「『失われた20年』を疑う」(BBCの記事より):阿修羅♪

http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/730.html











(Did Japan really suffer economic 'lost decades'?: BBC newsnight)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/newsnight/9677271.stm





最終更新2012年1月13日 金曜日12:07GMT





日本が「失われた20年」に苦しんだ、というのは本当か?





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http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/newsnight/9677271.stm





株価と不動産価格が膨張した、1980年代の資産バブルがはじけると、90年代には日本は経済の大混乱に苦しんだ。その後の20年間、日本経済はほとんど成長しなかった。



いま、イギリスなど、世界の多くの国々の経済の姿はそれと似ているかも知れない。それなら、私たちは日本から何か学べるのではないか?また、日本の状況は、経済が低迷した「失われた20年」だったというのは、本当だろうか?



ローランド・バークが、東京から報告する。



これは、2012年1月12日木曜日に放送されたものです。





▼ジリアン・テッドとエイモン・フィングルトンの両ジャーナリストが、失われた20年の「虚構」を論じる









<以下、書き起こし>



(東京の街の様子)



日本は20年も低迷しているようには見えない。通りは喧噪に包まれ、女性のほぼ2人に1人が、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランドのハンドバッグをぶら下げている。ミシュランが星をつけたレストランの数は、東京がパリのほぼ4倍以上だ。



欧米諸国は日本を、恐怖のではなく、見習うべきモデルとして見るべきだろうか?





(工場。基板を作り、装置を組んでいる)



フルハート社は、この悪い時代が始まってから、労働力を2倍に増やしている。会社では、機械を制御する基板を製造している。機械は輸出され、日本を有名にしている。カメラや自動車だ。



従業員たちの雇用が、脅威に晒されることはなかった。





(インタビュー。ハートフル社社長、国廣愛彦(くにひろ・よしひこ)氏)



記者:一時帰休や解雇はあったんですか?



国廣氏:解雇したことはありません。でも、従業員の給与は引き下げました。



記者:給与を引き下げただけですか?それはなぜ?景気はずっと悪いのに、なぜ解雇なさらなかったのですか?



国廣氏:なぜって?うちに悪い人はいませんから。





(記者の報告)



この数年、欧米各国の政府に、日本は恐ろしい警告を発し続けた。経済危機の処理をし損ね、10年のみならず20年も日々が失われ、ゼロ成長かわずかな成長が続いたとき、未来はどのようになるのか?



GDP成長率で、日本は確かに欧米諸国に後れている。しかし、他の指標からは別のストーリーが浮かび上がる。1人当たりの電力消費量は、1990年から2004年にかけて、米国に比べ、はぼ2倍の速さで上昇した。日本からは、世界の100都市のうち、59都市に最高速インターネットによるアクセスが可能だ。平均寿命は83歳まで伸び、世界最高だ。失業率はたったの4.5%、イギリスは8.3%だ。



キース・ヘンリー氏は日本に27年住み続け、いまは、外国企業に日本でのビジネスを指導している。





(インタビュー。アジア・ストラテジー、キース・ヘンリー氏)



日本は、過去や現在において、安定した経済を提供することに成功している。これは近い未来までは続きそうだ。安定した経済の下で、世界でかつて見られなかったほど、富が均等に行き渡った。それが成功に役立ち、日本社会にずっと反映されてきた。その結果、日本社会に一体性がもたらされたというのは、間違いない。





(記者の報告)



経済が不調であろうがなかろうが、東京のビル街は空に光を放っている。それでも、おそらく、全てが明るいわけではない。日本の政府債務はこの数十年で急上昇し、今や先進国で最大だ。日本経済の崩壊は避けられない。先に延びるだけだ。そう、いつか日本人にも分かるのだろう。









(Japan's economic lost decades 'myth': BBC newsnight)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/newsnight/9677356.stm



最終更新2012年1月13日金曜日 13:29GMT





日本経済の失われた20年という「虚構」





(下のリンクをクリックすれば、動画記事をご覧になれます。)

http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/newsnight/9677356.stm






1990年代と2000年代、日本経済は「失われた20年」として知られている。これは、横這いの成長が続いたためだが、他の指標では、日本の財政・社会面で改善が見られた。



エイモン・フィングルトン氏とフィナンシャル・タイムズのジリアン・テット氏の両ジャーナリストは、ニューズナイトのエミリー・メイティリスに加わり、討論を行っている。



これは、2012年1月12日木曜日に放送されたものです。





こちらもご覧ください



日本が「失われた20年」に苦しんだ、というのは本当か?(3分03秒)









<以下、論点の整理>





(フィングルトン氏)

・日本は消費者の生活水準、平均寿命ともに高い。貿易も強く、2010年の経常黒字は1989年の3倍だったことなどから、「失われた20年」は虚構だったと思う。

・欧米の会計基準で見ると、日本の成長は過小評価されている。成長をいかに評価するかについて、日本は保守的だ。論点は多いが、日本はよくやっている。



(テット氏)

・日本の成長低迷の評価だが、経済・社会面では賞賛されるべき点はたくさんある。

・経済成長を論じるとき、日本は人口が減少しているが、米国は増加しており、これが数字に影響を与えることを忘れてはいけない。

・日本は社会的一体性が強く、痛みを共有する能力、協力し合う能力で、水準の高さが目に見える形で表れている。ドイツもある程度はそうだが、景況に合わせて企業が給与水準を柔軟に変動できれば、社会に安定性や一体感が生まれ、不況時には助かる。



(フィングルトン氏)

英米の現状よりも、日本の1990年代前半の方がずっと良かった。日本の金融危機は派手だったが、実体経済への影響は最小に抑えられた。製造業が経済を堅調に下支えしていたからだが、その製造業は今日、体質をさらに強化している。

・雇用制度も日本の強みだ。柔軟で、労働者の水準も総じて高い。



(テット氏)

・痛みを共有できるという社会的一体性との関連では、日本の債務は巨額だが、国債の95%は国民が保有しており、国民のコンセンサスがあれば元本の削減も大きな問題にならないだろう。一方、外国が絡むと、この問題は複雑だ。英米は、国債の半分を外国人投資家が保有しており、この扱いには慎重さを要する。

・ただ、英米人は他の社会に協力でき、そこに合わせることに困難を感じることもあまりないと思うが、日本では、結婚のために仕事を辞めなけばならない、出産すれば仕事に就けないなど、両立不可能なリアルな問題がある。









(投稿者より)



BBCサイトに掲載された記事です。国内向けニュースショーで放送された動画のようです。聞き取りにくい部分は適当に訳していること、聞き取れなかった部分もあったことを、ここに白状いたします。また、誤訳はあるかも知れませんが、ご容赦下さい。



記者がインタビューした、社長の会社のウェブサイトです。



(株式会社フルハートジャパン・株式会社ハーベストジャパン)

http://www.fullheart.co.jp/index.html



討論に参加していたフィングルトン氏が書いた、ニューヨークタイムズの記事です。ブログなどでも取り上げられているようです。



(The Myth of Japan's Failure: New York Times)

http://www.nytimes.com/2012/01/08/opinion/sunday/the-true-story-of-japans-economic-success.html?pagewanted=all





※2016.11.11 訳文を一部見直しました。