「米国務長官の中国政策演説、中国の反応」(在日米国大使館・人民網日本語版)

「米国務長官の中国政策演説、中国の反応」(在日米国大使館・人民網日本語版)









(在日米国大使館)

https://jp.usembassy.gov/ja/author/missionjp/





米政権の中華人民共和国に対するアプローチ





U.S. Mission Japan





May 28, 2022





アントニー・J・ブリンケン国務長官



ジョージ・ワシントン大学



ワシントンD.C.





2022年5月26日





*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文 です。





ブリンケン国務長官ありがとうございます。おはようございます。



ジョージ・ワシントン大学に来ることができて大変うれしく思います。ここには世界中から優秀な学生や学者が集まり、我が国や世界が直面する最も緊急性の高い課題について研究し、議論を重ねています。本日はお招きいただきありがとうございます。



また、平和、繁栄、自由、平等、持続可能性の向上のために、アジア各国との関係構築に力を注がれているアジア・ソサエティーの皆さまには、特に感謝を申し上げます。本日はお招きいただきありがとうございます。私も皆さまの日々のリーダーシップに感謝しています。ケビン・ラッド、ウェンディ・カトラー、ダニエル・ラッセル、同僚であり、影響力と行動力と兼ね備えた皆さん。皆さんとお会いできることは素晴らしいことです。



ロムニー上院議員におかれましては、本日お越しくださりありがとうございます。一人の人間として、そしてリーダーとして、私が大変尊敬する方です。また、素晴らしい信念をお持ちで、本日私たちが話し合うテーマについても指導的立場におられます。本日はご参加くださりありがとうございます。



また本日は外交団の方々も多数ご参加くださり、うれしく思います。外交は私たちが共有する未来を形成する上で欠かせません。



この2年間、私たちは共に新型コロナウイルスと闘い、将来起こりうる健康に関わる世界的な緊急事態に備えてきました。また、サプライチェーンの混乱や債務危機などの経済的打撃から立ち上がり、気候変動に立ち向かい、環境負荷が少なくより安全かつ手頃な価格の未来のエネルギーについて再考しました。



これらに共通するのは、どれも私たちが一人では対処することができない問題だということです。共に立ち向かわなければならないのです。



外交を米国の対外政策の中心に戻したのはそのためです。米国や世界の人々が求める未来を実現するのです。それは技術が人々を抑圧するためではなく、生活を向上させるために使われる未来であり、貿易と商業が働く人々を支え、収入を増やし、チャンスをつくり出す未来です。また、普遍的な人権が尊重され、あらゆる国が抑圧や侵略を受けず、人々や考え、物、そして資本が自由に移動できる未来であり、あらゆる国が共通の目的の下で独自の道を切り開き、効率的に力を合わせる未来です。



そのような未来を築くには、ルールに基づく国際秩序を守り、改善していかなくてはなりません。この国際秩序とは、国家間の関係を管理し、紛争を防ぎ、全ての人々の権利を守るために、2度の世界大戦後に世界が一丸となって構築した法体系、協定、行動規範、制度のことです。



その根拠となる文書は、国連憲章と世界人権宣言です。これらは、自己決定、主権、紛争の平和的解決などの概念をうたっています。これらは西洋の概念ではなく、世界共通の願いを反映しているのです。



その後数十年間、困難な問題や私たちの理想と成果の隔たりにもかかわらず、世界各国はさらなる世界大戦や、核保有国間の武力紛争を回避してきました。私たちは何十億人もの人々を貧困から脱却させた世界経済を築きました。人権もかつてないほど向上させました。



将来を見据えると、多くの進展を可能にした国際秩序を維持するだけではなく、現代的なものにしたいと私たちは考えています。それにより、大小にかかわらず全ての国の利益、価値観、希望を体現するのです。また、70年前には想像すらできなかったような現在の、また将来の問題に対処できるようにするのです。



しかし、これらが成し遂げられる保証はありません。なぜならば、国際秩序の基盤が深刻かつ長期間にわたる問題にさらされているからです。



ロシアのプーチン大統領は、明白かつ現在の脅威です。3カ月前のウクライナに対する攻撃で彼は、国連憲章にある全ての国を征服と抑圧から守るための国家主権と領土保全の原則をも攻撃したのです。だからこそ多くの国々が、それを自国の平和と安全の基盤に対する直接的な攻撃とみなし、団結してその侵略に反対しているのです。



ウクライナは、かつてない規模の支援を米国やその他の国々から受け、自国民と独立性を守るため勇敢に戦っています。戦争はまだ続いていますが、プーチン大統領は戦略的目的を何一つ達成していません。彼はウクライナの独立性を失わせるのではなく、逆に強化したのです。また、NATOを分断させるのではなく、逆に団結させたのです。さらには、ロシアの強さを見せつけるのではなく、逆に衰えさせたのです。そして国際秩序を弱めるのではなく、逆にそれを守るために各国を団結させたのです。



プーチン大統領の戦争が続いても、私たちは国際秩序が直面する最も深刻で長期にわたる問題を重視し続けます。それは中国の問題です。



中国は、国際秩序を変えようとし、そのための経済的、外交的、軍事的、技術的な力を向上させている唯一の国です。中国の構想は、過去75年間にわたり世界の多くの進展を支えてきた普遍的価値から私たちを遠ざけるものです。



また中国は、世界経済や気候変動、そしてコロナウイルスまで、多くの問題を解決する私たちの力にとって不可欠です。つまり、米国と中国は当面関わりが避けられないのです。



だからこそ、現在の米中関係は世界で最も複雑かつ重要なのです。



この1年バイデン政権は、国力と比類なき同盟国やパートナーとのネットワークを利用して理想の未来を実現するため、包括的戦略を策定し、実行してきました。



私たちは紛争や新たな冷戦は望んでいません。むしろそれらを防ぐ決意があります。



私たちは中国の大国としての役割を阻止するつもりはありませんし、中国や他の国が経済を成長させ、自国民の利益を増進することを止めるつもりもありません。



しかし私たちは、平和と安全を維持し、個人と主権国家の権利を守る国際法、協定、行動規範、制度を守り強化します。そして、米国や中国を含むすべての国々が共存し協力しあうのを可能にするのです。



50年前、ニクソン大統領は数十年にも及ぶ中国との緊張関係に終止符を打ち、米国大統領として初めて中国を訪問しました。それから中国は大きく変わりました。



当時の中国は孤立し、貧困と飢えの蔓延に苦しんでいました。



しかし今では大国となり、驚異的な勢力範囲、影響力、野心を誇ります。世界第2位の経済大国であり、世界クラスの都市や公共交通ネットワークを有します。また、世界最大規模のテクノロジー企業を抱え、将来のテクノロジーと産業を支配しようとしています。急速に軍隊を近代化し、世界中への展開力を持つ一流の戦闘部隊を目指してもいます。さらには、インド太平洋において影響力を持ち、世界一の大国になる野心を表明しました。



中国の変容は、国民の能力、想像力、努力のたまものです。また、国際秩序がもたらした安定と好機の結果でもあります。中国ほど国際秩序の恩恵を受けた国はありません。



しかし、中国はその力を使って、自身の成功を可能にした法律、協定、行動規範、組織を、強化・活性化して他国が恩恵を受けられるようにするのではなく、むしろそれらを弱体化させています。習主席の下、中国共産党は国内で圧政を強め、海外ではより攻撃的になっています。



それを裏付けるのは、中国国内の大規模な監視体制の完成、その技術の80カ国以上への輸出、平和と安全や、航行と商業の自由を侵す南シナ海における違法な海洋権益の主張の活発化、米国や世界各国の労働者や企業に悪影響を与える貿易ルールの回避や違反、そして主権と領土の保全を擁護する一方で、それらを厚かましく破る政府に対する支持です。



ロシアがウクライナを侵攻するために軍隊を動員していたのが明白だったにもかかわらず、習主席とプーチン大統領は二国間の友好関係には「限界がない」と宣言しました。今週のバイデン大統領の日本訪問中、中国とロシアは日本周辺で戦略爆撃機の合同パトロールを行いました。



プーチン大統領ウクライナの主権を消し去り、ヨーロッパにおけるロシアの影響力を確保するために行っている戦争を中国が擁護するのは、インド太平洋地域を自国とする私たち全てにとって警鐘となります。



これらの理由により、世界は緊迫した時を迎えています。また、このような時代に外交は極めて重要です。外交を通じて私たちは深い憂慮を表明し、お互いの視点をより理解し、お互いの意思について確信するのです。米国は多岐にわたる問題において、中国と直接的な意思疎通の機会を増やす用意があります。そしてそれが実現することを望んでいます。



しかし私たちは、中国の軌道修正を中国に頼るわけにはいきません。従って、開かれた包括的な国際制度に対する私たちの構想を前進させるため、中国を取り巻く戦略的環境を形成します。



バイデン大統領は、この10年が決定的に重要となると信じています。共通の未来像が実現するかどうかは、私たちが国内でとる行動、そして世界各国と共にとる行動にかかっています。



この10年で成功を収めるためのバイデン政権の戦略は「投資、連携、競争」という3つの言葉で表すことができます。



私たちは国力の基盤となっているもの、つまり、競争力、技術革新、民主主義に投資します。



私たちは共通の目的と大義の下に、同盟国やパートナーと連携します。



そして、これら2つの主要な資産を生かして、私たちの利益を守り未来像を構築するために中国と競争します。



私たちは自信をもってこの難題に取り組みます。米国は多くの強みに恵まれています。平和的な隣国、多様で増加する人口、豊富な資源、世界の準備通貨、世界最強の軍隊、そしてコロナウイルスから世界の人々を救う効果的な複数のワクチンの開発に代表される、技術革新と起業家精神の活発な文化などです。



そして私たちの開かれた社会は全盛で、多くの才能や投資を呼び込みます。また、民主主義に根差した伝統ある改革力で、いかなる困難にも立ち向かうことができます。



それにはまず、私たちの強みに投資することです。



第2次世界大戦後、米国が友好国とルールに基づく秩序を構築している間、米国の連邦政府は科学研究、教育、インフラ、労働人口に戦略的投資を行い、その投資が数百万人の中流階級の雇用と数十年の繁栄、科学技術分野での主導権へと発展しました。私たちはこれらの基盤を当然のことと考えていましたが、今こそ基本に立ち返る時が来ました。



バイデン政権は、最新の産業戦略や、経済的、技術的影響力の維持や拡大、経済や供給網の強靭化、そして競争力の強化に向けて、国力の中核となる分野に広範囲の投資を行っています。



昨年、バイデン大統領は、米国史上最大のインフラ投資法案に署名しました。米国の高速道路、港湾、空港、鉄道、橋を近代化し、商品をより迅速に市場へ投入し、生産性を高め、高速インターネットを国の隅々まで拡大し、より多くの事業とより多くの雇用を米国のより多くの地域に招致する法案です。



米国は、世界最高峰である米国人技術者が未来のテクノロジーを設計、構築、運用できるよう、教育と技術者の育成に戦略的な投資を行っています。



米国の産業戦略は技術に重点を置いているため、研究、開発、高度な製造技術に今後投資したいと考えています。60年前、米政府の研究投資額は米経済に対する割合として現在の2倍以上でした。この民間のイノベーションを促進する投資によって、私たちは宇宙開発競争に勝ち、半導体を発明し、インターネットを構築しました。以前はGDPに占める研究開発の割合で米国は世界第1位でしたが、現在は第9位です。一方、中国は8位から2位に上昇しました。



議会での超党派の支援の下で、私たちはこの流れを逆転させ、人工知能、バイオテクノロジー量子コンピュータなどの研究とイノベーションに巨額の投資を行います。中国はこれらの分野で主導権を握ろうと決意していますが、米国の強みを考えると、新しい技術の開発のみならず、その技術をどのように世界で使用するか――専制主義的な価値ではなく民主的な価値に根付いた世界で――という点で、勝敗は私たち次第なのです。



ロムニー上院議員をはじめとする指導部は、半導体の国内生産と、その他の重要なサプライチェーン強化に向けた数十億ドルの支援を含む法案を、上下両院で可決しました。あとは議会が法案を大統領へ提出し、署名してもらうだけです。



私たちはこれを成し遂げることができます。そして、一刻の猶予もありません。現在サプライチェーンを移転させる動きがあり、米国へ設置しなければ他の場所に移転するでしょう。バイデン大統領が述べたように、中国共産党はこの法案に反対するロビー活動を行っています。米国の世界的な地位と影響力を高める一番の方法は、米国の国内体制を刷新することだからです。これらの投資は米国を強くするだけではなく、私たちをより強力なパートナーや同盟国にするでしょう。



米国が長年世界のあらゆる才能や意欲がある人々の目指す場所であったことは米国の強みであり、ある種の魔法のようなものです。その中には、米国社会を豊かにし、米国人との生涯にわたる絆を築いてきた何百万人もの中国人学生も含まれます。昨年はパンデミックにもかかわらず、わずか4カ月で10万件以上のビザを中国の学生へ発給しました。これは過去最高の割合です。彼らが米国で勉強することを選んだのは喜ばしいことです。彼らが米国にいることは幸運です。



最高のグローバル人材が米国で勉強するだけでなく、その後も米国に留まれば、私たちにとって幸運といえるでしょう。ここ数年、米国で科学技術の博士号を取得する中国人学生の80%以上が米国に残ります。彼らは米国のイノベーション推進に貢献し、私たち全員に利益をもたらします。扉を閉ざすことなく国家安全保障の状況を注視することは可能なのです。



米国が他の政府との関係が難しい状態にある時、その国に関係がある人々が、米国に居場所がない、または米国の敵であると感じることがあることも過去の経験から承知しています。それは、まるで見当違いです。中国系米国人は、何世代にもわたって計り知れない貢献をしてきました。中国系の人々――米国を訪れて居住している中国人、中国系米国人、または国に対する帰属意識が他の誰とも同等であるアジア系米国人――が不当な扱いを受けることは、米国が象徴するすべてに反します。人種差別と憎しみは、すべての人に機会の希望をもたらすため何世代にもわたる移民によって建国されたこの国にはあってはなりません。



米国は中国共産党や中国政府と大きく異なります。しかし、それは政府間や制度間の違いであり、国民の違いではありません。米国民は中国国民をとても尊敬しています。私たちは、彼らの業績、歴史、文化を尊重しています。私たちは、家族と友情の絆を非常に大切にしています。そして私たちは、両国の政府が、中国人の生活と米国人の生活、さらには世界中の人々の生活にとって重要な課題に取り組むために協力することを心から望んでいます。



これからの決定的な10年間で私たちが拠り所とするもう一つの国力の中核は、私たちの民主主義です。



百年前、何が国の豊かさを構成するか尋ねられたら、私たちは広い土地、人口、強力な軍隊、豊富な天然資源を挙げたかもしれません。ありがたいことに、これらの分野において米国は豊かさを維持しています。しかし、21世紀においては、これまで以上に国の真の豊かさは、人々、つまり人材やその可能性を最大限に発揮させることにあるのです。



私たちは民主主義制度でこれらを実現しています。私たちは選挙で選ばれた指導者を含めて、議論し、意見をぶつけ合い、互いに挑戦しあいます。私たちは自らの欠点にオープンに向き合います。存在しないふりをしたり、隠したりすることはありません。進歩が痛々しいほど遅く感じられ、困難で醜いものになる可能性もありますが、概して私たちは、私たちを団結させ、動機を与え、高揚させる国の価値観に導かれ、あらゆる人々が繁栄できる社会に向けてたゆまぬ努力をしています。



私たちは完璧ではありませんが、常に最善を尽くしています。憲法を引用すると、より完全な連合になるよう努めています。私たちの民主主義は、その実現のためにつくられているのです。



それが米国人と米国という体制が提供するものであり、この競争で最も強力な資産となるものです。



現在、中国は自らの体制がより良いものであると信じています。一党による中央集権体制は、乱雑ではなくより効率的で、最終的には民主主義よりも優れていると。私たちは中国の政治体制を変革しようとはしていません。私たちの役割は、民主主義が緊急の課題に対処し、機会を創出し、人間の尊厳を高めることができることをもう一度証明することです。未来は自由を信じる人々のものであり、すべての国が強制されることなく自分たちの道を自由に描くことができます。



私たちの戦略の第二の要素は、共有する将来のビジョンを前進させるために、米国の同盟国やパートナーと連携することです。



バイデン政権は初日から、米国の比類のない同盟とパートナーのネットワークを再活性化し、国際機関に再び関与するよう努めてきました。私たちは、パートナーが互いに協力し、地域およびグローバルな組織を通じて協力することを奨励しています。私たちはこの世紀の試練に立ち向かい、米国人に恩恵をもたらす新しい枠組みを立ち上げています。



インド太平洋地域ほどこのことが当てはまるところはありません。条約による同盟を含め、この地域における米国と他国との関係は世界で最も強固です。



米国はインド太平洋地域全体の国と人々が抱くビジョンを共有しています。それは、ルールが透明性をもって策定され、公正に適用される自由で開かれたインド太平洋地域です。そして、各国が自由に自国の主権に基づいて決定を下すことができ、物やアイデア、そして人々が、陸、空、サイバースペース、外洋を自由に行き来し、政治が人に対応する場所です。



バイデン大統領は今週、インド太平洋地域を訪問し、これらの優先事項を強化するため、重要な日韓との安全保障同盟を再確認し、両国との経済や技術における協力関係を深めました。



バイデン大統領は、地域初のイニシアチブである、「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み(IPEF)」を立ち上げました。大統領によると、「すべての国の経済がより速く、より公平に成長するのを支援するでしょう」。IPEFは、デジタル経済、サプライチェーン、クリーンエネルギー、インフラ、汚職などの最先端の問題に対処することにより、米国の経済的リーダーシップを刷新し、21世紀に適応するものにします。インドを含む12カ国がすでに参加しています。IPEF参加国で、世界経済の3分の1以上を占めています。



バイデン大統領はまた、オーストラリア、日本、インド、米国4カ国のクアッド首脳会議にも参加しました。バイデン大統領就任以前、日米豪印の首脳が集結したことはありませんでした。バイデン大統領が昨年最初の首脳会議を主催して以来、4回のクワッド首脳会議が開催され、インド太平洋地域を主導するチームになりました。4カ国はまた、海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップを立ち上げました。地域のパートナーは、違法な漁業に対処し、海事権と主権を保護するために湾岸近辺の海域をより監視することができるようになります。



米国はASEANとのパートナーシップを再活性化しています。今月初め、米国は公衆衛生や気候危機などの緊急の問題に共に取り組むために、米ASEAN首脳会議を主催しました。今週、ASEAN7カ国がインド太平洋経済枠組みの創設国となりました。また、来月マドリードで開催されるNATO首脳会合にアジアのパートナーを招待するなど、米国はインド太平洋地域と欧州のパートナーとの間に架け橋を築いています。



米国はインド太平洋地域の平和と安定を強化しています。一例として、AUKUSというオーストラリア、英国、米国の新しい安全保障同盟があります。



私たちはこの地域と世界中の国々が新型コロナウイルスに打ち勝つよう支援しています。米国は世界的なパンデミック対応に、これまで200億ドル近くを投じてきました。これには、販売ではなく政治的な制約なしで寄付された、安全で効果的な5億4000万人分以上のワクチンが含まれており、全世界で12億人分を提供する予定です。私たちは19カ国と協力して、ワクチン供給の世界的な行動計画を策定しています。



こうした全ての外交の結果として、米国はインド太平洋地域全体のパートナーとより連携し、共通の目標に向けてより協調的な方法で取り組んでいます。



また、大西洋を越えた連携も深めています。昨年、欧州連合(EU)と米EU貿易技術協議会を立ち上げ、世界GDPの約50%を占める経済が集結しました。先週、レモンド商務長官、タイ通商代表部代表、欧州委員会の代表と第2回会合を開催し、新たな技術基準での協力、投資審査と輸出管理での連携、サプライチェーン強化、グリーン技術の拡大、途上国の食糧安全保障とデジタルインフラの改善について協議しました。



また、ヨーロッパのパートナーとの間で17年間続く航空機を巡る訴訟をいったん棚上げし、互いに争うのではなく、米国とヨーロッパ双方の企業と労働者に公平な競争の場を確実に提供するよう取り組んでいます。



同様に、鉄鋼とアルミニウムの輸入問題についても、解決に向けEUと連携しました。今では、気候に関するより高い基準において共通のビジョンで協力し、自国が有利になるよう意図的に市場をわい曲しようとする中国政府の取り組みから労働者と産業を守っています。



私たちは、膨大なデータの流れに依存する共通のデジタル経済を強化しつつ、市民のプライバシー保護でEUと連携しています。



G20では、国際的な最低税率に関して画期的な合意に達し、税率引き下げ競争をやめ、大企業が相応の税を支払うようにし、そして各国にさらに多くのリソースを与え、人材へ投資ができるようにしました。これまでに、130カ国以上が署名しています。



米国とG7諸国は、途上国の大型インフラニーズに応えるため、協調的かつ高水準で透明性のあるアプローチを進めています。



米国はまた、コロナ対策やグローバル民主主義の再確認に関する首脳会合を幾度となく開催し、国連人権理事会と世界保健機関にも復帰しました。



そして、大きな試練の中、米国とパートナーはNATOを再活性化させ、これによりNATOはかつてないほど強力になっています。



このような行動が目指すのは、全ての国に恩恵を与えるルールに基づいた秩序を守り、必要であれば修正していくことです。米国は、技術、気候、インフラ、世界医療、包摂的な経済成長において最高を目指す競争をリードしたい、そして可能な限り多くの国が手を携え、効率的に協力し、相違を平和的に解決し、平等な主権国家として自らの未来を描くことができる制度を強化したいと考えています。



私たちの外交は、パートナーシップと互いの利害を尊重することに基づいています。各国に私たちと同じように中国を評価するようには求めていません。米国も含めた多くの国は、経済および人的交流において、中国と極めて重要な関係を築いており、それを維持したいと望んでいます。これは、他国に選択を強要するものではなく、選択肢を与えるものです。例えば、国に債務を背負わせ、汚職を誘発し、環境を破壊し、地域の雇用や景気拡大を生み出さず、国の主権行使を損なうような不透明な投資だけが、唯一の選択肢にならないようにするのです。私たちは、このような契約が残す買い手の後悔を直に聞いてきました。



私たちはあらゆる段階で、パートナーと協議し、話に耳を傾け、抱えている懸念を真摯にとらえ、独自の課題や優先事項に対処する解決策を構築しています。



対中関係に関しては、さらなる現実主義的アプローチが必要であるとの、意見の一致が広がっています。私たちのパートナーの多くは、中国政府が気に入らない選択をした場合、いかにして罰を与えるかを既に痛いほど分かっています。例えば、中国政府は、オーストラリア政府がコロナ発生源の独立調査を求めたことから、昨年春に中国人のオーストラリア留学と旅行を禁止し、オーストラリア産大麦に80%の関税をかけました。また、昨年11月には、中国海警局の船舶が、南シナ海で補給活動をしていたフィリピン海軍の船に対して放水銃を使用、作業を妨害しました。このような行動は、中国政府が敵対と見なす行動にどのように報復するか世界に気づかせてくれます。



私たちが同盟国およびパートナーと共有する連携分野がもう一つあります。人権です。



米国は、新疆ウイグル自治区で行われているジェノサイドや人道に対する罪に、世界中の国や人々と共に立ち上がっています。新疆では、民族や宗教アイデンティーを理由に、100万人以上の人たちが強制収容所に送られています。



私たちは、人々とその文化、言語、宗教的伝統に対して当局が残虐な活動を続けるチベットや、中国共産党が国家安全保障という口実の下で、厳しく反民主主義的な措置を講じている香港に関しても団結しています。



一方、中国政府は、これらは内政問題であり、他国が取り上げる権利はないと主張しています。これは間違いです。新疆およびチベットの民族および宗教的少数派への扱いは、他の多くの行動と同様に、中国政府が頻繁に引用する国連憲章、そして全ての国が順守すべき世界人権宣言の中核的な考えに反しています。



中国政府が香港の自由を抑え込む姿勢は、国連に寄託された条約に記された返還合意に反するものです。



私たちは引き続きこれらの問題を提起し、変革を求めていきます。中国に対抗するためではなく、平和、安全、人間の尊厳を支持するためです。



このことは、私たちの戦略の第三の要素につながります。米国内への投資拡大および同盟国やパートナーとの連携強化のおかげで、米国は主要分野で中国に打ち勝つ体制が整っています。



例えば、中国政府は世界の技術革新と製造の中心となり、他国の技術依存を高め、その依存を利用して自国の外交政策の優先事項を押し付けたいと考えています。そして、この競争に打ち勝とうと全力を尽くしています。例えば、私たちの開放性を利用して諜報活動やハッキングを行い、技術や知識を盗み、自国の軍事技術力を向上させ、監視国家の確立を進めています。



次の技術革新の波を、米国、同盟国、そしてパートナーから起こすため、私たちもまた、自らの創意工夫の流出や、安全を危険にさらすような企てからの自衛を進めていきます。



私たちは技術の優位性を守るための手段を磨いています。その取り組みには、強化された新たな輸出管理を導入し、重要度の高い技術が悪意ある者の手に渡らないようにすることや、学術研究に対する保護を強化し、オープンで安全、かつ科学に関する支援環境を整備することが含まれます。また、サイバー防衛の強化や、機密データに対するセキュリティー強化に加え、機密技術やデータ、そして主要インフラへのアクセスを狙い、私たちのサプライチェーンに害を与え、戦略的な主要分野で優位に立とうとする中国政府から企業や国を保護する投資審査の厳格化なども含みます。



私たちは、中国市場に参入する対価として、私たちの中核的価値観や長年の競争や技術の優位性を犠牲にしてはならないと確信しており、また産業界に対しても理解を期待しています。私たちは、企業が責任ある形での成長を追求し、リスクを慎重に査定し、国の安全保障を守るだけでなく強化するために私たちと連携することを期待しています。



中国企業はあまりにも長く、中国にある米企業よりも、私たちの市場へのアクセスを大いに享受してきました。例えば、チャイナ・デイリー紙を読みたい、あるいはアプリ「ウィーチャット」を利用したい米国人は自由にそうすることができます。しかし、中国の一般国民は、ニューヨーク・タイムズ紙やツイッターへのアクセスが禁止されています。例外は、政府関係者など一部で、これらのプラットフォームを使ってプロパガンダや偽情報を流しています。中国に進出する米国企業は組織的な技術移転の強要を受けてきた一方で、米国に進出する中国企業は、私たちの法規によって守られてきました。中国の映画製作会社は、米国政府の検閲を受けることなく、米国の劇場所有者に自由に映画を売り込むことができますが、中国政府は中国市場での上映を許可する外国映画の本数を厳しく制限しており、上映許可が下りた映画は、厳しい政治検閲の対象となります。米国で事業を展開する中国企業は、恐れることなく私たちの公正な法制度を活用し自分たちの権利を守ることができます。実際、中国企業が米国政府を相手に訴訟を起こし、権利を主張することが往々にしてあります。中国で事業を展開する外国企業にとって、そのようなことはありえません。



この互恵主義の欠如は到底受け入れがたく、続けられるものではありません。



鉄鋼市場で何が起きたか考えてみてください。中国政府は中国企業による巨額の過剰投資を指示し、その結果、市場は安価な鉄鋼であふれました。米国企業や市場志向型企業とは異なり、中国企業は利益を上げる必要はなく、資金が枯渇すると国営銀行から新たな資本注入を受けることができます。さらに、中国企業は汚染対策や労働者権利の保護を行うことはほとんどなく、これによりコストを低く抑えています。その結果として、中国は世界の鉄鋼生産の半分以上を占め、米国企業やインド、メキシコ、インドネシア、ヨーロッパなどにある工場を市場から追い出しています。



太陽光パネル、電気自動車用バッテリーといった21世紀の主要分野でも、同じようなパターンを目にしてきました。もはや中国に完全に依存することは許されません。



このような経済的操作により、数百万もの米国の労働者は雇用を失い、世界中の労働者や企業が被害を受けてきました。私たちは、補助金や市場アクセス障壁といった、中国政府が競争上の優位性を手に入れるため長年用いてきた市場をわい曲する政策や慣行に対抗していきます。製薬や主要鉱物といった慎重な扱いが必要な分野において、生産を国内に切り替えたり、他国から原材料を調達したりすることで、サプライチェーンの安全保障と強靭性を強化し、特定の供給国への依存をなくします。他国と団結し、経済的な威圧と脅しに立ち向かいます。そして、強制労働を含む人権侵害を助長したり、そこから利益を得たりするような商取引に米国企業が関与しないよう取り組んでいきます。



端的に言えば、私たちのパートナーが自国の労働者のために闘うように、私たちもあらゆる手段を駆使し、米国の労働者と産業のために闘います。



中国政府は言葉とは裏腹に、非対称のデカップリングを追求し、中国の世界への依存性を低くし、世界の中国への依存性を高めようとしていますが、米国は中国経済を米国経済やグローバル経済から切り離すことを望んでいません。貿易と投資が公正であり、米国の安全保障を危険にさらさないものであれば、私たちはそれを望みます。中国は、高度な人材など素晴らしい経済資源を有しています。私たちの労働者や企業は公平な条件の下でしっかりとした競争を行えると確信しており、またそのような競争を歓迎します。



私たちは、不公平な技術と経済慣行には責任ある形で対抗するとともに、私たちの利益と価値観に沿った形での米中間の経済関係と人と人とのつながりの維持に向けて取り組んでいきます。中国政府は自らの行動を自発的に変えようとはしないかもしれません。しかし、米国と他の多くの国が表明してきた懸念への対処で中国政府が具体的な行動をとるならば、米国は積極的に応じていきます。



競争が紛争につながる必要はありません。私たちは紛争を望んでいません。米国は紛争を避けるよう努めます。しかし、いかなる脅威に対しても、私たちは米国の利益を守ります。



そのため、中国の脅威が刻々と深刻化する中、バイデン大統領は国防総省に対して、米軍が常に中国軍より先んじるよう指示しました。「統合抑止」という新たなアプローチにより、同盟国やパートナーを結集し、通常兵器、核兵器、宇宙、情報の各領域で協力し、経済、技術、外交の各分野で能力を強化して平和を守ることを目指します。



米政権は、20世紀の紛争用に設計されたプラットフォームから、より長距離で、発見が困難で、移動が容易な非対称システムへと軍事投資をシフトしています。私たちはまた、いかに軍事作戦を行うかの指針となる新たな概念を開発しています。そして、戦力態勢とグローバル拠点を多様化し、ネットワーク、重要な民間インフラ、宇宙を基盤とした能力を強化しています。私たちは、この地域の同盟国やパートナーの非対称能力についても支援していきます。



私たちは、南シナ海東シナ海における中国の攻撃的で違法な活動に引き続き反対していきます。6年近く前、国際法廷が、南シナ海における中国の主張には国際法上の根拠がないと明らかにしました。私たちは、この地域の沿岸諸国の海洋権益保護を支援します。同盟国やパートナーと協力し、何十年にもわたりこの地域の繁栄を支えてきた航行と上空飛行の自由を守っていきます。そして、国際法が認める場所での飛行と航行を継続します。



台湾については、数十年に及ぶ米歴代政権のアプローチは一貫しています。バイデン大統領が述べたように、米国の政策に変わりはありません。米国は、台湾関係法、3回の共同声明、六つの保証を指針とする「一つの中国」政策に引き続きコミットしています。米国は、中国あるいは台湾のどちらかによる一方的な現状変更に反対し、台湾の独立を支持せず、台湾海峡両岸の相違が平和的手段で解決されることを期待します。



米国は、台湾海峡の平和と安定に変わることのない関心を持ち続けています。私たちは台湾関係法(TRA)に基づき、台湾が十分な自衛能力を維持できるよう支援するという約束を守り続けます。そしてTRAに示されているように、「台湾の安全や社会および経済システムを危うくするような武力行使やその他の形態の威圧に抵抗する能力を維持」します。米国は、活力ある民主主義体制を持ち、この地域の経済をリードする台湾との強固で非公式な関係を享受しています。私たちは、多くの共通の利益と価値観について台湾との協力を拡大し、台湾の国際社会への有意義な参加を支援し、「一つの中国」政策と矛盾しない経済的な関係を深めていきます。



米国の政策に変化はありませんが、変わったのは、中国が台湾と世界各国との関係を断ち切ろうとしたり、国際機関への参加を妨害したりと、威圧的な態度を強めていることです。そして中国は、ほぼ毎日のように台湾の近くで中国空軍の航空機の飛行を行うなど、ますます挑発的な言動を繰り返しています。こうした言動は情勢を極めて不安定にし、誤算を招き、台湾海峡の平和と安定を脅かしています。バイデン大統領とインド太平洋地域の同盟国やパートナーとの議論から分かるように、台湾海峡の平和と安定の維持は米国だけの関心事ではなく、地域と世界の安全保障と繁栄にとって不可欠な国際的関心事なのです。



バイデン大統領がよく言うように、意図した紛争よりも悪いのは意図しない紛争です。そうならないように、私たちは責任を持って台湾との関係を管理していきます。米国は、中国との危機管理コミュニケーションとリスク低減策を優先してきました。そして米国は、この問題、そして他のすべての問題に関しても、競争と共に外交に引き続き全力を注いでいきます



米国は、投資、連携、競争の中で、利害が一致するところでは中国と協力していきます。米中両国は、互いを隔てる意見の相違を理由に、国民のため、そして世界のために両国の協力が必要な優先事項の前進を止めるわけにはいかないのです。



ます気候変動の問題があります。中国と米国は気候問題で何年も膠着状態に陥り、世界の動きを停滞させましたが、同時に前進した時期もあり、世界を活気づけました。2013年に中国と米国が立ち上げた気候外交ルートは、パリ協定を生み出す世界的な勢いを生みました。昨年のCOP26では、米国と中国がグラスゴー共同宣言を発表し、石炭とメタンの排出に協力して取り組むことを表明し、世界の期待が高まりました。



気候はイデオロギーの問題ではありません。数字上の問題です。世界の排出量の28%を生み出す中国のリーダーシップなくして、気候変動問題の解決はあり得ません。国際エネルギー機関は、中国が現在の計画を維持し、2030年まで排出量のピークを迎えない場合、世界の他の国は2035年までに排出量をゼロにしなければならないと明言しています。そして、それは単純に不可能です。



現在、約20カ国が排出量の80%に責任があります。中国が最大の排出国です。米国は2番目です。米中両国がさらなる行動をより迅速に起こさない限り、経済的および人的損失は壊滅的なものになるでしょう。そして、クリーンエネルギーや気候政策で競えば、全ての人に利益をもたらす結果を生み出すことができます。



グラスゴー共同宣言によって設立された作業部会を含め、米国と中国が共に歩むことが、この危機による最悪の結果を回避するのに不可欠です。こうした共通の取り組みを加速させるため、私たちに加わることを中国に強く求めます。



同様に、新型コロナウイルス感染症パンデミックについても、米中は運命共同体です。私たちは、現在の感染の波に対処している中国の人々に心を寄せています。私たちは、コロナで極めて苦しい試練を経験しました。だからこそ、私たちは全ての国が協力して世界中の人にワクチン接種を行う必要があると確信しています。それは、恩恵や政治的譲歩と引き換えにではなく、全ての国が安全にならない限り、どの国も安全にはならないという単純な理由からです。そして、現状に対処する中で全ての国は、ウイルスの新たな変異株や新興および再興の病原体に関するデータやサンプルを透明性をもって共有し、専門家がアクセスできるようにしなければなりません。



核不拡散と軍備管理については、大量破壊兵器の拡散を抑えるためのルールや規範、条約を守ることが私たち全員の利益となります。中国と米国は、イランと北朝鮮の核開発計画に対処するため、他の国々と協力し続ける必要があります。そして米国は、核保有国としてのそれぞれの責任について、引き続き中国と直接話し合う用意があります。



違法もしくは非合法な麻薬、特に昨年10万人以上の米国人を死亡させたフェンタニルのような合成オピオイドに対処するため、私たちは中国と協力して、多くが中国起源である前駆体化学物質が国際麻薬密売組織に渡らないようにしたいと考えています。



世界的な食糧危機が世界中の人々を脅かす中、農業で大きな成果を上げている中国に、世界的な対応策を期待しています。米国は先週、国連で世界の食糧安全保障を強化するための外相会議を招集しました。中国にも参加を呼びかけました。今後も引き続き呼びかけていきます。



世界経済が新型コロナウイルスパンデミックによる惨状から回復するにつれ、鍵となるのは、G20国際通貨基金、その他の場を通じた、米中のグローバルなマクロ経済協調です。そしてもちろん、米中二国間の協調も含まれます。これは、世界の二大経済大国であることに付随する責任です。



要するに、米国はできる限り中国と建設的に関与するつもりであり、それは米国自身や他国の利益のためではありません。そしてそれは、決して我々の原則から離れることと引き換えではありません。大きな課題を解決するために協力することは、世界が大国に期待することだからです。そしてそれが私たちの利益に直接つながるからです。いかなる国も、二国間の相違を理由に、国境を越えた本質的な問題の進展を妨げるべきではありません。



中国がもたらす課題の規模と範囲は、米国がこれまで経験したことのないような外交上の試練となるでしょう。私は、国務省とその外交官がこの課題に正面から取り組むために必要な手段を、私の近代化政策の一環として提供する決意です。これには、チャイナハウス、つまり、問題や地域を超えて私たちの政策を調整・実行し、必要に応じて議会と協力する国務省全体の統合チームを構築することが含まれます。そしてここで、ニック・バーンズ駐中国米国大使が率いる、北京の大使館と中国各地の領事館に勤務する優秀なチームについて述べたいと思います。彼らは日々素晴らしい仕事をしています。ここ数週間の新型コロナウイルスによる厳しいロックダウンの中でも、多くの職員が仕事を続けています。極限状態にもかかわらず、彼らは粘り強く勤務しています。この素晴らしいチームに感謝しています。



私は、米国外交の力と目的について、これほど確信したことはありません。また、この極めて重要な10年間の課題に対応する私たちの能力について、これほど自信を持ったこともありません。米国民にお願いします。私たちの中核的な強みに、私たちの国民に、私たちの民主主義に、私たちの革新的な精神に改めて全力を注ぎましょう。バイデン大統領がよく言うように、米国の負けに賭けるのは決して良い賭けではありません。私たち自身に賭けて、将来の競争を勝ち抜きましょう。



開かれた、安全で豊かな未来を築こうとする世界中の国々にお願いします。私たちが共有する進歩を可能にする原則を守り、全ての国が自らの未来を描く権利を守るため、共通の大義を持って取り組みましょう。そして中国国民にお伝えします。私たちは自信を持って競い、できる限り協力し、必要な場合は争います。しかし、私たちは紛争を望んではいません。



偉大な米中両国が平和的に共存し、共に人類の進歩を分かち合い、貢献できないという理由はありません。今日私がお伝えしたかったことは、人類の進歩を推進し、より平和で、より豊かで、より自由な世界を子どもたちに残しましょうということです。



ご清聴ありがとうございました。(拍手)





スピーチ・声明, ニュース, 政策, 注意・警告危険情報, 米国国務長官











(人民網日本語版)

http://j.people.com.cn/n3/2022/0528/c94474-10102773.html





国務長官が「中国の挑戦」誇張 中国大使「競争を主流としてはならない」





人民網日本語版 2022年05月28日13:39





米国のブリンケン国務長官は26日にバイデン政権の対中戦略について演説を行い、いわゆる「中国の挑戦」を誇張した。これについて、中国の秦剛駐米大使は同日、「両国には大きな共同の利益と共同の責任があり、協力・ウィンウィンを二国間関係の基本とするべきだ」と述べた。新華社が伝えた。











ブリンケン国務長官は26日、ジョージ・ワシントン大学で行った演説で、「中国は世界秩序に対して『最も深刻な長期的挑戦』を構成している」と述べ、徒党を組んで小集団を作るとのいつもの主張を繰り返し、米国は「中国を取り巻く戦略的環境を形作って対応する」とした。同時に、「米国は中国との間で衝突や新冷戦が起こることを求めていない」とも述べた。



これに対し、秦大使は米インディアナ州で開催されたインディアナ世界経済サミットに出席した際に関連質問に答えて、「中米は協力・ウィンウィンであって初めて両国国民と世界に幸福をもたらすことができる。中米間に競争が存在したとしても、これを中米関係の主流やメインの基調としてはならない。競争によって中米関係を定義すれば緊張を高め、対抗を引き起こすだけだ。米国のいわゆる競争は公平で健全な競争ではなく、競争はどちらか一方だけが勝利するゼロサムゲームではなく、自分のルールを相手に無理矢理押しつけるものでもなく、ましてや手段を選ばずに相手を抑えつけたり攻撃したりするものでもない」と述べた。(編集KS)





人民網日本語版」2022年5月28日











(人民網日本語版)

http://j.people.com.cn/n3/2022/0530/c94474-10103201.html





王毅部長「米国の世界観、中国観、中米関係観に深刻な偏向」





人民網日本語版 2022年05月30日14:15





王毅国務委員兼外交部長(外相)は28日、ブリンケン米国務長官が先日の政策演説で中国を国際秩序に対する「最も深刻な長期的挑戦」とし、米国は自国に投資し、同盟国と団結し、中国と競争していくとしたことのもたらす国際情勢や中米関係への影響について記者に問われ、「この演説は、米国の世界観、中国観、中米関係観に深刻な偏向が生じていることの反映だ」と指摘した。



王部長は「中国は米国の憶測するような中国ではないということを、米側に告げる必要がある。中国の発展と振興には明晰な歴史的論理と強大な内生的原動力があり、14億人が共に現代化へと向かうことは人類にとって大きな進歩であり、世界への脅威や挑戦ではない。我々が拠り所としてきたのは中国共産党の強固な指導であり、中国人民の団結・勤勉・努力であり、中国の特色ある社会主義路線である。我々の目標は公明正大だ。すなわち国民により良い暮らしをさせ、世界により大きな貢献をすることであり、誰かに取って代わることでも、誰かに挑戦することでもない。我々は、より高水準の改革開放を推し進め、より高水準の協力・ウィンウィンを実現しつつあり、必ずより良い中国となり、そして中国の発展によって世界をより素晴らしくしていく」と表明。



「中米関係は米側のデザインするゼロサムゲームではないということを、米側に告げる必要がある。習近平国家主席は、中国と米国が互いの関係をうまく処理できるか否かは、世界の前途・命運にかかわり、両国がしっかり答えなければならない世紀の問題であると指摘した。この問いに答えるにあたっては、米国はまず一極覇権は支持を得られず、ブロック対立に未来はなく、デカップリングやサプライチェーンの分断は他国と自国の双方に損害をもたらすということを認識するべきだ。国家間では公正な競争を行うことができる。中米間にも競争はあろうが、悪質な競争であるべきではない。我々は恫喝や脅迫に譲歩せず、中国の主権・安全保障・発展上の利益を断固として守っていく。いかなる抑圧や封じ込めも、中国国民をさらに団結させるだけだ」とした。



また「中米関係は重要な岐路に立っている。米側は正しい選択をすべきであり、相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンという『三原則』の実践に真に力を入れることで、中国と米国という2つの大国が新しい時代において正しく付き合っていくための道を見出すべきだ」とした。(編集NA)





人民網日本語版」2022年5月30日