日本の入管法改正、今国会は断念 収容対応への批判受け (BBC NEWS JAPAN)

日本の入管法改正、今国会は断念 収容対応への批判受け (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/57181456





日本の入管法改正、今国会は断念 収容対応への批判受け





2021年5月20日







Reuters

日本の入国管理センターは厳格なことで知られる






日本政府・与党は18日、外国人の収容や送還のルールを見直す出入国管理法改正案について、今国会での成立を断念した。名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性が3月に死亡した事案をめぐり与野党協議が決裂したほか、入管行政に対する世論の反発が高まっていた。



出入国管理法改正案は、難民認定申請が却下された外国人の長期収容が問題となる中、そうした外国人の本国送還を容易にし、入管当局の権限を強化するためのものだった。



日本はほかの先進国と比べて、難民申請者を受け入れる割合が極めて低い。



現在の入管法では、難民認定手続き中の外国人は、申請の回数や理由等を問わず、重大犯罪を犯した者やテロリスト等であっても日本から退去させることができない(送還停止効)。



改正案は、3回目以降の申請の正当性が認められない限り、送還停止の適用は2回の申請までに制限されるとしていた。



日本政府は、改正案は難民の長期収容に対処するためのものだと説明しているが、活動家や弁護士らは国際的な規範に反するものだと指摘している。



国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は改定案の一部を評価した一方で、「非常に深刻な懸念」を覚える部分もあるとした。





収容中に死亡



名古屋出入国在留管理局の施設では3月中旬、スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が死亡した。難民申請者ではなく、不法滞在で収容されていた。彼女の死亡事案をきっかけに、日本の移民の扱いが浮き彫りとなった。



日本メディアによると、彼女は昨年8月に家庭内暴力被害を訴え警察に出向いたが、不法滞在容疑で逮捕された。その後、名古屋入管に収容され、1月下旬から体調が悪化した。



活動家たちはこの事案を取り上げ、日本の移民収容施設の現状について警鐘を鳴らした。



日本では厳格な規定により、申請者のうち難民として認定される人は年間1%未満。受け入れ率が30~40%以上のアメリカや欧州諸国などの先進国と比べて極めて低い。



日本では新型コロナウイルスの感染流行に対する対応の遅れをめぐり、内閣支持率がすでに低下している。こうした中で、国民から改正案に対する激しい反発が起きた。



複数の世論調査から、菅義偉首相が苦しい立場に置かれていることがうかがえる。10月には衆議院議員総選挙を控えている。





(英語記事 Japan pulls controversial asylum bill amid debate