フランスは太平洋の軍事演習で日米に加わる (RFI English)

フランスは太平洋の軍事演習で日米に加わる (RFI English)









(France joins Japan and the US in military exercises in the Pacific: RFI English)

https://www.rfi.fr/en/international/20210511-france-joins-japan-and-the-us-in-military-exercises-in-the-pacific





フランスは太平洋の軍事演習で日米に加わる





発表 2021年5月11日15:29







強襲揚陸艦「トネール」は、2021年5月11日から17日まで、日本で日米海兵隊との合同演習に参加する。© Ministry of Armed Forces 2017 - 2021





ヤン・ヴァン・デル・マーデ






火曜日、フランス・日本・米国の軍部隊は、地域における中国の自己主張の増大と、中国本土軍による台湾侵攻の可能性への懸念により強化された同盟関係を一層強めるために、日本南西部で初の合同軍事演習を開始した。





アーク21との暗号名が付けられたこの演習は、日本・南九州の半島部にある霧島演習場で実施中だ。日本防衛省声明によると、日本の陸上自衛隊GSDF)の部隊に米第3海兵師団の軍人が加わる。フランス軍は、ヘリ空母トネールとフリゲートシュルクーフの2隻の船を送った。



日経アジアは、この訓練は「日米仏の軍部隊が日本で合同野外演習を実施する初の機会」だと述べる



ジャン=マシュー・レイ少将は4月13日付ディプロマット誌とのインタビューで、インド太平洋地域におけるフランスの戦争遂行能力の「定期的な存在を確保」することや、「地域におけるパートナーシップの強化」が、フランスが演習に参加する目的だと述べる。











これ自体は新しいことではないと、元国防相のアラン・リシャール社会党上院議員RFIに語った。「私たちはこの地域の貢献者と見なされることに慣れてきた」と、彼は述べる。





中国の侵略行為



ただし、最近の展開により変数が変わった。



「この地域における政治的目標のいくつかを達成するために力を行使することについての中国政府への国民の強い期待」や、「南シナ海の様々な島や岩の運命をめぐる近隣諸国との対立」の増大、更に「台湾をめぐる二極化」により、中国の近隣諸国・EU・米国の間に懸念が高まっていると、リシャール氏は述べる。



中国当局の行動の変化は、自分たち自身のイニシアチブにより自分たちへの信頼を破壊している」と、彼は述べる。



フランス国防省の「戦略アップデート2021」は、「中華人民共和国は…、2012年より国防予算を倍増して世界第2位の規模となり、その一方で核兵器を増備しながら戦力投射の面で新たな野心を示している」と、警告する。





戦略アップデート2021





読む:パンデミックを余所に世界の軍事費は2兆ドルに上昇





フランスの『2019年インド太平洋における防衛戦略』は、「米国と中国の世界的な戦略的競争」が「勢力均衡の再定義」を目的とするために、米国の国益との「より直接的な」衝突を生む恐れがあることを強調している。





フランスの2019年インド太平洋における防衛戦略





これを心配して、ワシントンはその民主的な同盟国を世界的な反中国連合に集めているようだ。2007年、安倍晋三・日本首相(当時)が提唱した4ヵ国対話(「クアッド」)に、米国は喜んで参加した。



また、クアッドの加盟国にはインドと豪州が含まれている。この構造は中国から強く批判され、2年後に崩壊したが、2017年に東南アジア諸国連合Asean)の会議中に刷新された。この着想の中心は、アジアの大部分・アフリカ・東ヨーロッパに亘る1兆ドルのインフラ事業である中国の一帯一路構想に対するバッファーの形成だ。





アジア版NATOか?



フランスは、クアッド諸国が主催した軍事演習のいくつかに喜んで参加した。 4月、トネールとシュルクーフは―日本に向かう途中―インドの都市コーチに寄港した。その後、2隻の軍艦はベンガル湾まで航行し、フランスが主導しインド・豪州・日本・米国からの艦艇が加わった、合同海軍演習ラ・ペルーズに参加した。





読む:フランスは太平洋における中国の裏庭でインド・米国と手を組む[投稿者の和訳





フランスは現在、インド太平洋地域に7,000人の防衛要員・15隻の軍艦・38機の航空機を配備する。彼らの「主な使命はフランス領の防護だ」とレイ少将は述べるが、マヨット・レユニオン・ニューカレドニアフランス領ポリネシアの島々に合わせて約160万人のフランス国民がいる。







フランスはインド太平洋地域に約7,000人の部隊を配備する。© France Ministry of Defence 2019





しかし、「クアッド+フランス」が「アジア版NATO」に変わるのではないかと先頃心配していた、セルゲイ・ラブロフ露外相の何度かの警告を余所に、この緩い同盟は大西洋横断パートナーシップと雲泥の差があると、リシャール氏は述べる。「正式な同盟関係は何も見当たらない」と彼は主張するが、NATOでさえ長い時間を掛け、「米国の政府・議会内部の非常に激しい議論」を経てやっと成立し、米国がこの同盟に関与することが「非常に多くの意味を持つようになった」のは、その後だったと指摘する。





中国の演習



非公式か否かに因らず、クアッドやその軍事作戦へのフランスの参加は中国の怒りを呼んだ。



当初、北京はこの緩い同盟をあざ笑い、フランスの参加を「宣伝のための演技」と表現した。しかし、アーク21水陸両用演習前日の 5月10日、中国の強硬な環球時報中国人民解放軍の参加する「合同海上着陸訓練」を報じた。これが、「中国本土による台湾への大規模な共同水陸両用上陸作戦は実施不可能と信じる、台湾や余所の人々への反駁」を目的としていたことは明らかだ。



記事は、これが「力による統一作戦が可能と北京の批評家たちが考えない理由の1つ」だと付け加える。





台湾侵攻?



大きな問題は、台湾侵攻があった場合、米国とその同盟国は中国に対して立ち上がることを厭わないかだ。



リシャール氏によれば、米国の「台湾関係法(TRA)」は半独立国家としての台湾の現状を保証するのに最早十分でない。



TRAは1979年に制定されたが、米国は当時、北京を正式に承認しつつも、定期的な武器販売と米第7艦隊による巡回を通じて台湾を保護を続けたいと考えていた。



2020年3月の全国人民代表大会で、中国の李克強首相は年次活動報告を発表し、標準的な常套句である「台湾との平和的統一」から「平和的」という言葉を削除した。この省略の意味を察して多くの人は衝撃を受けた



「中国は過去15年から20年に亘り軍事力の開発を続けてきた」とリシャール氏は述べる。「国は豊かになると、深刻な危機的状況になくても軍を強化する」。



「しかし、彼らは隣国に対し力を行使したいとの明白な意欲のために危機を生み出しつつある」と、リシャール氏は述べる。



もし米国がぐずぐずと傍観することがある場合、ワシントンは「軍事侵略に直面しつつも軍事的な反応を拒否するなら、重大な代償を払う」だろう。それは「世界中のどこでも、同盟国としての米国の信頼が深刻な迄に弱まるかも知れない」と、元フランス国防相は締め括った。





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―参考―







※ 2021.5.20 リンクを追加しました。

※ 2021.6.19 リンクを追加しました。