米ファウチ博士、新型ウイルスめぐるメールが「誤解されている」 ホワイトハウスも擁護 (BBC NEWS JAPAN)
https://www.bbc.com/japanese/57353794
米ファウチ博士、新型ウイルスめぐるメールが「誤解されている」 ホワイトハウスも擁護
2021年6月4日
EPA
アンソニー・ファウチ博士
アメリカの感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は3日、新型コロナウイルスの研究所流出説にまつわる自身の電子メールが、文脈を外れて報道されていると述べた。米当局は今週、ファウチ博士のパンデミックに関する電子メールを開示要請に則って公開した。
これについてホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、ファウチ博士はアメリカの新型ウイルス対応にとって「疑いようのない重要人物だ」と擁護。「大統領と政府は、ファウチ博士がパンデミック抑制において素晴らしい役目を果たしていると感じている」と述べた。
米国立衛生研究所(NIH)の感染症専門家らも、ファウチ氏のメールの内容は、100年に一度のパンデミック初期に対応する献身的な公務員であることしか示していないとしている。
一方で保守層からは、ファウチ博士が研究所からのウイルス流出を隠し立てしたのではないかといった見方や、連邦議会で偽証したのではないかとの指摘が出ている。
新型ウイルスが研究所などから流出した証拠はない。しかしジョー・バイデン米大統領は、この疑惑について追加調査を指示している。
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NIHは2014~2019年、ニューヨークの非営利団体「エコヘルス・アライアンス」を通じ、中国・武漢ウイルス研究所にコウモリのコロナウイルス研究費として60万ドル(約6600万円)の補助金を出していた。
エコヘルス・アライアンスのピーター・ダスザク氏は2020年4月、ファウチ氏が研究所漏えい説を否定したことを「勇敢」だと称賛するメールを送った。
これに対しファウチ氏は、「優しい言葉をありがとうございます」と返信している。
また、今年5月12日の議会でファウチ博士は、アメリカがウイルスの機能獲得実験のために武漢の研究所に補助金を出したことはないと証言した。
一方で、武漢の科学者がNIHの補助金を機能獲得実験に使わなかったと断言できる理由は何かとの質問には、「分かりません」と答えたものの、中国の科学者は「信頼できる」と思うと述べた。
「でたらめだ」
ファウチ博士は3日、CNNの番組に出演し、武漢での研究を支援する団体のトップと自分の間でメールのやり取りがあることは全く意外ではないと語った。
また、このメールから武漢研究所内の人物と自分との間に馴れ合いがあったと推測するのは「でたらめだ」と述べた。
「どのようにでも解釈はできるだろう。このメールは、この人物が私が言ったと思ったことについて『ありがとう』と言ったもので、その私の発言とは、ウイルスが種を超えて感染した可能性が高いと思うというものだ。私は今でもそう考えているし、同時に研究所からの流出説についても聞く耳を持っている」
その上で、「中国人が故意に何かを改変し、自分たちや周りの人を殺せるものを作ったという考えは、私は現実的ではないこじつけだと思う」と話した。
これに対し、ドナルド・トランプ前大統領は声明で、「ファウチ博士は機能獲得実験について何を知っているのか? いつそれを知ったのか?」と疑問を投げかけた。
また、「中国はアメリカや世界に対し、死や破壊の代償に十兆ドルを支払うべきだ!」と述べた。
トランプ氏は任期中、研究所流出説を示唆していた。
下院のスティーヴ・スカリス院内総務補(共和党)も書簡で、「アメリカ政府による研究補助が新種のウイルス開発に寄与したかもしれない件」について、ファウチ氏を議会に召喚するべきだと述べている。
(英語記事 White House defends Dr Fauci over lab leak emails)
―参考―
※ 2021.6.6 リンク先を追加しました。