ウクライナでの戦争、世界的な食料危機を引き起こす恐れ=国連 (BBC NEWS JAPAN)/上昇する小麦価格 だが原因はロシアにあらず(Sputnik日本)

ウクライナでの戦争、世界的な食料危機を引き起こす恐れ=国連 (BBC NEWS JAPAN)/上昇する小麦価格 だが原因はロシアにあらず(Sputnik日本)











https://www.bbc.com/japanese/61503673





ウクライナでの戦争、世界的な食料危機を引き起こす恐れ=国連





2022年5月19日





マット・マーフィー、BBCニュース







EPA

国連のグテーレス事務総長(左)とアメリカのブリンケン国務長官(右)






国連は18日、ロシアによるウクライナ侵攻のため、今後何カ月かのうちに世界的な食料不足が発生する恐れがあると警告した。



アントニオ・グテーレス事務総長は、戦争で物価が上昇し、貧しい国の食料難を悪化させたと述べた。



また、ウクライナの輸出が戦争前の水準に戻らなければ、世界は何年にもわたって飢饉(ききん)に直面する可能性があると付け加えた。



ウクライナでの紛争によって、同国の港からは供給が途絶えている。同国はかつて、大量のひまわり油や、トウモロコシや小麦などの穀物を輸出していた。



そのため、世界的な供給が減少し、代替品の価格が高騰している。国連によると、世界の食料価格は昨年同期比で3割近く上がっている。





「全当事者の善意が必要」



グテーレス氏はこの日、米ニューヨークで開かれた会合に出席。今回の紛争で「何千万人もが栄養失調、大規模な飢餓、飢饉に直面し、食料難に陥る恐れがある」と述べた。



そして、「皆が協力すれば、私たちの世界には今、十分な食料がある。しかし、この問題を今すぐ解決しない限り、今後数カ月のうちに世界的な食料不足の恐ろしさに直面することになる」と付け加えた。



また、ウクライナが生産する食料と、ロシアとベラルーシが作る肥料が国際市場に再び供給されなければ、食料危機の効果的な解決はないと警告した。



グテーレス氏はさらに、食料の輸出を通常レベルに戻すため、ロシア、ウクライナアメリカ、欧州連合EU)と「集中的に接触」していると説明。



「安全保障、経済、財政の複合的な面から、全当事者の善意が必要だ」と述べた。





ウクライナ穀物が滞留







ウクライナの倉庫に出荷できない小麦の山、農家の目に涙 食料危機の懸念





世界銀行は同じ日、食料難に対処するプロジェクト向けに、120億ドル(約1兆5000億円)相当の追加資金を提供すると発表した。



これにより、今後15カ月間にこうしたプロジェクトが利用できる総額は、300億ポンド(約4兆8000億円)以上になる。



ロシアとウクライナは、世界の小麦供給の3割を生産している。戦争前はウクライナは世界の穀倉地帯と言われ、毎月450万トンの農産物を港から輸出していた。



しかし、2月にロシアが侵攻を開始して以来、輸出は激減し、価格は高騰。インドが14日に小麦の輸出を禁止すると、価格はさらに上昇した。



国連によると、ウクライナには前回収穫した穀物約2000万トンが滞留している。これらが放出されれば、国際市場にかかっている圧力は緩和され得るという。





ロシアを非難



食料難に直面する人々の数は、侵攻前から増加していた。ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は18日の会合で、ロシアが困難な状況をさらに悪化させたと非難した。



ベアボック氏は、「ロシアは穀物戦争を仕掛け、世界的な食料危機をあおっている」、「特に中東やアフリカですでに何百万人もが飢餓に脅かされている時に、そうしている」と述べた。



一方、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、世界が「現代における最大の世界的食料安全保障の危機」に直面していると主張。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「自ら選んで始めた戦争」によって、いっそう悪化していると述べた。





(英語記事 Ukraine war could cause global food crisis - UN





関連トピックス 国連 食べ物 ウクライナ侵攻 ドイツ アメリカ ウクライナ ロシア











(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/20220522/11311592.html





上昇する小麦価格 だが原因はロシアにあらず





2022年5月22日, 06:31







© Sputnik / Sergei Averin





小麦が前代未聞な勢いで高騰している。独ディ・ヴェルト紙によれば、事の発端は、ひとつは異常な暑さに見舞われたインドが国内の需要を賄おうと小麦の輸出を止めたこと、もうひとつはウクライナ情勢だ。



ディ・ヴェルト紙は小麦の価格は5%高で1トン当たり435ユーロ(5万9120円)の記録的価格に達したこと、一方で価格上昇の理由をロシアが意図的に供給を停止したと責めるのはお角違いであり、実際は2022年3月、昨年同月比60万トン増の170万トン近くを輸出している。



ディ・ヴェルト紙は、ウクライナからの小麦輸出がなくなるだろうことは、輸出小麦の大半がそこから出ていく港湾をロシアが封鎖している以上、明白だと書いている。ウクライナでは2000万トンの小麦が貯蔵施設に保管されたままで、鉄道による輸送は非常に緩慢にしか行われていない。こうした一方で4月、ロシアの小麦輸出は210万トンにまで増えた。ディ・ヴェルト紙は、つまりロシアは石油ガス価格の上昇から未だに利益を得ているのと同じように、小麦価格の上昇からも多額の利益を受け取ることになると断言している。







ウクライナをめぐる情勢

ウクライナ、欧州へ小麦を輸出

5月18日, 21:12






実はインドは小麦の生産量では中国に続いて世界2位。ディ・ヴェルト紙は、昨年の収穫量が国内の需要量をはるかに上回る1億1000万トンだったにもかかわらず、インドが今年2022年、自国産の小麦の輸出を行わないということは二重の結果を招く可能性があると指摘している。一方ではインドの飢餓が起きる恐れは無くなるが、裏を返せば地元の農家は小麦輸出による収入を絶たれる。



スプートニクは小麦不足による飢餓でアフリカ、中東諸国で暴動が起きる恐れを懸念する専門家の意見を紹介している。





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