「クアッド」首脳会議の傍らで、ロシアと中国の爆撃機が日本の近くを飛行する (RFI)

「クアッド」首脳会議の傍らで、ロシアと中国の爆撃機が日本の近くを飛行する (RFI)









(Vol de bombardiers russes et chinois près du Japon en marge du sommet du «Quad»: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20220524-vol-coordonn%C3%A9-de-bombardiers-russes-et-chinois-tout-pr%C3%A8s-du-territoire-japonais





「クアッド」首脳会議の傍らで、ロシアと中国の爆撃機が日本の近くを飛行する





発表 2022年5月24日 19:57







Il-76空中給油機が、バレンツ海ノルウェー海・北大西洋の公海海上で、Tu-95戦略爆撃機に燃料を補給する準備をしている。2022年2月初めにロシア国防省の広報サービスが提供した動画から抜粋された画像。AP





RFI






日本は5月24日火曜日、中国とロシアの爆撃機自国領海の近くで集団で飛行したことを受け、正式に抗議を表明した。東京ではその時、米国・日本・豪州・インドが集まり非公式のグループ・「クアッド」の会議が開催されていた。





火曜日、日本の防衛大臣は発言を行い日本列島の「深刻な懸念」を表明した。「日本海で2機の中国爆撃機が2機のロシア爆撃機に加わり、東シナ海に向け集団で飛行した」と岸信夫氏は記者団に語った。



合計4機の飛行機はその後、「東シナ海から太平洋への集団で飛行した」と付け加え、さらに、ロシアの別の偵察・情報収集機1機が北海道北部から能登半島に飛んだと説明した。













岸氏は、これらの行動について非常に「挑発的」だと述べて発言を終えた。この日本の防衛相は、「私たちは我が国の観点から、そして、地域の安全保障のために、外交ルートを通じて深刻な懸念を表明した」と述べた。



「国際社会がロシアによるウクライナ攻撃に対応している最中に、中国がロシアと協力してかかる行動を取ったという事実は(…)気懸かりだ。これを過小評価することは出来ない」と、岸信夫氏は更に強調した。フランス通信社(AFP)がこれを引用した。







岸信夫・日本防衛相(左)。5月4日水曜日、米国防総省でロイド・オースティン国防長官と会合した際に撮影。AP - Manuel Balce Ceneta





Tu-95と西安H-6



北京は認めた。これらの飛行は2国間「軍事協力年間計画」の枠組みの中で実施されたもであると、中国国防省が公式に発表した。中華人民共和国は、「日本海・東中国海・西太平洋海上の空域における定期的な戦略的合同空中哨戒活動」と記述している。



モスクワも公式発表でこれを認めた。ロシア国防省の説明によると、これらはロシアのTu-95と中国の西安H-6の両戦略爆撃機であり、東シナ海日本海の上を13時間飛行した。



このロシアと中国の合同飛行は、ウクライナでの戦争や台湾に関するジョー・バイデン氏の最近の発言に加えて、東京が米国・豪州・インド・日本の指導者による非公式な同盟・「クアッド」の首脳会議を開いたため、これらに介入したものだ。(囲み記事を参照のこと)。







ソ連のツポレフTu-162爆撃機ライセンス生産品・西安H-6は中国空軍のために生産された。Tu-16の初号機は1958年に中国に納入された。© Wikimedia Commons / Li Pang





「現状を変える」



中国とロシアの航空機は日本の領空には入らなかった。しかし、日本の防衛省によると、このような集団飛行が列島の近くで行われたのは、昨年11月から今回で4回目だ。東京はその都度この空域に戦闘機を離陸させている。



今回の件でもこれが繰り返された。岸信夫大臣は、ロシアと中国の航空機が日本の領空に接近した際、日本は戦闘機を送ってそれらに会わせたと説明した。韓国もこのライバル機を護衛するために航空機を離陸させた。



また、東京に集まった非公式の同盟・クアッドの指導者たちも、やはり声明の中でロシアと中国の空軍によるこれらの行動に反応し、「武力により現状を変える」と彼らの言う全ての試みに対して警告したが、ロシア連邦中共を名指ししなかった。











今日においても「現状」とは、ある意味で中国による投射を「抑止」することであり、今回は空中だったが、公海上や深海でも、どちらかと言えば特に核抑止力に対する論拠となっている。ある米国の当局者はロイター通信を通じて、両国はこの作戦を通じて現時点における軍事協力の全範囲を示したと述べた。



このように示されたロシアと中国の関係の近さには疑念があると、エコール・ミリテール戦略研究所(Irsem)のアジア専門研究者マリアンヌ・ペロン=ドワーズ氏は説明する。





ロシア側が中国からの支援を模索しているのだが、これら2国の「無秩序の行為者」の間で機会について歩み寄りがあった。事実、両国は互いを支援することに利益を見出している。なぜなら、彼らの戦略的利益は米国のイニシアチブ、つまり、米国の経済的・戦略的・外交的影響を抑え込むことだからだ。したがって、この歩み寄りは理解できる。中国海軍とロシア海軍は既に一緒に演習を行っており、他国は既にこれがどこまで進むのか疑問に思い、これに懸念している。しかし、バイデン政権が活発さを増し、ますます多くのイニシアチブを取っていることを見る必要がある。彼らはインド太平洋地域の安全保障について操作を行っており…









地中海での演習





ある米当局者によると、今回は2月24日にウクライナでの戦争が始まってから初の中露合同演習だ。このようにして、北京はモスクワへの支持を行動で示しし、一方、米大統領は、中国が台湾の島を攻撃した場合にはワシントンに武力を行使する用意があると宣言した。



NATOが5月17日から31日まで、東地中海で実際の軍事デモ活動である「ネプチューンの盾2022」を実施することに注目したい。月曜日、リビアベンガジの北方で複数の戦闘機が空母USSハリーS.トルーマンの周囲で訓練を実施した。












中国側では、昨日の午後から微信(WeChat)アプリと微博(Weibo)ネットワークで動画がシェアされた。中国のH-6K爆撃機2機とのロシアのプロペラ戦略爆撃機TU-95MS2機がスホーイ戦闘機SU-35とSU-30SMに伴われ、現地中国の国家主義者と軍事ファンの「心を大いに動している」と、RFI北京特約記者ステファン・ラガルドが報告している。












ロシア国防省によると、TU-95MSは日本海(韓国は東海と呼んでいる)や東シナ海、そして、王毅・中国外相が水曜日に訪問する太平洋の上空を13時間飛行した。この訪問がが上手く行けば複数の島国との安全保障協定が結ばれると、ABCニュースが報じた。この中国国務委員の訪問先と見込まれる国の中にはハワイに近いキリバス諸島があり、ワシントンとキャンベラは注意深く見守っている。





イゴール・ゴクラン、各通信社





「クアッド」は中国に公然と挑みたくない




「クアッド」は、武力による全ての現状の変更に反対している。しかし、その最終声明で中国とロシアを非難を避けた。岸田文雄・日本首相は、「ロシアのウクライナ侵攻は国際秩序の基本原則に違反している」とだけ述べている。



クアッドの指導者4人がロシアに対して慎重なのはなぜか?インドがウクライナ侵略への非難やロシアとの貿易縮小を拒否しているからだ。それでも、米国・日本・豪州はクアッドを利用して、非同盟の地位にこだわるインドの機嫌を取ろうとしている。



また、この4国は中国に公然と挑んでいると見られたくない。彼らの声明には台湾諸島への言及がなかった。火曜日、ジョー・バイデン米大統領台北に対する米国の「戦略的曖昧さ」に変化のないことを確認した。月曜日、中国が侵攻した場合にワシントンはこの自立した島を守ると彼は明言している。



クアッド加盟国は2国間レベルで、ウクライナでのロシアの残虐行為や、更には中国による太平洋の一部地域の軍事化を非難した。彼らはクアッドの内部で、自由なインド太平洋を維持する、中国やロシアの権威主義体制との違いを示すために「ソフトパワー」行動を展開するといった、その主要な創設の原則を強調している。



このためクアッドは、より安全な情報インフラ事業や、北京と安全保障協定を結んだソロモン諸島など太平洋諸国とのつながりを作るための気候変動との戦いに、5年間で500億ドルを投資する。



クアッドは、違法漁業など地域における中国の活動を追跡するための海上監視システムを設置する。、クアッド・グループはまだ反中国陣営を形成していないが、このように東京で非公式な同盟関係を固めた。





東京特約記者、フレデリック・シャルル




日本 ロシア 中国 米国 防衛 核・原子力 海洋







―参考―









※2022.6.1 リンクを追加しました。