「日・英・伊3国が次期戦闘機を共同開発へ」(Sputnik日本・RFI・BBC NEWS JAPAN)

「日・英・伊3国が次期戦闘機を共同開発へ」(Sputnik日本・RFIBBC NEWS JAPAN)









(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20221206/14114994.html





【解説】日英共同開発の爆撃機はどのようなものになるのか?





2022年12月6日, 19:54







CC BY 4.0 / 防衛省 / 次期戦闘機のイメージ。防衛省の資料より写真のみ抜取 (cropped photo)





日本と英国が、円滑化協定の署名に向けた動きを活発化させている。両国の防衛分野における協力の一つとなっているのが、両国で進められている将来性ある2つの戦闘機の開発を統合するというものである。統合されるのは、日本の三菱重工業開発による次期主力戦闘機F-Xと英国の航空・防衛大手BAE システムズ開発による次期戦闘機テンペストである。これらの航空機はコンセプトとして類似していることから、共同開発することによりさらなる効果が得られると期待されている。





ここで述べておかなければならないことは、これらの航空機について知られていることはあまりないということである。これらの開発については、F-35あるいは F-22に比べ、極秘扱いとなっている。F-35F-22については多くのことが明らかになっており、飛行するのを見ることもでき、触ってみることもできる一方で、日英の合同開発機については、企業側が発表したい内容しか明かされていない。しかし、詳細については極秘となっているものの、開発の主な構想については知られており、この戦闘機の能力がどのようなものになるのかについて評価することは可能である。









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11月1日, 17:00






空中戦での指揮所



いずれの航空機も、バーチャル・リアリティ・ヘッドセットがセットされることになっている。つまり、航空機および空中での状況に関するあらゆる情報は、パイロットのヘルメットに付いたスクリーン上で伝えられるということである。英国は対して、キャビンの中に装備やボタン、スイッチを設置する方法を却下した。BAEシステムズテンペストの操縦は最大限に自動で行われることになっている。



英国人というのは、伝統を非常に重んじる国民であり、もし英国が航空開発における伝統を避けるとしたら、それはそこに何らかの利益があるからにほかならない。おそらく、英国の戦闘機は、それを操縦するパイロットを単なるパイロットではなく、空中で他の航空機や無人機に指令を与える存在にするということを前提として開発されていると思われる。空中戦で、その戦闘機はもっとも優勢な状態で投入される。



どうやら英国軍の司令部は、スピード感がありダイナミックな空中戦の指揮は、空中で行われるべきだと考えているようである。戦闘の規模は、あらゆる可視化手段を使っても、地上の指令所からは実感し難いものである。航空機と無人機を動かす司令官は、状況によって戦法を変え、戦闘機の目標を定め、現れる敵を攻撃するか、あるいは戦闘の規模に応じて、退却の決定を下さなければならない。そこで、テンペストは何より、空中における指揮所として開発されている。







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一方、日本の開発機は、超音速飛翔の空対艦ミサイルASM-3またはそれに類似したミサイルを搭載する攻撃機として開発されている。この意味において、F–Xはロシアのミグ31に類似している。この戦闘機に与えられた課題は、敵の情報を入手し、目標を定め、攻撃することである



これらの開発が統合されれば、2つのタイプの航空機―攻撃機と空中での指令所―ができることになる。日本の航空自衛隊はその両方を必要としている。空中の指揮所は、日本のF-35Aおよび今後、製造される無人航空機による戦闘を指揮することができる。





テンペストの飛行速度



英国の次世代戦闘機「テンペスト」の飛行速度は当初はマッハ3.95あるいは時速4834キロと、かなりの高速飛行を行う戦闘機になるものと考えられていた。いずれにせよ、2019年の7月、英空軍参謀総長のスティーブン・ヒリアー卿は、そのような速度を持つ戦闘機が非常に必要であり、ロールスロイス社の新しいエンジン開発によってそのスピードを実現することができると述べていた。そして後に、より最近の報道で、BAEシステムズテンペストは時速2500キロあるいはマッハ2の速度で設計されていることが確認された。



英国の開発者や空軍司令部が新たな開発において、そうした速度を要求しなくなるとは考えにくい。なぜなら、速度というのは戦闘機にとってきわめて重要なメリットだからである。第一に、マッハ4で飛行する航空機は、そのほとんどがマッハ3.5〜4の速度を持つ空対空ミサイルを回避することができる。敵の航空機はそのミサイルに到達することができないからである。第二に、そのような戦闘機はもっとも優れた地対空ミサイルでも命中することは難しい。ロシアで開発中のマッハ5の地対空ミサイルシステムS–500をもってしてもである。第三に、マッハ4のスピードで飛行する航空機にとって、マッハ1.5〜2で飛ぶ敵というのは動かない的と同じようなものであるということである。またそのような速度で飛行するテンペストは、ミサイルのみならず、鋼鉄の機体で敵を撃ち落とすことができる。衝突のエネルギーは航空機を破壊するのに十分な力を持っているからである。







英国の次世代戦闘機「テンペスト

CC BY-SA 4.0 / Swadim / BAE Systems Tempest on DSEI -2019, ExCel , London (cropped photo)






つまり、速度というのは、非常に大きな利点なのである。そこで英国がこの開発について発表しないのは、敵がそこに着目し、それに対抗しうる兵器を開発するのを防ぐためであろう。それはたとえば極超音速対空ミサイルなどである。



いかにしてこれを開発することができるのか?あらゆる開発の基礎となっているのは単純な技術的なアイデアである。航空機の速度をマッハ4まで上げるためには、燃焼室に燃料と酸化剤、液体酸素または四酸化二窒素が送られるロケットエンジンを使うしかない。ロケットエンジンは、アフターバーナーで、プラット・アンド・ホイットニーF119-PW-100エンジンの4.7倍以上の推力を出すことができる。



しかし、航空機にターボジェットエンジンとロケットエンジンを搭載することは不可能であると思われることから、おそらく、一定時間ロケットエンジンとして機能するターボジェットエンジンが作られているものと考えられる。



技術的にこれは十分に可能なものである。必要なのは、燃焼室に酸化剤を投入するシステムである。しかし、実際にこれを行うのは難しい。こうしたハイブリッドエンジンを安定して機能させなければならず、またターボジェットエンジンからロケットエンジンへのモードの切り替えも十分に完成されたものでなければならないからである。とはいえ、ロールス・ロイス社はそれができるという評判のある企業である。



そのような戦闘機があれば、敵を簡単に撃破し、空中戦を制することが可能となる。日本の航空自衛隊にとって、そのような戦闘機を保有することは、おそらく、中国空軍との戦闘で勝利を収めるための唯一の希望となるだろう。







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15年以内には不可能



しかし、これらの戦闘機は、今のところただの絵空事である。開発中の日本の戦闘機は、2024年に組み立て、2028年に飛行試験を行い、2031年に生産を開始する計画である。一方の英国の戦闘機は、まだ開発の初期段階にあり、最初のモデルの組み立てが2025年、生産開始は2035年に計画されている。それを軍事行動に十分な量を生産するには、そこからさらに10年ほどの時間を要する。



もっとも楽観的な計算でも、英空軍と日本の航空自衛隊に新たな戦闘機が登場するのは2040年ごろになるだろう。また2つの開発を統合するのにも時間がかかることから、実際配備される時期はさらに遅れる可能性もある。



しかし、世界情勢というものは15年後にはまったく変わっている可能性がある。新たな開発機が出来上がるかどうか断言することはできないのである。





英国 軍事 戦闘機 未来の戦争 世界各国の軍事バランスはどう維持されているか











(Le Japon, le Royaume-Uni et l'Italie vont développer un avion de combat de nouvelle génération: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/%C3%A9conomie/20221209-le-japon-le-royaume-uni-et-l-italie-vont-d%C3%A9velopper-un-avion-de-combat-de-nouvelle-g%C3%A9n%C3%A9ration





日本・イギリス・イタリアが新世代戦闘機を開発へ





発表 2022年12月9日 20:28







この将来の航空機は、イギリスが構想中のテンペスト戦闘機事業の先行開発を活用する予定だ。AP - Joe Giddens





RFI






リシ・スナク英首相によると、地政学的な緊張を背景にした「新たな脅威」に直面して安全を確保することがこの3ヵ国には重要だ。試作機は2035年に日の目を見ることになる。





リシ・スナク英首相にとって、ロンドン・ローマ・東京の間で結ばれたパートナーシップの目標は、「ユーロ大西洋地域とインド太平洋地域の安全保障は不可分であることを示しながら」、「防衛技術の進歩の最先端に居続けること、そして、私たちに危害を加えようとする者たちの先を行き、裏を掻く」ことになる筈だ。「つまり、新たな脅威に直面する私たちの国の安全を私たちが確保できることだ」と、イングランド北東部の英空軍基地から彼は強調した。



日本の防衛省の関係者は、GCAP (Global Combat Air Program) と命名されたこの計画の枠組みに入れられたこの事業の費用に関する詳細はまだ確定していないと述べた。2035年に試作機を完成するために、2030年か2031年頃に製造が始まる予定だ。



この3国間の協力は、無人航空機などの空中戦の最先端の技術において既に始まっている研究を活用する必要がある。将来戦闘機は、米ロッキード・マーチン社と共同で設計され2000年に就役した日本の三菱F-2の後継と見なされている。その開発はイギリスで構想中のテンペスト戦闘機事業の先行開発と統合される予定で、そのプレ試作機が「今後5年以内に」発表される。



日本の経済日刊紙・日経からの諸情報によると、日本の三菱重工業・英BAEシステムズ社・伊レオナルド社がこの事業の中心になるようだ。「私たちの民主主義・経済・安全保障を守り、地域の安定を守ることの重要性を考えると、私たちには信頼できる抑止力により支えられ強化された、防衛と安全保障の分野における強固なパートナーシップが必要だ」と、パートナー3社は声明で述べた。





パートナーシップの多様化



防衛戦略を同盟国・米国に大きく依存する日本は、ウクライナ侵攻の以降に北朝鮮からロシアを経て中国まで延びる国境で感じる脅威の増大に対処するために、この分野における能力の徹底的な強化を模索している。



「インド太平洋の緊迫した状況の中で、日本はパートナー国を増やしたいと考えている。同国は豪州やイギリスに大きく接近している。つまり、これは欧州における重要なパートナーに接近したいという願望の具体化だ」と、国立東洋言語文化学院(INALCO)日本学部で政治学准教授を務めるギブール・ドラモット氏はRFIのインタビューで指摘した。しかし、米国を追い出すのは論外だ。「同盟が問題になっている訳ではない」と、ギブール・ドラモット氏は続ける。「日本にとってこれは基礎であり続け、イギリスを日本に近づけるための重要な要素だ。」



日本・イギリス・イタリアは他国との協力の基礎としてGCAP計画を考案したと述べ、声明の中で米国やNATOを含む同盟国との「将来の相互運用性」を強調している。 特に、東京とワシントンは「自律システム」について協議している。これは日本の戦闘機事業を補完し得るもので、両者はアジア太平洋地域における「将来の脅威に共同で対応」できるように、「来年中に具体的な協力を始める」ことで合意したと、この声明は付け加えている。



ところで、欧州の複雑なスカフ戦闘機事業を再開するための協定が数週間前に仏ダッソー社と欧州エアバス社の間で署名された。この事業は2017年に始まったもので、2040年までにフランスのラファール戦闘機とドイツとスペインのユーロファイター戦闘機を置き換える予定とされている。





(参考 AFP)





日本 イギリス イタリア 防衛











(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/63926650





イギリス・イタリア・日本、次期戦闘機を共同開発へ





2022年12月10日





ジョナサン・ビール、BBC防衛担当編集委員







PA Media

新型戦闘機のイメージ図






リシ・スーナク英首相は9日、イギリス、イタリア、日本の3カ国が、人工知能(AI)を活用した次期戦闘機を共同開発する計画を発表した。





スーナク首相は、この合同事業によってイギリスに数千人分の雇用を創出し、安全保障のためのつながりが強化されると意義を説明した。



3カ国で共同開発する次世代戦闘機は、2030年代半ばに配備される予定。いずれは、イギリス空軍の現在の主力戦闘機「タイフーン」に代わるものとなる。現在開発中の「テンペスト」戦闘機に、最新兵器が搭載されると期待されている。



スーナク首相は東部リンカンシャーのコニングスビー空軍基地を訪れ、次期戦闘機の共同開発が「我々が直面する新しい脅威から、この国を守ってくれる」ことになると述べた。さらに、「イギリスは、最先端技術の戦闘機を作る能力を持つ、世界でも数少ない国の一つ」だと話した。



次期戦闘機の開発作業はすでに始まっている。レーダーに探知されにくい高速ステルス性を持ち、最先端のセンサーを搭載する新型戦闘機は、人間の操縦士が極度のストレスにさらされたり、事態に対応しきれない状態の時に人間を支えるAI機能も使えるようになることを目指している。



さらに、必要な場合はパイロットの指示がなくても操縦可能で、超音速ミサイルを発射することができるようになる可能性もある。



しかし、これほど複雑な航空機の建設には巨額の費用が必要となる。たとえば、F35戦闘機の開発は米国防総省にとって最も高価なプロジェクトだった。それだけに、イギリス政府は提携相手を探していた。



先に共同開発への参加に合意していたイタリアに加え、新たに日本が参加することになったのは、大きな意味を持つ。イギリスは現在、活発化する中国の動きを懸念して、インド・太平洋地域の同盟諸国と連携強化を図っているからだ。



この開発事業にはさらに、ほかの国が参加する可能性もある。フランス、ドイツ、スペインはすでに独自の設計で新型戦闘機の共同開発に取り組んでいる。アメリカも独自の開発を進めている。



イギリスでの「テンペスト」戦闘機開発の中心となるのは、BAEシステム。日本の三菱重工、イタリアのレオナルドも参加する。



イギリスにとって、この事業の意義は安全保障にとどまらず、経済にとっても重要だ。新型戦闘機の開発がイギリス国内で多くの雇用創出と維持につながると期待されているほか、武器輸出の案件拡大も同様だ。



コーニングスビー空軍基地への訪問に先立ち、スーナク首相は、「現在と未来の世代のためのイギリスの安全保障は、この政府にとって常に、最重要課題の一つであり続ける」と述べた。



「だからこそ私たちは、防衛技術の最先端を走り続ける必要がある。私たちに危害を加えようとする者たちの先を行き、相手を上回る動きをしなくてはならない」



「今日発表したイタリアおよび日本との国際的な協力関係は、まさにそれを目標にしている。欧州・大西洋とインド・太平洋の安全保障は不可分だと強調するものだ」



「我々が開発する次世代戦闘機は、世界トップクラスのこの国の防衛産業の力を駆使して、私たちと、世界中の同盟諸国を守ることになる。命を救いながら、雇用を生み出す」



最大野党・労働党のジョン・ヒーリー影の国防省は、労働党はこの共同開発事業を支持するとしたうえで、訓練の速やかな実施についてくぎを刺した。



「この開発事業がイギリス空軍全体の今後の展望において、どう位置づけられるのか、高速ジェット戦闘機のパイロット訓練の遅れをどう防ぐのかも含めて、政府は明確にする必要がある」





(英語記事 UK, Italy and Japan team up for new fighter jet





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(投稿者より)



抑止力を強化するために外国と協力するのは良いことだと思います。



ただ、気になることは、イタリアもイギリスも現在の国際情勢では負け組に入りそうな国々で、世界の政治・経済の枠組みが大きく変化しつつある中でバチカンもロンドン・シティも衰退が顕著に見えます。



現状では日本も同様です。落日の3国が手を結んでも嘗ての勢いを取り戻せるとは思えません。防衛力の強化は大事ですが、日本は米国に倣って国内の大掃除を進める必要があると思います。大丈夫でしょうか?