IMF、 世界経済の「最悪はこれから」 英減税政策を再び批判/円相場が147円台後半に下落 過去32年で最安値 (BBC NEWS JAPAN)

IMF、 世界経済の「最悪はこれから」 英減税政策を再び批判/円相場が147円台後半に下落 過去32年で最安値 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/63224707





IMF、 世界経済の「最悪はこれから」 英減税政策を再び批判





2022年10月12日







PA Media





国際通貨基金IMF)は11日、最新の世界経済見通しを公表し、「最悪はこれから」だとした。また、物価上昇を助長すると警告していたイギリスの減税政策を、改めて強く批判した。





IMFは、経済成長の安定を図る国際機関。この日の見通しでは、ウクライナでの戦争が世界中で物価を押し上げていると説明した。



そして、世界経済は悪化しており、「最悪の時期はこれから来る」と警告。「多くの人は、2023年にリセッション(景気後退)を感じるだろう」とした。



IMFはまた、この経済的混乱を人々が切り抜けられるよう、各国政府と中央銀行が協力する必要があるとした。



IMFのピエール=オリヴィエ・グランシャ調査局長は、「運転手が2人いて、それぞれがハンドルを握っている車を思い浮かべてほしい。運転手の1人は左に、もう1人は右に行こうとしている」とBBCに説明。



「片方は中央銀行で、経済を冷やし、物価上昇を和らげようと努めている。もう片方は、家庭を支えるためにもっとお金を使おうとしている。(中略)これでは多分、あまりうまくいかないだろう」と述べた。











IMFは報告書で、ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギーや穀物の輸出が制限されたことで、食料、暖房、燃料の価格が急騰する中、こうした出費が家計で大きい割合を占める貧しい家庭を直撃していると、IMFは説明。各国政府が物価上昇の影響から貧しい家庭を保護する必要があると指摘した。



また、ロシアのガスに依存する欧州諸国が特に大きな打撃を受けていると説明。その例として、ドイツの経済は来年は縮小すると予測した。



一方、ロシアの経済については、来年2.3%縮小すると予想。今回、予測対象となった国の中で最大の落ち込みとなった。



IMFのクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は10日、世界銀行との会合で、中国の経済成長も、新型コロナウイルス関連の規制が続いているために鈍化していると説明。アメリカについては、金利上昇のマイナスの影響が出始めているとした。



また、各国が協力して行動することで「2023年に待ち受ける痛みを軽減する」ことができると主張。IMFは主要国に対し、たとえ経済成長にマイナスの影響が出るとしても、生活コストを引き下げるよう働きかけると述べた。



そして、各国が十分に努力をしなければ、「困ったことになる。インフレを暴走させるわけにはいかない」と警告した。











イギリスの減税政策



IMFは、イギリスの減税政策「ミニ・バジェット(小さな予算)」については、経済成長の促進が目的だと理解でき、短期的にはそれが達成されるだろうと認めた。



しかし、減税によって物価上昇のペースが速まる恐れがあり、物価高騰に対する「戦いが複雑になる」との見方を示した。



IMFは、イギリスのクワジ・クワーテング財務相が先月23日に大規模な減税計画を発表すると、その計画は不平等を拡大し、物価上昇の圧力に拍車をかける恐れがあると批判していた。



経済に関して早期の警報を発する重要な役割も担っているIMFが、これほど率直な声明を出すのは異例だった。



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英首相報道官は、「世界的な物価高にあって英国民を支援する」のが目的だと、減税政策の妥当性を主張。IMFの報告書については、「各国が直面している世界的な課題」を示したものだとした。





イギリスのインフレ進行



IMFの見通しでは、イギリスのインフレ率は年内に約11.3%まで上昇し、ピークを迎える。インフレ率は、生活費が時間とともにどう変わるかを示す。



ユーロ圏ではスロヴァキアだけが、インフレ率上昇から脱すると予想されている。



イギリスの今後2年間の物価上昇率は平均約9%で、イングランド銀行(英中央銀行)の目標値2%をはるかに上回るとみられている。



イギリス経済は、今年は主要7カ国(G7)など経済先進国の中で最も速いペースで成長する見通し。しかし、来年は0.3%の成長にとどまり、ほぼ停止状態になると予想されている。



ただ、今回のIMFの報告書は、英政府が打ち出した減税政策を十分に考慮したものとはなっていない。





(英語記事 IMF warns rising prices will be worse in UK





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https://www.bbc.com/japanese/63252387





円相場が147円台後半に下落 過去32年で最安値 





2022年10月14日







Getty Images





円相場は13日、対ドルで147.66円となり、過去32年で最安値を付けた。アメリカの9月のインフレ率が市場予想を上回る上昇率だったことが、影響した。





米ワシントンで開催された主要7カ国(G7)財務相会議に出席した鈴木俊一財務相は、「過度な変動には適切な対応を取りたい」と述べた。



「投機による過度な変動は容認できない。為替市場の動向を、高い緊張感をもって注視している」と、財務相は強調した。



日本政府は9月、24年ぶりとなる1ドル=146円台の円安を受け、2兆8382億円を投じて円買いの市場介入を行った。



しかしアナリストらは、日本の政策金利アメリカよりはるかに低い水準にとどまる限り、こうした介入はほとんど効果がないだろうと警告している。



日本円をめぐっては、日米の中銀が非常に異なるアプローチを取っているため、ここ数カ月にわたり圧力が高まっている。



米連邦準備制度理事会FRB)はインフレ抑制のために利上げを続けているが、日本銀行は超低金利政策を維持している。



アメリカの9月のインフレ率は前年同月比で8.2%。伸び率は8月の8.3%から縮小したものの市場予想よりも高く、世界最大の経済大国のインフレとの闘いがまだ続く兆候と捉えられた。



FRBのインフレ抑制努力は、ポンドやユーロといった他の主要通貨に対するドル高と借り入れコスト上昇を招いているため、アメリカのインフレ率は特に注目されている。





(英語記事 Japanese yen touches 32-year low against US dollar)





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