「フクシマから13年、脅威は続く」(DW English・RFI)

「フクシマから13年、脅威は続く」(DW English・RFI









(Fukushima nuclear cleanup remains plagued by complexities: DW English)

https://www.dw.com/en/fukushima-nuclear-cleanup-remains-plagued-by-complexities/a-68492230





福島原発の浄化は今なお複雑な諸問題に悩まされている





ジュリアン・ライオール(東京)





2024年3月11日





史上2番目に最悪の原子力災害から13年が経ち、日本が多額の費用を掛けた施設を安全にするための取り組みは、数多くの挫折を経験した。







現在、福島第一原子力発電所の敷地の大部分を数百の貯蔵タンクが占めている

Image: Kyodo via REUTERS






月曜日、日本は福島第一原子力発電所の原子炉6基のうち3基を破壊した2011年3月の地震津波の記念日を迎えた。



3月11日にマグニチュード9の地震が発生した直後、一連の津波が原子炉建屋のうち4棟を浸水させ、原子炉3基で連鎖反応を引き起こし、その結果として大量の放射能が環境中に放出された。



何万人もの地元住民が直ちに避難し、その後に数年が経過したが原子炉は安定している。



この数年は、更なる放射線の放出を止めるために原子炉から漏れ出た大量の核燃料を収集することが課題となっているが、これは嘗て試みられたことが無く、また、危険な程度に高い放射能汚染が残り、辺りでは津波やその後の水素爆発による瓦礫がいまなお散乱する建物の中で行う必要がある。



原発を運営する東京電力(TEPCO)は、原発を安全にする作業には30年から40年掛かると見積もっているが、現場の進捗状況に関する最近の報告は概ね否定的なものだ。





東京電力は試験作業を延期する



東電は1月、原子炉2号機から放射性物質を除去するためのロボットアームの試験的な使用を3月に始める計画を延期する必要があると発表した。当初の計画では、このロボットアームを使う試験を2021年に実施するよう求められていたが、技術的な不具合により延期された。



東電は現在では遠隔操作アームの運用を10月に始めることを目指しているが、それでも当初の予定より3年遅れることになる。



この事業の他の分野でも課題が発生しており、今月初めに原子炉1号機建屋に送り込まれた最初のドローンとロボットにも障害が発生した。原子炉から漏れた溶融燃料デブリの位置を特定し、その他の損傷の地図を作成するという任務を完了する前に、ドローンとロボットを引き揚げる必要があった。



それでも東電は、着実な進展が成されており、30~40年の廃炉目標は尚も実現可能との主張を崩していない。



同社はDWへの声明で、廃炉ロードマップの「主な目標を達成するために必要な各作業を安全かつ着実に進めている」と述べた。



「ロードマップや原子力規制委員会の『リスクマップ』に基づき、廃炉に向けて今後10年間に取り組むべき作業が中長期廃炉実行プランに纏められている。廃炉の進捗状況と照らし合わせてこれを定期的に見直しているが、対処すべき新たな問題も浮上している」と、東電は述べた。



同社はまた、敷地内の3号機と4号機からの使用済み核燃料の完全な除去、原子炉の下にあるチェンバーに浸透して放射線により汚染される水の量の大幅な減少、放射性の水を国際原子力機関(IAEA)が設定した基準に従って処理にした上での太平洋への放出に成功したことなど、成果の指摘に熱心だ。



原子力庁長官の参謀長役を務め、現在は日本の原子力損害賠償・廃炉等支援機構の国際特別顧問3人のうちの1人であるヴァンサン・ゴルグ氏は、無数の課題は有ったが、これまでに圧倒的に良い進展が見られたとDWに語った。



原子力事業は複雑だ。その中でも、廃炉事業は非常に特異であり、主に施設の初期状態に関する不確実性の度合いと、全ての放射性廃棄物の流れを安全に管理することの難しさにより、より高い水準の困難を伴う」と、彼は述べた。



福島の現場では複雑さが大幅に増えていると、彼は述べた。





現場への立ち入りさえ『非常に困難』



「現在でも、原子炉建屋への立ち入りは非常に困難であり、完全な遠隔操作による手段を介在させる必要があるが、調査を実施し何が成されるべきかを詳細に考えておくこと―そのやり方の検討には入らないまでも―は、それ自体が大きな課題だ」と、ゴルグ氏は述べた。



更に、損壊した3基の原子炉にはそれぞれ特有の課題があり、現場で回収されることになる高放射性核廃棄物の処分場がないと、同氏は指摘した。



現在の段階では、全ての使用済み核燃料を―損傷やヒビの有無に係わらず―1号機と2号機の原子炉建屋の中から除去することと、部分的な炉心溶融によって生じた燃料デブリを回収し処分することが最も重要だ。



自分は、現在敷地の広い場所を占めている数百基の貯蔵タンクを解体するために発電所からの処理水の放出を加速することに賛成だ。その土地は新しい廃棄物を処理し貯蔵する施設の用地として必要だと、ゴルグ氏は述べた。



この専門家はまた、東電が自ら宣言した廃炉作業の予定表を守ることが出来そうにない可能性を重視せず、この30年または40年の予定は期限ではなく「目標」だと強調した。





『レースではなく慎重なアプローチ』



「これはレースではなく、体系化された慎重で段階的なアプローチであり、有らゆる段階で時間を掛けて最善の戦略を決め、短期的にも長期的にも安全性を保証する必要がある」とゴルグ氏は述べ、放射線医学的な状況は「極めて不利だ」と付け加えた。



「30年から40年というこの暗示的な期間の設定には、2つのコミュニケーション目標があった。1つには、これには長い時間が掛かることを示すこと。しかしまた、その期間が1つの職業上のキャリアに見合ったものであり、その負担が数世代に亘って引き継がれないことを示すことだ。その精神に基づいて、私たちはこの目標についてよく考える必要がある。」



同氏は、福島で提示された特有の課題を考慮すると、工程表の変更は常に避けられないと付け加えた。



「それでも、これらの遅れは軽微なものであり、発表されたものの殆どは達成されたことを強調したい」と同氏は述べた。「私の意見では、このような状況下で既に成し遂げられたことは全て注目すべき成果だ。」





編集: シュリーニバス・マズムダル





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(Japon: la menace persistante des accidents nucléaires liés aux catastrophes naturelles: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/podcasts/%C3%A0-la-une-en-asie/20240313-japon-la-menace-persistante-des-accidents-nucl%C3%A9aires-li%C3%A9s-aux-catastrophes-naturelles





日本:自然災害に結び付いた原発事故の持続的な脅威





発表 2024年3月13日 09:16





日本では現在、重要な疑問が議論の中心となっている。それは、日本の原子力発電所の数を増やすことは合理的なのか、そして、その責任が持てるかだ。この惑星を揺るがす最も激しい地震の20%近くが、4 つの地質学的プレートの交点に位置するこの国で発生している。







福島原発の処理済みではあるがまだ放射性物質を含む廃水を収容するタンク群、2023年2月 © AP/Mariguchi





記者はRFI東京特約記者、





2024年3月11日月曜日、2011年3月に発生した福島の大災害を追悼する際に誰もがこの質問をした。それ以来、原発の解体が少しも進んでいないからだ。そこには今なお880トンの高レベルの放射性の瓦礫が残っている。



原子炉内の放射線は人間が入り込めない高さの線量であるため、取り出せたのは僅かグラムだった。そのためロボットやドローンを使う必要があるが、それらは数分で壊れる。



この解体作業は非常に複雑なため、完了は早くとも2051年以降になる。しかし、今からそれまでの間に、新たな巨大地震とそれに続く高さ30メートル近い津波が福島で発生する可能性が非常に高いと、どの専門家も言う。その場合には、波がこの余りにも脆い発電所をワラ屑のように押し流し、その中にある余りにも高いレベルの放射性物質を自然界に拡散させ、その地域を数十年に亘り居住不可能にするだろう。つまり、この荒廃した発電所は解体されるまで国にとって時限爆弾となる。





多発する地震



大災害による原発事故のリスクが伸し掛かるのは福島だけでない。日本の全地域で言えることだ。これは、西海岸に位置する能登半島で1月に改めてはっきりと確認された。



2ヵ月前そこでは1,000回の地震が発生し、複数の発電所で事故に関する苦情が出たが、それらは当局が発表したような「些細な」ものではなかった。更に、これらの発電所の事業者が地震の危険を過小評価している事例も認められた。



また、原発事故が発生した際に地域住民に出される指示が適切で無いことも分かった。その指示とは、発電所から半径5キロメートル以内に居住する場合には、出来る限り速やかに出来る限り遠くへ避難することだ。しかし、能登半島では道路網が酷く破壊されために通行不能となり、移動も出来なくなった。したがって、重大な原発事故が発生したとしても、住民は逃げることが出来なかっただろう。





►これも読む:日本:大地震の予想に直面し住民に不安





このため、発電所近辺の住民は放射能から身を守るために避難しないで自宅に閉じ籠もることと、指示を変更することが検討されている。しかし、津波警報が出されればそれが死刑宣告となりそうだ。要するに、原子力と大災害のリスクを如何に調整するかだ。日本はそこから抜け出ていない。



フクシマの後、政府は地震のリスクを考えるとこのエネルギーは危険が過ぎると考え、2030年までに原発を段階的に廃止すると約束した。しかし、日本は昨年に考えを変え、原発の再起動を決意した。問題は、日本では2024年の初めから非常に激しい地震活動が認められることだ。



日本国民がこれを怖れているのは明らかで、そのため、特に福島の事故の後に運転が停止され現在再開が準備中の発電所について、近隣住民による訴訟が急増している。これらの原告にとって、安全の観点からこれは非常識なことだろう。





記者 ブルーノ・デュバル





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(投稿者より)



先の大震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈り致します。



能登半島地震でも志賀原発でトラブルが発生しました。また、輪島市で海岸が最大4m隆起したとの報道に接して、珠洲原発の計画を止めたのは正解だったと声がSNS上で見られました。



原発地震の多い日本の国情に合わないようです。