「五輪開幕から1週間、『自粛疲れ』の中で日本は非常事態を延長・拡大する」(RFI・BBC NEWS JAPAN)

「五輪開幕から1週間、『自粛疲れ』の中で日本は非常事態を延長・拡大する」(RFIBBC NEWS JAPAN)









(Covid-19: le Japon étend l'état d'urgence, une semaine après le début des JO: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20210730-covid-19-le-japon-%C3%A9tend-l-%C3%A9tat-d-urgence-une-semaine-apr%C3%A8s-le-d%C3%A9but-des-jo





Covid-19:五輪開幕から1週間、日本は非常事態を延長する





発表 2021年7月30日 14:08







東京の記者会見での菅義偉首相、2021年7月30日。AP - Issei Kato





RFI






衛生危機が悪化し1週間前に始まった五輪大会の参加者にも影響を与えている中、日本政府は金曜日、東京の非常事態を延長し他の4府県にこれを拡大することを決めた。





報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル



菅義偉首相は閣議で、「東京と沖縄(南西部)の非常事態を8月31日まで延長することを決めた」と述べた。非常事態は大阪(西部)と東京に隣接する3県でも宣言されると、彼は付け加えた。



日本の首都では、1ヵ月も経たないうちにデルタ変異株が新規感染症例の30%から50%以上を占めるようになった。ウイルスとの戦いを担当する西村康稔・経済大臣は、感染のピークにはまだ達していないと考えている。彼は議員たちを前に、状況について「極めて深刻だ」と表明した。東京では、Covid-19患者を収容するための蘇生ベッドの64%が既に塞がっている。



日本の非常事態は、居酒屋や食堂の開店時間の短縮に限定されている。政府には欧州のような強制措置を課す法的根拠が1つもない。それでもなお、国内は「規制疲れ」に苦しんでいる。そして、五輪の「お祭り」に浮かれて一部の食堂が非常事態を無視し、マスクを着用しない客が現れそうだ。





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ワクチン接種者は僅か26%



感染症の専門家・渋谷健司博士は、「政府や、ウイルスの感染防止を助言する科学者が無能だ」と非難している。「感染の発生源を窒息させる」ことを基本に据えた彼らの取り組みは「失敗した」と、彼は付け加えた。



日本は、パンデミックを抑え込むためにワクチン接種の加速を当てにしている。東京五輪参加者の80%に対して、ワクチン接種を完全に済ませた日本国民は僅か26%だ。





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日本 コロナウイルス ワクチン 2020年五輪大会











(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/58028032





日本で緊急事態宣言を拡大・延長、計6都府県で8月31日まで 「自粛疲れ懸念」





2021年7月30日・更新 2021年7月31日







EPA

緊急事態宣言の拡大・延長を発表する菅首相(30日夜、首相官邸






オリンピック開催中の日本で新型コロナウイルスの新規陽性者が記録的に急増する中、菅義偉首相は30日夜、首相官邸で記者会見し、緊急事態宣言の対象地域を拡大し、期間を延長すると発表した。ただし、罰則の伴う厳しい行動制限を実施してきた諸外国の「ロックダウン」と異なり、要請ベースのため、「自粛疲れ」の中での実効性について疑問視する声もある。



菅首相は、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に新たに、8月2日から31日まで緊急事態宣言を発令すると発表した。これに伴い、緊急事態宣言下にある東京都と沖縄県と合わせ、計6都府県に拡大する。



宣言の期限が現在、来月22日までとなっている東京と沖縄の期限も、あわせて延長する。北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県では、まん延防止等重点措置が適用される。



東京都は31日、新たに確認された陽性者は4058人(うち65歳以上の高齢者は106人)だと発表した。初の4000人台で、1日あたりでは過去最多。4日連続で3000人を超えた。都によると、31日までの新規陽性者数の直近7日間移動平均は2920.0人(対前週比217.0%)、行政検査件数の3日間移動平均は1万2012.3件。3人の死亡が確認されたという。



30日に確認された新規感染者は3300人(うち65歳以上の高齢者は82人)。29日は3865人、28日は3177人だった。



30日の国の新規感染者は1万728人で、最多を更新した。29日は1万687人で、1日あたりの新規感染者が初めて1万人を超えた。ゴールデンウィーク後の5月8日に感染が急増した際のピークは7239人だった。



東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会は31日、新たに大会関係者31人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。内訳は大会関係者7人と業務委託スタッフ14人で、選手村滞在者はいなかった。選手、スタッフ、委託業者、ボランティアら大会関係者の陽性者は累計246人になった。そのうち、日本在住者は143人、外国在住者は103人。前日30日には、新たに選手を3人を含む大会関係者27人が新型コロナウイルスに感染したと発表している。





若者の感染拡大に懸念



菅首相は会見で、新型コロナウイルスがデルタ株を中心に「これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大している」と危機感を示し、緊急事態宣言による行動制限とウイルス接種の推進で重症化リスクを減らしていく方針を示した。



首相は今回の感染拡大局面ではこれまでと異なり、65歳以上の高齢者の重症化が大きく減っていると指摘し、「ワクチン接種の効果が顕著に表れている」と述べた上で、「若い世代の感染が急拡大している」状況や、「40~50代の重症者が増加傾向にある」状況は、強く憂慮すべきだと話した。



このまま感染者の増加が止まらなければ重症者数もさらに増加し、病床が逼迫(ひっぱく)する恐れがあるため、ワクチン接種を進めながら緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の地域を拡大し、期限を延長する判断をしたと説明した。



首相はさらに、「自粛疲れ」の広がりや、「コロナは怖くない」という認識が若者世代に広がる状況に懸念を示し、「デルタ株の出現によってこれまでとは変わり、若い世代の方々も重症化リスクが高まっており、感染後も重い後遺症に苦しんでいる人がいる」と指摘した。



その上で首相は、ワクチン接種のほかマスク着用や「三密」回避などの対策継続を国民に求めたほか、時短・休業要請など負担を強いられてきた飲食店には「給付金を早期に」支払うため、審査簡素化の体制整備を進めると述べた。





8月下旬には国民の4割が接種完了を



ワクチン接種については、「戦略的スケジュール」で接種を進めた結果、「今月末には高齢者の8割近くが2回の接種を終える見通し」だと説明。その後は、次に重症化リスクが高い40~50代、あるいは感染が急拡大している若い世代への接種に注力し、8月下旬には接種完了者が全国民の4割を超えるよう全力を尽くすと表明した。



首相はさらに、5月に承認されていた英アストラゼネカ製ワクチンを公的接種に使うことにした30日の政府決定に触れ、「200万回分が確保できている」ため40代以上に提供していくと説明。加えて、「抗体カクテル療法」と呼ばれる新型コロナウイルス治療薬を提供していくこと、PCR検査や抗原検査について「身近で気楽に検査できる体制を整えていく」ことなどについて話した。



首相はその上で、「社会経済活動の制限緩和に向けた道筋を示していく」、「今回の宣言が最後となるよう全力で対策を講じていく」と、国民に理解を求めた。





「今は火事が燃え盛っている」



会見に同席した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「最も深刻な危機に直面している」、「今は火事が燃え盛っている状態」だと現状について厳しい認識を示した上で、「ワクチン接種率は伸びているので、今みんなでがんばれば社会経済活動を再会できる見通し」になり、今の局面を「乗り越えれば光が少しずつ見えてくる」と強調した。



さらに、緊急事態宣言などの行動制限は、「みんないやですよ」と認め、「国民の複雑な心情に寄り添った発信」の必要性を指摘した。



首相が触れた検査体制の強化については尾身会長も、昨年に比べて国内の検査能力が「圧倒的に増えている」とした。その上で、「ちょっとでも具合の悪い人、感染の心配のある人は、職場・学校・地域のどこでも気楽に検査できる体制」を構築してもらいたいと要望した。





効果のほどは







Reuters

東京では緊急事態宣言下でも新規陽性者が急増している






欧米など諸外国の多くは罰則の伴う法的な行動制限、営業制限など、いわゆる「ロックダウン」を繰り返してきた。一方、日本ではほとんどの行動制限が「要請」にとどまるため、緊急事態宣言の実効性について疑問が出ている。



官邸での記者会見で、「ロックダウン」を可能にする法整備を検討するか質問されると、菅首相は欧州などで罰金を伴うロックダウンをしても、感染者数はいったん「落ちてまた上がってきて、なかなか出口が見えなかったと思う」と述べ、「結果的には、(感染抑制の決め手は)やはりワクチンだったと思う。日本において『ロックダウン』という手法はなじまない」と見解を示した。



一方、BBCが話を聞いた日本の若者の中には、「緊急事態宣言に慣れすぎてしまって、外出を控えようという気持ちがなくなっている」と話す人もいた。



「政府が本当にウイルスの拡大を止めたいなら、私たちをロックダウンして経済的な支援をしないと」と言う人もいた。





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一方、東京都の小池百合子知事は27日、「ワクチンを若い人にも打ってほしい。若い人たちの行動がカギを握っている」と発言した。しかしこれに対しては、そもそも接種の予約ができないという不満が若者世代を中心に出ている。



日本政府によると、30日の時点で1回以上の接種を受けた人は38.4%、2回の接種を終えた人は27.6%。



一方、米疾病対策センター(CDC)によるとアメリカでは29日までに全人口の49.4%、18歳以上の60.3%がワクチン接種を終えている。イギリスでは28日までに、成人人口の88.4%が1回の接種、71.4%が2回の接種を終えている。





(英語記事 Covid-19 pandemic: Japan widens emergency over 'frightening' spike





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※2021.8.4 訳文を一部見直しました。