【解説】東京の入管施設で相次ぐ外国人の死亡、その原因は何か?/【解説】人材不足を補填するため、あらゆる可能性を探る日本(Sputnik日本)

【解説】東京の入管施設で相次ぐ外国人の死亡、その原因は何か?/【解説】人材不足を補填するため、あらゆる可能性を探る日本(Sputnik日本)









https://sputniknews.jp/20221126/13975656.html





【解説】東京の入管施設で相次ぐ外国人の死亡、その原因は何か?





2022年11月26日, 19:59







© AP Photo / Shizuo Kambayashi





タチヤナ フロニ





日本で50代のイタリア人男性が自殺した。このイタリア人男性は、東京の入管施設の居室内ですでに死亡しているところを発見された。入管に収容されている者が死亡するという事件はこれが初めてではない。



ジャパントゥデイが伝えているところによれば、2007年以降、入管施設で死亡したのは18人。そして今回の件を含め、その18人のうちの6人が自殺によって亡くなっている。





違反ではあっても犯罪ではない



日本の入管に収容されている外国人が、適切な医療を受けられなかったために死亡するというケースがあるというのは特筆すべきことである。33歳のスリランカ人女性はまさにそれにより亡くなった。この女性は、学生ビザの有効期間を超過しているという理由だけで、入管施設に収容されていた。







【解説】支援は受けつつ、日本の路線とは反対の票を投じるのか?

11月23日, 07:20





一方、今回死亡したイタリア人男性が入管に収容されていたのは、在留資格の期限が切れているという理由により(10月25日から)からである。これはもちろん、入管法の違反である。しかし、日本のような文明的な社会において、人命を犠牲にするほどの重大な犯罪ではない。



死亡したイタリア人男性は、日本に不法入国したわけではない。不法入国というのは、たとえば、イタリアではしょっちゅう起こっていることであり、しかも違反者には救いの手が差し伸べられるものである。また、概して、貧しい国から生命のリスクを冒して入国を試みたすべての人々には、最終的には国籍が与えられる。



このイタリア人男性は合法的な形で日本に入国した。彼は(ほぼすべての外国人と同じように)、不注意またはうっかりしていてビザに関する入管法を違反しただけであり、本人もこれほど厳しい罰則を受けるとは思っていなかったであろう。



一体、日本の民主主義のどこに問題があるのだろうか。なぜ18人もの外国人が日本の入管で命を落とし、祖国に帰れなくなってしまっているのだろうか。





観光客は歓迎されるが、移民はそれほど歓迎されない



中国・現代アジア諸国研究所、日本研究センターのワレリー・キスタノフ所長は、その答えは簡単なもので、それは外国人の日本への愛は相互のものではないからだと指摘する。





「日本は今、発展した経済、最新の技術、そして民主主義的な制度など、文明国のあらゆる要素を有しています。また観光という意味では、新型コロナウイルスに関する制限が解除された後、観光客に対し、再び国境が開かれました。日本人はおそらくその礼儀正しさから、いつでも観光客を歓迎しています。しかし、他方で、日本では日本社会に溶け込もうとする外国人に対しては、今も、大きな疑念を抱いたり、あるいはネガティブな態度をとっています。このような外国人は、日本人との付き合いの中で、困難さを抱えています。おそらく、今も日本人の頭の中には、外国人は日本の伝統に対するなんらかの脅威であるという根強い考えが残っているのです。そこで、国のシステムは、まるで『外国人を拒絶する』かのように、入国管理に関して、外国人に対してはきわめて厳しいままとなっています。そして、(入管法違反の際の)収容の条件は非常に厳しいもので、ほとんど刑務所のように過酷です。そして、このことには、すでに国連も注意を向けるようになっています」




国連人権委員会は日本政府に対し、入管の収容施設の条件を改善する必要があると指摘している。しかし、この批判はどうやら無意味であるようだ。



というのも、外国人の悲劇的な死亡事件は、国連が日本政府に要請を行ったわずか2週間後に起こったのである。その理由は単純明快なものである。



最近のドラマティックな事件から判断して、入管制度について日本に「指導を行おう」という国際的な試みは十分に響いていないということである。







【ルポ】「日本は、伝統を守っているという点でとても心地よく、ロシアに近い」イーゴリ・モイセーエフ・バレエ団芸術監督へのインタビュー

11月16日, 23:00






ダブルスタンダード



とりわけ、現在、サッカーのワールドカップが開催されているカタールに対する、文明的な西側の態度と比較するとこのことは明らかである。



カタールでのワールドカップの開幕を前に、西側のメディアでは、この国を侮辱するための真の情報戦争が展開された。とりわけ、叩かれているのはLGBTの人々に対する人権侵害などである。一方で、日本では、同性婚カップルたちも、自分たちの権利を主張する上で大きな問題を抱えている。



しかし、これが、世界のメディアで、冷静な非難という「情報の津波」を起こすことはない。キスタノフ氏は、これは西側の「ダブルスタンダード」というもので説明がつくと述べている。





「イタリア人男性の死という悲劇は、日本を『美しく見せるものではない』ため、その自殺に関する調査はもちろん行われるでしょう。しかしながら、世界のメディアで『大きな騒動』が起こることは回避することができるでしょう。これは日本の入管制度にも関係するものです。というのも、西側は、この分野において日本の『閉鎖性』は日本の国民のメンタリティーの特徴だとして、寛容な態度を見せているのです。そのような寛容さが見られないカタールとは違うのです。逆に、カタールに対しては、西側の民主主義にそぐわないあらゆることが声高に指摘されています。そのようなアプローチにおいて、西側のダブルスタンダードが見られるのは当然です。というのも、日本は西側諸国の信頼あるパートナーであり、アジアにおける米国の戦略的同盟国だからです」




つまり、黙っていることはできないにしても、普通よりも目立たぬように指摘することはできるのである。ちなみに、日本の入管施設での「犠牲者」らは自分たちが生きる権利を主張しようと裁判所に訴えることはもうない。







【解説】実写版「ゴールデンカムイ」で議論 アイヌ役はアイヌの俳優が演じないとダメなのか

11月2日, 21:00




しかしながらまだ希望はある。たとえば、国連の人権委員会が、今回のイタリア人男性の死亡後、ついに日本にきちんと聞こえるような「大きな声」を出していることなどである。そうすれば、入管施設における収容条件の改善に向けた効果的な措置がとられるだろう。



しかも、(ジャパントゥデイが指摘しているように)在留資格を持たない外国人の中には、なんらかの理由によって、日本政府からの退去の指示をときに、すぐに遂行できず、それによりかなり長期にわたって収容されることがある。



つまり、あらゆる民主主義国家(日本を含め)は、このような人々に、入管施設での収容に対する適切な条件を保証する義務を負っていることは、明らかである。





国内 社会 オピニオン











https://sputniknews.jp/20221205/14101116.html





【解説】人材不足を補填するため、あらゆる可能性を探る日本





2022年12月5日, 19:33







CC0 / Pixabay /





リュドミラ サーキャン





日本語を知らずに初めて日本に来た人は情報の海に溺れてしまいがちだ。そうした人々のため、また、日本在住で求職中、あるいは新たな自己実現の可能性を探している外国人のために、11月25日と26日、東京でEXPAT EXPO TOKYO 2022が開催された。日本にはどれくらいの外国人がいるのか。彼らはどこから、どんな目的で日本に来ているのか。



EXPAT EXPOは、外国人が日本企業や外資系企業の人事担当者と交流できる場として開催された。EXPOにあわせて、国際ジョブフェアも行われた。EXPOにはインターナショナルスクールや語学学校のほか、不動産、医療、金融、観光、レジャーなどの分野で外国人向けサービスを提供する企業も参加した。



多くの国で労働力不足が問題となり、各国は外国人の専門家の誘致に積極的だ。コロナ禍の国境閉鎖で移民の流れは大きく減少したものの、現在は再び元に戻りつつある。国連の国際移住機関(IOM)によると、2019年の世界の国際移住者数は約2億7200万人に達しており、このうち、1億6400万人が労働移民であった。外国からの労働力流入が最も多かったのはアジア諸国だったが、同時に、アジア諸国からは労働力の流出も起こっている。







【解説】東京の入管施設で相次ぐ外国人の死亡、その原因は何か?

11月26日, 19:59






かつて、日本で働く外国人は、大学教授や文化人でない限り、「日本人の仕事を奪っている」という偏見から警戒されてきた。しかし、やがて経済的な必要性から、日本も外国人労働者を受け入れざるを得なくなり始めた。高齢化や若者人口の減少に伴い、様々な分野や地方で深刻な労働力不足が顕在化したのだ。2017年11月には技能実習生法が施行され、一定の技能訓練を行うことを条件に、労働移民の受け入れが合法化された。2018年末には、国会で出入国管理法の改正が可決され、2種類の在留資格が新設された。熟練度の低い業務に従事し、家族の帯同が認められないものと、より熟練した技能を持ち、家族の帯同が認められるものである。日本で働く外国人の在留期間は在留資格によって異なり、平均すると1〜5年程度である。高度専門職や研究者、企業のトップマネジメント、大学教授などには、例外的に無期限の在留が認められている。



新たなルールのもと、2019年から5年間で、農業、水産加工、建設、清掃、看護など14の分野で、さまざまな技能の外国人を約34万5000人受け入れることが想定された。



しかし、コロナ禍と、その後2年近く続いた世界で最も厳しい水際対策により、来日する外国人労働者の増加傾向は腰折れした。法務省によると、2012年からコロナ禍前年にあたる2019年の在日外国人は300万人近くに達していた。それでも、さまざまな分野で138万人分の労働力不足が発生していた。JICAによると、現在の経済レベルを維持するだけでも、2040年までに外国人労働者を674万人に増やす必要があるという。



2022年10月11日、日本は外国人観光客の個人旅行を解禁し、ビザ免除を再開すると発表した。同日、政府は1日5万人だった外国人観光客の入国制限を撤廃した。岸田文雄首相率いる政府が今年3月から段階的に進めてきた水際対策の正常化により、日本は外国人労働者の受け入れを再開することができる。しかし、前向きな政策的な変化はあるものの、外国人労働者の増加の大部分は、留学生や技能実習生によって賄われているのが現状だ。2022年1月までに既にビザの発給を受け、日本入国を待っていた外国人40万人のうち、約15万3000人が留学生で、12万9000人が技能実習生である。



人口問題研究所の上級研究員のニキータ・リャザンツェフ氏は、次のように指摘する。





「日本政府は、留学生を労働力と見なしていることを隠していません。つまり、教育移民は労働移民を誘致する政策の延長線上に置かれているのです。日本の大学で教育を受けた留学生の多くは、日本に残ることを希望するため、その結果、日本は労働市場のニーズに適した技能の労働力を得ることができます。日本に来る留学生は急激に増加し、2012年には16万1000人強だったのが、2019年には31万2000人に達し、過去最高を記録しました。2021年は24万2000人にまで減少しました。出身国を見ると、中国、ベトナム、韓国、台湾、タイ、スリランカインドネシアなどが多く、主に日本の経済的・地政学的影響圏の国々です。もうひとつ重要なポイントは、日本留学に来た人々が民族的・文化的に日本に近い人々だという点です。こうした人々は新しい生活環境に適応するのが容易なのです。若者を日本に留学させるための仕組みはさまざまです。 例えば、日本企業のイニシアチブで、タイの首都バンコクで毎年、大規模なイベントNippon Haku Bangkokが開催されています。観光・文化プログラムだけでなく、このイベントには日本から教育機関、人材紹介会社、外国人を雇用したい企業も積極的に参加しています。また、近隣諸国からの留学生誘致は、投資、貿易、ビジネス関係、文化交流によってサポートされています。そのおかげで、近隣諸国には新たな雇用が生まれ、海外の日本関連セグメントや日本に労働力を呼び込むための好条件を生み出すことになるのです。また、日本語学校も大きな役割を担っており、事実上、外国人の若者の就職斡旋を担っています。技能実習生については言うまでもありません。彼らは、表向きは教育目的の移民とされていますが、事実上は、組織的に労働力をリクルートするためのチャンネルとなっています。」




労働移民が、多くの場合、仕事を求めて自発的に他国へ行く人だとすれば、戦争、自然災害、飢餓などから逃れるために移住を余儀なくされた強制移民もいる。まだ全貌は明らかになっていないが、国連難民高等弁務官事務所によると、2022年の避難民は世界全体で1億300万人に達する可能性があると推定されている。



日本は1981年に国連の「難民の地位に関する1951年の条約」に加盟した。以降、8万7892人が日本に難民申請を行ったが、承認されたのはわずか915人だ。2021年、日本が難民認定したのは74人。2022年、日本はウクライナから約2000人の避難民を受け入れた。ここで注意したいのは、日本がウクライナから受け入れているのは「難民」ではなく「避難民」であるという点である。この資格の違いにより、避難民は一部の権利が制限されている。





国内 経済 社会











(投稿者より)



「人身売買」として世界に悪名の高い技能実習生制度について、日本はまだこれを見直す姿勢を示していませんが、労働者移民の問題に関連して記事を2本並べてみると、「歓迎はしないが働けば金は呉れて遣る」と言わんばかりの日本側の姿勢が如何に手前勝手なものかが良く見て取れます。たとえこれが事実に反するとしても、そう見られていること自体が問題なのです。



私は移民の受け入れには決して賛成しませんが、来て頂くならば頂くで人間としての尊厳を保てる形を作ることは必要不可欠だと思います。例えば、日本ではビザの更新が何らかの事情で出来なければ、最悪の場合には政府機関から生命を奪われるようですが、これはどう考えても理不尽です。為政者・当局者の皆様には、これは国の恥だいうことに早く気付いて頂きたいものです。