「欧州へのLNG融通:米国に向けたジェスチャーか?」(Sputnik International・Sputnik日本)
(Japan's Extra Gas Shipments to Europe 'Friendly Gesture' Toward US - Expert: Sputnik International)
https://sputniknews.com/20220209/japans-extra-gas-shipments-to-europe-friendly-gesture-toward-us---expert-1092895001.html
日本から欧州への臨時のガス出荷は米国に向けた「友好のジェスチャー」―専門家
2022年2月9日 23:37 GMT
© AP Photo / Laura Rauch
モスクワ(スプートニク)―液化天然ガスを臨時に欧州に送るという日本の約束は、EUのための代替ガス源を探すワシントンの盟友に向けた友好のジェスチャーにすぎないと、水曜日、国際石油エコノミストのマムドゥフ・サラメー氏はスプートニクに語った。
萩生田光一経済相は同日これに先立ち、東京は米国とEUの求めに応じてLNGを臨時に出荷し、国内への供給が途切れなく維持されることが明確になり次第、余剰貨物を欧州に送ることを決定したと述べた。
「日本の貢献は、ウクライナ危機が武力紛争に発展した際にロシアのガス供給が停止した場合に備えて、EUへのLNG供給を企図する同盟国・米国に向けた友好のジェスチャーに過ぎない」と、サラメー氏は述べた。
日本は豪州・マレーシア・カタール・ロシアから輸入したLNGのほんの一部を取り分けることしか出来ず、ロシア産のガスを欧州に再輸出することも有り得ると、この大家は推測した。
比較すると、米国・カタール・豪州のLNG全輸出量を合算しても、ロシアがEUに送り出す年間約2,000億立方メートルを埋め合わせることは先ず不可能だ。これに年間1,500万~1,600万トンのLNGが加わる。
「彼らのLNG輸出の大部分はアジア太平洋地域の中を対象とした契約になっている。そこでは需要が非常に旺盛で、高値で取引され、不足が生じ始めている」と、サラメー氏は付け加えた。
ロシアだけがEUのガス需要を満たせると、この専門家は主張した。欧州のLNG貯蔵容量は限られているため、欧州のガス市場で40%近くのシェアを持つロシアとの置き換えを意図したとしても、輸入を増やすことは「実用的でない」。
日本 欧州 ガス ガス出荷 米国
―参考―
(Sputnik日本)
https://jp.sputniknews.com/20220212/lng-10156311.html
欧州へのLNG融通:日本は米国の要請に応えることができるのか?
2022年2月12日, 15:55 (更新: 2022年2月12日, 17:19)
© Sputnik / Evgeniy Biyatov
タチヤナ フロニ
日本政府は、米国からの要請を受け、液化天然ガス(LNG)の一部を、エネルギー不足に悩まされる欧州に融通する。萩生田光一経済産業相は、タンカー数隻による欧州向けガス輸送を、独自の判断で行うと述べた。
また萩生田経済産業相は、日本政府は欧州諸国への支援を行うとの決定を下したものの、最優先すべきは、自国のエネルギー安全保障であると強調している。
言うまでもなく、日本は世界で最大のLNG輸入国であり、輸出は行っていない。果たして、日本には、自国のエネルギー需要を確保しつつ、欧州諸国を恒常的に「助ける」だけの資源があるのだろうか?
米国政府は、ロシア産の天然ガスが欧州に調達されなかった場合に備え、それに代わるものとして、欧州にLNGを融通するよう日本政府に要請した。これは、ウクライナをめぐる情勢が激化し、欧州にとってのガスの最大輸出国であるロシアに対してより厳しい制裁を導入した場合のシナリオを想定してのことである。
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しかし、米国政府が、日本を含めた同盟国の助けを借りながら、欧州向けのロシア産LNGを補うという計画は現実的なものなのだろうか?
欧州諸国に対するエネルギー支援を行うにあたり、技術的、実際的な障壁はない。しかし、これに関し、ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターの主任研究員のコンスタンチン・コルネーエフ氏(アジアのエネルギー政策研究専門)は、何れにせよ、これは日本の利益に適うものではないと指摘している。
「日本のタンカー船隊は非常に発展していて、エネルギー資源供給のための輸送ルートも綿密に計算されています。しかし、経済的な見地から言えば、米国の提案というのは、客観的な市場の条件を無視した完全な主意主義的なものです。というのも、日本は自国のエネルギー資源を持っておらず、自らも世界最大のLNG輸入国なのです。日本はLNGの輸入に膨大な資金を費やしており、実質、日本に輸入されているすべてのガスは国内需要にまわされています。つまり、エネルギー資源の問題は、日本の経済にとってきわめてセンシティブなものなのです」。
日本政府が米国のために、自国の戦略的資源を他国にまわす用意があるとは考えにくい。そのような同意があるとすれば、米国が、日本の依頼に応えて、自国の負担で、たとえば、緩やかな条件の融資や補助金の供与するなどといった形で、日本がこうむりうる損失と出費を補填する義務を負った場合に限られる。
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そうなった場合は、日本はカタールからのエネルギー資源の輸入を増やし、それを欧州に転売することが可能となる。とはいえ、これも日本にとっては頭の痛い話であり、まったく根拠のない自国の経済に対するリスクを生むものであるとコルネーエフ氏は指摘する。
「エネルギー資源の供給を変更するというのは、深刻な崩壊を招きます。すべての天然ガスの船舶輸送は、前もって、長期契約、あるいは先物取引によって決められているからです。ロシアは日本に長期契約で天然ガスを売却していますが、先物取引(3ヶ月後の供給)でさえも、それを転売するのは難しいことです。なぜなら、違約金を伴う厳しい制裁を受ける可能性があるからです。そして、新たなガスの供給分(欧州向け分)の船をチャーターしなければなりません。そしてこれは、どこかの国に頼らなければならないのです。しかも、ガスの液化、船の確保、輸送、再ガス化など、これらはすべて付加価値連鎖です。つまり、日本は(自国のエネルギー資源を再分割した場合)、資金の損失、制裁、保険の費用の支払いなど、追加的なリスクを負うことになるのです。しかもマージン(利益と変動費用に対する出費の差額)はまったくありません。日本にとって、購入したガスをそれ以上の値段で売ることができなければ、ガスを輸出する意味があるでしょうか?」
世界最大のLNG輸出国であるカタールのエネルギー相自身、他の地域への供給にダメージを与えずに、1カ国だけで、欧州に必要な量のLNGを保障できる国はどこにもないと述べたことは注目に値する。
したがって、日本がLNGを積んだタンカーを数隻、欧州に向けて出航させたことは、米国との連帯を示す戦略的なジェスチャーであることは疑う余地もない。しかし、ロシア産ガスの代替として、日本からLNGを供給するという話をするのは時期尚早である。
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