「米国外交団が初の外遊、アジア太平洋に」(RFIの記事)

「米国外交団が初の外遊、アジア太平洋に」(RFIの記事)









(Asie-Pacifique, premier déplacement à l'étranger de la diplomatie américaine: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20210315-asie-pacifique-premier-d%C3%A9placement-%C3%A0-l-%C3%A9tranger-de-la-diplomatie-am%C3%A9ricaine





米国外交団が初の外遊、アジア太平洋に





発表 2021年3月15日 06:59







アントニー・ブリンケン国務長官(説明写真)。この最初の旅行の目的は、米国と中国に対峙するアジアのパートナー諸国との関係を強化することだ。REUTERS - CARLOS BARRIA





RFI






3月15日月曜日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が彼らの初外遊の最初の訪問地・東京に到着した。外遊の目的は、米国と中国に対峙するアジアのパートナー諸国との関係を強化することだ。





別々に移動中のアントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン国防長官は、3月16日火曜日に先ずは日本の外務・防衛閣僚と、そして、来月ワシントンでジョー・バイデン大統領と会う予定の菅義偉首相と会談する。



ブリンケン氏とオースティン氏はその後、3月17日水曜日に韓国を訪問する予定となっていた。その後、ブリンケン氏は木曜日にジョー・バイデン氏の選出以来初めて中国外交のトップたちとアラスカで会合を持ち、一方、ペンタゴンのトップは週末にインドを訪問する。





土台を作り直す



パンデミックのためこれは仕方ないが、いつもならホワイトハウスの新たな住人が到着した後に急ピッチで進められる初外遊の開始を、バイデン政権は意図的に遅らせていた。しかし、米国の新指導者は既に、トランプ時代の混乱にケリを付けて世界の他の地域、特にその伝統的な諸同盟国との関係を再構築したいと、はっきりと主張した。



今回の目標は「米国の友好国やパートナー国との関係を活性化すること」だと、月曜日にワシントン・ポスト紙に掲載された寄稿文の中で、ブリンケン・オースティン両氏は強調した。「中国からの攻撃や脅威を撃退する必要がある時には、私たちの連合軍は私たちをより強力にする」と、彼らは付け加えた。



2国間サミットの際、米国の2閣僚は東京で日本側の同職者たちと会談を行った。そこでは、中国と北朝鮮が主な議題となった。



しかし、新しい米大統領の人柄と政策は東京の住民たちには別のものだ。世論調査の結果によれば、ドナルド・トランプ氏の4年間は日本の安倍晋三元首相に非常に近かったにも係わらず、日本国民の大部分はドナルド・トランプ氏のことを残念に思っていない。これは東京都民の次のコメントにも示されていると、RFI東京特約記者ブルーノ・デュバルは指摘する。



「私は海外に住んでいたことがあり、世界に対して自分を開いていると感じているので、米国を第1に考えるという『アメリカ・ファースト』というトランプ氏の決め台詞が好きでなかった。これは要するに、米国は国内に引き籠もるということだ。」と、この日本人を自分の考えを述べる。「バイデン氏は人々の話を聞く。一方、トランプ氏には自分自身の自己陶酔的な考えだけだった。これは進歩だ! 」、と別の東京都民は考えている。



「トランプ氏は全く予測不可能で、ストレスを感じる程だった。バイデン氏はトランプ氏より安定しているようだ。日本にとってはバイデン氏の方が良い」と3人目の日本人は続ける。





中国に「責任」



「私たちは共に、中国が新疆とチベットで人権を侵害したり、香港の自治権を組織的に侵害したり、台湾の民主主義を弱体化させたり、国際条約に違反して南シナ海の水域に対する主権を主張したりした場合には、中国に責任を取らせる。」「私たちが断固たる行動を取らなかった先手を打たなかったりした場合、北京がそれを行うだろう」と、彼らは寄稿文の中でも断言した。



中国で釣魚島と呼ばれる無人島・尖閣諸島をめぐる日中の緊張は、東京での「討論の重要な部分」になるだろう。「なぜなら、私たちは日本の安全保障に関与しているからだ」と、月曜日、ペンタゴンのある高官がオースティン氏のアジア訪問に同行する記者たちに打ち明けた。



これらの小諸島は日本が統治しているが、北京は島々の主権を主張してこの水域における力の示威を強めている。



世論調査によると、これについては多くの日本国民がバイデン政権の外交政策に疑念を抱いている。また、一部の人々は彼が中国に対して断固とした姿勢を取らないかも知れないと心配している。



「トランプ氏は感染症対策で失敗したが、少なくとも中国には毅然とした態度を取っていた。さらに、彼は金正恩氏に会うことにより北朝鮮の問題を解決しようとした」と、ブルーノ・デュバルがインタビューをしたあるサラリーマンが意見を述べる。「ある日、日本が中国と大きな軍事問題を抱えた場合、バイデン氏はトランプ氏のように私たちを助けに飛んで来るだろうか?それはまだ分からない」と、別の日本人は考える。



ジョー・バイデン氏は恐らく、来月ホワイトハウスに迎えられる最初の外国人指導者になる菅義偉・日本首相にこの点を保証するだろう。





「私たちの競争上の優位性は失われた」



インド太平洋地域に展開する米軍の司令部となっているハワイで、オースティン氏は土曜日にマスコミに対し、ブリンケン氏と彼は先ず、地域の諸同盟国の考え方について「聞き、学び、理解する」つもりだと説明した。



「私たちの目的は、中国や米国を攻撃したい全ての勢力に対して信頼できる抑止力を配備できる能力・計画・運用概念を確認することだ」と、彼は付け加えた。軍事面では、軍備の近代化を急ぐ中国に対して「私たちの競争上の優位性は失われた。それでも、私たちには優位な点があり、これを強化するつもりだ。」





►これも読む:クアッド・オンライン首脳会談:日本は中国との関係を振り返る[投稿者の和訳





米国 日本 韓国 中国 インド 外交







―参考―

Opinion: America's partnerships are 'force multipliers' in the world (Washington Post)[2021.3.14]











(En tournée en Asie, l'administration Biden cherche à créer un front uni face à la Chine: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20210315-en-tourn%C3%A9e-en-asie-l-administration-biden-cherche-%C3%A0-cr%C3%A9er-un-front-uni-face-%C3%A0-la-chine





アジア訪問により、バイデン政権は中国に対する統一戦線を作ろうとしている





発表 2021年3月15日 23:41







東京に到着したロイド・オースティン米国防長官、2021年3月15日。AFP - SYLVIE LANTEAUME





RFI






3月16日火曜日、アントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン国務長官は日本の同職者たちと会う予定だ。米国の外交・防衛の各閣僚はアジア訪問で、混乱を極めたドナルド・トランプ氏の外交の後に諸同盟国との関係を結び直すだけでなく、2閣僚が社説で書いたように中国の脅威に立ち向かうことを望んでいる。





報告 RFIワシントン特約記者、アンヌ・コルペ





アントニー・ブリンケン氏とロイド・オースティン氏は、東京に到着した日[投稿者の和訳ワシントン・ポスト紙に掲載された寄稿文に、「中国からの攻撃や脅威を撃退する必要がある時には、私たちの連合軍は私たちをより強力にする」と書いている。



「私たちは共に、中国が人権を侵害したり、南シナ海で海上の権利を主張したりした場合には、中国にツケを払わせる。」と、両大臣は文章を締め括る前に述べている。「私たちが断固たる行動を取らなかった先手を打たなかったりした場合、北京がそれを行うだろう。」



このように、トランプ時代に無視された、と言うより、傷つけられた諸同盟国との関係を結び直したいとの新政権の意欲の背後には、北京に対する共同戦線を組織したいとの明確な強い意向が存在する。



この地域における中国の影響力を封じ込めることは、既に先週、豪州・日本・インド・米国が結集したオンライン首脳会談の際[投稿者の和訳に議題になった。





►これも読む:米国外交団がアジア太平洋に初の外遊[投稿者の和訳





米国 外交 日本 韓国 中国 ジョー・バイデン











(Chine, Japon, Corée, Inde... l'Asie, priorité de la diplomatie américaine: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/am%C3%A9riques/20210316-chine-japon-cor%C3%A9e-inde-l-asie-priorit%C3%A9-de-la-diplomatie-am%C3%A9ricaine





中国・日本・韓国・インド…アジア、アメリカ外交の優先地域





発表 2021年3月16日 09:14







東京でアントニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン国防長官が日本の茂木敏充外相の横にいる、2021年3月16日。REUTERS - KIM KYUNG-HOON





RFI






米外交のトップ、アントニー・ブリンケン氏は、ロイド・オースティン国防相と共にアジア訪問の最初の訪問地・日本に滞在中だ。この後、2人は韓国に行く。その後、ロイド・オースティン氏はインドを訪問する予定だ。アンソニー・ブリンケン氏は、アラスカで中国外交団に会うことになっている。





トランプ政権ではこの地域のことは特に予測不可能だった。日本・韓国の両方が、同盟国・米国が自国の国土に米軍軍人を置くことに対してさらに多額のお金を払うように求めたとき、そのの軍事的保護を引き続き享受するかどうかを自問したことが思い出される。 「米国がアジアを今回の最初の外遊先に選んだのは、諸同盟国を安心させるためだ」と、戦略研究財団アジア研究主任のヴァレリー・ニケ氏は分析する。中国に対峙する彼らを安心させることについて、今年は中国共産党結党100周年のため、「準備は万端だ。中国は極めて強力な大国であり、自己主張の手段を持っていると、中国の指導者は思っているようだ。中国が軍事的冒険に乗り出した場合にそれを思い止まらせたり、北京が取ることになるリスクを認識させたりする明確なシグナルが出されない場合には、制御不可能な真のリスクが発生する」と、この専門家は考える。しかし、彼女は、米国の同盟国の側では、期待はやや両義的だと指摘する。「彼らは米国に対し、中国について深い関与と決然たる姿勢を望んでいる。それでも、別の面では彼らは貿易紛争を望んでおらず、ビジネスが出来ることや緊張の過度な高まりがないことを望んでいる。」





経済と技術



今回はタイミングが良い。米国は中国に立ち向かうための軍事防衛を議題にすることに加えて、この訪問の際に経済と技術についても話をしたいと思っている。「バイデン政権が好んで言及するように、今日、中国との『戦争』は、敵との闘いでなく戦略的競争相手との闘いであるため、それは技術の面で行われる」と、エコール・ミリテール戦略研究所のモー・ケサール氏は指摘する。このために、米国は「アジアのハイテク大国、つまり、韓国と日本」に更に近づく必要がある。ただ、「技術同盟が話題になるとき、それは必ずしも米国の連邦国家についてではなく、寧ろこれらの国々と非公式の同盟関係を結ぶことができる大規模な多国籍企業についてだ。」さらに、この研究者は、先週金曜日のクアッド(米・日・豪・印の指導者による安全保障対話)の際に、「世界のこの地域にワクチンを発送する際の意思疎通についても問題が提起された」ことを強調した。衛生危機に立ち向かうために、モー・ケサール氏はここに「新しい形の同盟を創設することにより大国・中国と競争する」別の方法を見ている。





人権と経済



アントニー・ブリンケン氏は既に木曜日に、中国外交団と人権(香港の状況やウイグル人の状況など)と「自由で開かれたインド太平洋の空間」における交通について「率直」に話し合う予定だ。しかし、中国も経済とハイテク技術について米国と話をしたいと考えている。このように、北京はワシントンに対し、「貿易の分野だけでなく、技術移転の分野で北京を酷く苦しめた」ドナルド・トランプ氏の取った措置を取り消すよう求めていると、ヴァレリー・ニケは説明する。なぜなら、「イノベーション超大国というレトリックの裏で、中国は今日でも技術面で国外のパートナー、特に大国・米国に極度に依存していたのは明らかだ」。しかし、これが後戻りすることはないだろうと、この研究者は考える。さらに、米国にとってこの会談は最初の接触であり、ワシントンはそれが「それほど重要ではない」と主張している。





自国の野心を達成するための手段を持っている



しかし、アジアにおいて軍事的・経済的プレゼンスを持つ中国に立ち向かうという米国の意志にはコストが掛かる。そして、モー・ケサール氏によれば、パンデミックに関連して自国を苦しめた経済危機と世界の他地域への軍事的な投資のために、米国は寧ろ悪い状態にあり「失血」状態でさえある。したがって、米国は「同盟のゲームに賢く参加する」必要があると、この研究者は考える。「トランプ政権はそうでなかったが、民主政権の利点は恐らく、一定数の経験豊かな男性と女性が参加することだ。彼らは既に、安全保障・軍事の面や経済の面でかなりの数の交渉で駆け引きを行ってきた。」





►これも(再び)聞く:米中関係はどこに向かうのか?





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