「ウクライナ紛争をめぐる対立を余所に、日露漁業交渉が成立。但し、価格上昇は不可避。」(Sputnik日本)
https://jp.sputniknews.com/20220412/10595912.html
日本 ロシアとサケマス漁獲枠の交渉開始 権益維持が目的
2022年4月12日, 01:13
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11日、松野官房長官は東京都内での記者会見し、日本がロシアとのサケマス漁獲枠の交渉を開始した理由について、日本の権益維持にかなうからだと述べた。
松野官房長官は、「わが国の漁業活動に関わる権益維持、確保のために行う。交渉に全力を尽くしてまいりたい」と述べた。
サケマス交渉は日本が対露制裁を発動する中で開始されたため、日本側は、合意に至るかどうかは不明と考えており、交渉の時期も決まっていない。例年は、日本の漁師が4月10日までに漁を開始できるよう、春に交渉が行われてきた。
今回の交渉のテーマは日本の排他的経済水域でのサケマスの漁獲割り当て。魚は国際法上、それが生まれた領域の国に権利があり、ロシア連邦の河川で産卵したサケ科魚類はロシアに権利がある、このため日本はロシアと漁獲枠と日本がロシアに支払う金額について交渉で取り決めないうちは、漁獲を開始できない。
日本は年間62,000トンのサケマスを捕獲しており、そのうちロシアとの交渉で得る割り当て分は2050トン。これが漁獲高全体に占める割合は小さいものの、日本はこの交渉の行方や決裂が、日本が権利を主張するハボマイ(歯舞)諸島周辺のコンブ漁など、他の3つの交渉に悪影響を与えることを懸念している。
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露日関係 経済
https://jp.sputniknews.com/20220423/10699556.html
露日、サケマス交渉が妥結=水産庁
2022年4月23日, 05:02
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日本の水産庁は23日未明、ロシアの川で生まれたサケ・マスに関する露日間の漁業交渉が妥結したと発表した。25日に正式署名する。共同通信が伝えている。
共同通信の報道によると、北海道周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内での日本漁船の操業条件は、漁獲量がサケ・マス合計で2050トン。露への漁業協力費は2億~3億13万円の範囲内で漁獲実績に応じて支払うという。
日本 ロシアとサケマス漁獲枠の交渉開始 権益維持が目的
4月12日, 01:13
ウクライナ情勢の悪化で日本が対露制裁を強める中、日本は漁獲権益を確保するため11日から露との交渉を始めていた。
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露日関係 経済
―参考―
- Japan, Russia sign fishing deal despite Ukraine tensions (Reuters) [2022.4.22]
- 日ロサケ・マス交渉妥結、5月にも漁開始 日本の負担軽減=水産庁(ロイター)[2022.4.23]
- 露日、コンブ漁交渉が妥結 例年より遅れて解禁へ(Sputnik日本)[2022.6.3]
https://jp.sputniknews.com/20220427/10734945.html
ロシア系さけ・ます交渉に署名、市場関係者「ひと安心」しかし海産物の値上がり避けられず
2022年4月27日, 22:09
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徳山 あすか
25日、日露両政府は、2022年の日本200海里水域における日本の漁船によるロシア系さけ・ますの操業条件等について妥結したことを受け、正式に署名を行った。交渉の妥結については、これより前の23日に水産庁が発表していた。日本が可能な限りの強力な対ロシア制裁を行う中での妥結に、ロシアの魚を扱う市場関係者からは「ひと安心」との声が上がっている。
北海道の三大市場のひとつ、釧路市にある和商市場には、新鮮な海の幸を求めて大勢の観光客が訪れる。和商市場協同組合の柿田英樹理事長は、さけ・ます漁業交渉の行方を心配しながら見守っていた一人だ。和商市場にある店のほとんどは、ロシアの鮭を扱っている。ロシアとの関係が悪化することで、商材が足りなくなり、地元経済に影響が出ることが考えられるためだ。
「海の環境が変わってきて、それだけでも水揚げ量が減っており、さらにロシアとの交渉が難航し、もしかしたら今年はないのかなと…紅鮭のシーズンは、5月から7月まで。国産だけでは必要な量をまかなえません。私の店もそういう商材を中心に置いています。商材が少なくなると魅力がなくなって、観光客も足を向けなくなる可能性があります。売り上げが落ちるだけでなく、多面的な影響があるのです。」
漁獲量については前年と同じ内容で妥結することができ、「ひと安心。市場の皆さんも同じ気持ちだと思う」と話す柿田さんだが、値上がりは避けられないと予想する。燃料高騰で、漁にかかる費用が価格に反映されるためだ。
日本の岸田首相、漁業・水産関係者に露産水産物の代替を約束
4月26日, 22:32
国レベルでの漁業交渉を行うさけ・ますと違って、ウニやカニなどは、数が少なくても入荷が止まるということはない。ただしこちらも価格は上がり続けており、ウニは2倍、あるいはそれ以上に上がっているという。
ロシアの魚缶詰工場「ロシアの魚の世界」社のアレクサンドル・ジンチェンコ広報部長は、ロシア市場も日本と状況は同じだと話す。ロシアに多数ある日本食レストランは、物流の問題と価格高騰、制裁による支払いの困難さなど、海産物の仕入れに苦しんでいる。
漁業分野以外でも、北海道にはロシアと関わりの深い中小企業が多数存在する。道内の船舶代理店で働く人は、「ロシア向け、あるいはロシアからの貨物の量は全体的に少し減っているものの、今のところ普段どおりの仕事ができています。これからどうなるか不安になりながら様子を見ています。ロシアとのビジネスを続けたいと会社のみんなが願っています。とにかく早く終わってほしい」と、吐露してくれた。
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※2022.4.28 内容を追加しました。
※2022.6.6 リンクを追加しました。