東京に4度目の緊急事態宣言 五輪は1都3県で無観客に (BBC NEWS JAPAN)

東京に4度目の緊急事態宣言 五輪は1都3県で無観客に (BBC NEWS JAPAN)









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東京に4度目の緊急事態宣言 五輪は1都3県で無観客に





2021年7月8日 更新 2021年7月9日







Reuters





日本政府は8日、新型コロナウイルスの感染対策のため、東京都に4度目の緊急事態宣言を出すと決め発表した。期間は12日から8月22日まで。これを受け、今月23日開幕の東京オリンピックは、都内と近隣3県では無観客で開催することを、関係5者が協議で決定した。



沖縄県に出されている緊急事態宣言も来月22日まで延長する。東京オリンピックは、すべての競技と式典が緊急事態宣言下で行われることになる。



8日夜に記者会見した菅義偉首相は、「ワクチンの接種が大幅に進展し、全国の多くの地域で新規感染者の減少が続いている」、「残念ながら首都圏では感染者数は明らかな増加に転じている。要因は人流の高止まりに加え、新たな変異株のデルタ株の影響だ」と説明。



「東京の感染拡大は全国に広がり得る。(中略)夏休みやお盆で、多くの人が地方に移動することが予想される。新型コロナとの闘いに区切りが見えてきた中で、東京を起点とする感染拡大は絶対に避けなければならない。先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を今ひとたび発出する判断をした」と述べた。







EPA

4回目の緊急事態宣言を発表する菅首相






また、ワクチン接種の効果がさらに明らかになり、病床の状況に改善が見られれば、前倒しで解除するとした。



現在、まん延防止等重点措置が適用されている埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県は、来月22日まで適用を延長する。一方、北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県は、今月11日で重点措置を解除する。



菅首相は会見で、緊急事態宣言が出される東京都と沖縄県では、飲食店での酒類の提供を一律に停止するとした。また、重点措置が出ている地域でも、酒類の提供は原則停止とし、地域の状況に応じて判断すると述べた。





五輪については



東京オリンピックが2週間後に迫る中、東京都では新型ウイルスの感染者が改めて増えている。8日は896人、前日の7日は920人だった。8日まで19日連続で、前の週の同じ曜日を上回っている。



感染がさらに拡大することを懸念し、東京オリンピックパラリンピックの延期や中止を求める声は、幅広い層から出ている。



菅首相は東京大会の開催について、「緊急事態宣言の中で異例の開催となる」と認めたうえで、「ウイルスの国内流入を徹底して防いでいく」と決意を述べた。



観客については、「緊急事態宣言となれば無観客も辞さないと言ってきた。このあとの5者協議で観客の取り扱いが決まる予定だ」と述べた。



また、「世界で40億人がテレビを通じて視聴するといわれるオリンピック・パラリンピックには、世界中の人々の心を1つにする力がある。新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が1つになれることを、そして人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信していきたい」と思いを語った。



そして、「今回の大会は多くの制約がありこれまでと異なるが、だからこそ安心安全な大会を成功させ、未来を生きる子供たちに夢と希望を与える歴史的な大会を実現したい」と話した。





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観客はどうなる



8日には、国際オリンピック委員会IOC)のトーマス・バッハ会長が来日した。同日夜、大会組織委員会、政府、東京都、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表の大会関係5者による協議にオンラインで臨んだ。



協議では、会場に観客を入れるのかどうかが話し合われた。



終了後、丸川珠代五輪相は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で開催される競技について、無観客で開催することが決まったと発表した。また、宮城、福島、静岡の3県で行われる競技は、会場の収容人数の50%か1万人のいずれか少ない方まで、観客を入れて実施すると述べた。







Reuters

5者協議の様子






大会組織委の橋本聖子会長は、「極めて限定された形を余儀なくされるのは大変残念。チケット購入者、地域の皆さんに大変申し訳ない」と、謝罪した。



東京オリンピックは7月23日~8月8日、パラリンピックは8月24日~9月5日の日程で開催が予定されている。





日本の感染状況



日本では4月に、感染の第4波が発生し、感染者が増加した。ただ、新型ウイルスの流行が始まってからの感染者数は比較的少なく、死者も1万4900人ほどとなっている。



7日の新規感染者数は2180人だった。うち920人は東京都で確認され、前の週の同じ曜日の714人から大きく増えた。1010人を記録した5月13日以来の多さとなった。







Photoshot

オリンピック開催に反対する国民は多い






日本のワクチン接種事業は展開が遅く、これまでに接種を完了した人は国民の約15%にとどまっている。デルタ変異株の脅威も高まっている。



東京都と大阪府では特に感染者が増えている。政府は7月末までに、65歳以上の高齢者のワクチン接種を完了させたい意向だ。



菅首相は8日の会見で、「全国の津々浦々で接種が進んでいる。今や世界で最もスピードのある接種が行われていると言われている」との見解を示した。



そのうえで、「一部の自治体などからはワクチンが足りないとの声が出ている」、「ワクチンの配分方法を見直し、配分量を早期に示すことで、接種が円滑に進むように努めていく」とした。



さらに、「9月までに希望するすべての国民に接種可能となる2億2000万回分が確保できている」と説明した。



日本は現在、イギリスを含む159カ国からの外国人の入国を禁止している







なぜ五輪は決行されるのか、BBC司会者が解説





国民はオリンピックを望んでいるのか



東京オリンピックパラリンピックに反対の人は多い。



先月下旬の朝日新聞の世論調査では、開催の「中止」か「再び延期」がよいと答えた人は計60%に上った。



朝日新聞は5月に社説で、中止すべきだと訴えた



予定されていたパブリックビューイングは中止され、企業は世論の反対を懸念して、オリンピック関連の広告を出すのをためらっている。





(英語記事 Tokyo put under state of emergency for Olympics