ウォール街の「おじさん」に対抗する動き レディットユーザーはいかにして銀価格を急騰させたか/「素人のレディット」とウォール街のヘッジファンドのバトル 一体誰が儲けることができたのか?(Sputnik日本)

ウォール街の「おじさん」に対抗する動き レディットユーザーはいかにして銀価格を急騰させたか/「素人のレディット」とウォール街ヘッジファンドのバトル 一体誰が儲けることができたのか?(Sputnik日本)









https://jp.sputniknews.com/business/202102028123497/





ウォール街の「おじさん」に対抗する動き レディットユーザーはいかにして銀価格を急騰させたか







© AP Photo / Richard Drew





経済





2021年02月02日 22:12





筆者 : ニキータ リヴォフ






銀価格が8年ぶりに最高値を記録したというニュースを見たことがありますか?米ネット掲示板レディットの投資グループが銀価格の急騰を引き起したと書かれたものを読んだことがありますか?ウォール街に対する陰謀や、どこかのゲームソフト販売店の株価であるとか、一体何が起きているのでしょう?スプートニクは、金融界全体を巻き込んだこの動きをまとめた概要を読者のみなさんに提供します。





「レディット軍団」 全てはゲームソフト小売り企業から始まった



レディットのコミュニティ板(サブレッドディット)r/WallStreetBetsは、ゲームソフト小売大手ゲームストップ社の株価下落に密かに賭けていたウォール街ヘッジファンドを「懲らしめる」ことにした。これにより、損失を出していたゲームストップの株価は1月の間に数倍上昇した。このコミュニティでの投稿はトップレベルの人気を集め、数万件の「アップボート(いいね)」を獲得した。そしてレディットのユーザーがゲームストップ(GME)に投資し始め、同社の株式への投資を呼びかけた。するとわずか1週間で同社の株価は700%上昇し、下落に賭けていたヘッジファンドは50億ドル(約5250億円)超の損失を出した。





どういう仕組みで、その結果どうなったのか?



ゲームストップ社を皮切りに様々な企業の株価が異常に上昇している現象は、投資グループWallStreetBets(メンバー数600万人以上)が動く中で発生している。同グループの投資家らは、下値を買うトレーダーから「巻き上げる」ために株を買い占め始めた。同グループはヘッジファンドが持つ膨大な数のショートポジション(いわゆるショート)に注目しており、グループの目的は、急激に上昇する株価を買うことでショートを解消させ、株価をさらに上昇させることにあった。



インディアナ大学のチャールズ・トリズチンカ教授(経済学)は、この動きを「賭ける人に賭ける」と表現している。同氏は、こういった動きは、長い目で見た時の重要な物事を変えることができなかったとスプートニクに語っている。ゲームストップは相変わらず多くの借金を抱えている。





秘密の談合を行うウォール街を懲らしめる その次なるミッションは?



同グループのメンバー「RocketBoomGo」は1月下旬、密かに銀価格を調整していたウォール街銀行に圧力をかけるため、銀への投資をコミュニティで呼びかけた。



レディットでの投稿によると、米ヘッジファンド社のシタデルが銀を大量に保有している。そのため、同社の創業者であるケン・グリフィン氏(52)は今、このスキャンダルの中心にいる。



レディットの投資グループは、その行動によってウォール街に勝利することになった。これにより銀価格は世界市場で1オンス28.99ドル(約3040円)と7.4%上昇し、2020年8月以来の最高値を記録した。スプートニクは、銀価格の最高値について詳しく報じている。



しかし、銀価格は現在のところ、かなり緩やかなペースではあるものの以前の価格に向かって下落している。



ブルームバーグは、レディットの投資グループは今回、ゲームストップで引き起こした状況を繰り返す可能性は低いと指摘している。



その状況の実現を妨げる要因はいくつかあるが、主な要因として銀はゲームストップ社と違って市場の深さが大きい点が挙げられる。ゲームストップ社の1月中旬の時価総額は14億ドル(約1470億円)だったのに対し、銀は英ロンドンの金庫だけでも480億ドル(約5兆400億円)相当が存在する。このような深い市場で相場を動かすには、もっと多くの資金と投資が必要だ。



ロシア高等経済学院のエフゲニー・コーガン教授(財政学)は、「我々は目撃しているのは個人投資家の反乱ではなく、美しいスローガンで包まれた計画的な市場操作だ」とフォーブス誌で指摘している。



「主催者はこれを会社の偉いおじさんに対する反乱としているが、私はこれら全ての背後にプロ集団がいると実際に確信している。『聖なる大義の名の下に』というスローガンを掲げて身を隠しているのだ」





レディットでの動き それはどんなものであってもすでに文化の一部に



動画配信サービス「ネットフリックス」とメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)は今週、ウォール街での株価暴騰を題材とした映画プロジェクトの制作を計画していると発表した。





タグ インターネット, 経済







―参考―













https://jp.sputniknews.com/business/202102048129474/





「素人のレディット」とウォール街ヘッジファンドのバトル 一体誰が儲けることができたのか?







© Sputnik / Natalia Seliverstova





経済





2021年02月04日 22:58






「レディット軍団」は、ウォール街の大手ヘッジファンドに戦いを挑み、銀価格の上昇まで成し遂げたのにも関わらず、儲けることができたのは一部のプロの投資家だった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。では、誰が一番儲けたのだろうか?





「レディットとウォール街との戦い」はインターネットという次元での現象となった。レディットユーザーが1月、ゲームソフト小売り大手「ゲームストップ」の株を「気の向くままに」買い占めて値上げすることを決めると、それまで下落ばかりしていた複数の企業の株価は上昇し始めた。



スプートニクは以前、「レディット軍団」とゲームストップ社、さらにウォール街の大口投資家との戦いを取り巻く状況について詳しく報じている



WSJによると、ゲームストップ株の急成長は、アマチュアがプロを超えて勝利したとよく言われているにもかかわらず、利益はウォール街にもたらされた。この出来事で、リチャード・マシャール氏とブライアン・ゴニック氏のセンベスト・マネジメント社ほど儲け(7億ドル)を出した人はいなかった。



センベスト・マネジメント社がゲームストップ社の株に興味を持ったのは、2020年1月に開催された消費者投資会議でゲームストップ社の新CEOが行ったプレゼンテーションがきっかけだったという。



ほとんどのウォール街のアナリストは、ゲームストップの株価下落に賭けており、ポジションは悪化するだけだとみていた。



しかしセンベスト・マネジメント社はゲームストップ社に関心を持ち、同社の株を購入。2020年10月末までに5%以上の株を保有し、保有した株の大部分は1株10ドル(約1050円)で購入した。



これについてマシャール氏とゴニック氏は、ゲームストップ社が次世代ゲーム機の販売まで持ちこたえ、ゲームやアクセサリーの需要が増えれば、株価は上昇する可能性があると判断したという。



ゲームストップ社は、センベスト・マネジメント社の中で最も収益性の高い投資先となっている。これにより、同社の管理下にある資産のポートフェリオは2020年末の16億ドル(約1680億円)から24億ドル(約2530億円)に増加した。一方、他の投資会社はすでに数十億ドルの損失を出している。





タグ 経済







※ 21.2.5 記事を追加しました。