「西側対ロシア金融戦争」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)

「西側対ロシア金融戦争」(BBC NEWS JAPAN・Sputnik日本)









(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/60542866





米欧、国際決済体制「SWIFT」からロシアの一部銀行排除へ





2022年2月27日







EPA

ロシア・サンクトペテルブルクの両替所(資料写真)






欧州連合EU)とアメリカ、および同盟諸国は26日(日本時間27日朝)、ロシアの複数銀行を国際決済システム「SWIFT」から切り離すことで合意した。共同声明には、欧州委員会、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの首脳が署名した。制裁には、ロシア中央銀行の外貨準備に関する規制も含まれる。日本政府は27日、この制裁措置に参加すると発表した。





共同声明は、「第一に特定のロシア銀行をSWIFT通信システムから排除する。これによって対象の銀行は国際金融システムから切り離され、世界的に活動する能力が損なわれる」とした。



ドイツ政府の報道官は、「対象の金融機関を国際的な金融の流れから遮断するための措置で、(ロシアの銀行の)国際活動を大規模に制限することになる」と述べた。



ロシアは石油と天然ガスの輸出などで、「SWIFT」による決済に大きく依存している。ただし、この措置はロシアと取引のある西側企業にも損害を与えかねない。



SWIFTとは、国際銀行間の送金や決済に利用される安全なネットワーク等を提供する非営利法人「国際銀行間通信協会(SWIFT、本部・ベルギー)」。国境を越えた速やかな決済や送金、資金の支払いなどを可能にする。世界中の1万1000以上の銀行や金融機関の間で、簡便な取引を支援している。



世界経済を支える極めて重要な役割を担っているが、SWIFTそのものに制裁決定権はない。



この仕組みから切り離されるロシアの銀行について、ドイツの報道官は「国際社会の制裁対象になっているすべての銀行が含まれる。必要に応じて他の機関も同様だ」と述べた。



世界中のほとんどの銀行が使う仕組みだけに、SWIFTから切り離されることはロシア経済に強い制裁効果を与えるとみられる。ただし、ロシアと取引する企業にとっても打撃となる。



ロシアの銀行は、経済の要となっている石油・ガスの輸出取引に、SWIFTを活発に利用している。ロシアによる取引は、SWIFTの世界全体の取引の1.5%を占める。





ロシア中央銀行の外貨準備も規制



共同声明はさらに、「第二に、我々の制裁の影響力を損なう形で、ロシア中央銀行が外貨準備を活用できないように、制限的措置を実施する」とした。



欧州委員会ウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は同日、ロシア中央銀行の金融取引を大幅に制限し、外貨準備を自由に使えないようにする制裁も発表した。



欧州委員長は記者会見で、「(ロシア中央銀行の)資産をまひさせ、その取引を凍結させ、中央銀行の資産の流動化を不可能にすることで、ロシアが軍資金を使えないようにする」と発表した。



共同声明は続けて、「ウクライナでの戦争とロシア政府の加害行動に便宜を図る人々に対抗して行動する」として、「いわゆる『ゴールデンパスポート』と呼ばれる、市民権販売の規模を縮小するための措置をとる。このゴールデンパスポートは、ロシア政府とつながるロシアの富裕層が、我々の国の国民となり、我々の国の金融システムを活用する手段となっている」とした。



「ゴールデンパスポート」あるいは「ゴールデンビザ」は、イギリスなどで、高額の投資と引き換えに外国の富裕層に滞在ビザ(査証)やパスポートをスピード発行する仕組み。



共同声明は、「第四に、我々の管轄内に存在する制裁対象の個人・企業を特定し、その資産を凍結することで、我々の金融制裁の効果的な実施を確実にするため、大西洋をまたぐタスクフォースを来週にも始動する」として、「制裁対象にするロシア政府当局者やロシアの実力者とその家族、および支援者たちへの制裁や強制措置を実施し、我々の管轄内に存在する資産を凍結する」と表明した。各国は、こうした人物が世界各地に隠匿(いんとく)する不法所得の移動を特定・阻止するため、他国政府とも連携していくとした。



ボリス・ジョンソン英首相は、イギリスが「断固たる行動」を取ったとして、「プーチンが侵略行為の代償を確実に払うよう、我々は協力し続ける」とツイートした。





(英語記事 West to cut some Russian banks off from Swift





関連トピックス ウラジーミル・プーチン ウクライナ侵攻 ウクライナ ロシア 経済







―参考―













(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/60551362





ロシア、通貨ルーブルが過去最安値 政策金利を2倍に大幅上げ





2022年2月28日







Getty Images





ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の経済制裁を受け、ロシアの通貨ルーブルが28日、対米ドルで過去最安値に落ち込んだ。こうした事態に、ロシア中央銀行政策金利を2倍以上の年20%に引き上げた。





欧州連合EU)とアメリカ、および同盟諸国は26日(日本時間27日朝)、ロシアの複数銀行を国際決済システム「SWIFT」から切り離すことで合意した。これは、ウクライナ侵攻に対する対応としては最も厳しい措置で、ロシア中央銀行の資産が凍結されるほか、同国の外貨準備へのアクセスも制限されることとなる。



共同声明には、欧州委員会、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの首脳が署名。「ロシアを国際金融システムからさらに孤立させる」ことが狙いだとしている。ロシアは同国経済を支える原油やガスの輸出でSWIFTシステムに大きく依存している。



こうした措置を受け、ルーブルは米ドルに対して約30%下落した。



ロシア中央銀行は27日、国民による取り付け騒ぎを懸念し、冷静さを保つよう求めた。



そして、「金融の安定性を維持し、金融セクターの業務継続性を確保するために必要な資源と手段はある」とした。



また、28日には政策金利を9.5%から20%に一気に引き上げた。ルーブル急落による物価上昇への影響を和らげるのが狙い。



緊張が高まる中、北海ブレント原油先物は28日、再び一時1バレル100ドル台を突破した。





<関連記事>







ブロックチェーン分析会社「TRM Labs」のアリ・レッドボード氏はBBCに対し、「ロシア中央銀行と、すでにコルレスバンク(外貨送金の中継地点となる金融機関)から切り離されているロシアの大手銀行が国際金融システムに届く代替手段を見つけない限り、ロシアはイランや北朝鮮のように世界経済から孤立することになる」と指摘した。



レッドボード氏はかつて、米財務省のテロ・金融情報担当次官のシニアアドバイザーを務めていた。



ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が27日に、戦略的核抑止部隊に「特別警戒」を命じたことを受け、投資家も警戒を強めている。



シドニームーディーズ・アナリティックスのエコノミスト、カトリナ・エル氏は、「金融市場はウクライナでの展開に導かれることになる」と述べた。



「制裁や軍事行動に関する発表は、今週も市場を動かすだろう」





「ジャンク債」への格下げ検討



ムーディーズは先週、ロシア国債の「ジャンク債」への格下げを検討していると発表していた。格下げとなった場合、ロシアは通常より多くの借入金を支払わなければならない可能性がある。格付け会社S&Pはすでに、25日にロシアをジャンクに格下げしている。



SMBCプライベート・ウェルスの投資責任者、アレクサンドル・ムーティン氏は、「取り付け騒ぎはすでに進行中で、今後数日で激しさを増す可能性はかなり高い」としている。



「軍事衝突は(ロシアの)プーチン氏の予想以上に長引き、西側や国際社会からの反応もプーチンの予想以上に(ロシアにとって)害のあるものになるかもしれない」



欧州中央銀行(ECB)は28日、ズベルバンク・ロシアの複数の欧州子会社が、ウクライナ侵攻により破綻あるいは破綻しそうだと発表した。ロシアはズベルバンク・ロシアの過半を保有している。



ズベルバンク・ヨーロッパの昨年末時点の総資産額は約136億ユーロ(約1兆7500億円)。ECBによると、同社とクロアチアスロベニア部門ではこの数日間で急速に預金が流出しており、債務支払いが不可能になるおそれがあるという。





(英語記事 Russian rouble plunges 30% amid Ukraine conflict





関連トピックス ウラジーミル・プーチン ウクライナ侵攻 ウクライナ 欧州連合(EU) ロシア 東欧 軍隊 経済







―参考―













(Sputnik日本)

https://jp.sputniknews.com/20220302/10282514.html





対露制裁発動した諸外国との民間取引、外貨持ち出しを制限=露大統領





2022年3月2日, 08:13 (更新: 2022年3月2日, 14:41)







© Sputnik / Sergey Ilyin





ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は対露制裁を発動した国家に関連する企業、外国人との取引を規制する措置を発令した。この規制措置は3月2日以降適用される。また、ロシア国内から1万ドル以上の外貨持ち出しを禁止した。





プーチン大統領は「ロシア連邦の財政安定保障に向けた経済的性格の一時的追加措置について」と題された大統領令に署名した。ロシア大統領府の発表によると、政府は3月2日以降、ロシアの法人、及び個人に非友好的な行動をとる諸外国と関連した外国人との取引を規制するという。具体的には制裁を発動した国で登録された企業、もしくはそうした国家の国籍を持つ外国人、経済活動の中心をそうした国家に置く企業、企業活動の利益をそうした国家から得ている企業が規制対象となる。この規制は該当する外国人の管理下にある人物にも適用される。







ウクライナをめぐる情勢悪化

再びロシア人にドイツ軍の銃口が向けられた=露外務省

3月1日, 10:30






これらの企業、外国人はルーブル建て債務のほか、有価証券と不動産の購入が規制される。これらの取引には外国投資取引に関する政府直属の委員会による許可を得る必要がある。



また、プーチン大統領は3月2日以降、1万米ドルを超える外貨の国外持ち出しを禁止した。





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