靖国神社に祀られている戦没者を追悼するという義務を果たしつつ、近隣諸国の反発を避けようとする日本の政治家たち(Sputnik日本)

靖国神社に祀られている戦没者を追悼するという義務を果たしつつ、近隣諸国の反発を避けようとする日本の政治家たち(Sputnik日本)







https://sputniknews.jp/20220817/12522175.html





靖国神社に祀られている戦没者を追悼するという義務を果たしつつ、近隣諸国の反発を避けようとする日本の政治家たち





2022年8月17日, 18:10 (更新: 2022年8月17日, 18:11)







© 写真 : Wei-Te Wong





リュドミラ サーキャン





日本の終戦から77年となる8月15日、日本武道館(東京都千代田区)で、全国戦没者追悼式が、日本のあらゆる伝統に従い執り行われた。参列した天皇陛下はお言葉の中で、「過去を鑑み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されないよう切に願い」、平和を希求し続けていくことを願うと述べられた。天皇陛下に続いて式辞を述べた岸田文雄総理大臣は、謝罪の言葉は述べなかったが、戦争を否定し、平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、さまざまな問題の解決に全力で取り組んでいくと述べた。





岸田総理は靖国神社への参拝を見送ったが、総理大臣としてではなく、自民党総裁として、玉串料を奉納した。一方、この日、萩生田光一政調会長(前経済産業大臣)が靖国神社を参拝した。またそれまでに、西村康稔経済産業大臣靖国訪れている。西村経済産業大臣は、日本および世界の平和と繁栄に全力を尽くすことを固く誓うとし、安倍元総理のことを思い、靖国を参拝したと述べた。



この西村経済産業大臣靖国神社参拝について、中国政府は日本政府に対し、強い抗議を申し入れた。中国外務省の王文斌副報道局長は、「A級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝することは、日本政府の歴史問題に対する誤った態度を示している」と述べた。





「日本が侵略の歴史を直視し、深く反省し、実際の行動でアジアの隣国や国際社会の信頼を得るよう促す」と指摘した。








中国が日本政府を批判 西村経産相の靖国神社参拝で

8月15日, 08:15






一方、西村経済産業大臣靖国神社参拝に対しては、韓国も「深い失望と遺憾」を表した。





韓国外交部は声明で、「韓国政府は、日本の過去の侵略戦争を美化し、戦争犯罪者を合意する靖国神社を日本政府の閣僚が参拝したということについて深い失望と遺憾の意を表明する」とコメントした。




ここで指摘しておくべきことは、実は1980年代まで、中国も韓国も靖国神社にはそれほど注目していなかったという点である。日本の要人の靖国参拝アジア諸国が注意を向け出したのは、1978年10月に、極東国際軍事裁判で裁かれたA級戦犯が合祀されたからである。



1985年8月15日、終戦40周年の日に、当時の中曽根康弘総理大臣が、総理として初めて靖国神社を参拝したが、これが中国、韓国などのアジア諸国の激しい反発を呼んだ。かつての戦争について反省しているという日本政府の発言の誠実さに疑いを持たずにはいられないというのがその理由である。



靖国神社を最後に公式参拝した総理大臣は小泉純一郎氏であるが、このときも中国と韓国は激しく反発し、その都度、公式な抗議を申し入れている。これは小泉元総理からの挑戦であったとも考えられるが、小泉元総理は、2005年の4月にジャカルタで開かれたアジア・アフリカ首脳会議で演説した中で、日本が行った植民地支配と侵略について、痛切な反省と心からの謝罪を表明し、このお詫びの気持ちを常に心に刻んでいくと述べた。



そして2013年以降、日本の総理大臣は、玉串料を奉納することはあっても、靖国神社を参拝することはなかった。一方、首相に就任した安倍晋三氏は、2013年12月に1度だけ靖国神社を参拝したが、それに対しては、中国、韓国から抗議を受けたのみならず、米国からも「失望」が表明され、それ以降は、外交上の影響を鑑み、参拝を見送り、玉串料を納めるに留めてきた。そして安倍氏は、2020年、総理大臣の座を退いた後に靖国を参拝している。







安倍首相、靖国参拝見送りへ 中国を失望させないため=SCMP

2020年8月10日, 23:25






安倍首相の後継者となった菅義偉氏も、総理としては参拝を行わなかった。岸田総理も、この例に倣ったとみられる。



これに関連し、ロシア科学アカデミー東洋学研究所のユーリー・チュドデーエフ研究員は、「日本の首相たちは、政治的な合理性とその理解に基づいて行動している」と指摘する。





「日本の靖国神社参拝に対する中国、韓国、北朝鮮の反応はよく知られているもので、これはすでに儀式ともなっているものです。これらの国々は、日本は十分に反省しておらず、いわゆる従軍慰安婦問題を含む被害者への補償に対する要求を無視している、そして日本の平和主義というのは口先だけで、実際のものではないと考えています。一方で日本はこれに対し、日本はすでに繰り返し謝罪し、また1960年代に韓国、ミャンマーベトナム、フィリピン、インドネシアに多額の戦後賠償を支払ったことで、すでに過去の罪は償ったとしています。中国に対し、日本は、とりわけ1972年に平和友好協力条約に署名した後に、前例のない経済援助を行いました。しかも日本は、中国に対し、資金だけでなく、技術や科学技術基礎のコンセプト、高いレベルの製造文化の投資を行い、それは中国経済の発展において大きな役割を果たしました。にもかかわらず、歴史的な過去、もっと正しく言えば、それを現在の外交に絡めることが、日本との関係においてより意味を持つようになってきました。さて、岸田総理が今後、靖国神社を参拝するかしないかについて言えば、岸田氏は5年にわたって外務大臣の座に就いていたこともあり、豊富な外交上の経験を有しています。ですから、わずかな失言や過った行動が望まない結果につながる可能性があるということをよく理解しています。しかも、今年は日本と中国の国交正常化50年が祝われることもあり、それはとても重要なことなのです」。




5月18日、中国の王毅外相とビデオ会議を実施した日本の林芳正外相は、日本と中国の間には未解決の問題が数多く存在するが、両国はともに、建設的で安定した関係を構築するため互いに努力していく必要がある」と述べた。これに対し、王毅外相も、今年祝われる国交正常化50年は、非常に重要なものであるとし、両国の関係が今後も発展していくよう期待を表した。





国内 韓国 歴史 中国 オピニオン