「トランプ大統領の弾劾決議案が下院で成立」 (BBC NEWS JAPAN)

トランプ大統領の弾劾決議案が下院で成立」 (BBC NEWS JAPAN)











https://www.bbc.com/japanese/55607669





民主党、トランプ氏の弾劾決議案を下院に提出 罷免なければ採決へ





2021年1月12日







Getty Images

民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長(中央)はドナルド・トランプ大統領が「差し迫った脅威となっている」としている






ドナルド・トランプ米大統領の支持者たちによる議会襲撃を受け、野党・民主党は11日、大統領が「反乱を扇動」したとする弾劾条項を含む訴追決議案を連邦議会下院に提出した。



民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は「大統領は我々の憲法、国、そしてアメリカ国民に対する差し迫った脅威となっている。直ちに大統領を罷免しなければならない」と述べた。



民主党は、マイク・ペンス副大統領が憲法上の権限を行使してトランプ氏を罷免しないのであれば、13日にも採決を行うとしている。



ペンス氏は憲法修正第25条の発動による罷免に反対しているとされる。



修正第25条とは、大統領が心身状態の不調から職務が遂行できなくなった場合の措置を定めたもの。手続き中はペンス氏が大統領代行となる。ただし、トランプ氏が書面で議会に異議を申し立てた場合、解任には連邦議会両院の3分の2以上の賛成が必要となる。





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5人の死者を出した6日の議会での暴動を受け、トランプ氏の辞任や罷免、あるいは弾劾を求める声が民主党や一部共和党の議員の間で高まっている。



当時議会では上下両院の合同会議が開かれ、州ごとに選挙人団の投票を開票し、ジョー・バイデン次期大統領とカマラ・ハリス次期副大統領の勝利を最終認定する手続きが行われていた。



議会襲撃の前、トランプ氏はホワイトハウス前の支持者集会で昨年11月の大統領選挙の結果が「盗まれた」と、証拠を示さず主張。支持者の議事堂襲撃をあおったとされる。



ホワイトハウスは「政治的動機」による動きだと弾劾に反発している。8日にツイッターやフェイスブックなど複数の個人アカウントが凍結されたトランプ氏は公の声明は出していない。



トランプ氏はバイデン氏が大統領に就任する1月20日正午をもって大統領職を去ることとなる。バイデン氏の大統領就任式には出席しないと表明している。



下院がトランプ氏の弾劾を求めるのは2019年12月以来2度目となる。当時下院はトランプ氏を権力乱用と議会妨害で弾劾訴追したが、翌2020年2月に与党・共和党が多数の上院が弾劾条項2項目について無罪評決を下した



弾劾手続きが2度もとられた米大統領は、過去にいない。しかし、上院は1月20日まで共和党が多数派。解任が認められるには、下院の過半数のほか、上院の3分の2以上の賛成が必要なため、今回も同氏が弾劾裁判で有罪になる可能性は低い。





弾劾訴追決議案の内容は



民主党議員3人が起草した訴追決議案には、「反乱を扇動」したとする弾劾条項が含まれる。3議員は議事堂がトランプ氏支持者に一時占拠される中、決議案を作り始めた。



決議案には「ドナルド・ジョン・トランプは、合衆国政府への暴力を意図的に扇動し、『重罪と軽罪』を犯した」とある。



また、「連邦議会議事堂での差し迫った無法行為」に至った行動を鼓舞する発言を大統領がしたと非難している。



この行動は、バイデン次期大統領の当選認定を「覆し妨害しようとした、従前の努力と合致する」として、「これによって大統領としての信任に背信し、合衆国の国民に明らかな危害をもたらした」と、決議案は糾弾している。





修正第25条の発動は



民主党は11日、ペンス副大統領と内閣がトランプ氏の職務不適格を宣言することを可能にする憲法修正25条の発動を、ペンス氏に正式に要請する決議案を提出した。



決議案は「恐怖におびえる国民に対し、大統領は職務上の義務と権限をうまく遂行できていないと、明確に宣言」するようペンス氏に求めた。



しかし予想されていた通り、共和党のアレックス・ムーニー下院議員(ウェストヴァージニア州選出)がこの要求に異議を唱え、下院では全会一致で採択されなかった。







Reuters

ホワイトハウスの周りに設置されたフェンスに沿って歩くシークレットサービス






下院は、決議案の採決が行われるとみられる12日朝まで休会に入っている。



採決後、民主党は弾劾に向けて手続きを進める前にトランプ氏を退陣させられるよう、ペンス氏側に24時間の猶予を与えるという。



アメリカに対する大統領の脅威は差し迫っており、我々の対応もまた同様だ」と、ペロシ氏は述べた。



ペンス氏はトランプ氏と距離を置いているようだが、修正第25条を発動する気配はない。





弾劾手続きの今後の展開は



弾劾手続きは長期戦になることが多い。調査や公聴会などによって、結論が出るまでに数週間かかる場合があるからだ。今回の場合は、それよりも速いスピードで進むことが予想される。



11日に弾劾決議案が下院に提出されたことで採決への道が開かれた。下院で賛成多数となれば、上院での弾劾裁判へうつることとなる。



しかし上院内部のあるメモによると、上院が弾劾手続きに着手できるのは早くてもトランプ氏の任期満了の前日1月19日になる可能性がある。



上院は現在休会中で、再開の日程を変更するには上院議員100人全員の同意が必要となるが、その可能性は極めて低い。



トランプ氏が退任しても弾劾手続きを上院に移せるのか、憲法の専門家の間で意見が割れている。しかし民主党は、下院でトランプ氏の弾劾訴追を決議し、後日上院で裁判を行えると確信しているようだ。



民主党のジェイムズ・クライバーン下院院内幹事は10日、バイデン氏の大統領就任から100日間は、上院に弾劾裁判の開催を求めない可能性があると述べた。





弾劾手続きとは







米大統領を弾劾するには? 法学教授が説明



合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。



弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。



下院がこの弾劾決議案を可決した後、上院が弾劾裁判を行う。上院議員の3分の2以上が賛成すれば、大統領を解任できる。



現在の下院では、定数435議席のうち民主党が235議席を占めているため、弾劾訴追が成立する可能性は高い。



一方の上院は、定数100議席のうち共和党が53議席を占める。解任の動議成立に必要な3分の2以上の賛成票を得るには、多数の共和党議員が造反する必要があるため、大統領が実際に解任される見通しは少ない。



政府と共和党は、弾劾裁判は最長2週間とするよう求めている。



過去の大統領で弾劾訴追されたのは、アンドリュー・ジョンソン第17代大統領とビル・クリントン第42代大統領のみだが、上院の弾劾裁判が有罪を認めなかったため、いずれも解任はされていない。



リチャード・ニクソン第37代大統領は弾劾・解任される可能性が高まったため、下院司法委の弾劾調査開始から3カ月後に、下院本会議の採決を待たずに辞任した。





(英語記事 Democrats start move to impeach Trump again











https://www.bbc.com/japanese/55642588





トランプ氏、議会襲撃前の演説は「問題なかった」 共和党からは弾劾賛成の意見も





2021年1月13日







Reuters

トランプ氏は12日、議事堂襲撃事件後初めて公の場で発言した






ドナルド・トランプ米大統領は12日、連邦議会議事堂の襲撃事件の直前に自らの支持者らに議会に向けて行進するよう直前に演説したことについて、「まったく問題がなかった」と表明した。一方で、与党・共和党では有力議員を含めて一部の下院議員が、トランプ氏の弾劾に賛成すると表明した。



トランプ氏は12日、メキシコ国境の壁の視察でテキサス州に出発する際に、ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。



その中で、野党・民主党による弾劾訴追の動きを「ばかげている」と一蹴。「私たちの国にとんでもない危険と、とんでもない怒りをもたらしている。私は暴力を望まない」と述べた。



トランプ氏は、大統領職から追われることは心配していないと発言。「憲法修正第25条は私にとってはゼロ・リスクだが、ジョー・バイデンとバイデン政権には脅威となって降りかかるだろう」と述べた。憲法修正第25条は心身不調を理由に副大統領と閣僚が大統領を解任するための条項。民主党がその発動を求めていたが、マイク・ペンス副大統領は12日、これを拒否した。



議事堂襲撃事件後にトランプ氏が公の場に姿を見せたのは、これが初めて。襲撃では5人が死亡し、警官60人以上を含む多数が負傷した。



6日に発生した議事堂襲撃をめぐっては、トランプ氏が反乱を扇動したとして、民主党が同氏の弾劾訴追の決議案を下院に提出している。13日に採決される見通し。



与党・共和党の有力議員、リズ・チェイニー下院議員も12日、「暴徒を集めて(略)この攻撃の炎に火をつけた」トランプ氏は、大統領としての誓いに背いたとして、弾劾に賛成すると発表した。チェイニー議員の父親はブッシュ政権ディック・チェイニー元副大統領。ほかにも数人の共和党下院議員が、トランプ氏弾劾に賛成すると表明している。





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トランプ氏は20日に大統領の任期終了を迎え、ジョー・バイデン氏が新大統領に就任する。



BBCホワイトハウス担当タラ・マケルヴィー記者は、トランプ氏の12日の発言について、「素早くパンチを繰り出してかがむ」という、同氏が大好きな格闘技の戦略を取り入れたものだと批評。大統領執務室があるホワイトハウス西棟は人の姿が減り、職員が大挙して去っていると伝えた。





問題となった演説



トランプ氏は6日の議事堂襲撃の直前にホワイトハウス近くで開かれた集会で、自らの支持者らを前に演説。昨年11月3日の大統領選挙で不正があったとする立証されていない主張を繰り返し、議会に向かって行進するよう呼びかけた。



「議事堂へと歩いて、勇敢な上院議員や下院議員に声援を送ろう。ただ、弱腰でいては私たちの国を取り戻せないので、議員の一部に対しては大した声援はしないだろう。強さを示さなくてはならない」



トランプ氏はまた、マイク・ペンス副大統領が「すべきことをする勇気」をもつべきだと主張。ペンス氏には、この日に議会で承認された大統領選の結果を覆す憲法上の権限があると、根拠を示さず訴えた。



そのうえで、「ここにいる全員がまもなく、平和的かつ愛国的にそれぞれの意見を届けるため、議事堂に向かって行進していくだろう」と呼びかけた。



議事堂襲撃事件では、これまでに数十人が拘束されている。議会警官1人を含む5人が死亡し、数十人が負傷した。



複数の下院議員が一緒に避難した議会内の部屋では、複数の共和党議員がマスクを提供されても着用を拒否した映像が浮上している。襲撃後に民主党議員3人の新型コロナウイルス感染が発覚し、マスクを拒否した共和党議員たちと同じ部屋にいたせいだと主張している。





トランプ氏排除の動き



議会下院(定数435)には、ペンス副大統領に対して憲法修正第25条を発動してトランプ氏を事実上解任するよう求める決議案も提出された。12日夜に下院は賛成223、反対205でこれを可決した。



ただしペンス氏は採決に先立ち、修正第25条による大統領解任は「国益にかなわないし、憲法にも沿わない」とナンシー・ペロシ下院議長に書簡で返答し、同調しない考えを示した。



これを受けて下院は13日朝、トランプ氏を弾劾訴追する決議案の審議を開始する。下院は民主党が多数派で、決議案は13日にも可決される見込み。その場合、トランプ氏は2度にわたって弾劾訴追される初の米大統領となる。



ただ、弾劾によって罷免されるには、上院の弾劾裁判で3分の2以上の議員の投票で有罪とされる必要がある。



トランプ氏の任期が切れる1月20日までに、上院が弾劾を審議するかは不透明。



20日以降の上院の構成は民主党が50議席(無所属服務)、共和党が50議席。上院の共和党議員の間でも、トランプ氏に批判的な議員が数人いる。





共和党からも弾劾支持の意見



米紙ニューヨーク・タイムズによると共和党のミッチ・マコネル上院院内総務(ケンタッキー州)は内々には、弾劾を求める民主党の動きを歓迎しているという。トランプ氏を共和党から切り離すのに、弾劾が役立つと考えているためとされる。



米紙ワシントン・ポストは、マコネル氏がトランプ氏は弾劾に相当する違反を犯したと考えていると、側近らに語ったと報じている。保守派FOXニュースも12日夜、マコネル氏はトランプ氏の弾劾を阻止するつもりはないようだと伝えた。マコネル氏の妻、エレイン・チャオ前運輸長官は議会襲撃から間もなく、閣僚を辞任している。



米メディアによると、マコネル氏も、共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務も、議員の投票を党議拘束する意向はないという。



そうした中で共和党下院ナンバー3のチェイニー議員ワイオミング州)が12日午後、トランプ氏の弾劾に賛成すると表明した。



チェイニー議員は、「アメリカの大統領が職務と憲法への宣誓に対して、これほどまで裏切り行為をしたことはかつてなかった」との声明を発表。トランプ氏について、「暴徒を呼び集め、組織し、今回の襲撃の火をつけた。その後に起きたことはすべて、彼のせいだ。大統領があのような真似をしなければ、一連のことは何も起きなかった」と批判した。



チェイニー議員は弾劾に賛成する理由の中で、「これから数日、数週間のうちにさらにもっとたくさんのことが明らかになる。けれども、すでに分かっていることだけでも十分だ」とも書いた。



議員の父、チェイニー元副大統領は元国防長官でもあり、1月6日に先立ち国防長官経験者10人の1人として連名の寄稿で、「選挙は終わった」と表明し、平和的な政権移譲の妨害に米軍が巻き込まれてはならないと主張していた。



12日には、共和党のジョン・キャトコ下院議員(ニューヨーク州)とアダム・キンジンガー下院議員(イリノイ州)も下院本会議で、トランプ氏弾劾に賛成すると発言した。ミシガン州選出のベテラン、フレッド・アプトン下院議員も、弾劾を支持すると述べている。



党内で影響力のあるチェイニー議員の表明を受けて、さらに弾劾を支持する共和党の下院議員が増える可能性もある。





軍統合本部がメッセージ



連邦捜査局(FBI)は、右翼の過激派らが20日の大統領就任式に向けて全米で武装デモを行う可能性があると警戒を呼びかけている。首都ワシントンでは最大1万5000人の州兵の配置が計画されている。



複数の米メディアによると、米統合参謀本部が12日、暴動は議会と憲法に対する直接的な攻撃だとするメッセージを出した。



メッセージは、「憲法で規定されたプロセスを妨害する行為はすべて、私たちの伝統や価値、宣誓に背くだけでなく、法律にも背くものだ」としている。



(英語記事 Pre-riot speech was 'totally acceptable' - Trump







―参考―













https://www.bbc.com/japanese/55657167





米下院、トランプ氏を2度目の弾劾訴追 議会襲撃を「扇動」で





2021年1月14日







トランプ氏、2度弾劾される初の米大統領に 下院可決の瞬間





連邦議会の下院は13日、議事堂が襲撃された事件で「反乱を扇動」したとして、ドナルド・トランプ大統領を弾劾訴追する決議案を可決した。



投票結果は賛成232票、反対197票だった。与党・共和党の議員10人が、弾劾訴追を求めた民主党に同調した。



トランプ氏は任期中に2度の弾劾訴追を受けた、つまり罪を犯したとして議会から訴追された、米史上初の大統領となった。



今後は上院で弾劾裁判が開かれる。有罪評決が出れば、トランプ氏は再び大統領職に就くことが禁止される可能性がある。



ただ、上院は休会中ですぐに再開の予定はないため、トランプ氏は20日正午に任期を満了する見通し。



トランプ氏は昨年11月の大統領選挙で野党・民主党ジョー・バイデン氏に敗れたため、20日に退任する。





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民主党が多数派の下院ではこの日、数時間にわたって激しい議論が交わされた後、採決に移った。その間、議事堂の内外には武器を携えた州兵が配置された。



トランプ氏は下院での採決後にビデオを公表。支持者に向けて平静を保つよう呼びかけた。しかし、弾劾訴追が決議されたことには言及しなかった。



トランプ氏は、「暴力と破壊行為はこの国では認められない(中略)私の真の支持者に、政治的暴力を容認する人は1人もいない」と、厳粛な面持ちで和解を呼びかけるように語った。



その上でトランプ氏は、「表現の自由に対する最近の攻撃」を批判。これはツイッターなど多数のソーシャルメディアで自分のアカウントが凍結されたことを念頭に置いたものと思われる。ツイッター社はトランプ氏のアカウントのほか、トランプ氏支持の陰謀論を推進するアカウントを多数凍結した。







「暴力と破壊行為はこの国では認められない」 トランプ氏がビデオで演説





一方、バイデン氏はツイッターに、「手続きは上院に移って続く。上院が憲法で規定された弾劾に関する責任を果たすとともに、この国にとって急を要する他の仕事にも取り組むことを望む」と投稿した。





この日の論戦



弾劾決議案の採決の前には、先週の襲撃現場だった議場で、与野党の議員らが主張を繰り広げた。



民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、「アメリカの大統領がこの反乱、私たちの国に対するこの武装反逆を扇動した」、「彼は去らなくてはならない。私たち全員が愛する国にとって、彼は明確で差し迫った危険になっている」と述べた。



民主党のフリアン・カストロ議員は、トランプ氏を「大統領執務室の主となった中で最も危険な人物」と表現した。



共和党議員の多くは、トランプ氏の主張を擁護しなかった。その代わり、今回の弾劾は慣例となっている聴聞会が開かれていないと批判。国の結束のため、弾劾訴追は断念するよう民主党側に求めた。



共和党のケヴィン・マカーシー下院院内総務は、「これほど短期間で大統領を弾劾するのは間違いだ」と主張。



「大統領に間違いがなかったと言っているわけではない。大統領は水曜日(6日)の暴徒らによる議会襲撃の責任を負う」と述べた。



トランプ派のジム・ジョーダン議員(共和党オハイオ州)は、民主党が政治的報復のため、危険を顧みずに国家を分断していると非難。



「これはアメリカの大統領を追い落とそうとするものだ」、「いかなる場合も、これまでずっと大統領を狙ってきた。とりつかれている」と訴えた。





トランプ氏の嫌疑



決議案の弾劾訴追の内容は政治的なもので、刑事的なものではない。トランプ氏について、今月6日にホワイトハウス前の集会で、連邦議会議事堂に乱入するよう扇動したとしている。



トランプ氏はその際、支持者に対して「平和的かつ愛国的に」各自の意見を届けようと訴えかけた。ただ同時に、大統領選が盗まれたと虚偽の主張をし、「猛烈に闘う」支持者に呼びかけた。



トランプ氏はさらに支持者たちに、「みんなでペンシルヴェニア通りを歩いて、みんなで議事堂へ行こう」と呼びかけた。登壇したルディ・ジュリアーニ弁護士は「決闘裁判をやろう」などと発言していた。



こうした数々の発言があった後、トランプ氏の支持者らは議事堂に乱入。場内では憲法で定められた大統領選の結果認定作業が進行中だったが、審議は中断を余儀なくされた。議員らは避難を余儀なくされ、議事堂は封鎖された。この襲撃で5人が死亡した。



トランプ氏は襲撃開始後にも、議会を襲撃する支持者を「愛国者」とたたえ、「大好きだ」と呼びかけ、選挙に圧勝したのは自分だと繰り返していた。







連邦議会襲撃 参加者たちが撮影した内部の様子





今回の弾劾決議は、トランプ氏が「大統領選挙の結果は不正で認められないと主張する誤った声明を繰り返し出した」としている。



また、「群衆に向かって意図的に声明を出し、議事堂における法を無視した行動をそそのかし、予見可能だった事態を招いた」と非難。



トランプ大統領アメリカと政府機関の安全を深刻に脅かし、民主主義の制度に脅威を与え、平和的な政権移行を妨害し、政府と同等の機関(議会)を危険にさらした」とした。



大統領選をめぐっては、この議会襲撃後に再開した審議で、共和党議員139人が引き続き選挙結果を否定し、トランプ氏の敗北を認めなかった。





今後どうなる?



弾劾訴追の決議は上院に送られる。上院は弾劾裁判を開き、大統領の罪の有無を判断する。



トランプ氏が有罪となるには、上院議員の3分の2の多数票が必要だ。上院は20日以降、与野党がちょうど50議席ずつを分け合っており、共和党議員の少なくとも17人が民主党議員に同調しなければ有罪評決には至らない。



米紙ニューヨーク・タイムズは12日、共和党上院議員の最大20人が、大統領を有罪とする票を投じる可能性があると報じた。共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務も、有罪議決に反対していないという報道もある。



仮にトランプ氏が上院で有罪とされた場合、議員らはトランプ氏が再び公職に立候補することを禁止するための採決を開くことができる。トランプ氏はすでに、2024年大統領選への立候補の意向を示している。



ただ、弾劾裁判がトランプ氏の任期中に開かれる予定はない。



共和党のマコネル上院院内総務は声明で、「規則や手続き、大統領の弾劾裁判に関する上院の前例を考慮すれば、バイデン次期大統領が来週就任する前に、公正で真剣な裁判が完結する可能性はない」とした。



また、議会が安全で整然とした政権移行に集中することが、もっとも国益にかなうと主張した。



20日以降に上院多数党の院内総務となるチャック・シューマー上院議員(民主党)は声明で、「上院の裁判は直ちに始められるはずだ」とマコネル氏に反論しつつ、上院は大統領の有罪を問う採決をすることになるし、「もし大統領が有罪になれば、二度と出馬できないようにする採決も行う」と述べた。



BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、共和党は弾劾訴追によって、あくまでトランプ氏を支持する勢力と、トランプ氏の攻撃的な政治手法とは決別し、不確実な将来へと歩み出す勢力とに分かれることになると解説した。



これまでの米大統領で、弾劾訴追されて職を追われた人は1人もいない。トランプ氏は2019年に下院で弾劾訴追が決議されたが、上院で無罪となった。同様のことは、1998年にビル・クリントン大統領、1868年にはアンドリュー・ジョンソン大統領に起きた。リチャード・ニクソン大統領は1974年、下院司法委員会が弾劾訴追案の内容に合意した後、辞任した。





(英語記事 Trump impeached for 'inciting' US Capitol riot