「日本の出生率が低い件―その背景など」(DW English・RFI)

「日本の出生率が低い件―その背景など」(DW English・RFI











(Japan's Kishida vows to raise birthrate: DW English)

https://www.dw.com/en/japans-kishida-vows-to-raise-birthrate/a-64484926











社会|日本





日本の岸田氏が出生率の向上を誓う





2023年1月23日





岸田文雄・日本首相は、日本の人口減少に取り組むのは「今しか無い」と述べた。同国の出生率は昨年、過去最低を記録した。





岸田文雄・日本首相は月曜日、同氏の政権は国の出生率を高めるための緊急措置を直ちに実施すると述べた。



この国は現在、モナコに次いで世界で2番目に高齢化した人口を抱えており、高齢化と人口減少が経済に大きな影響を与えている。





岸田氏は何と言ったか?



岸田氏は今年の国会開会の演説で、日本は人口の高齢化により適切な機能が出来なくなる怖れがあると述べた。



「私たちの国は、社会機能を維持できるかどうかの淵に瀕している」と、彼は述べた。



「出産や子育てに関する政策に関しては、今しか無い。これは、これ以上待つことの出来ない問題だ」と、彼は付け加えた。



岸田氏は、「子供が第1の経済社会を確立し、出生率を好転する必要がある」と述べた。



彼は、同氏の政権が6月までに関連政策の予算を2倍にする計画を提出すると共に、4月に子供と家族問題のための新しい部局を設立すると述べた。







日本やドイツを含む多くの国は、将来、年金の資金調達に困難に直面するだろう





日本の出生率の状況は?



近年、日本は特別手当の支給や給付金の増額を含めた、子供の数を増やすことを奨励する試みにも係わらず、日本の出生率は14年間継続的に低下している。



現在、日本人の年齢の中央値は49 歳と、モナコの55 歳に次いで世界で 2 番目に高い。世界の人口の大半において代表的な中央値は30~40歳だ。ドイツの中央値も高く、ほぼ46歳だ。



育媧(YuWa)人口研究所によると、日本は相対的に世界で3番目に子育てに掛かる費用が高い国だ。



この点で日本が後れを取るのは中国と韓国だけだ。先週、中国では2022年に60年ぶりに人口が減少したと報告された。



昨年、日本で生まれた子供の数が初めて80 万人を下回った。日本は政府予測よりも8 年早く、この重大な局面に達した。



この国は世界第3位の経済大国を誇るが、補助金が約束されているにも係わらず、生活費の高さと賃金の伸び悩みが相俟って、多くの若者が家族を持つことを思い止まっているようだ。



日本の人口は現在1億2,500 万人を上回るが、2060 年までに僅か8,670 万人に減少すると予測されており、この減少は経済や安全保障の面で甚大な影響を及ぼすものと考えられている。





tj/rc (AP, Reuters)







―参考―

























(Démographie: pourquoi les Japonais ne font-ils pas – ou pas plus – d'enfants?: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/podcasts/reportage-international/20230128-d%C3%A9mographie-pourquoi-les-japonais-ne-font-ils-pas-%E2%80%93-ou-pas-plus-%E2%80%93-d-enfants





国際レポート





人口動態:なぜ日本人は子供を作ったり増やしたりしないのか?





発表 2023年1月29日 00:04





音声 02:29








結婚も子供も望まない―世論調査機関によると、30代の日本人の4人に1人、17~19歳の日本人の20%近くがこれを望んでいる。© CC0 Pixabay / Contributeur





記者 ブルーノ・デュバル








日本では、出生率の低下に対して政府が総動員令を発出したところだ。2022年に生まれる赤ちゃんの数は80万人を下回った。これは過去に見られなかった低さだ。岸田文雄首相によれば、この問題についての水準を立て直さなければ、列島は長期的に「社会として機能を続けることが出来なくなり」、百歳以上の人が86,500人いるこの国の社会保障が破綻するだろう。





記者はRFI東京特約記者、



家族のための政策や措置に充てられてる資金は日本の国内総生産の僅か2%だ。対照的に、他の主要先進国ではこれが3%を上回る。この若い母親2人は証言する―子供を産み育てるためには次のような施策が必要だ。





「妊娠と出産には60万円[4,000ユーロ以上、編集者注]掛かったが、社会保障では妊娠は病気でなく無補償という方針のため、全て私の負担になった。私にそのような出費が出来る余裕は2度と無い」と、1人目は述べた。そして、2人目が付け加える。「私は、小さな男の子のために月10,000円[約70ユーロ、編集者注]の家族手当しか受け取っていない。幸いなことに、私は2人目の子供が特に欲しく無い。低い給料や生活費、更にはインフレを考えると、私には無理だ…」





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職業の世界が私生活に優先する時



日本の職業界は不安定になった。会社員の40%は不安定雇用・ブラック雇用・非正規雇用に過ぎない。これに加えて、時代遅れで多くの場合に非人道的な企業文化が存在する。これは、多くの人が子供を持つことを思い止まらせるのに十分だ…。



「彼氏と私は日給制の臨時職員だ。そのため、法律に守られた従業員たちとは異なり、有給の産休や育休を取る権利が無い。だから、赤ちゃんを産む前に私たちは良く良く考える…」と、ある日本女性が主張する。「子供が生まれると、数ヵ月の間仕事を休むことになる。それは間違いなく私のキャリアにとって致命的だ。男性が支配するこの専門的な環境で、女性が自分の居場所を見つけるのは非常に困難だ…」と、別の女性会社員は述べる。





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「雇用主である米国の会社が午後6時以降の在宅勤務を許可して呉れたので、私は結婚して子供を作ることが出来た。お蔭で私は妻を助けることが出来るが、この特権を持つ日本の会社員は殆ど居ない」と、家庭を作ったある会社員は打ち明ける。「とはいえ、夜11時に仕事から帰る場合に、充実した夫婦生活を送り家庭を作ることは簡単で無い筈だ…」





独身を好む人々



そして、これらの東京都民のように独身の権利を主張する若者が増えている。「国の状況が非常に悪く世界も非常に苦しんでいるのに、子供を産むことが大きな務めだとは思えない…」と、ある日本人女性は考える。



「私には既にお金も余暇も殆ど無い。結婚して家庭の父親に成れば、それらは更に少なくなる。御免だね、結構だ…」と、別の日本人男性が話し出す。「独身でいるよりもストレスが溜まるような気がするので、結婚して家庭を持つのを夢見たことは無い…」とある東京都民が説明する。



結婚も子供も望まない―世論調査機関によると、30代の日本人の4人に1人、17~19歳の日本人の20%近くがこれを望んでいる。





日本 社会 人口動態









(投稿者より)



「会社員の40%は不安定雇用・ブラック雇用・非正規雇用でしかない。」"40 % des salariés n'ont qu'un emploi précaire, sous-statutaire ou irrégulier." としましたが、"sous-statutaire"「法律に定められた要件に満たない」ですから、「ブラック労働」が現代日本語としては最も近いようです。



ただ、"travail au noir"「ブラック労働」という言葉自体はフランス語にも実際に在るようで、



"On parle d'un travail au noir lorsqu'il s'agit d'un travail effectué par un employé sans qu'il soit déclaré. C'est-à-dire que l'employeur va faire en sorte d'employer un travailleur sans lui faire signer un contrat de travail. De plus, le salarié en question n'est pas déclaré aux organisations sociales. En fait, le travail au noir est sanctionné par la loi."

「従業員がその存在を認知されないままに行う労働は"travail au noir"と呼ばれる。つまり、雇用主が労働者に雇用契約を結ばせずに、労働者を雇用するものだ。更に、斯かる従業員は企業組織の成員として認知されない。実際のところ、"travail au noir" は法律によって処罰される。」



と、説明があります。



ところで、この問題は自民党が野党時代に党派心を剥き出しにしてこども手当を潰して国を傾けたツケが、10年を経て特大のブーメランと成って帰って来たようですが、彼らを許すか否かは主権者である国民が次の選挙で決めれば良いでしょう。尤も、今からでも改心すれば遅く無いとは思います。



ただ、日本の歴史においては人口減少よりも人口過剰の期間が遥かに長く続いたことを忘れたくないです。満蒙開拓団の悲劇もドミニカ移民の悲劇も究極的には人口圧の所産でした。高度成長期に農村の過剰な若者を都市の工業地帯に押し込み、彼らの作った製品を輸出して得た外貨で食料を大量に輸入し、漸くこの問題が収まったのでした。少子高齢化と人口減少が単なる将来予測だった時代に、これが深刻に受け止められなかったのは理解できることです。



これを単に国力の問題と捉えるならば、労働力の減少などはAIとロボットで補えます。また、過疎化や高齢化が既に底を打った中国地方の中山間地域では、若者世代の移住を進める地域の取り組みにより人口を自然増に転換させた事例があるとも聞きます。人口が増えようと減ろうと、今を生きる人を幸せにする社会で在って欲しいと願います。