「バイデン氏弾劾条項提出の共和党グリーン議員、下院が過去のSNS投稿などを理由に委員会から除名」 (BBC NEWS JAPAN)

「バイデン氏弾劾条項提出の共和党グリーン議員、下院が過去のSNS投稿などを理由に委員会から除名」 (BBC NEWS JAPAN)









https://www.bbc.com/japanese/55898457





陰謀論支持の米共和党議員、民主党側が除名求める





2021年2月2日







Getty Images

マージョリー・テイラー・グリーン下院議員






民主党の下院議員らは1日、ドナルド・トランプ前大統領を支持し、陰謀論を支持する共和党下院議員について、ソーシャルメディアでの過去の投稿を理由に、所属委員会から除名するよう求める決議案を発表した。



除名が求められたのは、昨年11月の選挙で当選したマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)。共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務の指名により、教育・運輸委員会と予算委員会に所属している。





「越えてはならない一線」



グリーン氏は、国内の学校における数々の発砲事件や2011年の同時多発テロはでっち上げだなどとする陰謀論を信じている。昨年の選挙戦では、「Qアノン」と呼ばれる陰謀論グループへの共感を表明した。



先月には、ジョー・バイデン大統領の弾劾を狙う法案を提出。汚職と権力の乱用があったとバイデン氏を非難した。また、バイデン氏が息子ハンター・バイデン氏に、「アメリカの最大の敵であるロシアと中国から金銭を吸い上げる」のを許したと主張した。



また、ドナルド・トランプ前大統領の熱烈な支持者で、トランプ氏と2016年の大統領選を戦った民主党ヒラリー・クリントン氏について、子どもの性虐待に関与しているなどと非難していた。



グリーン氏のソーシャルメディアのアカウントは、民主党議員の殺害を求める投稿に「いいね」を付けている。



今回の決議案について、提出した民主党議員らは、「共和党に対し、越えてはならない一線を示すもの」としている。



グリーン氏は1日、「民主党が私を委員会から排除するなら、2022年の選挙で私たちが再び多数派になった時に、その前例が民主党議員に広範に使われることになると断言する」とツイート。



「私たちは再び多数派になる。それは間違いない」と付け加えた。





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民主党議員らは、グリーン氏の過去の発言が、同氏の特に教育問題を扱う委員会のメンバーになる「権利を喪失させた」と主張している。



決議案提出の中心となった民主党のデビー・ワッサーマン・シュルツ下院議員(フロリダ州)は、「共和党が自らの取り締まらないなら、下院として介入せざるを得ない」と述べた。



決議案には、民主党のテッド・ドイチ(フロリダ州)、ジャハナ・ヘイズ(コネチカット州)両下院議員も提案者として名を連ねている。



同党のステニー・ホイヤー下院院内総務は1日、共和党のマカーシー下院院内総務に最後通告。72時間以内にグリーン氏を2つの委員会から降ろすよう求め、実行しなければ、民主党は下院でこの問題を取り上げると伝えた。



さらに、同党のジミー・ゴメス下院議員(カリフォルニア州)は、61人の同僚議員らの賛同を得て、グリーン氏の下院からの除名を求める決議案をまとめている。グリーン氏の「過激主義」を非難する内容だが、可決は困難とみられる。







陰謀論を広める「Qアノン」とは何か? 止める方法は?





グリーン氏への批判は、身内の共和党からも出ている。



同党のミッチ・マコネル上院院内総務は1日、グリーン氏が信奉する陰謀論を「いかれたうそ」、「共和党にとってのがん」と呼んで非難した。





議員を除名にした例は?



共和党のマカーシー院内総務は2019年、同党のスティーヴ・キング下院議員(アイオワ州)を2つの委員会から降ろした。キング氏がインタビュー記事で、白人至上主義がなぜ問題視されるのかと疑問を述べたのが理由だった。



ただマカーシー氏は、今回グリーン氏に対しても同様の対応をするかは明らかにしていない。マカーシー氏は広報担当を通して、グリーン氏のソーシャルメディアへの投稿について、「彼女と話をする予定だ」とだけ表明している。



グリーン氏が一市民だった時代に投稿した内容について、共和党の同僚議員らが何らかの行動を取るのかも不明だ。



議員を下院から除名するには、3分の2以上の同意が必要だ。議会によると、これまで除名となった下院議員は5人しかいない。



激しい反発を招いた発言をした議員は、グリーン氏に限らない。



民主党イルハン・オマール下院議員(ミネソタ州)は2019年、反ユダヤ主義と広く解釈されたツイートをし、物議を醸した。



それを受け、下院の民主党議員らは反ユダヤ主義を非難する決議案に賛成票を投じたが、その決議案はオマール氏を特定する内容ではなかった。オマール氏は、米議員らがロビー団体から金銭を受け取り、イスラエルだけを支援しているとほのめかしたことを謝罪。その後、同氏に対する処分などはなかった。





(英語記事 Democrats seek to expel 'extremist' Republican







―参考―













https://www.bbc.com/japanese/55930208





共和党、過去に問題投稿の議員をかばう 除名要求に抵抗





2021年2月4日







CQ-Roll Call via Getty Images

マージョリー・テイラー・グリーン下院議員






ソーシャルメディアでの過去の投稿が激しい反発を呼んでいる、米共和党マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州)について、同党幹部は3日、下院委員会のポストから降ろす考えはないと表明した。



グリーン氏に対しては民主党議員らが、ソーシャルメディアでの過去の投稿内容を理由に、所属する教育委員会予算委員会からの除名を求める決議案を提出している。



共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務(カリフォルニア州)はこの日、グリーン氏の発言を支持はしないものの、議員に当選する前のものだったとかばった。



一方、下院で多数派の民主党ナンシー・ペロシ議長(カリフォルニア州)は、グリーン氏を委員会から除名するための投票を4日に行う方針を示した。



これに対し共和党も、民主党イルハン・オマル下院議員(ミネソタ州)が2019年に反ユダヤ主義と取れる発言をしたことをめぐって、所属委員会から追放しようと動いている。







EPA

共和党イルハン・オマール下院議員を非難している






院内総務の発言



マカーシー院内総務は3日に出した声明で、グリーン氏のコメントが「多くの人を深く傷つけた」と認めた。



マージョリー・テイラー・グリーンが発し、支持した、学校での銃撃事件や政治的な暴力、反ユダヤ主義陰謀論に関する過去のコメントは、下院共和党の価値や信念を示すものではない」



「それらのコメントをきっぱり非難する。過去においても非難したし、現在においても非難し続ける」



マージョリーには(2日に)会った時、そのことを明確にした。また、私たちは下院議員として、一般市民だった時より高い基準が求められることも明確にした」



一方でマカーシー氏は民主党に対し、ダブルスタンダードを有し、自党の議員の言動は責任を追及していないと非難した。





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共和党は過去に、自党の議員を委員会の委員から降ろしたことがある。2019年1月には、スティーヴ・キング下院議員(アイオワ州)に対し、白人至上主義が問題視されることに疑問を投げかけたとして、3つの委員会から外した。



民主党はオマル氏の発言をめぐって、下院で反ユダヤ主義を非難する決議案に賛成したが、その決議案はオマル氏を特定する内容ではなかった。オマール氏は、米議員らがロビー団体から金銭を受け取り、イスラエルだけを支援しているとほのめかしたことを謝罪。その後、同氏に対する処分などはなかった。





グリーン議員の反応



政治メディアのヒルによると、グリーン氏は3日に開かれた共和党の非公開の会合で、過去の発言について謝罪。出席議員らから、総立ちの拍手がおくられたという。



グリーン氏は会合で、ドナルド・トランプ前大統領が子どもを虐待する一味と密かに戦っているなどとする陰謀論を唱える「Qアノン」に興味をもったのは間違いだったと述べたとされる。



会合の出席者2人がヒルに語ったところでは、グリーン氏は自らの子どもたちに対し、ソーシャルメディアに投稿する行為について「勉強」したと伝えたという。



グリーン氏は3日、過去2日間で16万ドルの政治献金があったとツイッターで報告。「民主党のごろつきにメッセージを送り続けよう」と書き込んだ。





どんな人?



グリーン氏は、昨年11月の議会選挙で、ジョージア州の選挙区で勝利して下院議員になった。



就任前には、民主党議員への暴行を求めるソーシャルメディアの複数の投稿に賛意を示し、米同時多発テロ攻撃は仕組まれた出来事だったと主張。イスラム教徒は政府で働くべきではないと読み取れるコメントを投稿するなどした。



フロリダ州パークランドの学校で起きた銃乱射事件の、10代の生存者に対して長々と自らの主張を述べていたことも最近、明らかになった。



先月には、ジョー・バイデン大統領の弾劾を狙う法案を提出。汚職と権力の乱用があったとバイデン氏を非難し、共和党の親トランプ派からもてはやされた。



ただ、共和党の幹部議員らは、グリーン氏の過去の発言を公に批判している。



マルコ・ルビオ上院議員フロリダ州)はグリーン氏を「錯乱したかサディストのどちらかだ」と非難。ミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)は、グリーン氏が共和党にとっての「がん」である「いかれたうそ」を信奉していたと述べた。トッド・ヤング上院議員インディアナ州)はグリーン氏を「おかしな人」、「恥」と呼んだ。





(英語記事 House Republicans resist pressure to oust lawmaker











https://www.bbc.com/japanese/55944512





米下院、陰謀論や扇動発言の共和党議員を処罰 委員会から除名





2021年2月5日







CBS

表現の自由」と書かれたマスクを着け、自分の発言について弁明したグリーン下院議員(4日、米連邦議会






連邦議会の下院は4日、共和党マージョリー・テイラーグリーン下院議員(46、ジョージア州選出)を、陰謀論の拡散や扇動的発言を理由に2つの委員会から除名する処分を可決した。グリーン議員は民主党関係者に対する暴力を支持してきた。



与党・民主党が多数の下院は、賛成230、反対199で、グリーン議員を教育委員会予算委員会から除名した。共和党からも11人が、除名に賛成した。



米議会において、ひとつの政党が他党による委員会人事に介入するのはきわめて異例。議会委員会は法案審議に大きな影響をもち、どの議員がどの議会委員会の委員になるかの決定は通常は両党幹部にゆだねられる。



グリーン議員は採決の前、自分の過去の発言を「残念」だと述べたものの、謝罪はしなかった。さらに、「自分は真実でないことを信じ込まされていた」と述べ、「うそを広めたという意味ではマスコミも、Qアノンと同じくらい責任がある」と反発した。



「Qアノン」とは悪魔を崇拝し児童を虐待する小児性愛者の国際的ネットワークが存在し、ドナルド・トランプ前大統領がそれを打倒するため戦っているとする保守系陰謀論で、グリーン議員はその信奉者として知られる。この陰謀論の信奉者が多数、1月6日の連邦議会議事堂襲撃に参加した。



グリーン議員は過去に、2001年9月11月の米同時多発テロや複数の学校での銃乱射事件について「でっちあげ」だと発言したり、被害者につきまとい嫌がらせをしたりしていた。





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議員は昨年11月の議会選で初当選し、今年1月に初登院した。就任以前には、民主党議員たちへの暴力を呼びかけるソーシャルメディアの投稿に「いいね」を押したり、イスラム教徒は公職に就くべきではないなどと発言していた。



下院共和党のケヴィン・マカーシー院内総務は3日に、グリーン議員の発言を非難したものの、当選以前の発言だという理由で処分はしない方針を示した。



4日の採決に先立ち、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、共和党が「極端な陰謀論者を受け入れている」事態を「きわめて憂慮する」と述べた。



一方で共和党は、グリーン議員を委員会から除名すれば、多数党が少数党の委員会人事に圧力をかけられるという危険な前例を作ることになると主張。これに対して民主党は、議会の同僚議員たちに対して危害を加えると脅した議員について下院として何もしなければ、その方がはるかに危険な前例になると反論した。



民主党の下院議員の中には、グリーン議員の議会からの除名を追及していく動きもある。その一方で共和党のマカーシー院内総務は、次に共和党が下院で多数党となった際には報復措置をとると強く反発した。





グリーン議員の主張は



グリーン議員は採決前の審議で、自分の過去の言動について下院選に出馬する前のものだと弁明した。その主張の一部は次のとおり。



  • Qアノンについては信奉者の投稿内容に「偽情報やうそや事実と異なる内容」を見つけて以来、2018年ごろから「信じるのをやめた」

  • 学校での銃乱射事件については、2012年のサンディフック小学校や2018年のパークランド高校などの事件を「でっちあげ」だと主張していたが、この日は「絶対に現実に起きていることだ」と述べた

  • 9/11同時多発テロは起きていないと過去に発言したことについては、「9/11は絶対に起きたこと」で、「フェイクだとは思っていない」と発言を撤回した


「どれも過去の言葉で、私を表す発言ではない」と議員は主張した。



このような発言を繰り返した理由について、自分はアメリカで起きていることに「動揺」していて、政府を信用できずにいたところ、オンラインで陰謀論にめぐり合ったのだと説明した。



その一方で、人種差別的だったり扇動的だったりすると広く非難されている複数の発言については、言及しなかった。その一部は次のとおり。





グリーン議員はさらに、2020年大統領選は不正選挙で実際に勝ったのはトランプ氏だったという、広く否定されている主張を続けていることについても、この日の審議では言及しなかった。





(英語記事 Marjorie Taylor Greene: US House votes to punish Republican





※ 21.2.5 記事を追加し、見出しを変更しました。