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【解説】 アフガニスタンはテロ組織の安全地帯になるのか タリバン復権で (BBC NEWS JAPAN)

【解説】 アフガニスタンはテロ組織の安全地帯になるのか タリバン復権で (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-58240280





【解説】 アフガニスタンはテロ組織の安全地帯になるのか タリバン復権





2021年8月17日





フランク・ガードナー、BBC安全保障担当編集委員







Reuters

カブールをパトロールするタリバン戦闘員(16日)






マツの木が茂るアフガニスタン東部クナル州の人里離れた渓谷地帯と、オンラインのジハーディスト(イスラム聖戦主義者)のチャットルームで、大勢が歓喜している。タリバンによる「歴史的勝利」と、武装勢力アルカイダが呼ぶ事態が起きたからだ。



20年前にタリバンアルカイダの両方を追放した軍隊が、アフガニスタンから屈辱的な去り方をした。欧米に敵対的な世界中のジハーディストたちの士気は、大いに高まっている。



このおかげで、アフガニスタンで政府統治が届かない地域に、彼らの潜伏拠点ができるかもしれない。このことは、イラクとシリアで敗れ、新しい地盤を探している武装組織イスラム国(IS)にとってとりわけ、魅力的な展望だ。



欧米の軍幹部や政治家らは、アルカイダが勢力を増してアフガニスタンに戻る事態は「避けられない」と警告している。



イギリスのボリス・ジョンソン首相は緊急会議の後、西側諸国が結束し、アフガニスタンが国際テロ集団にとっての安全地帯に逆戻りするのを防がなくてはならないと訴えた



国連のアントニオ・グテーレス事務総長は16日、安全保障理事会に対し、「アフガニスタンにおける世界的テロの脅威を抑え込むため、あらゆる手段を尽くして対応する」よう求めた。



だが、タリバン復権は自動的に、アルカイダの地盤の復活や、国境を越えて西側諸国を標的とするテロ攻撃などを意味するのだろうか。



必ずしもそうとは限らない。





正統性と承認を求めて



タリバンアフガニスタン全土を統治した1996~2001年当時、同国は実質的に国際社会から排除された、のけ者国家だった。



サウジアラビアパキスタンアラブ首長国連邦UAE)の3カ国だけが正統性を認めた。



タリバンは自国民を残忍に扱う一方、オバマビンラディン容疑者(故人)の組織アルカイダをかくまった。アルカイダは、2001年にアメリカで3000人近くが死亡した2001年9月11日の攻撃を仕掛けたとされる。



世界各地の推定2万人が、アルカイダの訓練キャンプを経験したと言われる。殺傷能力を身につけ、出身国に戻って「テロ大学」と呼ばれる機関を設立した。



タリバンは今も、自らのことを「アフガニスタン・イスラム首長国」の正統な支配者だと考えている(選挙を経ていなくても)。今後、ある程度の国際的な承認を欲するだろう。



すでに、過去20年間の大半で政府に汚職と内紛、無駄が見られた後に、秩序と平静、権威を回復したのは自分たちだとの印象を与えようとしているように思われる。







タリバン復権 徐々に高めた存在感、高まる国民の不安





ドーハで失敗に終わった和平交渉では、タリバンが欲している国際的な承認について、アルカイダとの関係を完全に断った場合にのみ与えられることが明確にされた。



これに対しタリバンは、アルカイダとはすでに断絶していると説明した。しかし、最近の国連報告によると、両組織が部族や婚姻に基づいた緊密な関係を保っているという。





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タリバンによる最近の劇的な全土掌握の最中、その部隊にアフガニスタン人以外の「外国人」が確認されたとの報告が相次いでいる。



また、タリバンの前面に出る人物(交渉者や広報担当者)が発する比較的穏やかで実利的な言葉と、現地で起きている野蛮な報復行為に食い違いが生じているのも明白だ。



タリバンがまだ首都カブールへ向けて進撃していた今月12日、駐カブールのアメリカ代理大使はこうツイートした。「タリバンのドーハでの声明は、バダフシャーン、ガズニー、ヘルマンドカンダハールにおける彼らの行動と合致しない。暴力、恐怖、戦争によって権力を独占しようとする試みは、国際的な孤立につながるだけだ」。





西側はジハーディスト封じ込めに苦慮するか



タリバンの狙いは、アフガニスタンを彼ら独特の厳格なシャリア(イスラム法)の解釈に基づいて治めることだ。国外への勢力拡大の意図は示していない。



しかし、アルカイダイスラム国のジハーディストたちの野心は、アフガニスタンの外にも向けられている可能性がある。タリバンの新政権はそうしたジハーディストたちを抑えようとするかもしれないが、監視の目が届かない空白地帯が存在する。



アジア太平洋財団のサジャン・ゴヘル博士は、現在クナル州にいると思われる200~500人規模のアルカイダは、人員を増やすものと予測している。







Getty Images

米ニューヨークの世界貿易センタービルが崩壊するなどした9/11攻撃は、オサマ・ビンラディン容疑者(写真)が率いたアルカイダによるものだったとされる






タリバンがクナル州を占拠したことには、大きな戦略的価値がある。州内には、樹木が密集する渓谷地帯が広がる、非常に厳しい地形があるからだ。すでにアルカイダがそこに陣取っており、勢力拡大を図るだろう」



実際にそうなれば明らかに、西側諸国によるタリバンの封じ込めはずっと難しくなる。



過去20年間、西側はアフガニスタンの情報機関NDSに大きく頼ってきた。アメリカ、イギリス、アフガニスタン特殊部隊は、その素早い行動とNDSの内通者ネットワークを組み合わせ、対応してきた。



それがなくなった現在、アフガニスタンは情報関係者の言う「ハード・ターゲットト」(厳重に警備されて攻撃しにくい標的)となっている。



テロ訓練キャンプの位置が特定されれば、米政府の選択肢は遠隔のドローン攻撃か、1998年にオサマ・ビンラディンを外した、巡航ミサイル攻撃ということになるだろう。



パキスタン当局が、アフガニスタンに向かう外国戦闘員の自国内移動を阻むのか、それとも認めるのか。それが大きな鍵を握るだろうと、ゴヘル博士は話す。





(英語記事 Taliban return raises fears of Afghan haven for terror





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