「日本の裁判所がやっと同性婚を認める」(BBC NEWS JAPAN・RFI)

「日本の裁判所がやっと同性婚を認める」(BBC NEWS JAPAN・RFI)









(BBC NEWS JAPAN)

https://www.bbc.com/japanese/56424717





同性婚を認めないのは「違憲」 札幌地裁が初の判断





2021年3月17日







Reuters

Supporters in Sapporo holding a banner that reads "unconstitutional decision"

[『違憲判決』と読める幕を掲げる札幌の支援者たち]






札幌地方裁判所は17日、同性婚を認めないのは「違憲」とする判断を示した。



日本の憲法24条では、婚姻は「両性」の間で成立すると規定されている。世界の主要7カ国(G7)で同性婚を認めていないのは日本だけ。



原告の同性カップル3組は、この規定は同性婚を否定していないと主張。同性同士の婚姻届を受理しないのは憲法24条のほか、幸福追求権を定める13条、法の下の平等を定める14条に違反するとして、国に対して1人当たり100万円の損害賠償を請求していた。



札幌地裁は、このうち法の下の平等を定めた14条に違反するとの判断を下した。一方、13条と14条については違憲には当たらないとし、原告の請求を棄却した。



原告団の1人の中島愛さんはBBCの取材に対し、「日本にとって大きな一歩となった(中略)夢の実現に一歩近づいた」と話した。



第2次世界大戦後に制定された日本の憲法には、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立する」とある。



政府は、この条文が作られた当時は同性婚が「予測」されていなかったと説明している。



しかし原告の弁護団は、この文言は強制結婚を防ぐためのものだと述べ、憲法には同性婚を禁止する内容は含まれていないと主張していた。



日本では現在、各地で同様の訴訟が行われている。今回の判決は性的マイノリティー(LGBTQ)活動家らにとって大きな勝利になるとともに、今後の判決にも大きな影響を与えそうだ。



しかし、先は長い。



全ての訴訟で地裁が同性婚を合憲だと判断しても、同性婚の法制化が保証されるわけではない。ジャパンタイムズは、政界は婚姻に関する法律の改正について「ほとんどやる気がない」と報じている。



LGBTQの権利活動家は、日本ではなお同性愛に対して保守的な態度が根強いと話す。多くの性的マイノリティーが、家族や友人に自分の性的指向を打ち明けられない状況だ。



2015年以降、日本の各地で同性カップルに対し、結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」を発行する自治体が増えてきた。しかし、こうした証明書に法的拘束力はなく、結婚した男女カップルと同等の権利などは得られない。企業などに対し、男女カップルと同様に扱うよう促すのが狙いだ。



しかし最近の世論調査では、日本でも若年層の大半が同性婚に賛意を示している。






「実質勝訴」 ――白石早樹子(BBCニュース、日本)



同性婚を認めないのは「違憲」。



この一言を得るために、多くの人が長い年月をかけて闘ってきた。



同調圧力の強い日本では、どんな形であれ、少数派でいること自体が困難だ。まして、声をあげることは本当に難しいことだ。



だが、世の中の空気は変わりつつある。多くの人が多様性の重要さに気付き始めている。



今回の札幌地裁の判決ははっきりとした分岐点だ。賠償請求は退けられたが、違憲判決という大きな成果を勝ち取った実質勝訴だという声が次々に上がっている。



原告の国見亮佑さんは判決後、「異性愛者と同性愛者という『生まれながらの違い』で差別をすることは、憲法14条に違反すると裁判長がはっきりおっしゃってくれた。涙が止まらなかった」と語った。



これは間違いなく勝利だが、この先の道のりもまだ長い。





(英語記事 Landmark Japan ruling backs same-sex marriage











(Japon: la non reconnaissance du mariage gay jugée anticonstitutionnelle: RFI)

https://www.rfi.fr/fr/asie-pacifique/20210317-japon-la-non-reconnaissance-du-mariage-gay-jug%C3%A9e-anticonstitutionnelle





日本:同性婚を認めないことに違憲の判断





発表 2021年3月17日 11:09







3月17日水曜日、日本の裁判所が同性間の結婚を認めないのは違憲だと初めて判断した。 © REUTERS - KYODO





RFI






日本の裁判所は、同性間の結婚を認めないのは「違憲」だと判断した。日本はG7で同性婚を認めない最後の国だ。平等な権利を求める活動家たちはこの決定に対し、これを勝利だと歓迎している。





報告 RFI東京特約記者、フレデリック・シャルル





同性婚についての国の憲法解釈は狭すぎると、札幌の裁判所は判断した。このような結合関係に対し、憲法は両性による「相互の合意」の必要性を強調しているだけだ。この扉を開くことには多くの考え方がある。





違憲だが補償はない



そのため、札幌の裁判所は、同性婚を認めないことは違憲だと判断した。しかし、裁判所は提訴した6人の同性カップルに対し補償を与えなかった。



2015年以降、東京の複数の自治体では、行政手続を容易にするために同性カップルにパートナーシップ証明書を交付している。異性カップルに与えられたものと同じ法的権利を、彼らはいまなお持っていないからだ。





昔は同性愛を嫌悪しなかった



『快楽の精神』(« L'Esprit de plaisir » Payot, 2020)を共同で著した東京のル・モンド特約記者フィリップ・ポンス氏とジュネーブ大学のピエール=ルイ・スイリ名誉教授によれば、日本では長い間、いかなる法的制約や宗教的制約によっても抑制されないセクシャリティが認められていた。異性愛と同性愛が相互に排他的なことは全くなかった。サムライには男性と関係を持つ伝統があった。



日本が同性愛関係を拒絶し始めたのは、19世紀終わりの外の世界に自らを開く時で、文明国として外国人に見て貰うためだった。





日本 社会 司法







―参考―

【判決要旨全文】「同性婚できないのは憲法違反」札幌地裁が日本初の判断(ハフィントンポスト日本版)[2021.3.17]