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南シナ海・東シナ海:北京とワシントンの間にはどのような戦争の危険が存在するか? (RFI)

南シナ海東シナ海:北京とワシントンの間にはどのような戦争の危険が存在するか? (RFI)









(Mers de Chine: quels risques de guerre entre Pékin et Washington?: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20210530-mers-de-chine-quels-risques-de-guerre-entre-p%C3%A9kin-et-washington





南シナ海東シナ海:北京とワシントンの間にはどのような戦争の危険が存在するか?





発表 2021 年5 月30 日 08:06  更新 2021 年5 月30 日 11:14







空母「USSロナルド・レーガン」が、米軍艦の集団と一緒に南シナ海を巡航する。2019年10月7日。AFP - ERWIN JACOB V. MICIANO





ジョリス・ジルベルマン






5月29 日土曜日、中国船の派遣に直面したフィリピンは、南シナ海における「存在と不法な活動」を改めて非難した。また、日本とEUは5月27日木曜日のオンライン首脳会談で「台湾海峡における平和と安定の維持」を呼び掛けた。南シナ海東シナ海では緊張が高まっており、その背後で中国と米国の間の紛争のリスクが高まっている。しかし、これらはどう評価すればいいのか?





2034年3月12日。南シナ海で米駆逐艦が数時間のうちに中国海軍により沈められ、米空軍の飛行士がイランの捕虜になった。何が起こったか?これは北京とテヘランの連携によるサイバー攻撃だ。米国の戦略的優位は粉砕された。ジェームズ・スタブリディス氏とエリオット・アッカーマン氏が昨年3月に発表した、『2034・次の世界大戦の物語』の書き出しの要点はこのようなものだ。「このシナリオは非常に可能性が高い」と、退役米海軍大将で元NATO連合軍司令官のスタブリディス氏は警告する。



そうすると、私たちはこれを信じるべきか?現実に戻ると、4月初め、誘導ミサイル駆逐艦USSマスティンが空母遼寧への「接近偵察」行動中に中国沿岸近くで「警告」を受けた。北京とワシントンの間では対話が行き詰まっている。ペンタゴンからの度重なる要求にも係わらず、中央軍事委員会副委員長・許其亮(Xu Qiliang)上将はロイド・オースティン米新国防長官との面会を拒否した。5月27日木曜日、中国国防省の譚克非(Tan Kefei)報道官は、ワシントンのインド太平洋戦略が「この地域を危険な斜面に引きずり込んでいる」と改めて主張した。



気候変動との闘いを除けば、中国と米国の間には何1つ良くなる動きはない。特に南シナ海東シナ海では緊張が高まっている。2つの大国は世界のこの地域で戦争を行う間際にあるのか?この恐怖は現実のものだ。監視すべき摩擦点をいくつか挙げたい。







南シナ海東シナ海における紛争。© RFI





台湾:米国の曖昧さ



2019年以降、中国は台湾海峡の上空と海上において圧力を大いに強めている。習近平氏と共産党は、この「反抗的な省」を消耗させて、または、必要ならば武力を行使することにより屈服させると誓った。習氏は、次の世代まで再統一を待たないだろう。





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しかし、「中国は台湾との戦争に確実に勝つ能力をまだ持っていない」と、モンテーニュ研究所アジアプログラム・ディレクターのマシュー・デュシャテル氏は言い切る。問題は、台湾海岸の水陸両用作戦で発生する途方もない人的コストだ。先ず、サイバー攻撃により島の防衛の無力化と空域管制の乗っ取りを行い、その後、司令センター・空軍基地・港湾を破壊し、その次の段階として確実な上陸を実施する。しかし、この作戦の結果はまだ不確実だ。北京には統御できていない大きな要因が存在する―米国の反応だ。



マシュー・デュシャテル氏は続ける。「最も可能性の高いシナリオは、危機を10年間に2~3度起こして中国をこの目標へと徐々に導くことだ。中国は危機を起こす度に利益を受けることになる。北京には、台湾と米国の抵抗する決意を試すことが重要だ。」



ジョー・バイデン氏の米国は何をするつもりか? 1979 年の法律・台湾関係法により、彼らは「一つの中国の原則」を受け入れながらも、北京の侵略から身を守るための物資を台北に届ける義務を負う。しかし、中国が侵攻した場合、米国は台湾の救援に飛んで行くか?米国は相変わらず曖昧だ。何しろ、体系化された「戦略的曖昧」政策を取っているのだ。



ジョー・バイデン氏は台湾政策においてドナルド・トランプ氏との分断はなく、彼もまた蔡英文総統と握手するために高位の特使を派遣している。4月、彼は台湾高官とのハイレベルな接触に対する制限を更に解除した。彼は G7の場で「中国による台湾への脅迫」を非難することさえあった。ジョー・バイデン氏は自身の台湾政策を明確にしようとしているのか?



これは、ワシントンの複数の高級軍人が3ヵ月前から要求していたことだ。3月9日、米インド太平洋軍の元司令官フィリップ・デービッドソン海軍大将は、上院で警告を発した。中国は、「今から6年後には」台湾を支配できるように、その島の「侵略を準備していることを示すシステム・能力・態勢を開発している。」ジェームズ・スタブリディス退役海軍大将にとって、戦略的曖昧さは「中国(または台湾)側の判断を誤らせ、更に大きな紛争を引き起こす可能性がある。」



これはバイデン政権の意見ではない。特にアブリル・ヘインズ国家情報長官は、戦略的曖昧さの放棄は「中国の安定を極度に損ねる」との立場を取る。「中国側はこれにより、米国が軍事力を含めた自国の台頭を阻止する決意をしたとの考えを固めたようだ。これにより、北京が世界各地で米国の国益を妨げるようになることは間違いないだろう。」台北の視点から見ると、米国が立場を明確にすれば台湾側は正式な独立宣言への期待を更に高める可能性があるが、これは北京にとって絶対的な開戦理由になると、アブリル・ヘインズ氏は付け加える。





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戦略研究財団の研究者アントワーヌ・ボンダーズ氏によると、「台湾の場合、安保面の保証は暗黙のうちに行われる。」この立場は5月初めに、ホワイトハウスのインド太平洋政策調整官カート・キャンベル氏が確認したものだ。彼の目には、ワシントンと北京は同じ見解を持っている―この島をめぐる現状をある程度維持することは、この2大国の国益に適う。





南シナ海:フィリピンという要因



南シナ海は、米州大陸の半分に相当する非常に大きな海域だ。この海は魚・石油プラットフォーム・コンテナ船に満ちている。この海は世界の海上貿易の 3 分の 1 を受け入れている。この海域の80%を超える面積で、北京は「歴史的な」主権を主張している。ベトナム・フィリピン・マレーシア・ブルネイインドネシアなど、ここに島を持つ他の国にとってこれは受け入れられない。2月初め、中国は海上警察についての新しい法律を公布した。同国は、主権を主張する水域における「重大な暴力事件」に対応するために沿岸警備隊に「重火器」を装備させることにした。冷や汗の出る話だ。





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なぜなら、あらゆる国籍の軍艦がこの海域を絶えず行き来しているからだ。特に、米艦隊はここで「航行の自由」作戦を実施している。ワシントンは、この戦略的水域の支配が北京に委ねられることを拒否している。紛争のリスクは遍在している。2001年には中国の戦闘機と米偵察機が衝突し、中国側の操縦士1人が死亡した。2018年、米空母USSディケーターと中国の駆逐艦・蘭州が 41 メートルの距離まで接近し衝突を免れた。



北京とワシントンの間にこのようなリスクが存在することは「間違っている」と、現代東南アジア研究所(IRASEC)の研究者フランソワ=グザヴィエ・ボネ氏は指摘する。「米国船が中国のレーダー照射を受けたことを認識し、この照射の直後にミサイルが発射された場合、米国はこれに対して報復攻撃を行う可能性がある。局所的な戦争がエスカレートする可能性がある。」



米国にとっての別のリスクは、中国と、その主権の主張に異議を唱える地域の同盟国の1つとの間の対立に巻き込まれることだ。特にフィリピン。マニラの申し立てを受け、ハーグの国際仲裁裁判所は2016年7月、南シナ海における「歴史的権利」についての北京の主張には法的根拠がないと宣言した。中国の投資をこの列島に引き込みたいと考えている現在の比大統領は、この「紙切れ」は「ゴミ箱に捨てる」のが良いと軽蔑して捨てたのは確かだ。しかし、フィリピンの軍は歴史的に米国との結び付きが強く、国は領土の保全を重視している。





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この数週間、西フィリピン海沖の無人の小諸島が話題に上った。牛軛礁だ。200隻近くの中国トロール漁船がこのサンゴ礁に錨を降ろした。この種の船隊は、今では本当の海上民兵と行動を共にしている。彼らの役割は、中国海軍の前哨を務めることだ。



しかし、牛軛礁は非常に重要だ。それは、水没した環礁・ユニオン堆の北東部に位置し、「構造的に南シナ海で最も重要なサンゴ礁」だとフランソワ=グザヴィエ・ボネ氏は説明する。中国はここで2つのサンゴ礁を占拠しており、牛軛礁を支配した場合には米グアム島への到達能力を持つ爆撃機の使える大規模な海軍基地を建設できる。



また、米国は中国空軍の既存の基地にも非常に心配している。北京は、南沙諸島のファイアリー・クロス礁に3,000mの滑走路を建設し、その拡張を準備している。既にここから、給油機を伴った中国爆撃機が豪海岸に到達可能だ。「スカボロー、ファイアリー・クロス、ユニオン堆、ミスチーフ、これらの諸島を全て繋ぐことにより、北京は航空、海軍、更には潜水艦の面で南シナ海を支配できるだろう」と、フランソワ=グザヴィエ・ボネ氏は総括する。



全体像を理解するには海の深さを見る必要があると、アントワーヌ・ボンダーズ氏は強調する。「南シナ海は中国周縁では唯一深さが大きく、潜水艦を希釈できる海だ。これは中国の核抑止力にとって非常に重要だ。現時点では、中国のSNLE[戦略ミサイル原子力潜水艦:編集者注]は米国西海岸に到達できない。しかし、中国は複雑な不安を抱えている。同国は、日本から出発し台湾・フィリピン・豪州に向かう「J」カーブによる米国の同盟体制に包囲されているように感じている。そのため、この包囲を打破し、台湾を回収し、更に南シナ海を聖域化することが中国には必要だ。」



中国の戦略的能力の向上に直面して、ワシントンは地域の全ての同盟国を当てにしなければならない。ここで、ロドリゴ・ドゥテルテ氏のフィリピンが不安定要因であることが明らかになる。この短気な比大統領は、1999年に発効した訪問軍協定 (VFA) を破棄すると脅迫している。「この協定により、米軍はフィリピンに常駐しなくてもアフガニスタンから撤退する際に同国内の基地を容易に使用できる」と、フランソワ=グザヴィエ・ボネ氏は説明する。「そのため、台湾で紛争が発生した場合、米国はこの区域で深刻な打撃を受ける可能性がある。」甘んじて譲歩するつもりで、米国は協定の再交渉を提案した。しかし、ドゥテルテ氏は固執する。北京を挑発し、中国によるフィリピン北部侵攻という危険を冒すなど彼には論外だ。蛇が自分の尻尾に噛み付いているのだ。





東シナ海:グレーゾーン



ほんの数年前、東シナ海における中国と日本の緊張は新たな大規模な紛争に突入する恐れがあった。2012年、日本政府は、沖縄から 600 キロ離れた尖閣諸島―北京は釣魚と名付け主権を主張している―を購入した。石油・ガス類と魚類が豊富なこれらの無人島は、それ以前は日本の一家族が所有していた。当局は島々の所有権を得ることにより、国家主義者の石原慎太郎東京都知事がそれらを購入して北京との関係を悪化させるのを阻止したいと考えた。しかし、この「国有化」はそれでも中国人の怒りを呼んだ。この時から区域内への中国船の侵入が増加し小競り合いを招いているが、幸いなことに結果は出ていない。侵入のピークは 2013年に達した。数こそ明らかに減っているが、これは現在も続いている。



紛争が発生した場合、米国はどう反応するだろうか?ここでは、この水域の他の場所よりも事態は明瞭だ。米国は、これらの係争中の島々を日本固有の領土として認識している。中国が侵攻した場合には日米相互防衛条約が自動的に発動されるだろう。



このため、マシュー・デュシャテル氏の考えでは、「今日、中国と米国の間で紛争の危険が最も低いのは東シナ海だ。尖閣/釣魚諸島の12海里への中国の侵入は『グレーゾーン上での挑戦』であり、中国の海軍でなく海警が行っているためその真意を理解することは難しいが、日本の抑止力は信頼できる。抑止力についての日本の姿勢は、尖閣の問題で明示的に適用されているように、米国が日本の安全を明確に保証することで強化されている。中国の海軍・空軍が宮古海峡を通過する問題は、特に現段階では中日の2国間問題のレベルだ。」



このモンテーニュ研究所の研究者によると、「東シナ海の事例を南シナ海と比べると、力のバランスが明らかに不利な場合には中国が敢えて前進を控えることを明確に示している。日米同盟の場合にもこれは当てはまる。」





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中国 台湾 フィリピン 米国 ジョー・バイデン 習近平 日本 欧州連合











(投稿者より)



"Mers de Chine" 「南シナ海東シナ海」としました。「中国の海」と言ってもピンとこないでしょうから。



"Région très étendue, la mer de Chine du Sud équivaut à la moitié du continent américain. " 「南シナ海は、米州大陸の半分に相当する非常に大きな海域だ。」 実際は、南シナ海は380万平方キロ、対して北米大陸は2400万平方キロ、南米大陸は1800万平方キロです。訳は原文通りです。



"Le serpent se mord la queue." 「蛇が自分の尻尾に噛み付いているのだ。」この比喩の意味が分かりません。尻尾に噛み付いたまま前に進もうとしても堂々巡りを続けるだけです。ただ、独立戦争の時の米国の国旗は蛇のデザインでした。



"le traité de défense mutuelle nippo-américain"「日米相互防衛条約」、これも原文通りです。この同盟を双務的なものと見ているのでしょう。トランプ政権は米国の若者を戦場から国内に戻すことを最大の政策課題としました。米国は氏の下で、商人の金儲けのために米国の若者の生命を消費するというビジネスモデルを既に捨てています。その米国が、なおも尖閣は安保条約の適用範囲に含まれると言っています。



その代わりに、ということかも知れませんが、先日、トランプ政権で安保政策を担当した方が、台湾有事の際に日本の関与を促すとも受け取られる発言を行っています。一国平和主義が既に成り立たない時期に入っているのかも知れません。