PISA調査:東アジアの生徒が最も優秀(DW English):阿修羅♪
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/745.html
(PISA survey: best students in East Asia: DW English)
http://www.dw.com/en/pisa-survey-best-students-in-east-asia/a-36662476
教育
PISA調査:東アジアの生徒が最も優秀
これまでの調査と同様、OECDの教育評価はシンガポールと日本が好成績を納めた。それでも、結果からは男女間や社会的な公平性に関連して意外な点もいくつか出た。
3年に1度実施されるPISA(生徒の学習到達度調査)[Programme for International Student Assessment]の全分野でシンガポールの生徒が世界の残りの国々を凌いだ。火曜日、経済協力開発機構(OECD)は2015年試験サイクルの結果を公表し、シンガポールが3分野の全てで首位となった。
生徒の科学的能力について成績の上位5ヵ国はシンガポール・日本・エストニア・台湾・フィンランドだった。シンガポールは3年前の前回調査と比べて科学と読解力で著しく得点を上げたが、フィンランドは科学・読解・数学の主要3分野で著しく得点を落とした。
2015年PISA調査−科学の成績
火曜日、アンヘル・グリアOECD事務総長はロンドンで開催されたPISAの発表会で「どの国にも向上の余地がある。成績上位の国々でさえもだ」と語った。「若者たちの高い失業率、社会階層間の不公平の台頭、男女間の著しい格差、包括的な学力向上を更に急ぐ必要から、全ての子供が可能な限りの教育をきちんと受けられるようもっと多くのことが為されなければならない。」
PISAで扱われる分野には科学・数学・読解力が含まれるが、最近になって協調的問題解決が加えられた。最も新しい調査では主に科学に焦点が合わせられた。72ヵ国の15歳の生徒約540,000人が、この試験調査に参加した。各国の学校制度の質・公平性・効率の評価がこの調査の目的だ。
2015年PISA調査−読解の成績
最初のPISA試験は2000年に実施された。これはOECDが主催しているが、アルジェリア・ブラジル・ロシア・ペルー・タイなどのOECD非加盟国も参加している。参加は自由意思によるが質問には全ての国が貢献する。生徒たちは教室で学んだ情報を他の問題で活用する能力を示す必要がある。
ドイツは科学で16位にランクされた。同国の生徒たちは以前は成績によって3つの進路に分けられていた。ドイツの大部分の州では大学に進学予定の生徒たちと学業成績がそれほど高くない生徒たちの間にいまなお分断が存在する。
2015年PISA調査−数学の成績
「学校は全ての生徒に大いに期待しなければならない」とOECDベルリンセンターのマティアス・ルンプ報道官はDWに語った。「大いに期待される道を歩む生徒がいる一方で他の生徒は僅かな結果を出せるだけなら、学校は機能していない。」
男女の公平性は成績を測る指標にならない
また、PISAでは男女間や社会階層の異なる生徒間の公平性も見た。2009年から2015年の間、特に成績最上位の層で男子の読解力が向上したが、特に成績最下位の層で女子の読解力が低下した。この展開により読解の男女格差は低減したが、平均ではいまなお女子が男子より優れている。
男子と女子はどこでも機会を公平に与えられているわけでない。多くの国々で、教育については女子がいまなお不利だ。これは必ずしも彼女たちが学校に通う機会を完全に失うという意味でないが、例えば教師が彼女たちを扱うやり方や評価の仕方でこれは言えることかも知れない。
2015年PISA調査−男女の機会公平性
科学で高得点を得た国々の一部で男女の公平性が著しく悪い。男子と女子に公平な機会を与えることについて、日本とフィンランドはOECDの平均を遥かに下回る。
隣国同士であるアルジェリアとチュニジアはいずれも科学・数学・読解で好成績を出さなかった。しかし、チュニジアでは男女の公平性の状態がOECDの平均を遥かに上回り、一方、アルジェリアはそれを遥かに下回っている。男女の公平性ではチュニジアは地域の王者だ。2014年に成立した新憲法により、同国はアラブ国家で初めて男女が共に大統領に立候補できるようになった。
これは、男子と女子は同じ機会を受けるに価するが、男子と女子が公平に扱われるようになれば自動的に生徒たちの成績が向上するわけでないことを示している。
有能な教師が差を生む
社会的背景が異なる生徒たちに公平な機会を与えることも成績を測る指標にならない。生徒の成績では最上位にランクされる国の1つである台湾は平均的な得点に過ぎない。また、シンガポールも社会背景の異なる生徒たちの公平性では平均をかなり下回る。
2015年PISA調査−社会的背景についての機会公平性
フランス・ベルギー・ドイツなどの西洋諸国でも同じ真実が存在する。これらの国々では、いまなお両親の教育水準が子どもの学歴に大きく反映している。
ルンプOECD報道官は、教育におけるもう1つの決定的要因は教師だと語る。
「有能な教師は極めて重要だ」と彼は強調する。「大教室の有能な教師は、より小さな教室の資質に劣る教師よりもより良い仕事が出来る」
そして、教室全体に情報を与える方法について良い考えを思いつくのが有能な教師だ。
ルンプ氏は語る。「学びを楽しむようになれば、生徒は直ぐにもっと良い結果を出せる。」
2015年PISA調査−科学・読解・数学の結果
ウェブリンク
PISAの結果 (OECD・PISAのページ)[英語]
発表 2016年12月6日
記者 Carla Bleiker
関連テーマ OECD(経済協力開発機構)
キーワード PISA、教育、学業成績、公平性、OECD
−参考−
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)(国立教育成策研究所)
シンガポールが1位 − OECD PISA学力調査(OECD東京センター)
日本に関する資料− OECD PISA学力調査(OECD東京センター)[pdfファイル]