今や世界で最も徹底的に地雷が敷設された場所だ。ロシアはこれを部分的に解体することもできるが、そうした準備作業はおそらく探知される。







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ウクライナは今や、世界で最も多くの地雷が敷設された場所のひとつだ






ロシアの今年の戦略目標は、領土ですらないかもしれない。ただウクライナの戦意を喪失させ、ウクライナ敗戦はもはや決まったも同然だと西側諸国を説得さえすれば、ロシアにはそれで充分なのかもしれない。



「もはや望みはないという感覚を生み出すこと」がロシアの目標だろうと、ワトリング博士は考えている。



「今年のロシアの攻勢で、双方がどうなるとしても、この紛争を決定的に終結させるようなものにはならない」と博士は言う。



バロンズ将軍も同意見だ。確かにウクライナ軍はいま厳しい状況にあるが、ロシア軍がその優勢をてこに決定的な前進を果たせるかどうかは疑わしいと、将軍は見ている。



「ロシアは一定の戦果を得るものの、突破はできないというのが、おそらく最もあり得る結果だと思う」と将軍は話す。



「(ドニプロ)川まで一気に前進できるだけの、規模と能力の部隊はロシア側にない。(中略)それでも戦況はロシア有利に転じることになる」



確かなことがひとつある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ侵攻をやめるつもりなどまったくない。







ロシアのウクライナ全面侵攻、2年間を振り返る プーチン氏はさらに安泰か





ポーカーの勝負で、手持ちのチップをすべてかけているプレイヤーのようだ。ウクライナが防衛に必要な装備を、西側は提供しない――それがプーチン氏にとって頼みの綱なのだ。



北大西洋条約機構NATO)でどれだけ首脳会議が開かれても、どれだけあちこちで会合が開かれ、感動的な演説が相次いでも、プーチン氏の計算通りになる可能性がある。





(英語記事 Ukraine could face defeat in 2024. Here's how that might look





関連トピックス ウクライナ侵攻 ウォロディミル・ゼレンスキー 外交 イギリス ウクライナ ロシア 欧州 軍隊









(投稿者より)



この戦争は本質的には英米のDS勢力とロシアとの代理戦争です。イギリス側から敗戦の可能性について指摘が出たことは大きな意味を持つと考えました。






「ガザの戦争:イスラエルとイランの直接対決が始まる」(BBC NEWS JAPAN・Pars Today)

「ガザの戦争:イスラエルとイランの直接対決が始まる」(BBC NEWS JAPAN・Pars Today)









BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/articles/c51dvn7l6lko





シリアのイラン大使館領事部に空爆、死者多数 イスラエルを非難







Reuters

イラン大使館の隣にある領事部が攻撃され破壊された






2024年4月2日





ジェレミー・ボウエン国際編集長(イスラエル北部)、デイヴィッド・グリテン(ロンドン)、BBCニュース





イランの革命防衛隊は1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部がイスラエルによって攻撃され、将官7人が死亡したと発表した。



シリア国防省によると、イスラエルの航空機が1日午後5時ごろ、同国が占領するゴラン高原方面からイラン領事部の建物を攻撃した。領事部は大使館の隣で、ダマスカス西部メゼ地区の高速道路沿いにある。



発射されたミサイルの一部はシリアの防空システムが撃ち落としたが、他のミサイルが「建物全体を破壊し、中にいた全員が死傷した」という。



現場ではがれきの中から遺体を回収し、負傷者を救出する作業が進められているという。同省は犠牲者の人数や身元は明らかにしていない。



報道などでは、精鋭コッズ部隊の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将と、その副官のモハマド・ハディ・ハジ=ラヒミ准将の名前が死者に含まれているとされる。



イラン領事部の建物は攻撃で破壊された。イランとシリアの両政府はこの攻撃を非難した。



イスラエル軍は、外国メディアの報道にはコメントしないとした。



イスラエルは近年、イランや革命防衛隊から武器や資金、訓練などを提供されている武装グループとつながりがっているとするシリアの標的を何百回も攻撃していることを認めている。







シリアのイラン公館に空爆、軍高官の死者多数 激化続く紛争





そうしたイスラエルの攻撃は、昨年10月にガザで戦争が始まってから強まっているとされる。イスラエル北部には、レバノンイスラムシーア派武装組織ヒズボラや、イランが支援する他のグループがレバノンやシリアから国境をまたいだ攻撃を実施しており、イスラエルはそれに対応しているとされる。



しかし、1日の攻撃が深刻な激化と受け止められるのは必至。



イスラエルは、イランとその協力国の決意を試すとともに、敵対する国々への圧力を真剣に強める姿勢を示していると思われる。



イスラエルは、イランとヒズボラがこれまで、一部で予想されていたほど強い攻勢に出てこなかったことに着目。今回、イランとヒズボラが反撃に出るかを見定めるとみられる。



何らかの反応は予想されるが、大勢が思うようなものにはならない可能性がある。ミサイル攻撃ではなく、ある種のサイバー攻撃もあり得る。







Reuters

イラン大使館(左)には被害がなかったとみられる






攻撃現場の写真や映像では、倒壊した数階建ての建物の残骸から煙と粉じんが立ち上っているのが見えた。隣のイラン大使館には大きな被害はなかったとみられる。



イランのホセイン・アクバリ駐シリア大使は、イスラエルF-35戦闘機が「私の居住場所と大使館の領事部、イランの駐在武官を残忍に襲った」と述べた。また、外交官を含む5~7人が殺害されたと、イラン国営テレビに話した。



その後、革命防衛隊は将官7人が殺害されたとする声明を発表。司令官であり「幹部軍事顧問」のザヘディ氏とハジ=ラヒミ氏が死者に含まれているとした。



イランのメディアによると、ザヘディ氏は63歳。革命防衛隊で国外作戦を担当するコッズ部隊の幹部で、2008~2016年にレバノンとシリアで司令官を務めた。ハジ=ラヒミ氏はザヘディ氏の副官とされる。



ザヘディ氏は、イスラエルの長期にわたる暗殺活動によって殺害されたとみられるイラン人としては、最も有名な1人となった。











イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団」は、コッズ部隊の高官1人、イラン人顧問2人、革命防衛隊の隊員5人の計8人が殺害されたと報告した。同NGOはシリア国内のネットワークから情報を得ている。



シリアのファイサル・メクダド外相は、「この凶悪なテロ攻撃」を強く非難するとし、「罪のない多くの人々」が殺されたと言い添えた。



イラン外務省によれば、同国のホセイン・アミール=アブドラヒアン外相とシリアのメクダド外相が電話で協議した。アミール=アブドラヒアン氏は、今回の攻撃を「すべての国際的なおきてと条約への違反」だとし、「この行動の結果の責任は(イスラエルの)シオニスト政権にあると非難した」という。



同氏はまた、「国際社会による真剣な対応が必要だと強調した」という。



アメリカ政府の報道官は、ジョー・バイデン大統領が今回の攻撃の情報を承知していると述べた。



イスラエル軍報道官のダニエル・ハガリ少将は1日の記者会見で、イスラエル南部エイラートの海軍基地にドローン(無人機)によるものとみられる攻撃があったとし、「非常に深刻な事案」だと述べた。ドローンについては「イランが作り操作した」とした。



シリアのダマスカスと北部アレッポでは3月29日にも、イスラエルによるとみられる攻撃があった。シリア人権監視団は、この攻撃でシリア軍兵士38人とヒズボラのメンバー7人を含む計53人が殺害されたとした。



1月にもダマスカス西部メゼ地区でイスラエルによるものとされる攻撃があり、革命防衛隊の幹部5人とシリアの治安要員数人が殺害された。



イスラエルはこれまでに、イランの「軍事的定着」や、テロ組織に指定しているグループにイラン製の武器が輸送されていることに対抗するためとして、シリアで空爆を実施したことを認めている。



イランは、内戦中のシリアのバシャール・アル・アサド大統領の軍に「助言」するために革命防衛隊をシリアに派遣したとしている。だが、戦闘への参加や基地を設置は否定している。





(英語記事 Israel accused of deadly strike on Iranian consulate in Syria





関連トピックス 中東 イスラエル イラン シリア 軍隊











BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/articles/cl5qly7j7w5o





ガザのアル・シファ病院、イスラエルの作戦で廃墟に 多数の遺体発見か







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大きく破壊されたパレスチナ自治区・ガザ市のアル・シファ病院






2024年4月2日





イスラエル軍が2週間にわたる作戦の末に撤収したパレスチナ自治区ガザ地区北部のアル・シファ病院は、主要医療施設のほとんどが廃墟と化した。イスラム組織ハマスが運営する保健当局は1日、数十人の遺体が見つかったと発表した。



現地住民らは、アル・シファ病院の周辺地域は壊滅状態だとしている。



イスラエル軍は、同病院での作戦で「テロリスト」200人を殺害し、900人超を拘束したと発表。拘束した人のうち500人以上はハマス武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」の関係者だとした。また、「病院全体」から武器と情報が見つかったとした。



イスラエル軍が引き揚げた後に公開された画像には、黒く焦げて壁に穴が開いた主要棟の近くを歩いたり、毛布に包まれた遺体を運んだりしているパレスチナ人らが写っていた。黒焦げの地面に遺体の一部が露出している写真もあった。



ガザ保健当局は、同病院が「全く機能していない」と説明。院内と周辺では数十体の遺体が見つかっており、中には腐敗しているものもあるとした。



医師の1人は、これまでに遺体20体以上が収容されたとし、一部は撤収するイスラエル軍の車両に押しつぶされたとAFP話した通信に話した。



ハマスが運営するガザの市民緊急サービスの広報担当は、イスラエル軍が病院の敷地をブルドーザーで掘り起こし、埋葬されていた遺体を掘り出したと述べた。



ハマス政府のメディア対応部門は、イスラエル軍がアル・シファ病院と周辺地域で400人のパレスチナ人を殺害したとした。女性医師とその息子の医師も殺されたとした。







Reuters

アル・シファ病院ではイスラエル軍の撤収後、多数の遺体が発見されているという






一方、イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、同軍が「患者、医療スタッフ、周辺の民間人を一人も傷つけないよう特別な努力」をしたと主張。「院内に残っていた患者に医薬品と水を提供した」と述べた。



同軍はこれよりも前に、「病院全体から大量の武器や秘密情報の文書を発見し、テロリストと遭遇して接近戦となった。医療スタッフや患者に危害が及ばないようにした」と説明していた。



世界保健機関(WHO)は3月31日夜、アル・シファ病院で患者21人の患者が死亡したと発表。患者らはたびたび移動を強いられ、治療を受けられない状態に置かれていたとした。



同病院のアミラ・アル・サファディ医師は、集中治療室にいた16人ほどが移動後、治療を受けられずに死亡したとBBCのラジオ番組で話した。その3日後、イスラエル軍は医療スタッフに、遺体を外に埋めるよう言ったという。



患者のバラ・アル・シャウィシュさんは、イスラエル軍が「ごく少量の食べ物」だけ搬入を認めていたとロイター通信に証言。「治療も薬も何もなく、爆撃が24時間やまず、病院は大きく破壊された」と話した。



BBCイスラエル軍にコメントを求めている。







Reuters

ガザ最大の病院だったアル・シファ病院は完全に機能不全に陥っていると、ガザ保健当局は説明している






ガザ市にあるガザ最大のアル・シファ病院は、3月17日夜にイスラエル軍が襲撃した。同軍は、「ハマスのテロリストらがアル・シファ病院内で再編成された」とし、病院が攻撃の拠点として使われていることを示す情報があると主張した。



ハマスは病院を利用したことはないとしている。



イスラエル軍を支持する人々は、今回の作戦は敵に奇襲攻撃を仕掛けて大打撃を与える戦術の成功を示すものだと評価している。軍報道官は以前、この作戦を「これまでで最も成功した作戦のひとつ」だと述べていた。



しかし、一部のコメンテーターは、2度目となった今回のアル・シファ病院への攻撃は、イスラエルの軍事戦略の欠陥を浮き彫りにするものだとしている。その理由として、ガザ北部からイスラエル軍が引き揚げた後に、ハマスとPIJが容易に再編成できたとしている。







EPA

アル・シファ病院の周辺地域では建物の大部分が破壊された






ガザ保健当局は1日、ガザ南部ハンユニスのナセル病院を再開させるため、国際的な支援が必要だと呼びかけた。南部最大のこの病院は、2月にイスラエル軍が襲撃してから機能していない。



ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃。イスラエルは約1200人が殺害され、253人が人質に取られたとしている。人質のうち約130人は今も拘束されており、少なくとも34人は死亡したと推定されるとしている。



ガザ保健当局は、イスラエルの軍事作戦により、これまでに3万2800人以上のパレスチナ人が殺され、約7万5000人がけがを負わされたとしている。死者の7割は女性と子どもだという。





(英語記事 Gaza's al-Shifa hospital in ruins after two-week Israeli raid





関連トピックス イスラエルとパレスチナ イスラエル 医療 パレスチナ自治区 イスラエル・ガザ戦争 軍隊











(Pars Today)

https://parstoday.ir/ja/news/middle_east-i124062





イスラエルというならず者は制御できるか? イランと抵抗勢力に世界が注ぐ視線





4月 14, 2024 15:27 Asia/Tokyo







イラン・イスラム革命最高指導者ハーメネイー師は、イスラエルアメリカの鎖につながれた野犬にたとえている





6カ月以上にわたって続くイスラエルによるガザ攻撃に対する各国や国際機関の対応の鈍さには、信じがたいものがあります。こうした消極姿勢がイスラエルをますます増長させる結果となっています。イスラエルは根本的に植民地主義勢力であり、その解体は国際社会にとって必須のことです。





この6カ月間のガザ攻撃で、3万3000人以上の殉教者と7万5000人以上の負傷者、およそ7000人の行方不明者と甚大な破壊をもたらしたイスラエル軍が、今月1日になって在シリア・イラン大使館を空爆したことは、様々な観点から検討するに値します。今回の事件はガザ戦争の局面を変え得るものでもあります。イスラエルはこの4月1日という日に、ジュネーブ条約ウィーン条約国際刑事裁判所に関するローマ規程に一度に違反したのです。



大使館空爆を行った1日の朝、イスラエルは2週間にわたったガザ・シファー病院の包囲作戦を「成功裏に」終了したと発表しました。シファー病院はイスラエル軍による包囲・攻撃で完全に破壊され、もはや病院としての機能を失い、人間の墓場と化しました。







イスラエル軍による攻撃を受けたガザ・シファー病院



イスラエル軍の撤退後、同病院からは手足を拘束された遺体や虐待の痕がある遺体、爆破により切断された遺体、イスラエル軍の戦車に轢かれたと思われる遺体などが多数見つかりました。また、映像からは、同病院が食糧支援などがされないままイスラエル軍により包囲されていたことが明らかになりました。



イスラエル軍がシファー病院への攻撃で、病院内にいた患者や医療関係者、ジャーナリスト、避難民などを殺害したことは、1949年のジュネーブ条約への明らかな違反です。



イスラエルによるイラン大使館空爆では、大使館内にいたイラン革命防衛隊の幹部ら7名が殉教しました。この攻撃は、シリアに対する主権侵害であるだけでなく、外交施設内にいたイラン市民に対するテロ攻撃でもあるのです。



イスラエルはこの6カ月間の戦争で、少なくともシリア、レバノン、イランの3カ国の主権を侵害しました。



4月1日の攻撃は、ウィーン条約への違反にあたります。同条約では、外国にある大使館などの外交施設の安全が定められています。こうしたイスラエルの行為に対し何ら措置を講じずにいれば、重大な結果を招くことになります。







イスラエル軍による空爆を受けた在シリア・イラン大使館





イスラエル軍はイラン大使館を攻撃したのと同日、ガザで食糧支援にあたっていた民間支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」(WCK)の車列を空爆し、同団体のスタッフら7名を殺害しました。WCKの車列が現場を通過することは、事前にイスラエル側とも調整済みでした。



WCKの担当者は、イスラエル軍が車列を1台ずつ正確に狙って攻撃したと語りました。



国連の担当者も、「昨年10月にイスラエルハマスの戦争が始まって以来、200人以上の人道支援スタッフが殺害された」と語っています。イスラエル軍がこうした支援団体を攻撃対象とするのは、ガザのパレスチナ住民を意図的に飢餓に陥れ、その対パレスチナ差別政策を継続することが目的であることは間違いありません。



こうしたイスラエルの行動は、国際刑事裁判所に関するローマ規程で定められた戦争犯罪に該当します。







ワールド・セントラル・キッチンの車列に対するイスラエル軍による攻撃





この4月1日にはさらに、イスラエル議会(クネセト)がいわゆる「反アルジャジーラ法」を可決し、同局の活動を禁止することを可能にしました。この法律は、名称こそアルジャジーラとなっていますが、それ以外のあらゆる海外メディアも対象となります。



イスラエルはそれ以前から、ジャーナリスト147名やその家族らをガザで殺害しており、この反アルジャジーラ法はそうした自らの戦争犯罪が報道されることを妨害する狙いがあると言えます。







ガザでイスラエル軍による攻撃で殉教したジャーナリスト





米バイデン政権は最近も、イスラエルに対して爆弾や戦闘機など25億ドル相当の武器支援を承認しており、その中には200ポンド級のMK84爆弾1800発や500ポンド級のMK82爆弾500発も含まれています。



米政府はこれ以外にも、戦闘機50機、空対空ミサイル30発、弾薬など18億ドル相当の支援をイスラエルに提供するため、議会に承認を迫っています。



1日の間に病院を破壊し、他国の大使館を攻撃し、人道支援団体を空爆し、海外メディアを規制し、それでいてその戦争犯罪は覆い隠され、アメリカから支援を得られるのは世界中を見渡してもイスラエル以外にありません。これは一体、どのように説明できるのでしょうか?







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タグ イラン シオニスト政権イスラエル イスラエル イスラエルのガザ攻撃 ガザ











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イラン、イスラエルにドローンやミサイル発射 米軍が支援し「ほとんど」迎撃とバイデン氏







Reuters

画像説明, イランがイスラエル方面にドローンやミサイルを発射したのに対応し、イスラエルのミサイル迎撃システムが作動した(14日、イスラエル・アシュケロンから)






2024年4月14日





イランは現地時間14日未明、イスラエルに向けてドローンやミサイルを発射した。シリア・ダマスカスのイラン公館が4月1日に攻撃されたことへの反撃が、近く起きると予想されていた。イランが自国内からイスラエルを直接攻撃するのは、今回が初めて。イスラエルとイランの直接対決から中東全域を巻き込む地域戦争に拡大する危険が、広く懸念されている。



イスラエル国防軍のダニエル・ハガリ報道官は日本時間9時過ぎの時点で、イランがイスラエルに発射したドローンやミサイルは200以上だとテレビ放送された声明で明らかにした。



ガリ少将によると、イランは殺人ドローン、巡航ミサイル弾道ミサイルイスラエルに撃ち込んだ。イスラエルの防空システムと地域の同盟諸国がミサイルやドローンの「大多数」をイスラエル領の外で撃墜したという。



イランとイスラエルの間の距離は、約1800キロ。イランによるドローンやミサイル発射の情報を得て、イスラエルレバノンイラクは領空を封鎖。シリアとヨルダンは防空システムを警戒態勢にした。



エルサレムで取材するBBCのヒューゴ・バシェーガ中東特派員は、「エルサレムでは現地時間午前1時45分ごろ(日本時間同7時45分ごろ)、空襲警報が鳴り始めた。防空システムがエルサレム上空で複数の飛来物を撃墜し、大きな爆発音が聞こえた。迎撃は複数回続き、そのたびに夜空が明るくなった」と報告した。



イランの革命防衛隊は声明で、この夜の攻撃は、在シリアのイラン大使館攻撃を含むイスラエルによる「度重なる犯罪」に反撃するものだと追認。作戦名は「真の約束」作戦だと明らかにした。攻撃の内容については、空軍がイスラエルの「特定の標的に数十のミサイルやドローン」を発射したという説明にとどまっている。



アメリカのジョー・バイデン大統領は日本時間14日朝、「イランによるイスラエル攻撃の最新状況について、安全保障担当チームとたったいま会合を開いた。イランとその代理勢力がイスラエルを脅かすなか、イスラエルの安全保障を重視する我々の姿勢は鉄壁だ」と、ソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」に書いた。



さらにその後、バイデン氏はイスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話で会談したうえで、イランによる攻撃を「最大限の強い表現で非難する」と声明を発表。「イスラエルに向かうドローンやミサイルのほぼすべてをイスラエルが撃墜」する上でアメリカ軍がそれを支援したと述べた。



大統領は、「先週にかけて」米軍機や弾道ミサイル撃墜のための爆撃機を地域に移動させるよう命令していたのだと明らかにした。



さらにバイデン氏は、主要7カ国の首脳と14日に協議し、イランの攻撃に対する「まとまった外国的な対応を調整する」とも述べた。



国連の安全保障理事会は14日夕に、イスラエルの要請を受けて、今回の攻撃について緊急会合を開くことになった。



BBCのリーズ・ドゥセット主任国際編集委員は、今回の攻撃がイランの代理勢力ではなく、イランそのものによる点の重要性を強調。「イランとイスラエルは何十年も隠然と戦ってきたが、イランが自国内からイスラエルを直接標的にするのは、これが初めてだ」と指摘し、中東情勢が「予測が難しく、リスクにまみれた未知の領域」にさしかかったと説明する。





「危険なエスカレーション」「これで決着」



イスラエルのハガリ少将は、「イランがイラン領内からイスラエル国家に対して、直接攻撃を実施した」と発表。「イランがイスラエルに送り込むイランの殺人ドローンを、我々は注視している。これは重大で危険なエスカレーション(事態の激化)だ」と、ハガリ少将は述べた。



少将によると、イランの複数のミサイルがイスラエル領内に着弾し、一カ所の軍事施設は軽度の損傷を受けた。具体的にどの軍事施設なのかは、明らかにしなかった。人的被害については、今のところ1人が負傷したという報告しか受けていないと述べた。



負傷者についての詳細を少将は説明しなかったが、イスラエルの救急当局はこれに先立ち、南部アラドで10歳の女の子が落下する破片で負傷し、手当てを受けていると明らかにしていた。



イランの国連代表部は「X」でイスラエルへの攻撃について、自衛権を規定した国連憲章第51条に基づいたものだと説明。今月1日の在シリア・大使館攻撃について、「イランの軍事行動は、シオニズム政権がダマスカスで我々の外交施設を侵略したことへの反応だった。この件はこれで決着したとみなすことができる」と述べた。



そのうえで同代表部は、「仮にイスラエルの政権がまた過ちを犯すならば、イランの反応は今回よりもはるかに厳しいものになる。これはイランと、ならずもののイスラエル政権との紛争であって、アメリカは近寄ってはならない!」と強調した。



イランは、軍幹部が死亡した4月1日の在シリア・イラン大使館施設への攻撃イスラエルによるものだったと見ている。そのため、イランが報復攻撃を仕掛けるのではという懸念が高まっていた。



イスラエルは、イラン大使館への攻撃を認めも否定もしていない。



イランによるドローン攻撃が発表される直前、イスラエルのネタニヤフ首相は、自国の「防衛システムは作動」していると述べ、「防御でも攻撃でも、我々はあらゆるシナリオに備えて準備ができている。イスラエル国家は強い。イスラエル国防軍は強い。国民は強い」と強調していた。





高度の防空システムに安価なドローンを大量に



イランは今回、イスラエルの高度な防衛システムに安価なドローンを大量にぶつけることで機能不全に陥らせた上で、自国の巡航ミサイルが標的に到達しやすくなるよう、攻撃を組み立てたようだと、BBC番組「ニューズナイト」のジョー・インウッド国際担当編集委員は説明する。



イギリスの防衛コンサルタント会社「シビライン」のアナリスト、ジャスティン・クランプ氏は、これはほかでも実施されている戦術だと解説した。



「イランはウクライナで学んだことを参考にしているようだ。ウクライナでも同じように、相手の防空システムを圧倒するため、巡航ミサイル弾道ミサイルとドローンが組み合わせて使われている」



イスラエルの強力な防空システムを突破するには、兵器の質だけでなく量も必要だとイランは判断したようだと、クランプ氏は話す。



ただし、この作戦が成功するとは限らないとも、クランプ氏は言う。「イスラエルウクライナではない。アメリカ軍と、おそらくイギリス軍機が、迎撃を支援している。イスラエル空軍もきわめて有能だし、イスラエルにはさまざまな対ミサイル防衛システムがある。これを圧倒するのは難しい」。





【解説】やられたらやりかえす……全面的な地域戦争に至る恐れ――フランク・ガードナーBBC安全保障担当編集委員



イスラエル対イランとその代理勢力――という構図で長いことくすぶっていた紛争がいつか、片方の国が相手を直接攻撃することで、一気に激化(エスカレーション)するのではないかと、これこそ誰もが恐れていた展開だ。



もう2週間近く、イランの安全保障当局は4月1日にシリア・ダマスカスで起きた自国公館への攻撃にどう反応すべきかを、検討し続けていた。ダマスカス攻撃ではイラン軍幹部が数人殺されており、イスラエルによるものと広く受け止めらていた。



イランの在外公館とはつまりイラン領だ。これを攻撃し全壊させるほどの大規模なエスカレーションには、エスカレーションで応える必要があると、イランがそう判断したのは明らかだ。



イスラエルは何重にも重なる防空態勢を備えている。そして、自国領土への攻撃には反撃すると誓っているし、そうするはずだ。



やられたらやりかえすというこの攻撃と反撃の応酬が、中東地域全体を巻き込む全面戦争にエスカレートする危険が迫っている。それこそが、昨年10月7日にイスラム勢力ハマスイスラエルに奇襲攻撃を実施して以来、中東各国の政府が恐れてきた状況だ。





(英語記事 Israel's Netanyahu says defences are 'ready' as Iran attacks





関連トピックス 中東 イスラエル イラン シリア イスラエル・ガザ戦争 軍隊









BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/articles/cmj6d6x7p60o





イスラエルがイランを攻撃か、中部イスファハンなどで爆発







イスファハン住民が撮影した動画より





2024年4月19日





イスラエルが19日早朝、イランを攻撃したと、BBCアメリカで提携するCBSニュースが、アメリカ当局の話として報じた。



NBCとCNNは、複数の匿名アメリカ政府筋の話として、イスラエルは今回のイランへの攻撃について、事前にアメリカ政府に通知していたと報じた。「(イスラエルによる)その反応を我々は支持しなかった」と、CNNは米政府筋の話として伝えている。



CBSニュースによると、アメリカの政府高官2人が、イスラエルのミサイルがイランを攻撃したことを認めた。



米政府高官2人は、攻撃はイスラエルからだとメディアに語ったが、イスラエルは今のところ自分たちによるものとは認めていない。



しかしその後、イランの宇宙機関関係者がミサイル攻撃はなかったと、ソーシャルメディアで直接否定した。



ホセイン・ダリリアン 氏は、「中部イスファハンやその他の地域に対する国境外からの空からの攻撃はない」と説明。「イスラエルは クアッドコプター(無人機)を飛ばそうという屈辱的な試みで失敗しただけだ。クアッドコプターも撃墜された 」と述べた。



また、ロイター通信はイラン高官の話として、「イランはイスラエルに対して直ちに報復する計画はない」と報じた。



この高官は匿名を条件に、「事件に関する国外の情報はまだ確認されていない。我々は外部からの攻撃は受けておらず、攻撃というより侵入の方向に議論が傾いている」と語った。



ロイター通信は、イラン国営テレビの報道内容として、現地時間午前3時ごろに、イスファハンの上空で3機のドローン(無人機)が観測され、同国の防空システムが作動したと伝えている。防空システムがドローンをいずれも破壊したという。



これに先立ち、イランのファルス通信は、イスファハンの国際空港付近で「爆発音」が聞こえたと報じていた。



イスファハン州には、大規模な空軍基地、主要なミサイル製造施設、いくつかの核施設がある。



イラン国営放送IRIBは、「信頼できる情報筋」の話として、イスファハンの核施設は「完全に無事」だと伝えている。



また、イランの最高国家安全保障会議(SSC)の報道部が「緊急会議が開かれたという外国メディアの報道を否定した」と報じた。







Tasnim News Agency

画像説明, イラン革命防衛隊に近いタスニム通信は、「イスファハンの核施設は完全に無事だ」とする動画を投稿した。写真はその動画より






国際原子力機関IAEA)も、イランの核施設に被害がないことを確認した。



IAEAのラファエル・グロッシ事務局長はソーシャルメディアで、核施設は軍事衝突の標的になってはならないと強調し、「すべての人に極度なまでの自制」を促した。



アメリカのマーク・キミット元国務次官補は、BBCニュースの取材で、イスファハンの重要性と、イスラエルイスファハンを攻撃場所に選んだ理由について次のように語った。



イスファハンは、訓練、研究、そしてイランの核能力の開発という点で、イランの核開発計画の中心地だ」



イスラエルが最も恐れているのは、現時点でミサイルが発射され続けることではなく、明日の核開発能力なので、そのためイスファハンを狙った可能性がある」











イランの国営放送IRIBは、攻撃の報道を大きく扱っていない。



IRIBはメッセージアプリ「テレグラム」に、記者の一人がイスファハン市中心部のビルの屋上に立っている動画を投稿。



「街は安全で、人々は普通に生活している」、「数時間前、上空で音が聞こえた。我々が知る限り、複数の小型無人機がイスファハンの上空を飛行中に狙われたようだ」と、記者は報じている。



記者はまた、「これまでのところ、州当局からは何の情報も得られていない。一部の報道は、イスファハンの核施設が狙われたと言っていたが、我々が調べたところ、この情報は誤りで、狙われた場所はない」とも述べている。



国営メディアはまた、イスファハン州の陸軍高官の話として、被害の報告はないと伝えた。







IRIB

イランの国営放送によるイスファハンからの報道の画像






このほか、イスファハンシラクテヘランを含むイランの主要都市上空で、民間航空機の飛行が一時停止したと、ロイター通信が伝えた。



また、中東を拠点とする航空会社エミレーツ航空とフライ・ドバイの航空機が早朝、説明もなくイラン西部の上空で迂回(うかい)を始めたという報道もある。



イランの国営通信IRNAはその後、テヘランイマーム・ホメイニ国際空港で運航が再開されたと報じた。



欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「(中東)地域の安定が保たれ、双方の当事者すべてがこれ以上の行動について自制することが、絶対的に必要」だと、訪問先のフィンランドで強調した。



エルサレムで取材中のジェイムズ・ランデイルBBC外交担当編集委員は、「イスラエルは今回の攻撃を公式に認めていないが、イラン領内の奥深くを自在に攻撃できるのだという合図を送ったのだろうと、アナリストたちは見ている」と指摘する。



イスラエル国防軍の元報道官、ヨナタン・コンリカス氏はソーシャルメディアで、「イランは陰に戻ろうとしており、戦略上の要衝イスファハンへの攻撃を、たいしたことではないと言おうとしている。しかし、『イスラエルはイランの防衛を突破して、どこでも攻撃できるのだ』という、(イスラエルの)合図は受け取ったと思う」と書いた。



一方で、イスラエルの極右政党を率いるイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相は、ソーシャルメディアヘブライ語で「弱腰」とだけ書いた。



イランの革命防衛隊は今月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部がイスラエルによって攻撃され、将官7人が死亡したと発表した。



イランは14日、イスラエルに向けてドローンやミサイルを発射イスラエルベンヤミン・ネタニヤフ首相はその後、イランに報復攻撃を行うと表明しており、中東地域でのエスカレーションが懸念されている。



19日の報道から数時間前、イランのホセイン・アミール=アブドラヒアン外相は米CNNの取材に対して、イスラエルによるいかなる報復に対しても、自国の対応は「即時かつ最大レベル」になると警告していた。



同外相は今週初めにも、14日に行ったイスラエルへの攻撃は、「正当な防衛権の行使」に相当すると述べていた。





<解説>イスラエルの反撃はきわめて限定的の様子――フランク・ガードナー安全保障担当編集委員



イスラエルは先週末、イランによるドローンとミサイルの「大群」攻撃に何らかの形で対応することを明らかにしていたが、どうやらそれが実現したようだ。



これが本当にイスラエルの対応の始まりで終わりだとするなら、その規模と範囲は非常に限定的なものになりそうだ。



今朝のイスファハンは平常に見える。



イスラエルの西側の同盟国、特にアメリカやイギリスは、イランのミサイル攻撃に対して大規模な対応を取らないよう、イスラエル政府に働きかけ続けてきた。



イランによる攻撃は劇的なエスカレーションではあったが、そもそも4月1日にイスラエルがダマスカスのイラン領事館を空爆し、2人の将軍を含む13人を殺害した前代未聞の事態に対する報復だった。



今後の展開は、イスラエルの攻撃がこれで終わるのか、そしてイランが反撃に転じるのか、この2点にかかっている。



イラン国内では反体制勢力が指導部を脅かし続けているだけに、イラン政府はイスラエルとの紛争で、自分たちを勝者と見せる必要がある。



そのため、現地時間14日早朝の大規模なイスラエル攻撃はイラン国内では、「敵に思い知らせる」ためのものだったと吹聴されている。実際にはイスラエルなどの防空システムがミサイルやドローンのほとんどを撃墜したし、死者は出なかったのだが。



いかに面子を守り、自分たちは強いというイメージを守るかが、この紛争の重要な一部だ。しかし同時に、いかに反応を調整し、計算し、抑止力を維持するかも、大事な側面だ。



イスラエルの戦時内閣の中には、もっと大々的にイランを攻撃するよう求める意見も多くあった。しかし、それは危険な戦争拡大につながると、イスラエルの友好各国は口をそろえて警告した。紛争が拡大すればアメリカが引きずり込まれ、エネルギー価格の急騰につながり、大勢が地域から避難しようとする事態に発展すると。



イスラエルは協力国の呼びかけを聞き入れたようだ。それでもイスラエルは、自分たちはイスファハン州にあるイランの核施設のすぐ近くを空爆できるし、次はもっと強力にそこをたたくこともできるのだと、合図を送った。





(英語記事 Israeli missile has struck Iran, US officials say





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(投稿者より)



14日のイランによる攻撃は日曜日の早朝ということもあり、マーケットへの影響は小さかったです。19日のイスラエルによる攻撃は前場の取引中に情報が入り、株価は前日比で一時1100円を超える下げ幅を出しましたが、その後は戻る動きを見せています。



原油価格は去年12月(67ドル台)から4月上旬(87ドル台)まで緩やかに上昇していましたが、この数日は81ドル台まで下げていました。19日の攻撃により一時86ドル台まで上昇しましたが、間もなく落ち着いたようです。



攻撃自体はいずれも人的な被害を極力避けるよう熟慮されたもののようで、特にイスラエルからイラン側への攻撃についてその事実自体が無かったことは「X」でも目にしました。



ただ、イスラエルによるガザ住民の虐殺行為は目に余るものがあります。国際社会の反発は強く、この戦争を切っ掛けにしてイスラエル国家が消滅に至るシナリオさえあるとも聞いていますので、国民の皆様が早く目覚めて自ら手を引いて頂きたいと願っております。