【COP26】 森林破壊を2030年までに終わらせると100カ国超が署名 (BBC NEWS JAPAN)

【COP26】 森林破壊を2030年までに終わらせると100カ国超が署名 (BBC NEWS JAPAN)









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【COP26】 森林破壊を2030年までに終わらせると100カ国超が署名





2021年11月2日







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世界の食肉需要を満たすため、多くの木が伐採されている






スコットランドグラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、日本を含む世界100カ国超の首脳は2日、2030年までに森林破壊を終わらせると約束する文書に署名した。これは今回のCOP26で最初の主要な共同声明となる。



合意の署名国には、アマゾン川流域の熱帯雨林で大規模な森林伐採を進めているブラジルも含まれた。



森林破壊を終わらせる取り組みには、192億ドル(約2兆1800億円)近い公的資金と民間資金の投資が盛り込まれている。



専門家はこの動きを歓迎する一方で、森林破壊を食い止めるとした2014年の合意が「森林破壊をいっさい遅らせなかった」と指摘。約束するだけでなく、実際に履行する必要があると警告した。



樹木の伐採は、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を大量に吸収する森林の減少につながり、気候変動を引き起こす要因となる。



COP26議長国イギリスのボリス・ジョンソン首相は2日、「かつてないほど多くの首脳」がこの「画期的」な取り組みに合意したと歓迎した。首相によると、110カ国の首脳が合意に署名した。



ジョンソン首相はさらに、「森林の壊滅的な喪失を止めなくてはならない」として、「人類は自然の支配者というこれまでの役割を終え、代わりの自然の管理人にならなくてはならない」と述べた。



協議が2週間続くCOP26は、気候変動の制御に不可欠な場だと考えられている。



カナダやブラジル、ロシア、中国、インドネシアコンゴ民主共和国(旧ザイール)、アメリカ、イギリスなど、この取り組みに署名した国には、世界の森林の約85%が広がる。





取り組みの内容



資金の一部は、被害を受けた土地の修復や山火事への対処、先住民族コミュニティのために発展途上国に提供される。



28カ国は、食品やパーム油、大豆、カカオなど農産物の国際取引のための森林伐採をやめると約束する見通し。関連業界では、を切り倒して動物の牧草地や植物の栽培地を作ることが行われている。



世界最大のパーム油輸出国のインドネシアも、署名の意向を示している。パーム油はシャンプーやビスケットなどあらゆるものの製造で使用されており、樹木の破壊や先住民族の土地の喪失などにつながっている。



また、世界の大手企業30社以上が、森林破壊に関連する活動への投資停止を約束する見通し。



アフリカ中部コンゴ盆地に広がる世界で2番目に大きな熱帯雨林の保護のため、11億ポンド(約1700億円)規模の基金も設立される。





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専門家の反応



気候と森林に詳しいユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドン(UCL)のサイモン・ルイス教授は、「森林破壊を止めるという政治的なコミットメントに実に多くの国が参加し、相当の資金提供の約束を得られたのは朗報だ」とする一方、今回のような宣言は「前にもあった」として、2014年の森林に関するニューヨーク宣言が「森林破壊をまったく止めなかった」とも指摘した。



ニューヨーク宣言は2020年までに森林破壊を半減させ、2030年までに根絶することを目的に、40カ国が参加したものの、ブラジルやロシアなどは不参加で、2019年調査報告は森林破壊は急速に進んでいると指摘した。



教授はさらに、今回の取り決めは、熱帯雨林で栽培された肉などへの需要増加について対応するものではないと指摘。アメリカやイギリスなどでは食肉の消費水準が高く、こうした問題に対処する必要があるとした。



生態学者のナイジェル・サイザー博士は、「重大な」合意だとしつつ、2030年に目標を設定したことを残念に思う人もいるだろうと述べた。



「我々は気候変動の緊急事態に直面しているのに、この問題に対処するためにあと10年の猶予を与えるなど、この事態に見合っているとは思えない」



「ただ、これが現実的な、彼らが達成できる最善策なのかもしれない」



アマゾン川流域の先住民族組織(COICA)は、先住民族コミュニティは森林破壊を阻止しようと最前線で戦っているとし、今回の取り決めを歓迎するとBBCに語った。



「私たちは何年もの間、自分たちの生活様式を守り、そうすることで生態系や森林を守ってきた。私たちなしでは、どんなお金も政策も気候変動を止めることはできない」







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アマゾンでは近年、森林伐採が加速している






報告書「Rethinking the Brazilian Amazon」(ブラジルのアマゾンを再考する)を共同執筆したアナ・ヤン氏は、今回の取り決めには、以前より多くの国や関係者が関わり、より多くの資金拠出が盛り込まれているが、重要なのはその詳細だと指摘する。



「これは、COP26における非常に重要な一歩だ。今回の会議は野心レベルを高め、世界の気温上昇を摂氏1.5℃以下に抑えることを目的としている。これは気候変動対策における大きな基礎だ」



「アマゾンの熱帯雨林の大部分を有するブラジルが署名することが非常に重要だ。しかし、現場でそれを実現できる人たちに資金が投入されなくてはならない」





(英語記事 World leaders promise to end deforestation by 2030





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―参考―