「香港の返還、または、復帰25周年」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局)

「香港の返還、または、復帰25周年」(BBC NEWS JAPAN・中国国際放送局









(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/62006709





習主席、香港への締め付けを擁護 「一国二制度」の維持強調





2022年7月1日







Reuters

中国の習近平国家主席(右)と新たに香港の行政長官に就任した李家超氏(1日、香港)






香港は1日、イギリスから中国に返還されてから25年の節目の日を迎えた。記念式典に出席した中国の習近平国家主席は、「一国二制度」による香港統治は香港の保護に役立っており、長期にわたって維持されなければならないと述べた





香港は1997年にイギリスから中国に返還された。その際に中国は、香港では「一国二制度」のもと、少なくとも2047年までは高度な自治言論の自由、集会の自由など、中国本土ではみられないような権利が保障されると約束した。



しかし近年、中国は香港への支配を強め、言論の自由や反対意見を抑えつけているとの批判を浴びている。



習氏はこの日の式典での演説で、中国の政治体制を擁護し、「一国二制度」は「長期的に順守されなければならない」と述べた。





「優れた制度を変える必要ない」



習氏は中国と香港の旗が掲げられたステージに立つと、過去25年間、香港の繁栄と安定、そして中国の「基本的利益」を守るためにこの制度が機能してきたと語った。



一国二制度は繰り返し試され、証明されてきたものであり、このような優れた制度を変える理由はない」と習氏が述べると、親政府派のエリート層を中心とする聴衆から拍手喝采を浴びた。



習氏はさらに、一国二制度は住民の「全面的な支持」と国際社会からの「広範な承認」を得ているとし、香港の「真の民主主義は中国に返還されたときから始まった」と述べた。



しかし、香港では何年にもわたり、住民らが大規模な抗議活動を行ってきた。欧米諸国を含む多くの国は、中国政府が香港への干渉を強めていると批判している。







EPA

香港の中国返還を祝う式典が開かれたコンベンションセンターの上空には中国と香港の旗が掲げられた(1日)






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「香港の安定のために不可欠」



2020年には、香港の自由な言論と反対意見を締め付ける「香港国家安全維持法」が施行され、物議を醸した。イギリスは中国が一国二制度の原則と英中の合意に違反したと非難した。



ボリス・ジョンソン英首相は1日、「我々は香港を諦めない」との声明を出した



「25年前、我々は香港とその市民に約束をした。我々はその約束を守るつもりだ。香港が再び香港人によって香港人のために統治されるよう、中国にこの取り組みを守らせるためにできる限りのことをする」



中国が昨年、中国の「愛国者」のみ香港議会議員への立候補を認める選挙制度改正を実施したことにも大きな批判が上がった。



しかし習氏は1日、「香港の長期的な安定と安全を守るために不可欠」で、「この原則が損なわれることは決して許されない」と、選挙制度改正を擁護した。



「非愛国的あるいは売国的な勢力や人物が政治権力を振るうことを許す国や地域は1つもないだろう」



式典では、香港の治安当局元トップの李家超(ジョン・リー)氏が、習氏立ち合いのもと香港の行政長官に正式に就任した。李氏は5月、他に候補者のいない閉鎖的な選挙で行政長官に当選した。



習氏が香港を訪れるのは、返還から20年の2017年以来。新型コロナウイルスのオミクロン株の拡大で、今回の訪問をキャンセルするとの見方も出ていたが、前日に高速鉄道で香港入りし、退任する林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官と面会した。







Getty Images

記念式典を前に香港市内に警備が敷かれた(1日)






(英語記事 Xi Jinping defends China's rule of Hong Kong





関連トピックス 香港 人権 中国 政治 法律 経済 アジア











中国国際放送局

https://japanese.cri.cn/2022/07/01/ARTICMfdnzOQi4qfix5uNmvt220701.shtml





香港の祖国復帰25周年祝賀大会および香港特別行政区第6期政府就任式典が開催 李家超氏が就任宣誓





2022-07-01 13:56:34 CRI







習近平国家主席の立会いのもと、李家超氏が就任宣誓





香港の祖国復帰25周年祝賀大会および香港特別行政区第6期政府就任式典が1日午前、香港コンベンションセンターで盛大に行われました。習近平国家主席が出席し、重要談話を発表しました。



午前10時ごろ、祝賀大会および就任式典が始まり、最初に習近平国家主席の立会いのもと、香港特別行政区第6期政府の行政長官に就任する李家超氏、および新任の特別行政区政府主要高官と行政会議のメンバーらが就任宣誓を行い、「『中華人民共和国香港特別行政区基本法』を擁護し、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くし、中央人民政府と香港特別行政区に対して責任を負う」と表明しました。



続いて、習近平国家主席が重要談話を発表しました。この中で、習主席は香港市民にあいさつをし、特別行政区政府の新任の高官らに祝意を伝えました。習主席は、政府高官に対し「第一、ガバナンスレベルの向上に力を入れていく。第二に、発展の原動力を絶えず強化する。第三に、市民の悩みを確実に解消する。第四に、調和と安定を共に維持する」と4点の希望を提出した上で、「家が平和であれば、万事が興隆する。現在、香港は『乱』から『治』へ、『治』から『興』へと向かう新たな段階にあり、今後5年間は香港が新たな局面を切り開き、新たな飛躍を実現する重要な時期である。香港にはチャンスとチャレンジが共存しており、チャンスはチャレンジより多くなるだろう」と期待を寄せました。(ミン・イヒョウ、野谷)











(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62005440





香港返還から25年、次の25年に何が起こるのか





2022年7月1日





グレイス・ツォイ、ジェフ・リー、BBCニュース







Getty Images

イギリスから中国へ香港が返還される前日、香港に掲げられた中国国旗(1997年6月30日撮影)






香港は1997年にイギリスから中国に返還された。ここから、壮大な政治実験が始まった。





多くの人は、資本主義で自由なイギリスの旧植民地が、共産主義国家・中国の統治下でやっていける心配していた。



そこで中国政府は、他の地域では手に入れられない市民的自由を、香港では少なくとも50年間、「一国二制度」の下に保持すると約束した。



あれから激動の25年が過ぎ、実験も折り返し地点に到達した。



次の25年、香港には何が待ち受けているのだろうか?





政策の転換



まず、香港の政治的自治と自由はどれくらい維持されるのかという大きな疑問がある。



返還前には大勢が、中国は徐々にリベラルになり、やがては香港に完全な民主主義を許すのではないかと期待していた。



これはイギリスと中国が交わした、香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」にも含まれている約束だ。



基本法では、行政長官とすべての立法会(議会)議員が最終的に普通選挙で選ばれるよう、段階的な選挙制度改革を定めている。







Reuters

1997年7月1日に香港はイギリスから中国に返還された






しかし、中国政府が近年この約束を破ってきたという批判の声もある。国家安全維持法(国安法)や、「愛国者」しか立候補できない選挙制度改革などがその例だ。



2020年6月に施行された国安法は、2019年に起きた大規模な民主派デモがきっかけだった。このデモでは警察とデモ参加者との衝突が暴力に発展した。



アナリストらは今、香港の政治体制が今後、今より民主的なものになる希望はほとんどないし、中国政府が完全に掌握した香港で、街の性格が根本的に変わってしまったと恐れている。



元民主派議員の許智峯氏は、「多くの香港市民が、一国二制度はすでに失われたと思っている」と語った。許さんは現在、香港から離れている。



国安法の影響を受けるのは少数派だというのが当局の言い分だが、許氏は、かつて活発だった香港の市民社会が国安法に抑圧されていると指摘する。



国安法が施行された際には、何十もの政党や組合が解散した。毎年行われていた六四天安門事件の追悼集会や、7月1日の返還記念の行進も、実質的に禁止された。



「蘋果日報(アップルデイリー)」「立場新聞」(スタンド・ニュース)といった民主派メディアも相次いで閉鎖した。



かつてはアジアの報道の自由灯台だった香港だが、国境なき記者団(RSF)は今年、世界報道自由度ランキングで香港を前年から70位落として148位とした。



香港には平和的な抗議の伝統もあった。しかし、国安法の施行以来、抗議行動は影をひそめた。







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2019年の民主化デモでは参加者と警察が衝突した






アメリカ拠点の香港民主委員会で政策・調査フェローを務めるジェフリー・ゴー氏は、「香港では当面、大規模な抗議行動は起きないと言っていい思う」と語る。



「2020年以降の香港には、刑務所に収監されて何もできない人と、刑務所に入りたくないというもっともな理由で自己検閲する人がいる」



中国当局は、最近の変更は「一国二制度」に必要な「改善」だと主張しており、2047年以降も続くかもしれない「広く認められた成功」だと評価している。



親中派の李梓敬議員はさらに、香港の人は今なお市民的自由を謳歌(おうか)していると話した。



「国家の安全保障に関係しない限り、人はさまざまな問題について意見を表明することができる。さらに審理が重ねられ、何が国家安全保障に関わるかは裁判所が判断する」



李議員はまた、中国政府が国安法を成立させ、選挙制度を変更したのは、香港が「政治化」しつつある中、2019年に立法会が民主派によって麻痺させられた時に「臨界点」に達したからだと説明した。



その上で、「私に言わせれば、国安法も選挙制度の変更も、民主化推進派がもたらしたものだ」と述べ、穏健派の声が「疎外」されていたと付け加えた。



李議員は、香港の香港らしさはまだ多く残っており、2047年以降も続く可能性があると信じている。



中央政府の代弁はできないが、主目標は香港の繁栄を維持することだと思う」





国際金融都市か、中国の金融都市か



もう一つの疑問は、香港が国際的な金融ハブとしての立場を維持できるかどうかだ。



「東洋の真珠」とも呼ばれる香港の域内総生産(GDP)は、1997年時点で中国の2割近くに相当していたが、現在はわずか2%にとどまっている。さらに香港は現在、上海をはじめとする中国の各都市との熾烈(しれつ)な競争に直面している。



「中国が今ほど発展していなかった25年前、香港は非常に発展し、国際的につながりのある都市として際立っていた」と、格付け大手S&Pグローバル・レーティングスで・アジア太平洋主任エコノミストを務めるルイス・クイジス氏は語る。



「今では多くの国が経済的に香港に追い付いてきている」







Getty Images

香港が国際金融都市としての立場を継続できるのかにも注目が集まっている






それでもクイジス氏は香港について、国際的に認められた法制度と「世界に向けて非常に開かれた」金融市場があるため、なお「中国に出入りするための優れた玄関口」になっていると話した。



しかし中国政府との緊張の高まりや、厳格な「ゼロ・コロナ」のパンデミック対策などにより、国際企業が香港に魅力を感じなくなっているのではないかとの懸念が増えているという。



香港に地域本部を置く国際企業の数は、2018年から2021年にかけて10%近く減少した。一方で、中国企業の進出数は28%近く増えている。



「香港の在り方は進化している。おそらく前より国際的でなくなり(中略)前より少し中国志向になってきている」とクイジス氏は指摘した。





あなたは香港人? 中国人?



しかし最も喫緊な疑問の一つは、香港人であることが何を意味するかだ。



ここ数年、多くの市民が香港を離れ、別の国に移住している。



香港当局は移民を追跡していない。しかし、香港から転出した人の多くはイギリスに移住したようだ。イギリスが2021年1月に開始した特別査証(ビザ)への申請件数は、今年3月までに12万3000件以上に達した。



このビザは香港市民540万人の約70%が対象。5年間の滞在と就業・就学の権利を与えるもので、市民権獲得への道も開かれている。



香港では過去にも、1984年に返還に先立って英中共同声明が結ばれた際や、1989年の天安門事件直後など、政治的に不安定な時期に移民が急増した。



しかし香港民主委員会のゴー氏は、今回は状況が違うと指摘する。



かつての転出組は、「政治的な脅威は考えられるが、それほど悪い状況にならない可能性もあると思っていた」のだという。



「しかし今は、その可能性はもうない。今回、香港を離れる人たちは、もう二度と戻らないつもりで行動している」



こうした移民は、自分は香港人だと認識し続けるだろうと、ゴー氏は言う。そして、転出した香港人の活動家らは今後も香港の民主主義のために闘い続け、「抵抗運動を国外から築いていく」はずだと話した。



一方、親中派の李議員は、香港で育った若い世代はもっと愛国的になるだろうとみている。



「私の子供たちは、国旗掲揚の式典について話してくれるし、時には自発的に中国国歌を歌うこともある」



「この世代は、2019年に街を占領した若者らとは同じ気持ちではないかもしれない」



こうした変化によって、香港ならではのアイデンティティーが失われるかもしれないと心配する人たちがいる。ゴー氏もその1人だ。



2047年になるころには、香港と中国の間にこれといった違いがもうなくなっているかもしれない。私はそれを一番心配している」





(英語記事 What will the next 25 years hold for Hong Kong?





関連トピックス 香港 人権 中国 政治 法律 経済 アジア











中国国際放送局

https://japanese.cri.cn/2022/07/03/ARTIAQWrHXv5Zt8eDfot3Gxs220703.shtml





【CRI時評】国内が四分五裂なのに英政治家はまだ香港に手を出すのか





2022-07-03 12:36:58 CRI





(香港の祖国復帰25周年に際し、英国のジョンソン首相とトラス外相はそれぞれ談話と声明を発表し、英国は「中英共同声明」の下で香港の住民に「歴史的責任」があると主張し、「香港を諦めない」などと高言した。



香港の歴史に詳しい人なら知っていることだが、中国政府と英国政府は1984年12月、「中英共同声明」に署名した。その目的は香港の祖国復帰問題を解決することであり、中心的内容は中国が香港に対し主権行使を回復することだ。祖国復帰後の香港に対し、主権も統治権も監督権もない英国には、香港問題に口出しするいかなる権利もない。



香港が祖国に復帰してからの25年間に遂げた発展や成果は誰もが認めるところであり、「一国二制度」は香港で世界が認める成功を収めた。現在の香港社会では、「国を愛し、香港を愛する」が共通認識となっており、かつての植民者が悪事を働く余地は残されていない。



一方、英国内では、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相が6月28日、英国からの独立の是非を問う二度目の住民投票を来年10月19日に行う方針を発表した。同首相は、英国政府が法的手続きに基づく権限移譲を拒んだ場合、スコットランド自治政府住民投票の実施を確保するために法的措置を取ると述べた。この表明について、英国の世論は、スコットランドの独立の訴えは民意によって権限が移譲されると認識しており、また北アイルランドの「英国離れ」の訴えが呼応する勢いも形成されている。



スコットランドから北アイルランドまで、英国の半分が「分家」を騒ぎ立てる中、ジョンソン政権が「香港を諦めない」と主張したのは、外部に強さを示し、世界に存在感を示すことで、国内の矛盾を移し替え、責任を転嫁するためかもしれないが、それは「自分をだまし人をもだます」だけだ。



香港は中国の香港であり、英国とはいかなる関係もない。英国の政治家は現実と大勢をはっきり認識し、速やかに植民の妄想から醒め、スコットランド北アイルランドが英国から離れたらどうなるかについて心配し、英国民に対してどのように「歴史的責任」を負うかについて思いを巡らすべきだ。(CRI論説員)