「中立国と見せかけながら、密かに親ロシア的立場に移行するインド」(Sputnik日本)

「中立国と見せかけながら、密かに親ロシア的立場に移行するインド」(Sputnik日本)









https://sputniknews.jp/20220901/12720126.html





植民地から世界一の経済大国へ -独立75周年を迎えたインド





2022年8月15日, 23:24







© AP Photo / Anupam Nath





1947 年 8 月 15 日の真夜中、独立したインドの初代首相、ジャワーハルラール・ネルー氏は、ニューデリーのアーグラ城壁の上空に、200年にわたる英国の植民地支配からの解放の象徴となった三色旗「ティランガ」を掲げた。それから75年が経ち、英国の旧植民地が世界の主導的地位を築いたと、タイムズ・オブ・インディア紙が報じた。インドのナレンドラ・モディ首相は、祝賀スピーチで、この出来事の経緯と同国の将来設計について国民に語った。





解放運動を組織し、指導したのは、非暴力政策を説いたマハトマ・ガンジー氏だった。ガンジー氏は、不正に対する人の対応には、報復攻撃と黙従、積極的非暴力の3つがあると主張した。報復的な怒りは、個人尊重の原則に反する。受け身は悪をいっそう強めるしかない。一方、積極的な非暴力は、恐怖心を打ち破り、自らの人生における見解を堅持し、そこから一歩も動かず、最終的に成果を生みだすことになる。



1947 年、インドは英国から平和的に独立を果たした。



マハトマ・ガンジー氏の祖国独立運動の側近だったジャワーハルラール・ネルー氏は、1947 年に自由となったインドの初代首相になり、1964 年 5 月 27 日までこの役を務めた。ネルー氏の主導により、この国では真剣な民主的変革が行われ、それは今日でも続いている。それはなによりも、基本的な民主的自由の保障と、宗教と国籍またはカーストを理由とした差別の禁止だった。また、21歳以上のすべての国民を対象に、普遍的で、直接的、平等な、無記名選挙が導入された。外交政策においては、ネルー氏は中立に務めた。初代首相の経済政策は、生産性向上と生産物の公正な分配を目指し、基本的に社会主義的プランに近いものがあった。ネルー氏の後継者たちは、同氏が築いた原則を忠実に守ろうとした。







インド大統領選 与党推薦のドラウパディ・ムルム氏が勝利

7月22日, 04:47






今日の状況



モディ首相は、独立以来、インドは世界で5番目に目覚ましい経済成長を遂げたと強調した。また、人口も増加傾向にあり、現在13億8000万人となっている。国連のデータによると、インドの人口は間もなく中国を抜いて世界最大になる。



また、同首相によれば、インドの主な財産は熟練労働者数の増加だが、英国からの独立時、インドの識字率はわずか12%だった。平均寿命は、男性37歳、女性36歳にすぎなかったが、今日では、男性69.5歳、女性72.2歳、男女の平均は70.8歳まで伸びている。



また、モディ首相は、英国の植民地化で何百年にもわたり強奪が行われ、そうした貧困の中でインドが独立を迎えたことを思い起こした。研究者たちは、75 年前のインドの GDP は 200 億ドル (2 兆 7000 億円) だったと推定しているが、今日、世界銀行はインドの評価を低所得国から中所得国に変更している。現在、同国のGDPは3兆ドル(400兆円5000億円)に迫っている。しかし、貧困の根絶のために国がやるべきことはまだたくさんある。



独立記念日には、独立後に生まれ、先住民族として初の大統領となったドラウパディ・ムルム氏も国民に向けて演説を行った。彼女によると、インドは真の民主主義に向け、例外なくすべての国民の権利を平等に保護するために努力しているという。今日のインドでは、虐げられ、困窮し、人生の片隅にいる人に対する「思いやり」がキーワードとなっている。同大統領によると、インドでは男女間の不平等が急速に縮小しており、女性の社会進出が進んでいるという。





「近年、世界は新しいインドの台頭を目の当たりにしてきた。経済改革は、革新的な社会福祉の取り組みを伴って行われた。経済的成功は生活の調和をもたらす」








旧ソ連製のMiG-21戦闘機が訓練飛行中に墜落、パイロットは死亡=インド空軍

7月29日, 10:17






インドの地政学的な影響力の増大も見逃せない。インドのシンクタンクコンサルタントであるローハン・ヴェンカト氏は、CNNのインタビューで、独立後数年間、インドの国際関係は非同盟政策によって形成されてきたが、それは世界のあらゆる分野に積極的に参加することを妨げなかったと回想している。今日、国際レベルでは、インドはこれまでオーストラリアや米国、日本との「Quad」、ブラジルとロシア、南アフリカ、中国との「BRICS」の枠組みでパートナー関係を編成している。インドは上海協力機構(SCO)でも積極的な役割を担っており、2023年にはG20の議長国になる予定。



インドは、ロシアとの経済および軍事技術協力を積極的に展開している。通信社「スプートニク」は以前、インドによるロシアの対空ミサイルシステムS-400 「トリウームフ」の購入について報じている。





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インド 国際











https://sputniknews.jp/20220901/12720126.html





中立国と見せかけながら、密かに親ロシア的立場に移行するインド





2022年9月1日, 17:20







© Flickr / Sanyam Bahga





サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、露米の対立において中立的な立場に立っているとするインドの主張は明確な疑いを呼び起こすものだと指摘している。





記事では、新聞社にある情報によれば、ロシア産の石油が米国による制裁を回避する形で、インドの港を通過して輸送され続けており、これはインド政府が自国の地政学的利益を優先し、重要なパートナーである米国との関係を激化させていることを意味すると記されている。インドは、ロシア産石油の輸出を含む米国とそのパートナー国がロシアに対し発動した経済制裁を遂行しておらず、それにより、ロシアは自国の経済を維持することが可能となっているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は指摘している。



新聞によれば、最近、もともとロシアから遠回りしてインドの港に輸送され、グジャラート州で加工された石油がニューヨークに運ばれたという。米国はインドのこうした行動に懸念を抱いていると新聞は強調している。また記事では、インド政府は当初から、ウクライナを支援する米国を中心とした同盟国が講じた措置には反対していたと強調されている。







ロシアなど大規模合同軍事演習「ボストーク2022」開会宣言

昨日, 19:39






とりわけ、国連安保理や国連総会で、ロシアに対する決議案が話し合われたときにも、インドは棄権している。しかもインドはロシアとの関係を維持し続けており、貿易経済関係を発展させている。ロシアからの実質的な石油の輸入は、インドの石油製品の買い付け全体のほぼ20%を占めている。



加えて、2022年6月、その輸入量は5月に比べ、15.5%増加し、同時にこれまでの伝統的な供給元であるイラクサウジアラビアからの輸入は、それぞれ、10.5%、13.5%減少した。



そこでサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、インドは中立的な立場であると見せかけて、実際には「静かな親ロシア的立場」をとっているということをそろそろ認めるべきときがきたと書いている。







日印、2プラス2を9月に開催へ

8月19日, 17:41






しかも、インドは、インド太平洋地域における米国の対中国戦略プログラムで中心的な位置を占めており、クアッド(日米豪印戦略対話)の加盟国となっている。またインドはこれ以外にも、さまざまな分野において、米国との協力に関する数多くの協定を締結している。



サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、これらの合意によって、インドは地域における極秘の軍事通信や、米国の秘密の兵器などにアクセスすることが可能となっている点を指摘する。しかし、米国からの強力な抵抗にもかかわらず、こうした合意も、インドとロシアとの間で地対空ミサイルS400購入に関する契約が締結される妨げにはなっていない。しかも、インドの兵器の70%は今も、ロシア製のもので構成されていると記事の筆者は指摘している。



またインドは上海協力機構のメンバーでもあり、BRICSの重要なメンバーでもあるが、いずれの組織も、米ドルの支配や現存する世界秩序にはかなり批判的な態度を示しているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は強調している。







植民地から世界一の経済大国へ -独立75周年を迎えたインド

8月15日, 23:24






記事の筆者によれば、インド政府は米国とのパートナー関係を発展させているが、ロシアとの伝統的な関係を断絶するつもりはないという。なぜならインドは中国およびパキスタンという2つの前線で戦争が勃発した際に、ロシア政府の支援を期待しているからである。しかも、インドの国民の大部分が、ソ連時代から発展してきたロシアとの良好な関係を高く評価している。ウクライナでの特別作戦が開始された直後から、インドでは、ソーシャルネットワーク上で、#IStandWithPutin(プーチンを支持します)や#istandwithrussia(ロシアを支持します)といったハッシュタグが人気となっているのも偶然ではないと筆者は述べている。



米国はインドのこうした二重の立場に不満を感じているが、インドが気分を害し、これまでに締結した地政戦略学的な協定の遂行をインドが拒否するようなことにならないよう、厳格な行動には出られずにいる。



こうしたインドの行動は、結果として、共通した対露戦線を分断させ、ウラジーミル・プーチン大統領を助けることになっているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は指摘し、インドがこの問題においてどちらの側に立つのかはっきりするよう呼びかけている。



2022年の秋に、米国とインドが、中印国境の係争地付近で軍事演習の実施を計画しているというニュースは「スプートニク」の過去の記事よりお読みいただけます。





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インド 米国 中国 ロシア 政治







―参考―



















https://sputniknews.jp/20220831/12703585.html





インドがロシアの軍事演習に参加表明、米国は反発





2022年8月31日, 11:28







© Sputnik / Mikhail Turgiev





インドがロシアの軍事演習「ボストーク2022」に参加することは米国政府の懸念を引き起こす。ホワイトハウスのカリーン・ジャンピエール報道官が表明した。





ジャンピエール報道官はロシアが実施する軍事演習にインドが参加することについて質問を受けた中で、米国は如何なる国であれロシアの軍事演習に参加することを懸念すると発言した。ただし、参加に関する最終的な決定は各国にゆだねるとしている。







日本 ロシア軍演習「ボストーク2022」に憂慮

8月29日, 15:12






ロシア国防省の発表では「ボストーク2022」は9月1日から7日の期間で5万人以上が参加し、東部軍管区の7つの範囲で行われる。演習には140機の航空機、軍艦、ボート、支援艦船など60隻の他、5000ユニット以上の武器や軍事装備が参加。



ロシア軍は指揮統制機関や東部軍管区の部隊、空挺部隊の一部、長距離・軍事輸送航空部隊などを参加させる。



演習では、指揮官や司令部が、東方面や極東海域での侵略を撃退する上での軍団間や連合軍グループを管理するスキル向上が図られる。また、平和の維持、利益の保護、軍事上の安全性の確保を目的とした共同任務の遂行において、連合編成の互換性・相互運用性を高めることも計画されている。





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(投稿者より)



インドの独立を支援したのは日本でしたが、独立したインドが経済運営のモデルにしたのは旧ソ連でした。ロシアとインドの友好的な関係は以後ずっと続いています。



インドが「QUAD」に加わったのはヒマラヤ国境やインド洋の問題で中国と渉り合うためで、対露関係を犠牲にしてまで西側の機嫌を取る義理はありません。



寧ろ、今後は西側とロシアとの関係において仲介役を果たす場面が増えそうです。インドを中心にして世界が回り出す日が来るかも知れません。