専門家:「世界経済の不確実性はコロナ前からあった」(Sputnik日本)

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専門家:「世界経済の不確実性はコロナ前からあった」







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経済





2021年08月07日 10:00





筆者 : リュドミラ サーキャン






国連、OECDIMFの専門家は、世界経済の回復は続いていると考えている。しかし、国によってパンデミックの影響にバラツキがあったのと同様に、経済回復のスピードも国によって大きく異なっている。この差を生んでいるのはワクチン接種のスピードと国の財政支援の差だ。スプートニクが今後の予測を専門家に聞いた。





2020年の世界経済は4.3%のマイナス成長だった。2021年は6%のプラス成長が見込まれる。IMF世界経済見通しの改訂版(World Economic Outlook Update)がこのような予測を発表した。



IMFの予測によると、2021年のアメリカ経済の成長率は7%に加速し(前回予測6.4%)、中国の成長率は8.1%になる予測だ(前回予測8.4%)。IMFはフランス(5.8%)とドイツ(3.6%)の予測は据え置き、ロシア経済の成長率を4.4%(前回予測3.8%)に上方修正した。一方、日本については、G7で唯一の下方修正となり、GDP成長率予測は3.3%(4月の予測)から2.8%に引き下げられた。



IMF主席エコノミストのギータ・ゴピナート氏は記者会見で、日本は『さらなる下方リスク』に直面していると述べた。COVID-19の拡大によって7月12日に東京に緊急事態宣言が発令されたためであり、これは前回見通しには反映されていなかったものだ。



ゴピナート氏は一方で、東京五輪のインフラ支出はすでに完了しており、五輪開催が深刻な経済的影響を与えるとは考えていないとも述べた。



今後、ワクチン接種の取り組みが進展することによって、日本経済が2021年下半期により大きな回復を見せる可能性はある。そのため、IMFは2022年の日本の成長予測を0.5ポイント上方修正し、3.0%とした。



国連は「私たちは経済を回復させ、より持続可能でインクルーシブなものにするため、力を合わせなければならない」と呼びかける。アミーナ・モハメッド国連副事務総長は「私たちは皆同じ船にのっている。他の国が船の外に残されたままでは、どの国も本当の進歩を遂げることはできない」と強調した。2015年に持続可能な開発目標(SDGs)が採択されて以来これまでに積み重ねてきた成果がパンデミックによって帳消しにされそうな中、SDGsをどのように達成するのかについての報告書が国連経済社会局によって発表された。



報告書の著者らによると、国際社会は、足元の不確実性を特に考慮し、ポストコロナ時代の社会経済開発のアプローチを変えなければならないという。



ここで語られている不確実性とは何なのか。ロシアの成長経済研究所のアントン・スヴィリデンコ所長はスプートニクのインタビューで次のように語った。「世界経済モデルの不確実性はCOVID-19の拡大よりずっと以前からあり、その実体は両極化でした。一方の極には、自由兌換通貨を持ち、消費レベルは高いが、経済の実体セクターが小さい先進国があり、もう一方の極には、資源国と低コスト(つまり労働力が安い)ゆえに製造拠点が集中する国々がありました。誰もがその状態に納得していました。中国が経済力をつけて新しい市場を奪い始めるまでは。トランプ前大統領は国内の製造セクターに力を入れることで、この不均衡を変えようと試みましたが、時間切れになりました。アメリカはおカネを刷らざるを得なくなり、これがインフレ加速を招きました。パンデミックが修正を加えたのです。国境が閉鎖されたことで、グローバルサプライチェーンは毀損し、国際観光は多くの国が脆弱な状態に陥るほどに縮小しました。今、各国はパンデミックが引き起こした危機から脱するための戦略的選択を迫られています。国内の製造業を振興し、インフラと教育に資金を投じることになるでしょう。しかし、すべてを自国で製造することは不可能なので、国際貿易は成長を続けるでしょう。「グリーン・アジェンダ」も世界に新しい発展の道の模索を迫っています。このような発展のベクトルの不確実性と、ワクチン接種問題を含めた国家間の格差を、世界は解消しようとしているのです。WHOは先進国に対して、3回目のワクチン接種は行わず、ワクチンを貧困国にまわすべきだとさえ呼びかけています。なぜなら、国民全員にワクチンを接種して、完全に自国を世界から切り離したとしても、そんな体制には必ず後退リスクが付きまとい、長続きしないからです。」







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WHO 人類にとって「本当の意味で危険な時代」に入ったと発表






日本に関しては、五輪による大きな経済損失はないというIMFの見方にスヴィリデンコ氏も同意する。一方で、五輪開催が日本に目に見える大きな利益をもたらすこともない。その代わり、いかにして一部の世論の圧力に耐え、国際社会に対する義務を果たすかという手本を日本は世界に示した、とスヴィリデンコ氏は言う。「世界中が東京五輪を見ています。これは世界中の人々に共通の憂鬱や精神的疲弊の気晴らしになっています。これは新しい原動力であり、政治的に成熟した国の解決策なのです。」





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