イギリスの「集団免疫」は科学的か諦めか?(チャイナネット)

イギリスの「集団免疫」は科学的か諦めか?(チャイナネット)









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イギリスの「集団免疫」は科学的か諦めか?





タグ:ウイルス 免疫 治療 肺炎 感染症





発信時間:2020-03-17 16:24:20 | チャイナネット |






新型コロナウイルスの感染が拡がる中、封じ込めではなく、流行の拡大を遅らせるという英国の方針や主席科学アドバイザーの「集団免疫」についての発言に批判が広がっている。



英政府は最新の科学的見地に立ってこの方針を決めたのか?それとも衛生管理と経済成長への負荷を考慮してそうせざるを得なかったのか?





▽「意外」な対応措置





英政府が発表した方針は、「封じ込め」「遅延」「研究」「鎮静」の4段階からなる。英国本土での感染者数の増加にともない、英政府は12日、「封じ込め」の段階から、流行の拡大を遅らせる段階に入ったと発表した。



「遅延」段階における政府の目標は、流行による影響をできる限り減らし、流行の時間を引き延ばすことで、インフルエンザの時季と時間をずらし、病院の診察や治療の負荷を減らすこと。



英政府が新たな段階に入ったことを発表する前、一部の地元メディアは政府が一部の国のように厳格な隔離措置を発表するだろうと報じていた。ところが英政府はその期待を裏切り、感染地域への渡航の有無を問わず発熱などの症状がある人に7日間の自主隔離を要請、症状が悪化した人のみ病院に連絡し、学校は臨時休校しない、大型イベントも全面的に禁止しないが、これらの措置は状況の変化に基づき随時調整されるという「意外」な方針を示したのだ。



これについて主席科学アドバイザーのサー・パトリック・バレス氏の説明によると、今最も重要なのは流行の拡大をできる限り遅らせること、感染者の増加曲線が穏やかになれば、医療システムへの過重な負担を回避でき、最終的にはより多くの人にこの疾患に対するある程度の免疫力が生まれるだろうという。



もともと科学アドバイザーが政府方針の合理性を裏付けるために打ち出した概念だが、「集団免疫」説には多くの疑問の声が上がっている。



そのため英国のマット・ハンコック保健相は15日付のサンデー・テレグラフ紙で、「われわれの防疫計画は科学者の専門的な意見に基づき作成された。集団免疫はこの計画の一部ではない。単なる科学的概念で、一つの目標とか一つの戦略ではない」と説明した。





▽議論が待たれる「集団免疫」





では、「集団免疫」とは何だろうか?



ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のマーティン・シボドー教授によると、新型コロナウイルスに感染する人が増えれば、治る人も増え、治った人にはウイルスに対する免疫力が生まれるということも少なからず明らかになっている。免疫力がある人が増えれば、ウイルスに感染しなくなる。人口の約70%の人が感染後に回復すれば、大流行の確率は大幅に下がる。これがいわゆる「集団免疫」だという。



シボドー教授の70%説に対し、バレス氏は人口の約60%の感染で「集団免疫」が成立するとしている。



リヴァプール大学のマシュー・ベーリス教授は、ワクチンがない状況で集団免疫を成立させる過程に「非常に懸念」があるとしている。新型コロナウイルスによる致死率1%という低い数値から計算したのなら、英国で50%の人が感染したとしても想像しがたい致死率になるだろうと危惧する。



英パーブライト研究所のシモン・ガビンズ博士によると、集団免疫はウイルスにとっては一種の「進化の圧力」で、インフルエンザウイルスが変異して人の免疫力が対応できない新しい菌種ができるように、免疫システムの束縛から逃れるためにウイルスを新しい変化に適応させることになる。「新型コロナウイルスについては、いまのところ同じような状況が発生するか十分な情報がない」と警鐘を鳴らす。



インペリアル・カレッジ・ロンドンのピーター・オープンショウ教授は「科学界の新型コロナウイルに対する認識はまだ不十分なため、ウイルスの免疫システムへの影響はまだ未知の部分があり、より深い研究によって明らかにする必要がある」と指摘する。





▽徐々に高まる批判の声





英政府の感染対策への批判の声は高まってきている。15日の時点で、400人以上の英国の大学や研究機関の学者が公開状に署名。学者らは公開状の中で、「集団免疫」は今の段階でとる選択ではない、これはかえって英国の公衆衛生システムにより大きな負荷をかけ、まったく必要のないより多くの生命を危険にさらすことになると訴えた。



英議会が設ける請願サイトの統計データによると、現地時間14日午前の時点で、ウイルスの蔓延を食い止めるため、積極的な方針を取るよう英政府に呼びかける請願書に10万人以上が署名。英国の規定によると、請願者数が10万人を超えると、議会はその議題について議論する必要がある。



呼吸器医学の専門誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン」は13日付で発表した社説で、流行を遅らせる計画実施に関する英政府の決定は科学に基づいており、ソーシャルメディアを含む多くの情報配信プラットホームを通じて決定の背景にある根拠を市民にしっかりと説明し、誤った情報の拡散を打ち消し、パニックが広がるのを回避しなければならないと呼びかけた。





「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月17日