トランプ米大統領、新型ウイルス経済支援策は「無駄多い」 修正求める (BBC NEWS JAPAN)
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トランプ米大統領、新型ウイルス経済支援策は「無駄多い」 修正求める
2020年12月23日
ドナルド・トランプ米大統領
アメリカのドナルド・トランプ大統領は22日、9000億ドル(約93兆円)規模の新型コロナウイルス追加経済支援策について、修正するよう議会に求めた。国民への直接給付を2000ドル(約21万円)に引き上げるべきだとしている。
トランプ大統領はツイッターに投稿した動画で、支援策から「無駄で必要のない部分を削除」するよう要求。支援策は「本当に不名誉なもの」だと批判した。
「これは新型コロナウイルス支援策と銘打っているが、COVID-19とはほとんど無関係だ」とトランプ氏は述べた。
米議会上下両院は21日、数カ月におよぶ与野党協議を経てこの支援策を可決した。
国民の大半を対象にした直接給付は600ドル。このほか、週300ドルの失業保険上乗せ、3000億ドル以上の企業支援、ワクチン配布、学校や立ち退きに直面している賃貸人への支援が含まれている。
支援策は、トランプ大統領の署名をもって実施される予定だった。
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しかしホワイトハウスで撮影された動画でトランプ大統領は、支援策に含まれている他国への資金援助に難色を示し、困窮するアメリカ人にまわすべきだと述べた。
「この支援策にはカンボジアに8550万ドル、ビルマ(ミャンマー)に1億3400万ドル、エジプトとその軍隊に13億ドル、これはほとんど丸ごとロシア製の兵器購入に使われるだろう、それからパキスタンの民主化・ジェンダープログラムに2500万ドル、さらにベリーズ、コスタリア、エルサルバトル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマに合わせて5億500万ドルが振り向けられている」と、トランプ氏は話した。
また、なぜ首都ワシントンの芸術施設ケネディー・センターが開館していないにも関わらず4000万ドルを受け取り、その他の美術館や博物館にも10億ドル以上があてがわれるのかと疑問を呈した。
その上で、「議会は外国やロビイスト、特別な権益には多額の金を出す一方で、それを必要とするアメリカ人には最低限しか送らない。アメリカ人のせいじゃない。中国のせいだ」と結論付けた。
「議会にはこの支援策を修正し、ばかばかしいほどに低い1人当たり600ドルの直接給付を2000ドルに、カップルには4000ドルに引き上げるよう求める」
「また、支援策の無駄で必要のない部分をただちに削除し、適切な法案を送ってくるように。でないと支援策を導入するのは次期政権の役目になる」
この支援策は、今後9カ月間の政府資金をまかなう1兆4000億ドル(約144兆7000億円)規模の歳出法案と一本化されているため、トランプ大統領が署名を拒否すれば、アメリカ政府は12月29日に閉鎖される可能性がある。
支援策の内容は?
共和党と民主党は7月以降、新型ウイルス流行を受けた経済刺激策を模索し、協議を続けてきた。
21日午後に5593ページにわたる草案が発表され、数時間後には投票が行われた。
一部議員からは、内容を吟味する機会もないままに採決を求められたという批判の声も上がった。
しかし下院は賛成359、反対53で可決。その数時間後には上院でも92対6の賛成多数で可決された。
アメリカでは3月にも24兆ドル規模の経済支援策が講じられ、1200ドルが直接給付された。今回の給付額はその半分となる。
週300ドルの失業保険上乗せも11週間延長されたが、これも前回の半分の金額だ。
さらに、今月末に期限切れになる予定だった立ち退きの猶予期間の延長と、250億ドル規模の家賃支援も盛り込まれた。これにより、多くのアメリカ人が生命線を断たれずにすむという。
また、医療保険に含まれない治療代などを後から請求されるケースを防ぐ施策も盛り込まれた。
しかしジャーナリストなどからは、この支援策にさまざまなロビイストへの配慮が含まれているとの批判が出ている。
米紙ワシントン・ポストは、アルコール飲料業界やモータースポーツ業界などに対する1100億ドル規模の税制優遇措置が盛り込まれていると報じた。
民主党の反応は?
ジョー・バイデン次期大統領候補はこの支援策を「頭金」に過ぎないと述べ、議会は来月以降、新政権のCOVID-19支援計画のサポートに努める必要があると述べた。
「議会は今週、仕事をした。来年も同じことをするよう求めるつもりだ」
一方、トランプ大統領への厳しい態度で知られる野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、大統領の直接給付の引き上げ案に賛同した。
ペロシ氏は今週中にも下院に引き上げ案を提出すると表明。しかし、修正案は共和党が過半数を占める上院を通過する必要があり、反対されることも予想される。
(英語記事 Trump rejects 'wasteful' coronavirus stimulus bill)
(投稿者より)
法案には、大統領が1807年に制定された反乱法を発動するのを阻止する条項が含まれている、との情報もあります。一筋縄では行かないようです。