「2023年、景気後退と債務危機の警告―IMF・世銀」 (BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)

「2023年、景気後退と債務危機の警告―IMF・世銀」 (BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)









(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/64149125





今年は世界の3割が景気後退に=IMF専務理事





2023年1月3日





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Reuters

国際通貨基金IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事






国際通貨基金IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は1日、2023年の経済見通しについて、世界の3割がリセッション(景気後退)の状態になると警告した。米CBSニュースの番組で話した。





ゲオルギエヴァ専務理事は、アメリカ、欧州連合EU)、中国の経済が失速するのに伴い、2023年は昨年より「厳しくなる」として、「世界経済の3割が景気後退の状態になると予測している」と話した。



「景気後退ではない国でも、何億人もの人が、まるで景気後退のようだと感じることになる」とも、専務理事は述べた。



ゲオルギエヴァ氏はさらに、2023年冒頭は世界第2の経済大国・中国にとって厳しい時期になるだろうと予測。「今から数カ月間は中国にとって厳しいものになる。中国の経済成長への影響はマイナスになり、地域への影響も、世界的な成長への影響もマイナスになる」と語った。



190カ国が加盟するIMFは、経済成長の安定を図る国際機関。世界の経済と金融市場の動向を監視し、経済動向について早期に警告することが、主な役割の一つだ。



IMF昨年10月に公表した世界経済見通しで、世界経済は悪化しており、「最悪の時期はこれから来る」として、「多くの人は、2023年にリセッションを感じるだろう」と警告。ウクライナでの戦争が世界中で物価を押し上げていると説明していた。





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その後も各国の利上げは続き中国では新型コロナウイルスの感染がまたしても拡大するなど、経済成長への負荷が高まっている。



ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、カトリナ・エル氏はBBCに対して、「世界的な景気後退は避けられるというのが、私たちのベースライン(基準線)予測だが、世界的な景気後退の可能性は不穏なほど高い。欧州では景気後退を避けられないし、アメリカはそのがけっぷちにいる」と話した。



中国国家統計局が昨年12月31日に発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、3カ月連続で前月から低下。低下ペースは約3年で最速だった。12月7日にゼロコロナ政策が大幅に緩和された後、感染が急拡大したため、国内の製造業に支障が出ているという。



習近平国家主席は12月31日夜、恒例の新年のあいさつで、新型コロナウィルス対策で中国は「新しい段階」に入ったと述べた。ゼロコロナ政策の緩和以降、習氏が国民に向けて発言するのはこれが初めてだった。



アメリカ経済の失速は、中国やタイ、ヴェトナムなどアジア諸国で作られる製品の需要が減ることも意味する。また各国の利上げによって資金調達コストが上がるため、企業は設備投資や事業拡大を控える可能性が高く、景気の冷え込みにつながりかねない。この影響で、特に貧しい国の消費者は、食費や光熱費に使える資金が減る恐れがる。



英投資会社シャード・キャピタルのビル・ブレイン氏は、IMFの警告は「効果的な目覚まし」だとBBCラジオで話した。



「世界中の労働市場は比較的堅調だが、創出されている職種は必ずしも高給ではなく、景気後退になる。金利は、市場が思うほどすぐに下がったりはしない」とブレイン氏は言い、「その結果、あらゆる波及効果が出ることになっ、少なくとも2023年前半までの市場は、やきもきする状態が続く」と見通しを示した。





(英語記事 Third of world in recession this year, IMF head warns





関連トピックス 国際通貨基金(IMF) 経済











(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/64232299





世銀、今年の世界成長率予測を1.7%に下方修正 世界的な景気後退を警告





2023年1月11日







AFP

デイヴィッド・マルパス総裁率いる世界銀行は、アメリカやユーロ圏、中国の経済がいずれも苦境に陥っているとしている






世界銀行は10日、世界経済見通しを発表し、2023年の成長率予測を1.7%へと下方修正した。昨年6月時点での予測は3%だった。



世銀は世界経済がリセッション(景気後退)入りする可能性があるとしている。多くの要因がロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスパンデミックに関わるものだと指摘している。



政策立案者が克服すべき重要な課題には金利上昇による影響が挙げられている。



世銀のデイヴィッド・マルパス総裁は、景気後退は「広範囲に及ぶ」だろうとし、世界のほぼすべての地域で所得の伸びがパンデミック以前の「10年間よりも鈍化する」可能性が高いと述べた。



1.7%という成長率は、世界金融危機と新型ウイルスのパンデミックによる2009年と2020年のリセッションを除けば、1991年以来最低の水準。



世銀は、世界の経済成長に最も影響力のあるアメリカ、ユーロ圏、中国の3地域が「いずれも顕著な弱さの時期を迎えている」と分析。こうした景気低迷が、より貧しい国々が直面する問題を悪化させていると指摘した。







各国の2023年国内総生産の実質成長率予測。赤色が最新予測、青色が2022年6月の予測 出典:世界銀行





先進国の経済成長率はパンデミック開始後の2021年に5.3%へ急上昇したが、2022年の2.5%から2023年には0.5%へ減速する可能性が高い。



世銀は「過去20年間、この規模の減速は世界的な景気後退の予兆となってきた」と警告。「急激かつ長期にわたる減速」が起きると予測していると付け加えた。



もし世界的景気後退が起きれば、1930年代以来初めて、10年間で2度の世界的景気後退に見舞われることになる。





物価上昇への対応



世界経済が苦境に陥っている主な理由の1つはインフレ率の上昇だ。ロシアによるウクライナ侵攻で作物の供給が減り、欧米諸国はロシア産化石燃料からの脱却を迫られたことで、世界の食料価格とエネルギー価格は昨年急騰した。



世銀はこうした圧力が緩和されるにつれ、2023年の世界の物価上昇ペースは2022年の7.6%から5.2%に減速するとの見通しを示した。



また、「価格高騰の可能性はある」としつつ、エネルギー価格は全般的に下がる見通しだとした。世界的な生産量の増加と、エネルギー危機で企業や一般家庭がガスの使用を控えている欧州で需要が低下していることを理由に挙げた。



2022年に13%上昇した作物の価格は、数年前に比べれば高値が続くものの、今年は5%下がると世銀は予測している。



一方で、インフレ率は一般的に健全とされる2%を大きく上回ると予測されている。



アメリカやイギリスなど数十カ国の中央銀行は、この問題に対処するため金利を引き上げ、自国経済を落ち着かせようとしている。







アメリカ、カナダ、イギリス、ユーロ圏、日本の中央銀行政策金利(2022年1月から同年12月15日まで)出典:国際決済銀行、各国の中央銀行





しかし、これらの中央銀行は経済を後退させることなく生活費危機に対処するため、繊細なかじ取りを続けている。



借入コストの上昇が企業投資を抑制し、負債に苦しむ企業が増えていると世銀は警告した。発展途上国の経済は、さらなる引き上げが予想されるアメリカの金利によって圧迫されている。これらの国の多くは米ドルで資金を借り入れている。



世銀は世界経済が「圧迫されて」いても、政府が適切な政策を取れば希望が見えてくる可能性はあるとした。そして、投資や雇用の創出、気候変動への対応、貧困国の債務処理、国際貿易の促進を推し進める対策を提言した。





(英語記事 Global recession is perilously close - World Bank





関連トピックス 世界銀行 経済











(Sputnik日本)

https://sputniknews.jp/20230114/6imf-14571124.html





世界の国々の約6割に債務危機のリスク=IMFトップが警鐘





2023年1月14日, 07:21







© AP Photo / Jose Luis Magana



国際通貨基金IMF)トップのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、世界の国々の約6割に債務危機に陥るリスクがあると警戒感を示した。各国の債務増加や国際情勢の不透明性が理由だという。独誌「Der Spiegel」が伝えている。



同誌によると、ゲオルギバ専務理事は次のように話している。





市場経済下にある、または発展途上の国々の6割が深刻な債務危機に陥るリスクに瀕している。だからこそ今年2月には債務再編に関わるハイレベル協議を主要な債権者や民間部門の参加のもと開くのだ」




また、ゲオルギエバ専務理事は、各国の債務は金利の引き上げなどで急激に増大していると指摘している。昨年、世界ではエネルギー・食料危機で物価高が進み、インフレ対策として政策金利を高い水準に引き上げる国が相次いだ。



また、世界の労働市場についてゲオルギエワ専務理事は「各国政府は臨機応変に食料、燃料高に対応して国民に財政的支援をしたため、今のところは耐えている」としながらも、こうした救済手段は限られてきていると警告した。







世界の株式市場、2022年に30兆ドル失う

1月1日, 07:10






毎日新聞などによると、日本では13日、長期金利の指標となる10年物国債の利回りが一時0.545%まで上昇。日銀が上限とする0.5パーセントを突破した。また、同日日銀は5兆円超の国債を買い入れ、2日連続で過去最高を更新している。



昨年12月の日銀による突然の政策修正の後、市場では国債を売る動きが続いている。17、18日には金融政策会合が開かれるが、市場には更なる政策修正に対する警戒感が出ており、国債売りはとどまる気配がない。





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(投稿者より)



今年は世界経済にとって決して明るい年では無いようです。しかし、それは旧いものが壊れて消えるからそうなるのであって、以前から想定されていたことでした。新しいものの準備を続けてきた方々の目には、今年は焼け跡の中から広大な更地が姿を現す絵が見えるかも知れない。そのような話も耳にしています。







※ 2023.1.15 内容を追加し、コメントを付記しました。