「チェルノブイリ原発で電源供給が停止」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)
(BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/60686516
チェルノブイリ原発で電力供給が停止 ウクライナのエネルギー省が発表
2022年3月10日
Getty Images
チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所
ウクライナの国営エネルギー会社「ウクルエネルゴ」は9日、チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所の電力供給が切断されたと発表した。約2週間前に同原発を占領したロシア軍の活動によるものだと非難している。
ウクルエネルゴは、ロシア軍の侵攻により、1986年に世界最悪の原発事故が起きたチョルノービリ原発の電力を復旧できなかったと説明。
一方で、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は、停電が安全性に影響を与えることはないと述べた。
チョルノービリ原発はすでに停止中だが、完全に放棄されたわけではなく、今も監視保安作業を常に必要としている。使用済み核燃料も、敷地内で冷却されている。
グロッシ事務局長は、電力供給がなくても、使用済み核燃料が事故の原因になるほど高熱になることはないと述べた。
同原発のヴァレリー・セイダ所長代理は、施設内の発電機には48時間分の燃料があるとBBCに語った。
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IAEAは、ロシアの警備下で働く同原発の職員が、同僚との交代の見込みがないまま、事実上14日間も現場に閉じ込められていることを懸念していると述べた。
ウクライナのゲルマン・ガルシュチェンコ・エネルギー相は、職員が「精神的に疲弊」しているとみられると話し、ウクライナの原発を守ることは「ウクライナだけでなく、欧州連合(EU)や世界にとっても」優先されるべきだと付け加えた。
ガルシチェンコ氏はBBCに対し、ウクライナ当局はできるだけ早く電力供給を回復させたいと述べた。
また、飛行禁止区域を設定して「空を閉じる」か、国連とEU、経済協力開発機構(OECD)が使節団を送ることが、チョルノービリやその他のウクライナの原子力施設の安全を確保することになるだろうと付け加えた。
チョルノービリで働く大勢が住むスラヴィティチという町も電気が通っていない。ユーリ・フォミチェフ町長はBBCに対し、数時間以内に町全体が水と暖房を失うことになりかねないと語った。
IAEAは、先週ロシアに制圧されたヨーロッパ最大のザポリッジャ(ザポロジエ)原発を含む、ウクライナで稼働中の原子力発電所について、放射線レベルは正常だとしている。
<解説>パラブ・ゴーシュ科学担当編集委員
ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは、チョルノービリ原発の電力供給が停止した場合、放射性物質が大気中に放出され、より広い環境に広がる可能性があると発表した。
電力は、1号炉と3号炉の近くにある核燃料貯蔵施設のタンクに水を循環させ、2万本の使用済み燃料棒を冷やし続けるために必要なものだ。
施設内には、数日間は冷却を継続できる予備発電機がある。主電源が復旧しない場合、爆発の危険性はないものの、水は徐々に蒸発し始める。この蒸気には、燃料棒の内部から溶け出した物質が含まれているかもしれず、放射性物質が含まれる可能性があるという。
しかし、同原発に詳しい英シェフィールド大学のクレア・コークヒル教授によると、この蒸気は建物内にとどまるはずだと指摘した。
「水分が蒸発するまでにはかなりの時間がかかるので、放射性物質の放出にはつながらないと思う。使用済み核燃料は、密閉状態で構造的にも一体化した近代的な建物に保管されている」
コークヒル教授はまた、人が施設に入るのは危険だが、放射性物質が外に漏れることはほとんどないだろう、と付け加えた。
しかし、より大きな懸念は、1986年に爆発した第4原子炉を丸ごと覆う「新安全閉じ込め構造物」の空調も機能しないことだ。結露が生じれば、10億ポンド(約1500億円)の構造物が腐食する恐れがあり、結果としてこの施設の廃止が無期限とは言わないまでも、長期にわたって保留されることになる。
故郷チェルノブイリを訪ねる旅 35年ぶりの我が家は…
(英語記事 Chernobyl power supply cut off, says Ukraine)
関連トピックス エネルギー >原子力 ウクライナ侵攻 ウクライナ ロシア 軍隊
(Sputnik日本)
https://jp.sputniknews.com/20220313/10352428.html
チェルノブイリ原発の電源復旧、未だ実現せず=国際原子力機関
2022年3月13日, 10:15
© Sputnik / Russian Defence Ministry
ウクライナ当局はチェルノブイリ原子力発電所の電源復旧に向けた修復作業の状況をIAEA(国際原子力機関)に報告した。この修復作業にはロシアの国営企業「ロスアトム」社の専門家らが技術支援を提供している。
IAEA によると、ウクライナの専門家らは破壊された電源設備の修復作業を急いでいるものの、現時点で電源復旧は実現しておらず、3月9日以降電源喪失の状況となっている。
そのためウクライナ側はディーゼルエンジンの発電装置で電力を供給し、安全システムの機能を維持しているという。
ウクライナをめぐる情勢悪化
チェルノブイリ原発が危険というウクライナの声明はデマ=露外務省
3月12日, 08:23
ロシア国営企業「ロスアトム」社によると、ロシアの専門家らはチェルノブイリ原発の電源復旧、及びザポロジエ原発の物理的保護に向けた指導補助を行っており、現場では主にウクライナ人の作業員が活動しているという。
また、IAEA によると、ウクライナ側はロシア軍がザポロジエ原発を完全に掌握しようとしていると懸念しているのに対し、ロシア側はその主張を退けてているという。
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(Sputnik日本)
https://jp.sputniknews.com/20220314/10356399.html
チェルノブイリ原発の電源復旧、冷却装置が再起動=宇エネルギー相
2022年3月14日, 08:54 (更新: 2022年3月14日, 08:55)
© Sputnik / Stringer
ウクライナのゲルマン・ ガルシチェンコ・エネルギー相は、チェルノブイリ原子力発電所の電源が復旧し、冷却装置が再起動したことをSNSへの投稿で明らかにした。
先に、原発の作業員らは電源復旧作業を終えたと報じられていた。 ガルシチェンコ・エネルギー相がSNS「テレグラム」に投稿したところによると、核燃料の冷却装置システムは再び通常通り機能しているという。
ウクライナをめぐる情勢悪化
ロシア軍によるザポロジエ原発の攻撃はウクライナ側のプロパガンダ=露大統領
3月7日, 11:25
ロシア側の情報によると、3月9日にウクライナ軍はチェルノブイリ原発に電力を供給する送電網に攻撃を行い、原発は一時、電源喪失の状態に陥っていた。ロシアの専門家らによる指導の下、原発の作業員らは予備のディーゼルエンジンで電力供給を行い、安全を確保していたとのこと。
チェルノブイリ原発はロシアによる特殊軍事作戦直後、ロシア軍の管理下に置かれた。
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